速い!うまい!強い!稲田浩二!

稲田浩二はスタートが『速い』。多くが知っている事実である。近30走ではコンマ13だ。過去を振り返ると、コンマ12とか11という時代もあったが、やや数字が大きくなった今の方がいい。来期を含め3期連続で7点台の勝率をマークする可能性は高く(10月14日現在7.30)さらに、昨年9月の戸田周年に続き、今年は宮島周年(9月)を制している。ともにイン逃げ。シリーズリーダーとして走り切ったのだ。さらに今年はV7と波に乗っている。持ち味であるスタートの『速さ』があればこそ、レースの主導権を握ることができるが、これに、『うまさ』が加わっている。元々の直線的なレースに自在なさばきが加味されたことで、さらに『強く』なったのである。加えて調整力がある。『イナダッシュ』と言わしめた快速スタート野郎というよりも、総合力で勝負する王道タイプに変身しつつある稲田浩二。きっと、初戦から飛ばしてくる。

衝撃のデビュー期優勝の快挙から16年!

先日引退された今村豊さんはSG戦最短出場(360日)、SG戦最短優出(1年5カ月)、SG戦最短優勝(2年11カ月)、G1戦最短優勝(1年2カ月)など、今後絶対に破られないであろう新人記録をことごとく樹立。2年目の賞金順位が7位だったことも驚嘆に値するが、唯一、時間が掛かってしまったのが初優勝。デビューした翌年の4月、蒲郡の新鋭戦だった。もっとも5月、6月と優勝を積み重ね、7月には丸亀周年でG1戦を勝つわけだが、「今なら自分の優勝だったよ」と振り返る徳山のデビュー戦(優出3着)が惜しまれる。そんな今村さんでもなし得なかったデビュー期優勝者は今村さん登場以降でも4人いるが、稲田もそのうちの1人。デビューからわずか4カ月、8節目の宮島で5コースからのまくり勝ち。その後は期待されながらも壁にぶち当たってしまったが、昨年、今年とG1戦で2回優勝。デビュー当時、今村2世か!とファンをワクワクさせた眠れる獅子がついに目覚めた。

秋深し…実りの稲田は収穫の時?

色紙やプレゼントサイン。基本、有名人や選手もそうですが、サインは漢字やアルファベットを崩したモノが多く、誰のサインだか分からない…ということは多いです。偽造されないモノを素早く書けるように、がその理由だとか。結構前ですが、知り合いの記者が稲田選手の色紙サインをもらっている場面に遭遇した事があります。その色紙は楷書4文字で『稲田浩二』と記され、登番が添えられた簡素なモノでした。寡黙で派手を好まない、いかにも稲田選手らしいサインだと思った記憶があります。ただオカでの佇まいは物静かでも、その仕掛け手としてのレースぶりは派手そのもの。わりと有名な『イナダッシュ』の愛称は、よくそのレースぶりを伝えてくれます。痛快ダッシュを武器に昨年戸田に続いて、今年は宮島周年でも記念タイトルをゲット。脂も乗る35歳の秋。実りのSG収穫祭はもうすぐかも?

2年連続G1Vを飾り勢い再加速!

昨年の戸田周年に続き今年もG1タイトルをゲット。充実期に突入しているが、忘れてはならないのがクラシック(平和島)準優での不覚。予選で3勝を挙げ、得点率2位で通過したが、準優はインからコンマ25の立ち遅れでSG初優出はお預けとなった。このレースで勝ち上がって来た吉川昭男が「稲田君はボートへ乗る時に自分の場所を行き過ぎていた。あ~、緊張してるんやろうなぁと思った」と勝負の分岐点を披露。平常心を失っていたことを露呈してしまい、他の5選手に突破口を与えてしまった。今後どんな影響があるのかとクラシック以後の走りを注視していたが、宮島周年を含む4V(今年7V)と引きずる様子は全くない。思えば、デビュー期には、わずか8節目に5コースまくりで優勝を飾った逸材。SGでの悔しさはSGで晴らす。

遅咲きの「イナダッシュ」がSGでも奮闘

稲田浩二は、ようやく「兵庫第3の男」に成長してきた。ここ数年、兵庫支部は魚谷智之、吉川元浩のツートップ状態が続いていた。ともにSGウイナー、吉川はSGグランプリも制した。2人の実績が抜け過ぎて、その下に続く選手は、なかなか出てこなかった。稲田は小坂尚哉、藤岡俊介とともに94期兵庫三銃士と呼ばれ、将来を期待された。しかし、スタート事故などで結果が出せず、かなり遠回りした。そんな稲田に光が差したのは昨年9月。戸田G1でデビュー15年5カ月にして初の記念優勝を飾った。「イナダッシュ」の異名通り、鋭いスタート攻勢が売り。フライング持ちでも切れ味が衰えず、外コースから鋭く突き抜けるシーンが多い。今年は9月宮島G1で通算2回目の記念優勝を果たし、賞金ランクは28位(12日現在)まで上昇。遅咲きの「兵庫第3の男」が、SGでも奮闘する。

「ダービーの権利も狙いたい」の次を狙う!

「SGなどでいいレースを見せることが目標です。オーシャンカップやダービーの権利も狙いたい」。今年2月、G1浜名湖賞を取った際に深谷知博はこう語った。そして、宣言は現実になった。なるとオーシャンCは予選で1着こそなかったものの、持ち味の粘りを発揮し準優に進出(6着)した。今度は大村ダービーで初のSG優出を狙うことになる。研究熱心でものごとを突きつめる貪欲さが光るが、端麗な外見に隠されている。その静けさに品がある。心技体のすべてにストイックであることについて、伴侶の鎌倉涼が「尊敬できる」と深く認め支えている。おなじ読み名の『深谷知広』(ケイリン選手)とも親交があるが、分野を超え、何でも吸収しようという意欲の表れだ。その意欲の向かう先が「いいレースを見せること」である。期待しよう。「いいレース」の先に『感動』が待っていると。大村ダービーが待ち遠しい。

次代の静岡支部を背負って立つ文句なしの逸材

初代艇王の彦坂郁雄は静岡出身。後に千葉に移住し東京支部に移籍したが、実は服部幸男の名付け親。彦坂の後輩にあたる父・正彦に頼まれてのことだった。服部は見事に彦坂の王者の系譜を受け継ぎ、若くしてボート界の頂点を極めた。静岡支部からは服部以降も菊地孝平を筆頭に坪井康晴、笠原亮、重野哲之、佐々木康幸、徳増秀樹と6人(しかも合計13勝)ものSG戦覇者が誕生。地元強豪が集う正月戦などのレベルの高さは王国・大阪支部にも見劣らない。深谷は103期の在所勝率トップと鳴り物入りでデビューし、6期目にA1級に昇格してからのA2級降格は1度だけ(それも出走回数不足が理由)。現在は5期連続で7点勝率を残しており、G1戦タイトルも地元浜名湖で2勝。デビュー前からのポテンシャルの高さとデビューしてからの安定感の高さは文句なしで、名門・静岡支部の将来を背負うにふさわしい逸材。あとはSG戦でブレイクするのを待つのみだ。

見せるか夫婦調和のミラーリング

身近にいる夫婦の方を見かけて、雰囲気が何となく似ていると感じたことはありませんか?『ミラーリング』。親しみを覚える相手の仕草、表情、しゃへり方、そんなパーソナリティーをまねして、相手との距離を縮める。そんな行動を人が自然に行っているから夫婦は似てくるといいます。ボート界の若手ビッグカップルでもある深谷知博と鎌倉涼夫妻。今年、多摩川で少しだけ話した両名も、深谷の穏やかで優しげな印象、鎌倉の勝ち気だが清廉な印象。その雰囲気がお互いに映り合って、2人とも以前以上に感じのいい人柄で好印象でした。選手としても夫婦互いにSGで大いに活躍できる器量は秘めていると思います。レーススキルという部分でも、互いの長所をミラーリングして行けば、もうワンステップ上のステージも開くはず。まずは夫である深谷が、妻に先駆けSG戦線での道を切り開いていくか!

静岡の次代を担う男がSG初Vに燃える!

静岡支部(87人)の現役SGウィナーは7人。お隣の愛知支部も同数だが、総勢が138人ということを踏まえると静岡のトップクラスはレベルが高い。今年も徳増秀樹がグランドチャンピオンでSG初Vを達成。これまでは菊地孝平をはじめとする80期台前半の選手が牽引してきたが、75期・45歳の徳増がが優勝したことで改めて層の厚さをアピールした。若手に視点を向けると、84期の笠原亮以降はSG覇者が誕生していない。では、次に静岡支部でSG初Vを挙げるのは誰か!? 深谷知博が大本命だ。振り返れば、もともと養成所勝率1位のエリート。26歳で地元の周年記念を制するなどレースセンスは折り紙付きだが、SGの大舞台になると気後れしていた。そんな深谷だったが2月に2回目のG1浜名湖賞を勝った時に「今年はフライングをせずに年末のレース(グランプリ)に出場したい」と明言。秋のSG戦線でスパートをかける。

ボート界の「深谷知博」が大舞台で躍動

公営競技を見るファンなら、深谷知博(ふかや・ともひろ)の名前を見ると、どうしても競輪選手の深谷知広(ふかや・ともひろ)と比較してしまう。字は違うが、読み方は一緒。デビューは「知博」が8カ月ほど早かった(08年11月)。しかし、「知広」は09年7月にデビューすると、快進撃を続けて20連勝を達成した。世界を相手に華々しい活躍してきた「知広」と違って、「知博」はこつこつと努力を重ねてきた。14年10月常滑ダービーでSG初出場を果たし、ビッグレースは計12節も出場した。今年は2月浜名湖周年で地元G1・2勝目をつかみ、優勝回数も加算。地力を確実につけてきた。ダービーは3年連続で臨む。大村は過去5年のうち、2度もフライング(17年2月、19年7月。ともに準優日の前半レース)。相性の面で不安は残るが、強さを増した「知博」が大舞台で躍動する。

こうかふこーか・こうかみつる

「えなつって呼ばれることが多くて…」。江夏満(こうかみつる)のかつての発言である。その後、若松周年記念の公開勝者インタビューで『こうかふこーか・こうかみつる!』と紹介して喜ばれた。『幸か不幸か…』をもじって『江夏福岡…』である。満面の笑みが記憶に残っている。人との隔たりがなくファンへのなじみもいい。そして、今や『スコーピオンターンの江夏満』である。このターンは江夏と同期の下河誉史が編み出したものだが、単に派手なだけでなく出足良化につながるという。プライドだけが高い男ではない。何にでも挑戦し取り入れ自分なりのアレンジができる人物である。持ち味である『調整力』の背景にあるものだ。加えてスタートが速い。3年ぶり2回目となるボートレースダービーは伏兵的存在だろうが、だからこそ舟券に絡めば『こうかまんてん』だ。

長いトンネルを抜けた先が4回目のSG戦出場

「最近、イン以外で全く1着が取れなくなったんですよ。だからといってインでも結構負けてますし。どうしたらいいんでしょう…」。今から1年半前くらいだろうか。江夏からこういう悩みを相談されたことがある。成績を調べてみると、2018年12月19日の下関で3コースから勝ったのを最後に、翌年5月13日の津周年で5コースから勝つまで11節、5カ月もの長きにわたって確かにイン以外で1着がなかった。にもかかわらず、そのわずか3カ月後から選考期間が始まった今回のダービーには見事に出場。スランプからどう立ち直ったのか聞いてみると、「やることは何も変えてないんです。弟子が2人できたことが大きかったですかね。ボートレースは気持ちが大事なんですね」という答え。SG戦はこれが4回目の出場。王国・福岡の隠し玉は図らずも成長したメンタルを武器に、上のステージに殴り込みをかける。

エンターティナーなスコーピオンの使い手

プロの資質は…技能=成績という面が第一義。そこに次ぎ魅せる力=パフォーマンス能力やサービス精神も大事な要素でしょう。江夏選手は福岡の強豪として技量も備え、ファンサービスやメディア対応も行き届いた選手です。水面では『スコーピオンターン』(旋回時に左足を跳ね上げる派手な旋回術)の使い手でもあり、エンターティナーな部分も披露してくれます。そんな江夏選手の印象を今回は同期の杉山貴博選手に聞いてみた。「養成所時代には生まれも近かったし、ボートをシェアして一緒に行動することは多かったです。昔から明るくて面白かったし、自分が成績が悪くてクビになりそうな時に励ましてもらった記憶もあります。89期はSG常連選手が出ていないし、ダービーでは行けるとろまで行き切って欲しい」とエールを交えた言葉。同期たちの期待も背にSG戦でもサソリの一撃を披露して欲しい。

恥ずかしさを成長に変えて充実一途!

フライングには感情がある。選手は勝ちたい気持ちや負けられない思いが抑え切れないと発生してしまうが、勝負に行っての勇み足なら引きずることも少ない。それは周囲も同様で、+コンマ01だと、「惜しかった」「運がなかった」と同情票が集まるが、これがコンマ05以上のスリットオーバー(非常識なフライング)になると雰囲気は異なる。「あんなに出てしまっては…」というムードになる。選手本人も痛感するようで、返還で迷惑を掛けたと同時に恥ずかしさを感じるらしい。それがトラウマとなり、引きずってしまうこともあるが、江夏は出直しを誓い見事にダービー切符をつかんだ。昨年のオーシャンカップ(とこなめ)ではコンマ09のフライングをしてしまったが、気持ちを入れ直して一年間を走り抜いた。前期は自己最高アベレージを残し充実度も高い。SG4度目の舞台で成長した姿を披露する。

選考順位52番目からの「下克上」を狙う

江夏満は89期でデビュー。同期には、なぜか攻撃派が多い。名前を挙げると枝尾賢や石塚久也、梶野学志、山田雄太、君島秀三がいる。その江夏と同じ福岡支部で同期の下河誉史とは、切っても切れない仲だ。一時期、話題となった「スコーピオンターン」を覚えているだろうか。ターンマークを回った出口あたりで左足を高く振り上げ、回った後の足を良くさせる。最初は下河が発案すると、江夏も真似してレースで使うことが増えた。その影響で、他のトップレーサーたちもやることが多く、最近では峰竜太も、先頭を走る最終2Mでスコーピオンターンをした。ボートレーサーは、勝つためなら何事にもチャレンジする。特に、攻撃派の多い同期がいると、攻めの手は緩めない。今回のダービーは選考順位が最も下。52番目で権利を得たが、出場する以上はアグレッシブに突っ走る。

選択肢が多いからこその技巧派

分かっていたことだが、赤坂俊輔はうまい。レースに無理がなく流れの中で勝負する合気道家のようだ。相手の力や意識を利用できると言い換えてもいい。近況、そのうまさが『信頼』につながっている。5月以降の3連対率は83%あまり。舟券貢献度は計り知れない。昨年の9月から今年8月まで29節走り、優出は17回ある。優勝2回はいずれも唐津の2コースだが、8月24日のそれは圧巻だった。1コースと3コースにやや先行されていたが、意表を突くまくりに出て勝利したのだ。『テクニシャン=差し屋』と思われがちだが、それでは単純になる。スタート勘がいいうえ、攻撃性があるゆえの『幅』であろう。『幅』は選択肢の多さと言い換えることができる。速くて的確な調整・整備も同様だ。芯があるのに、頑なではないほんとうの技巧派が地元大村で大舞台を迎える。

地元の夢を背負って4年ぶりのダービー出場

長崎支部はSG戦優勝7回(滋賀と並んで最下位、最多は大阪の68回)、SG戦覇者は6人誕生しているが、最後の優勝は1987年8月に丸亀メモリアルを制した国光秀雄なので、もう33年もSG戦覇者が誕生していない。ホームの大村がかつてはSG戦を開催しない場ではあったが、今や売り上げもトップを争い、SG戦開催常連場の仲間入りを果たしており、全国区のスター誕生が渇望されている。赤坂はG1戦、G2戦をぞれぞれ1回ずつ優勝しており、SG戦出場も20回を数える。養成所時代は石野貴之よりも高い勝率を残して修了レースも優勝。2016年のダービーを最後にSG戦線からは遠ざかっているが、成績を落としているわけではなく、なぜ上のステージでもっと活躍しないのかが不思議でならない。12走連続2着などの記録も持っており、レースセンスは抜群。このダービーは地元で4年ぶりのSG戦復帰。長崎支部の夢を背負っており、朗報を待ちたい。

静かに研ぎ澄ます 長崎の切り込み職人

某アンケートでは、長崎県男性の特長で挙げられるモノで多いのは『実直さ優しさ』というフレーズだそうです。確かに…。今回クローズアップされた長崎支部・赤坂選手も、人当たりの柔らかい真面目な好青年という印象です。同県同期の岩永節也選手に、そのイメージを聞いてみました。「オカの上では物静かなタイプ。お酒も飲まないし、黙々とやるべきことをこなしていくみたいな感じ。レースでは一番すごい部分はS力かな。スリットで一人でへこんでいる時を自分は見たことがない。そんなに大胆なレースをする感じじゃないけど、隙がないというかソツがない。展開を捕らえるのがうまいし、そう決めたらしっかりまくり差せるうまさがある」とのことだった。派手なタイプではない。ただひたむきな仕事でコツコツ磨き上げたダービー勝率。物静かでも熱く研ぎ澄ました切り込み戦で、地元SGを沸かせるばずた。

地元第3の男に甘んじるつもりはない!

4年ぶりのSG参戦だ。最近、SG戦線で見かけなくなったなぁと思っていたら、2016年のダービー(福岡)以来。それだけに、地元ひのき舞台への思いは誰よりも強い。ダービーの選考期間である2019年8月1日から今年7月31日までの一年間は30節で17優出。優勝は1度のみだったが、フライングをせずアベレージアップに努めた。かつては誰しもが認める大村の顔。それを裏付けるかのように2006年から2015年までの10年間でメモリアルに7度の推薦を受けている。近年は選出からもれてしまっているが、手堅いコーナーワークは磨きがかかっている。2002年5月にボートレーサーとして歩みを始めた大村での出場機会は110節(49優出9優勝)。誰よりも多く走った経験は今大会に必ずや生きる。

地元SG出場へ燃えた男が、いざ大舞台へ

今年でダービーは67度目を迎えるが、大村開催は初めて。ボートレース発祥地で、ナイター開催として伝統の「全日本選手権」が行われる。そんな大会に、地元・長崎支部勢は3人が出場する。原田幸哉、赤坂俊輔、桑原悠。いずれもキャラが違って、レーススタイルも異なる。赤坂で連想するなら、したたかにさばくイメージか。原田や、桑原みたいな派手さはない。しかし、道中で前をかわそうとするハンドルの鋭さは、長崎勢でもトップクラスと思う。そんな赤坂が、4年ぶりのダービー出場を決めた。それも、選考期間(昨年8月1日~7月31日)で17度もの優出をマーク。279走して、1着から回数を見ると【86・80・56・29・21・6】。欠場などをのぞくと、6着がわずか6度しかない。驚異の超堅実派が、地元SG出場への執念をのぞかせた。闘志を内に秘めて、冷静に立ち回る。

葛藤を信念の鎧で包む夏男

8月15日浜名湖お盆レース3日目、菊地孝平は02のフライングを切った。コースや風の変化が影響したようだったが、当の菊地はサバサバしていたという。内心穏やかではないはずだが、怒りや葛藤や意気消沈する姿を周囲に見せないのが菊地だ。「見たくないでしょ。かっこ悪いですしね…」と語ったことがあるように内面を信念の鎧で隠している。昨年のグランプリ(住之江)トライアルセカンド最終戦、スタート展示5コースだった6号艇の菊地は「石野選手(4号艇)が出ていることをスタート展示で改めて確認した。勝つには内に入るしかないと伸るか反るかの勝負に出た(結果2コースから5着)」と後述しているが、多くは知らない。しびれる勝負に挑むギリギリの精神領域を見せることなく平然としているのが菊地孝平らしい。SG5冠の内、4つが夏場。加えてナイターの相性がいい夏男に期待したい。

衰えを知らぬスタート力でSG6勝目奪還へ

菊地のデビューは1998年5月。その当時の全選手の平均スタートはコンマ23あたりで、平均がコンマ10台の選手はスタートが速いという評価を受けていた記憶がある。それが今や全選手の平均スタートはコンマ17まで速くなっているという。ボート界ナンバー1と言われるスタート力を武器にSG戦5勝、G1戦12勝の実績を誇る菊地だが、もう10年、いや20年早くデビューしていれば、この倍以上の優勝を積み重ねていたかもしれない。2017年前期から8期連続で平均スタートはコンマ11。それでいてFは決して多くはなく、2015年5月から2019年9月まで4年4カ月にもわたってFなしという時期もあったばかり。たまたま8月15日に地元浜名湖でFを切ってしまったが、F持ちになったからといって、菊地のスタートの威力が落ちることはない。2勝している好相性のメモリアルで4年ぶり6回目のSGタイトル奪還のシーンを見てみたい。

極限集中!東海のミラクルスターター

『フォーカス』、『コンセントレーション』、『アテンション』。集中力を高める3つの行程といわれるモノです。的を絞り、内的集中でイメージを作り、結果への注意力を高める。一流アスリートは、この3行程を高いレベルで自然にこなしているといいます。今回のスポット選手である菊地選手も、メンタル・集中力という部分で評価の高い選手です。同期の大谷直弘選手に菊地選手のイメージを聞くと「ターンがめちゃめちゃうまいという感じより、全部が備わっているタイプ。それにやっぱり集中力がすごい。スタートに関しては桁違いですしね」と語ってくれました。1分40~50秒、レース競技最速決着がボートレースの華です。そして、短時間に心技をつくす競技の中でも、スリット戦は究極の集中力バトルといえるモノでしょう。仕掛けを制すモノはレースを制す。持ち味の極限集中O台アタックに今節も注目!

進化を続け ピークはこの先にある!

「僕には衰える要素がひとつもない」。キッパリと言い放つ姿は確信に満ちている。「42歳。普通に考えれば、衰えていくと思われても仕方がないですが、僕にはないですね。いまだに少年のような心(探究心)を持ち続けているし、体だって痛いところがひとつもない。常にテーマを持って走ってます」と最強戦士へのプロセスをたどっている。SG5冠の菊地は、1号艇以外の優勝が4度。G1も12Vの内、8勝は2~6コースでの勲章だ。「仕上がれば、どのコースからでもっていうのはあるけど、逆に言えば1号艇で乗る回数が少ない。予選の走りに課題があるんでしょう」と振り返る。「と言うことは、伸びシロはまだまだあるし、ピークはこれからだと思ってます」と湧き上がるポジティブトークが頼もしい。では、最終目標は何なのか!?「グランプリを取ることも目標のひとつですが、それ以上に強くなりたい。ボートレーサーとしてトップに立ったと思えるようになりたい。松井(繁)さんのようになれればトップに立ったと思えるだろうし、今なら峰(竜太)でしょうね」と生涯獲得賞金ぶっちぎりの王者と現役ナンバーワンの名前を挙げた。澄み切ったまなざしは夢の実現を予感させる。

逆境からはい上がり、3度目の大会制覇へ

菊地孝平とスタートは、切っても切れない仲だ。もう10年以上も前になる。浜名湖のお盆戦でのこと。ライバルがプレッシャーをかけてきても、お構いなしにゼロ台の仕掛けを連発した。夏の水面は、風がころころ変わり、非常にタイミングをつかみづらい。あらゆる状況の中でも、完璧な体内時計を駆使して、攻めに徹した。全国各地の水面特徴を肌で感じ、目で確認して、極限のスリット攻撃を展開してきた。そんな菊地が、8月15日の浜名湖でフライングを切ってしまった。データを調べると、地元で勇み足を犯したのは、14年8月17日以来。約6年ぶりで、この時もお盆戦だった…。今年の置かれた立場は厳しい。年末のSG平和島グランプリ出場を見据えると、今回のメモリアルは結果が求められる。逆境になっても、菊地はめげない。自分のスタート勘を信じて、3度目の大会制覇を目指す。

不屈の闘志を信じる!

久田敏之というレーサーを、2017年の平和島ダービー準優抜きに語ることはできない。初日から4連勝の勢いで予選をトップ通過。1号艇を手にした久田だったが、コンマ02のフライングを切ってしまったあの戦いだ。激しいコース争いも要因にあったろうが、「放り切れませんでした。仕上がっていただけに悔しい…」と絞り出すように語ったという。隠れてしまいたいほどの苦しさのなかプロとしてなすべきコメントを出した後、「全部受け止めます。前を向かないといけない」。そう言って顔を上げたとスポーツ新聞は伝えているが、直後の児島G1でもファンを前に「一からやり直します!」と発言した。その決意の固さは翌年以降のSG出場で証明されている。不屈の闘志を湛える人物である。『不屈』とは地に落ちた者しか確かめることのできない境地。だから、周囲は信じるしかない。

2017年平和島ダービーの借りを返す!

ボート界にはこれまで100組近い親子レーサーが誕生しているが、久田敏之も父・正晴さん(2018年引退)の後を追って選手になった2世レーサー。誰が見ても親子と分かるほど顔はそっくりなうえ、父がそうだったように穏やかで優しい人柄。父はレジェンド今村豊と同期の48期で長らくA級常連として活躍し、優勝は6回。G1戦にも何度か出場している。敏之は父が果たせなかったSG戦出場もすでに9回を数えており、今回のメモリアルは10回目のSG戦となる。惜しかったのは2017年平和島ダービー。4連勝を含む5戦4勝で予選をトップ通過。大金星を目の前にしながら、準優勝戦でまさかのFに散った。まだG1戦タイトルも手にしていないとはいえ、あの時の借りを返さずにはいられない。今回はあの山崎智也を押しのけて桐生から指名されており、発奮材料はそろっている。

学び直す勇気を持つ 上州のテクニシャン

選手の安全性をさらに重視し、現行のモーターが出力低減力モーターに切り替わってから約6年ほど。年々モーターの回転の上がりが鈍くなっているという話は選手たちからもよく聞く。当然、モーター仕様に対するペラ調整も対応力を求められる状況。今回スポットが当たった久田選手も、近況は新しいペラ調整を模索中。「最近のモーターでは、昔みたいにこだわりのペラ調整なんてやっていてもダメみたいなんですよね。頭を柔らかくして柔軟な調整幅をつけないと。自分もそういう部分は最近は勉強しようと思ってやっています。今はこの前一緒のシリーズを走った峰(竜太)選手の話を聞いて調整を試してます。スーパースターの力も借りて頑張ってますよ(笑)」と笑顔で語ってくれたモノだ。アンラーニング(既得の知識を手放し学び直すこと)、学ぶ勇気を持って挑む今。SG戦でその成果を見せたいところだ。

大魚を逃すも腐らぬ姿勢は称賛に値!

2012年にメモリアルの推薦人数が各レース場で2名になって今年で9年目。当初はサプライズ選出も見られ、SG未経験の選手が選ばれるケースもあった。実際に2012年は馬場貴也をはじめ4名がSG初舞台を味わった。今年はSG初出場者はゼロ。サプライズ指数はゼロかと思われたが、久田敏之が群馬支部に風穴を開けた。「ずっと山崎智也さん、江口晃生さん、毒ちゃん(毒島誠)、秋山直之さんがいるので、なかなか出場は難しいと思っていました」と吐露。2017年のダービー(平和島)では、予選トップ通過の準優1号艇でFをしてしまったが「あの時はチャンスでしたけど、その後も自分なりに腐らずやってきた」。来春には不惑を迎えるが、情熱に陰りはない。快ショットから繰り出す大胆プレーに期待だ。

念願の「桐生代表」として大会初出場

久田敏之には、念願かなったメモリアル初出場となったかもしれない。群馬・桐生ボートは、グランプリ覇者の山崎智也や、江口晃生、秋山直之、そして毒島誠の台頭もあって、他の選手たちには大会出場が狭き門だった。しかし、久田は地道な努力が認められた。ここまでの道のりは長かった。思い出すのは17年10月のSG平和島ダービー。初日から4連勝を飾り、予選トップ通過を果たした。迎えて臨んだ準優だったが、結果はインからコンマ02の勇み足…。スタート事故罰則も背負い、大舞台が遠ざかった。フライングは18年間で19本あるが、勝負に負けた形だった。そんな状況に置かれながら、一般戦で踏ん張り、チャンスをうかがった。昨年は2度のSG出場を果たし、今年前半は3度のG1、G2優出が実って7月鳴門オーシャンCに出場(予選落ち)。そして、今回は桐生への恩返しの意味も込めて、毒島とともに臨む。

名刀のごとし男が颯爽と下関へ

「デビューして3年以内にSGに行く!」。仲谷颯仁はデビュー当時、目標をこう設定した。初出走は2014年11月の若松。そして、2017年のSGグランプリシリーズ戦でSG初参戦を果たす。115期の先頭を走るとともに、羽野直也と並ぶ『九州ヤングツートップ』としての活躍はすさまじく、翌2018年2月には九州ダービーで初のG1タイトルを手にした。「勝って責任を感じる」と語ったのを覚えている。『役が人を育てる』というが、まさにそれだろう。スピード感満点の旋回で相手をねじ伏せるイメージがあるが、「力が入り過ぎないように…」と語ることもある仲谷。何が何でも、という一本気な戦法だけでなく、鋭くまくり差し懐に飛び込むことも多くなってきた。臨機応変さがさらに威力につながっている。硬いだけの刀は無理な力に負けて折れてしまうが、よく切れて折れない『名刀』は、硬くてしなやかだ。仲谷颯仁はそういう男である。

兄貴分・西山貴浩同様の愛されキャラ

メモリアルはこれで3年連続の出場。兄貴分の西山貴浩とはまるっきりキャラクターは違うが、施行者からは西山と同じように愛され、期待されている証拠。その西山と「一緒に出よう」と約束していたという10月の大村ダービー出場もほぼ当確の状況だ。2期前にF2の勇み足があり、5期連続でキープしていたA1級から陥落したが、これが自分を見つめ直すいいきっかけになった。A2級だった前期は7.52と自己最高勝率を残し、優出も10回を数えた。羽野直也という絶好のライバルにも恵まれ、2018年2月に若松九州地区選を制して、早々とG1タイトルを手にした当時は、勝ちたい気持ちを前面に押し出し、勢いに乗って突っ走った感があったが、最近は違う。ピット内でも水面でも、慌てず騒がずの落ち着いた雰囲気を醸し出すようになった。あとは上のステージで結果を残すのみ。再び、出世街道を突き進むシーンが目に浮かぶ。

良き縁も力 福岡の新世紀レーサー

この一口コラムを書く時に、記者はいつも選手イメージを何となく頭に浮かべるのですが、今回の仲谷選手で記者が想起したのは縁や絆という言葉です。師匠の川上剛は多摩川に来るたびに「この後に仲谷が来るから…」と、色々な調整にチャレンジしては水面から情報を持ち帰ろうとする姿を見かけます。福岡の地元同年代には、1期先輩に羽野直也という共に次代の旗手を担う負けたくない盟友の姿があります。善き師に、善き好敵手。人との縁を得るのは運に任される部分も大きいでしょうが、縁を絆に変えて行くのはその人の資質や努力による部分も強いもの。人との良縁を、うまく力に取り入れられる流れを持っている選手だなと感じます。今回の下関SGメモリアルも、若松ボート施行者さんたちの熱いエールあってこその出場という側面も当然あるでしょう。絆に応えて男を見せられるか?熱走注目です。

苦しい時でも選んでもらった恩を返したい!

毎年、メモリアルの出場選手発表が楽しみだ。近年はサプライズ要素が減ったものの、各レース場がどの選手に期待をしているのかが分かる。ファン目線ではなく、推薦を受ける本人目線で一番ビックリしていたのが仲谷颯仁だ。「前期はA2に落ちてしまったし、メモリアルのことは意識になかったです。今年のSGは、ダービーに出場することだけを考えていました」と吐露。「今回を含めて3年連続で推薦していただきましたけど、今回はこれまでとはひと味違います。もう、感謝しかありません」と頭を下げた。結果を残したい思いが一段と強くなっている。幸いなことにメモリアルの行われる下関は近4節で3優出2優勝。「乗りやすい水面ですし、相性が良くて大好きです」と自信をのぞかせる。その時の表情と口ぶりは、大仕事を成し遂げそうな雰囲気を漂わせていた。ライバルの羽野直也がグランドチャンピオンでSG初優出。燃えないワケがない。

「ライバル」たちに追いつけ、追い越せ

仲谷颯仁はいいライバルたちに囲まれている。大所帯の福岡支部にあって、1期上には6月の宮島グラチャンでSG初優出した羽野直也。1期下には、女子最強レーサーに進化しつつある大山千広がいる。間に挟まれる仲谷は、嫌でも刺激を受ける。昨年は福岡オールスター、多摩川グラチャン、大村メモリアルと3個のSGに出場。しかし、最高はオールスターの準優3着。G1戦線でも苦戦、20年前期はA2級落ちを経験した。悔しさをばねに今年は発奮、11度も優出して3度の優勝を飾った(7月20日現在)。20年後期勝率は、デビュー以来最高の数字(7.52)を残した。遠回りしたが、1年ぶりにSG戦線へ戻ってきた。反撃する舞台は整った。下関は17年8月一般戦、18年7月G3ウエスタンヤングで連続Vと、相性は抜群。3度目の出場となるメモリアルで、強くなった姿を見せる。

早咲きのはずが、遅咲きの39歳

これほどめでたい名があるだろうか。『福が来る人』である。おまけに『剛性』があるのだ。実際そういう人物である。デビューは2000年11月の多摩川。翌月には浜名湖で水神祭を飾っている。当時、『颯爽と出てきた』と評判になった。朗らかな人柄に魅力を感じる者は多く、明るい気分にしてもらったものである。ボートレース業界にあって、ちょっと異質ともいえる存在だった。あれからふた昔になるが、福来は変わっていない。『早咲き』のはずが、雌伏の時を経てやがて20年。今年3月のクラシックが初SG。いきなり優出(5着)した『遅咲き』の39歳である。2回目のSG宮島グラチャンでも躍進。準優進出(6着)を果たし、メモリアルは3回目の大舞台となる。一見、やわに見えるが、変わらない朗らかさを湛えているのは芯が強いから。内面の剛性があるのである。青年のような雰囲気とは美学そのものではないだろうか。

1年半のB級暮らしを糧にしてブレイク中

選手に「魔の8項」と恐れられているルールがある。これは期の事故率が1.00をオーバーし、なおかつ出走回数が50走以上の時に適用される半年間のあっせん停止処分のこと。かつて西島義則や今村暢孝らが抵触したことはあるが、選手が最も警戒しているルールなので、抵触選手は数年に1人出るか出ないかというレベルなのだが、福来剛は2017年前期に抵触しており、1年半にも及ぶB級暮らしを強いられた苦い経験がある。しかし、逆にこの地獄をバネにして飛躍。昨年は自己最多となる年間5回の優勝をマークして地元平和島開催のクラシックでSG戦に初出場し、いきなり優出の快挙。これで宮島グラチャンの権利も得て、ついに江戸川から指名されてメモリアル初出場も決めた。G2戦も含め、まだ記念タイトルには無縁だが、デビュー20年目にしてSG戦出場3回というブレイクには素直に拍手を贈りたい。

笑顔で福呼ぶ東都の好男児!

『笑う門には福来たる』…が身上かは?だが、きつい局面でも極力笑顔のスタンスでメディア対応をしてくれる福来選手。ルーキーの頃から「道中で前を追い抜くのが大好きなんです」と話し、ガッツのある道中戦は目を引くモノだった。ここ数年取り組んでいるスーパー出足型ペラをヒットさせ、昨年はV5。そこから得た出場権での今年平和島クラシックは、SG初出場で初優出。ブレイクの王道とも言える道を切り開いた。順風満帆の今だが、現在39歳でアラフォーの身でもある。決して早咲きではない。福来選手とはラインの内堀学選手は「あの人はすごい。ああいう人が身近にいるのは本当に励みになりますよ」と遅咲きの大輪をリスペクト、自身も新期は7点台と共に成長の道を歩んでいる。そんな風に仲間もファンも励ます明るい笑顔で、下関メモリアルでも福を呼ぶ走りを見せてくれはずだ!

遅咲きの苦労人は今が最盛期!

デビュー19年(38期)目に自己最高の勝率7.68をマーク。20年目の今春はクラシックでSG初参戦初優出と大器晩成型と思われがちだが、若手の時からセンスの片鱗は見せていた。最も印象に残っているのが2008年の「G1江戸川大賞IN蒲郡」。江戸川が工事で休催していたため、蒲郡で江戸川周年が代替開催された。当時27歳の福来はA1に昇格して3期目。ようやくG1に声がかかるようになったが、まだ優勝は1回のみで記念実績は無いに等しかった。そんな中で連日の大ハッスル。準優は4カドから池田浩二をまくった。優勝戦もコンマ04のトップショットを決めたが、攻め切れず1マークは後方に。だが、道中で追い上げて3着でゴール。松井繁、辻栄蔵、濱野谷憲吾らバリバリのグランプリ戦士を相手に先着した。事故点オーバーなどで遠回りをしたが、39歳になってもスピードに衰えは感じない。今が最盛期だ。

東京支部の苦労人が、さらなる飛躍へ

苦労人が、ようやく3度目のSG出場に臨む。福来剛は総勢180人もの人数を誇る東京支部の中で、なかなかチャンスがめぐってこなかった。どうしてもG1、G2戦へ出場のチャンスが多くなかった。そんな流れが変わったのは昨年だった。6月から9月にかけて、一般戦で7節連続優出を果たした。そのうち3度も優勝して、酷暑を乗り切った。結局、昨年は合計5度の優勝を飾り、今年3月の平和島クラシックでSG初出場を決めた。地元で気負うこともなく、その節でいきなりSG初優出(5着)をしたのだから素晴らしい。福来は的確なペラ調整、エンジン出しに加えて、ハンドルの切れも上達。全てが向上したのと、数少ないチャンスをものにして、6月宮島グラチャンで人生2度目のSG出場。そして、今回のメモリアルは江戸川ボートからの推薦を得た。さらなる飛躍へ、8月のナイターSGは楽しみだ。

正真正銘の学級委員長タイプ

ボートレース界の基本は『礼と節』。厳しい養成時代を経ても、それを続けるのは難しい。そもそも価値観を内在させているかどうかが大きいのではないだろうか。そういう点で業界の誇りといえるのが村松修二。勝負にも周囲にもまっすぐで外連味(けれんみ)がない。正統派のど真ん中をゆく人物である。「プロを意識してサッカーをしていた」という学生時代の背景に、競い合うことを喜びとする価値観が存在するが、それは真摯に勝負に向き合う場があることへの感謝と歓喜である。『結果ありき』なところがなく品がいい理由だ。「ハンドルを切るタイミングが少し違っていた…」など率直に振り返りつつ、取材陣に丁寧に説明する村松修二。ファンに対し真正面から向き合おうとする言動すべてが模範的ですがすがしい。今年2月の中国地区選を制している正真正銘の学級委員長タイプが2回目のSGに臨む。

羽野直也と出世争いを繰り広げる114期の雄

広島支部にまたまた頼もしい新星が出現した。2月の地元宮島中国地区選でG1戦初優出、初優勝の快挙。インに前本泰和、センターには茅原悠紀と2人のSG戦覇者がいたが、5コースから一気のまくり勝ち。同期(114期)では羽野直也に続く2人目のG1戦覇者になった。前期はこの優勝を含め、自己最高となる7.37の勝率を残した以外にも、SG戦初出場だった3月平和島クラシックでも予選を突破。今年は一般戦でも2回の優勝があり、通算11回の優勝。出世争いを繰り広げている5期先輩の大上卓人を早くも上回り、並みいる先輩選手たちを抑えてメモリアル出場を手にした。ただ、せっかくG1戦覇者になったというのに、この優勝以降、G1戦の出場が1回しかなく、ルーキーシリーズが主戦場になっているのが惜しまれる。もはや同世代、後輩相手では別格の存在。記念戦以外ではぶっちぎりの強さを発揮して、記念レギュラー定着をアピールして欲しい。

強くて聡い…俊英114期の善きお兄さん役

『男子、三日会わざれば…』。ボート界で記者をやっていると、ルーキー選手たちの瞬く間の成長を見ることはしばしばあります。今回フィーチャーされた村松修二選手もその一人。今まさに刮目(かつもく)して見るべき新星です。今年は通算勝率も7点を軽々オーバー。V3を挙げ、内一つは強豪ひしめく中国地区選手権での優勝。その内容も痛快。1枠インに前本泰和。3枠の茅原悠紀は3カドに引くレース隊形。村松は5コース発進。その形から村松はまくり一撃。後続をはるか後方へ突き放して一人旅とした。このド派手な記念初Vがその直後のクラシック、そして今回のメモリアルとSG戦線への道を切り開く突破口ともなった。養成所試験は9回目での合格。苦労人はただいま29歳。俊英きらめく114期の善きお兄さん役でもある。ひと足先にSGで孤軍奮闘する同期年下の羽野直也に、もう寂しい思いはさせないはずだ!

期待を集めるトップルーキーに注目!

強者たちによる熱戦が繰り広げられたグランドチャンピオン(宮島)だが、地元の広島支部からは前本泰和のみが参戦。SGウィナーが多く在籍する強豪支部を考えると少し寂しく映った。とは言え、ヤング世代からは有望な選手が誕生している。今回は出場権を獲得することができなかった村松修二だが、期待を込めてメモリアルに選出された。これまでを振り返ると、デビュー4期でA2に昇格、7期目にはA1ボーダーを超えた。順調な成長曲線を描き2017年にはトップルーキーにも選ばれ今年で4年連続だ。そして、2月の中国地区選手権(宮島)では5コースからの豪快まくりでG1を優勝。SG初出場のクラシック(平和島)では準優入りを果たし、地元SGへのラストチャンスとして臨んだが、1マークは厳しい展開になり敗退した。多くの初出場選手は苦杯をなめていだけに、それを思えば予選クリアは及第点。ただ、高いステージに立てば立つほど負けた時の悔しさは大きくなる。逃した魚は小さくないが、狙っている獲物はもっともっと大きい。

「逸材集団の優等生」が初のメモリアル出場

村松修二は、逸材集団の114期でデビューした。G1初優出初優勝を飾った羽野直也をはじめ、やまと(現ボートレーサー養成所)チャンプの松尾拓、ムードメーカーの西野雄貴、女子では中村桃佳、水球の元日本代表だった倉持莉々。キャラクターがそろう中でも、村松の存在感は大きい。デビュー1年半で初優出初優勝(15年11月丸亀)を飾るとA2級へ昇格、18年前期はA1級にジャンプアップした。普段から取材対応は抜群で、エンジンの仕上がりについても、言葉を選びながら、分かりやすく答えてくれる。冷静な立ち回りは、レース後でも変わらない。2月に地元の宮島、中国地区選でG1初優勝をつかんだ直後のインタビューでも、落ち着いて話したのが印象的だった。今回は宮島からの推薦を受けてメモリアル初出場。大舞台でも慌てない走りを見せる。

はんなり強い、スケールの人

京言葉に『はんなり』がある。上品で明るいようすや華やかなさまを指すが、『はんなり』し続けるのは難しい。 嫌なこともあれば腹の立つこともあるのが人間社会。普通、品よく・明るく・華やかでいられるのは環境や条件が整っているからである。 しかし、湯川浩司は違う。いつもニコニコ、いやニヤニヤ、いや『はんなり』している。 勝っても負けても変わらない。激高するのを見たことがない。事実、「勝ったり負けたりするのがレース。 負けることで成長させてもらえることもある。ボートレースに感謝している」と語ったことがある。 芯の強さや優しさだけでなく、社会全体を大きくとらえるスケール感をもっているのだ。 今年はここまで記念G2とG1を優勝(びわこ秩父宮妃記念杯と蒲郡周年記念)と悪くない。グラチャン男の面目躍如、 宮島でさらに加速する可能性もある。2020年、湯川浩司から目が離せない。

今年、往年の勢いを取り戻した元祖「夏男」

誰が名付けたのかは分からないが「湿気王子」と呼ばれた時期があった。2007年から2010年のわずか4年の間にほぼ6月開催のグラチャンを3回も制覇。梅雨の時期に強い…という理由だが、7月開催のオーシャンカップでも優出が4回あり、確かに梅雨から夏場にはめっぽう強いイメージ。ボート王国・大阪支部にして85期銀河系軍団の一員と環境は文句なし。 さらにいかにもボートレーサー向きの小柄な体格を味方にモーター出しが最大の武器で「快速王子」の別称も。静水面の住之江育ちだがG1戦12勝のうち江戸川で3勝と難水面も簡単に乗りこなす。 2018年、2019年と記念制覇から遠ざかっていたが、今年は3月にびわこG2戦、4月に蒲郡周年と2カ月連続のG2、G1制覇を成し遂げ勢いは十分。メモリアル開催地の下関はG1戦初優勝を飾った文字通りメモリアル水面でもある。

艇界屈指 浪速のパワーゲーマー

『Stay Hungry. Stay Foolish』(貪欲であれ。愚かであれ)。 これは技術屋でもあったアメリカの事業家スティーブ・ジョブズの言葉です。 成したい事があるなら求め続け自らを信じ愚直であれ…と大体そんな意味合いです。 モーターボートにも通じる部分があるかと思います。突き抜けたパワーを手にするには、 失敗を恐れない調整の繰り返しが必要です。 プレイヤーとしてのあり方も、現状に妥協すると進化は止まってしまうものです。 若かりし頃は『快速王子』の異名をとった湯川選手。その印象を銀河系同期の桐本康臣選手に聞くと 「プロ意識が高くて、貪欲でエンジンも良く出す」でした。 人より一歩前への調整、快パワーでシンプルに勝つ…こそが湯川選手の真骨頂。 今年はタイトル戦V2、まだまだ立ち止まらない浪速のパワーゲーマー。その活躍に注目だ。

完全復活への足場を固め久々のSG取りへ!

いつの時代もモーターの力を引き出すことが勝利への最重要課題。 その中でもプロペラが占めるウェートは大きく、流行や廃りがある。 現在の主流は足重視。極限までストレートを引き出し、コーナーはテクニックでカバーする。SG・G1戦線では行き足から伸びがなければ勝負にならなくなっている。 その最先端を行く峰竜太に対し、さらなる伸びを求めて真っ向勝負を敢行したのが湯川浩司だ。 4月に行われた蒲郡65周年記念の優勝戦では、3カドからフルダッシュでインの峰を沈めた。 「ガッツリ伸び型にして仕上がってました」と胸を張った。持ちペラ時代は「快速王子」として名をはせ、現在の制度では試行錯誤の連続。 一時期は前回使用者の形を崩さずに臨んでいた時期もあったが、自分のスタイルに戻してパンチを求めている。 完全復活と呼ぶのにふさわしい5度目のSGVへ足掛かりはつかんだ。

「伸び」にこわだり、久々のSG優勝へ

湯川浩司ほど、個性の強い選手も珍しい。昔から「伸び」にこだわり、相手が誰でも攻めのレースに徹した。 当然、フライングなどの事故も多く背負ったが、スタイルを曲げることはなかった。それだけの思いにさせたのは、 周りの環境が良かったかもしれない。同期の85期は銀河系軍団と呼ばれ、田村隆信、井口佳典らスター軍団がめじろ押し。 また、同じ大阪支部には松井繁、石野貴之、田中信一郎、太田和美のグランプリ覇者をはじめ、トップランカーばかり。 強豪ひしめく選手たちに囲まれ、地力を強化させるには最高の舞台が整っている。 今は大阪支部の副支部長を務め、多忙を極めながら湯川は結果を出してきた。4月蒲郡周年ではデビュー以来、 初めて3カドにチャレンジして見事なまくり勝ち。それも、峰竜太のイン戦を撃破した。 不惑の40代に突入しても、さらに魅力ある攻撃力が楽しみ。

闘志と技巧の両立を体現!

篠崎仁志はオールラウンダーである。コースに偏りがなくスタートも安定している。そして、どこからでも連に絡むことができる。例えば5コース。過去2年間の5コース進入81回の内、連絡みは44回。3連対率は54.3%に及ぶ。 住之江オールスターメンバーと比較すると、69.4%の峰竜太を筆頭に上位はいるが、それでも舟券作戦上の期待値は大きい。 さらに、4コースなら74.2%、6コースでも36.0%の実績もある。安定したスタート力と展開力のおかげだろう。平均コンマ14のキレあるスタートから展開を読み切ったようなハンドルを繰り出してくるのである。 兄・元志の『攻め』とは異なる『捌き』が持ち味で、待って入るのではなく、行きながら飛び込む闘志あふれる捌きが特長なのだ。レースが美しく見えるゆえんでもある。 8年連続出場ながら、まだ優出のないオールスター。闘志と技巧の融合をファンは心待ちにしている。

史上2組目の兄弟SG覇者誕生なるか?

ボート界には草創期から数えると150組近い兄弟姉妹レーサーがいる。その中で兄弟そろってSG戦を制覇したのは佐賀の松尾泰宏・幸長兄弟のみ。 岡山の林通・貢兄弟もいずれ松尾兄弟に追い付くと思われていたのだが、兄の通はダービーを2回優勝したものの、弟の貢は8回の優出があったものの準優勝が3回(そのうち2回はグランプリ)で、ついに悲願のタイトルには届かなかった。 現役で最強の兄弟レーサーと言えば文句なしに福岡の篠崎元志・仁志兄弟。兄はすでにSG戦を2勝。仁志はG1戦3勝、G2戦2勝の実績を誇り、SG戦優出も4回を数える。 オールスターには今回、委員会推薦の出場となったが、過去7回の出場で予選突破が4回、そのうち準優3着と惜しくも優出を逃したのが3回もある。 今回こそ、まずは優出切符を手に入れ、史上2組目となる兄弟SG戦覇者誕生のシーンが見てみたい。

熱血漢でもある最強ブラザーズ弟

4月の多摩川周年では兄弟同時あっせんで、しばしばピットで肩を並べ談笑している姿を見かけた篠崎兄弟。 今ボート界最強の兄弟レーサーであるこのコンビ、今回スポットが当たったのは弟・仁志の方。屈託のない笑顔と朗らかさが印象的で、多摩川では「これが楽しみで」と鯉(コイ)に餌をまく姿が参戦時の風物詩とも言える。 ただ喜怒哀楽の振幅は意外とあり、時に熱血漢的な部分を見せる。水面ではアウトからでも機動性を備えるタイプで爆発力があり、気持ちが乗っている時の強さは特筆もの。プレイヤーとしての成熟度はSG制覇に到達して不思議はないレベルだ。 今開催はファンの声援を最も肌に感じて走るSGオールスター。心の強さが自ずと増す開催である。己を制して波をつかむ。心技が噛み合う時、自然、SG戴冠(たいかん)となる選手のはずだ。

リスペクトする兄を号泣させる快打に期待!

最強ブラザーズの弟が主戦場に帰って来た。 昨年のメモリアル(大村)は準優で痛恨の勇み足。ダービーの権利等を棒に振ってしまった。ペナルティーが明けて今年の4月からはG1戦。オールスターからはSGに復帰する。 兄・元志とは大の仲良しだが、比較されることも避けられない。周囲からの注目度が高くプレッシャーが襲い掛かる。 これについて兄の元志は「弟に対してはいろいろと厳しいことを言ってきた。頑張っているのを知っているし、ぜひSGを取って欲しい」とエール。 仁志が取った暁には「自分が3つ目のSGを獲るよりも、弟の初タイトルの方がグッと来ると思う。う~ん、ヤバイね」と声が少し上ずっていた。 感情が湧き上がって来たことを自ら察知した兄は「でも、泣かないけどね」とジョークでかわそうとしたが、しっかりと弟への思いが伝わって来た。SGトップゴールを決めて兄を号泣させる。

勝負強さ発揮の聖地でSG戦初優勝目指す

これはボートレーサーに限ったことではないが、兄弟だからといって必ずしも仲がいいとは限らない。 戦国武将など、例えば織田信長のように兄弟争って父の跡継ぎになった…というケースも多々ある。 兄・元志の背中を追ってこの世界に飛び込んだ仁志は、誰よりも兄をリスペクトしており、 この2人は本当に仲がいい。人懐っこい笑顔で記者対応も抜群。その人柄はファンにも伝わるのだろう。 今回こそ委員会推薦での出場になったが、オールスターはこれで8年連続出場というのもうなずける。 兄に負けず劣らずのレースセンスで、SG戦初優勝が待たれる一人。 SG戦準優Fという試練もあったが、今回がそのペナルティーからのSG復帰戦。 優出3回を全て優勝と勝負強さを見せつける相性のいいボートの聖地・住之江が舞台でもあり、 お立ち台の真ん中に、あの人懐っこい笑顔を見たい。

『度量衡』の女性から学ぶ

『プロはファンのためにある』。芸能界にせよスポーツ界にせよ、『自己実現』第一というのなら誰もいない野原で自己表現していればいい。困難な時代、あらためてファンの大切さを知る思いがする。だからこそオールスターは意義深い。得票数11番目、女子3位で3年ぶり5回目の出場となる平高奈菜は、それを教える女性である。その魅力は人間性。『度量』が大きい。ちなみに、度は「長さ」、量は「体積」、衡は「質量」を指す。古老から、『大人物を度量衡の人という』と教わったことがある。失敗を恐れない気概、結果で態度を変えない姿、レースの迫力、意外性、忖度しない自律心、周囲への敬意、そして優しさ…。立ち直れないほどのフライング禍から復活してきた根底に計り知れない人間力を感じる。舞台の大小で立ち回りを変えないこと、走る意味をかみしめていることを、ファンはよく知っている。

未完の大器がそろそろ大舞台でも爆発の予感

「彼女にはスピードに対する恐怖心がないんです」。デビュー直前、担当教官から聞いた平高の話。私は少しだけアマチュアボートをかじったことがあるので、ボートレースがある意味、恐怖心との戦いであることは素人ながらに知っている。上から見るのと、実際にボートを操縦するのとでは世界が全然違う。どんな選手でも最初はいかに恐怖心を克服するかが、この世界でやっていけるかどうかの第一関門。その点、平高は天性とも言うべき強いハートの持ち主だった。そんな選手が強くならないわけがない。平山智加に続く、女子2人目の最優秀新人。そこから一気に女子の頂点に…というわけにはいかなかったが、F3の試練も乗り越えて昨年は混合戦で2回の優勝を含む年間V5。3月の平和島クラシックに出場し、オールスターは3年ぶり5回目。通算8回目のSG戦出場でまずは初の予選突破を目指す。

大胆の先を目指す豪腕レディー

平高選手の売り出しの頃に女子名手の寺田千恵選手にその印象を聞いたことがある。寺田選手は「すごいターンもするけど粗っぽい。智加(平山)ちゃんと足して2で割ったら、すごい選手が出来そうだけどね」と笑いながら話してくれたことがある。100期同期の永田秀二選手も平高のプレースタイルを評し「男の子みたいな感性をしている(笑)。ただ女子ではずば抜けたレースをしますよね」と話してくれた。確かにピン柱を並べたかと思えば要所で事故…、そんなケースも多い平高。『大胆さと繊細さとを兼ね備えた…』何かの書評のように人は自らを簡単にはコントロールはできないもの。それでも平高自身、自らが「雑」と反省するレーススキルを向上させようと、トレーニングとメンタルコントロールに務めている今。追い求めるSGの高み、至るだけの資質は秘めた女流だ。まずは目前の花舞台に注視したい。

Fのしがらみ断ち切り充実期でのSG参戦!

納得のナンバーワンだ。2020年後期は女子勝率1位を獲得。3月のクラシックでは、3年近く遠ざかっていたSG戦で節間3勝をマーク。予選突破こそ果たせなかったが、これまでのSGでは最高の成績を残した。3勝の決まり手は、4カドまくり、イン逃げ、3コースからの差しとバラエティーに富んでいた。この内容こそが、今の進化した平高そのもの。デビュー当時から超攻撃派として売り出し、F2以上を5度も経験。特に極め付きとなった2018年3月レディースオールスター(びわこ)の準優勝戦では、痛恨のF3で苦杯(B2を2期)を味わった。それ以降、レースパフォーマンスが小さくなるのでは!? と危惧したが、そんなことは全くない。攻撃派のイメージを崩さずに冷静な立ち回りも身につけた。また、悪夢のF3以来、2年以上もしがらみを断ち切っている。デビュー以来、最高の状態で臨む大舞台だ。

悔し涙より、うれし涙がみたい平高奈菜

平高奈菜は、勝負師に成長してきた。昔は喜怒哀楽を前面に出してきた。14年福岡クイーンズクライマックスは、節間2度も涙を流しながら優出した。その2度目は、場内インタビューでの時。ファンからの激励に気持ちを抑えきれなかった。レースになると、攻めの姿勢にあふれ、3月平和島SGクラシックでは、予選で4カドまくりも決めた。そんな平高が成長できたきっかけが、F3だろう。マイナスに考えず、180日間の自粛期間を有効に活用しよう。その思いで、アルバイトを始めた。某引っ越し会社で荷物のまとめ、運び出しを行った。「楽しかったです」。自らのツイッターにもアップし、広くアピールした。さまざまな経験が生きて、20年後期適用勝率は、初の女子NO.1に輝いた。勢いに乗る平高は、住之江水面も大得意。予選突破以上の活躍に期待したい。

静かなる『逆転』の男!

2015年11月、住之江でデビューした上田龍星。その最終日、6コースから抜き上げて水神祭を飾っている。その時の3連単は7850円。 ファンは養成時代の勝率7.39を含め実力を知っていたのだろう。意外な配当だった。初優勝は3年後の8月。2号艇だったが、ピット離れで後手を踏み6コース回りを余儀なくされそうになった。 …が、「大外は厳しい」と3コースにもぐりこむ。1マークは握りマイで逃げるベテランの新美恵一を追走。 道中攻め続けるもあと一歩及ばず、不発に終わると思われた2周2マークで差しが決まり抜き上げた。 レース後「苦しい場面もありましたが、モーターも出ていたのであきらめずできてよかった…」と振り返っている。 今年は1月、下関と戸田のルーキーシリーズ連覇でトップルーキーの面目躍如。大言壮語はないが、レースに『逆転』の醍醐味がある。 それが上田龍星。初舞台に位負けはない。

大阪支部の「王者の系譜」を受け継ぐべき逸材

永井彪也の原稿で、「東京支部にはスターの系譜がある」と書いた。 大阪支部の歴代SG戦覇者は14人だが、大阪支部は東京支部のさらに上を行く「王者の系譜」がある。 言うまでもなくSG戦17勝の野中和夫からSG戦12勝の松井繁へと受け継がれ、次代の王者は石野貴之で異論はないだろう。 さらに次の世代にも未来の王者候補が目白押しなのが大阪支部のすごいところ。名前を挙げればキリがないが上田龍星も未来の王者候補。 幼稚園から始めたというBMX(バイシクルモトクロス)で実績を残し、スポーツ推薦で養成所に合格すると、在所勝率7.39、リーグ戦では優出6回、優勝3回と文句なしの成績を残し、鳴り物入りでデビュー。 スタート一撃で勝とうとしていた時期があり、F多発で若干出世は遅れたが、A1級に昇格してすぐさま委員会推薦ながらオールスターでSG戦初出場。 目の肥えた関係者から早くも支持されている何よりの証拠だ。

静かに燃える大阪発の昇り龍

幼い頃からBMX(自転車競技)で培った体幹の強さとバランス感覚を土台にして、 大阪支部若手ホープとして成長を遂げる上田龍星。その攻撃性の高いレースゆえに、デビュー4年半ほどで7本のFを切り、 決して順風満帆という新鋭としての船出ではなかった。それでもその闘争心をしぼませず、レースに挑み続けた結果が今開催オールスターへと結びついたことは間違いない。 今回は同じ大阪支部の若手実力者であり、オールスターを共に戦う木下翔太に支部後輩のイメージを聞いた。 「オカでは割と静かでおとなしいイメージじゃないですか。ただ水面ではアグレッシブだし、熱いもん持ってるんやろうな、ってのを感じますよ。 事故が多くて苦しんでたと思うけど、頭を使うレースを覚え出してこれからでしょう。自分もそうだったんでそうかなって思います」と語ってくれた。今熱い大阪ヤングの活躍に注目だ!

初SGは誰よりも挑戦者のつもりで参戦だ!

ボートレースの楽しみ方は舟券だけではない。例えば、次にSG初制覇をするのは誰!?ではG1は!?など、ボートファン同士で語り合うのはいいものだ。話が進むと、〇〇選手が一番最初に出場するSGは何!? など難易度が上がった会話にもなる。これを上田龍星に当てはめると、一撃タイプだけにクラシックだと想像していたが、実際はオールスターに選出された。 「いやぁ、まさかですね。師匠(夏山亮平)と将来のことを話していた時も『オールスターだけは出られへんやろうな』と話していたぐらいですから」とエピソードを披露した。 「以前は1着でなければ2着も6着も同じだと思ってました。でも、それだと安定しないし事故率も高くなるので…」とオトナの走りを取得。 「推薦出場ですが、せっかくチャンスをいただいたので印象に残るレースがしたいです」と瞳を輝かせていた。

チーム住之江の「秘蔵っ子」がSGデビュー

117期の上田龍星がデビュー5年目でSGデビューを果たす。子供のころから自転車競技のBMX(バイシクルモトクロス)に青春を注ぎ、将来を考える際にボートレーサーの道を選んだ。 これだけでも、乗り物が大好きなのが分かる。住之江でレースを見ていると、上田は常にターンを追求する。 エンジンの仕上がりも、自然と回り足、ターン後の押しを最優先に考える。オール大阪では大物食いを何度も見せて、舟券で追いかける地元ファンも多い。 師匠の夏山亮平は以前、上田についてこう語った。「レースについて、何も教えることはない」。 魅力あふれるターンは、師匠さえも太鼓判を押す。デビューして、まだ5度の優勝しかない。G1経験もまだわずか。 未知数な面は否めないが、経験の多い地元プールでSGを走れるのは有利。 良機を引いた時は、まさに先物買いで追いかける手は十分だ。

『攻撃的自在』の、気になる女流

デビュー23年、43歳にして初めてSGの舞台を得た香川素子。その素地の確かさを知る者にとってあまりに長い時間を要したと言いたくなる。 レースが確かで舟券貢献度が高いからだ。その競走スタイルは『攻撃的自在』。単なる自在ではない。昨年春から今年春までの1年間、香川のイン1着率は69.7%、 3連対率は92.4%もある一方、3コース時はスタートが速く攻撃的になる。攻めるのだ。しかし実のところ、4コースの方が3コースより成績がいい。 1着率・2着率とも3コースを上回っているのだ。やはり『攻撃的自在』である。つまり、攻めるべきは攻めるが機を見るに敏、先読みして展開を鋭くとらえることを数字が示している。 推理上、『なんだか気になる』ゆえんだ。息子の香川颯太が昨年11月にデビューしたのもモチベーションのはず。香川素子らしい、硬軟織り交ぜたレースに期待したい。

苦節23年、ファンの後押しでSG戦初出場

こんなごぼう抜きがいまだかつてあっただろうか?昨年11月に実施されたレディースオールスターのファン投票では2480票で45位だった。 その後、12月にはクイーンズクライマックスで優出の活躍があり、今年1月から2月にかけて実施されたSG戦のオールスターでは4211票を集めて全体の29位、女子だけなら8位、 オールスター初出場の8人(推薦含む)の中では永井彪也や柳沢一らを抑えてトップの快挙。 デビューして23年、43歳にしてのSG戦初出場には素直に拍手を贈りたい。通算優勝20回、レディースチャンピオン出場も16回を誇る強豪ではあるが、決して女子トップレーサーというわけではなく、 女子4大競走のタイトルも未制覇。そんな脇役が日の目を見たわけだから。昨年11月にデビューした125期の息子の颯太にとっても自慢の母親に違いない。

オカで『はんなり』走りは機敏 水上の母子鷹

『水上の女豹』と『都のはんなりレーサー』。香川選手のニックネームと言われているのがこの二つ。 基本取材対応はフラットで、優しいイメージのある香川選手。通りの良さを度外視すれば、記者は『はんなり』の方に1票を投じたい気持ちだ。 香川選手の人となりを今回は同期同支部の上田洋平選手にも聞いてみた。 「レーサーとしては自分と違って(笑)強烈に負けず嫌いで、勝負に対してしっかりしてる。息子(颯太)がデビューしてからはまた絶好調だもんね。 人となりは…見た目のまんまかな(笑い)。気はきついけど、優しくて面倒見もいい。人に対して分け隔てがないのもいいとこ」と女流同期を笑顔で誉めた。 ちなみに『はんなり』は、華やかで明るく陽気な姿…を差す言葉。オカでは優美さを失わず、水上では女豹の機敏さを。息子・颯太選手の目に焼きつける、熱き23年目のSG初陣に期待だ。

ケレン味のない攻めで高配当を提供するか!?

ボートレースは、枠番よりいい着順を取ることが、上位進出を目指す上では欠かせない。 これは選手目線だけでなく、ファン目線でもそうだ。つねに人気の 1-2-3 や 1-2-4 などを買っていては勝ち組に入ることは難しい。 「枠番を飛び越えて来る選手」をどれだけ見つけられるか!?それが舟券作戦の最重要ポイントだと考えている。 僕の中でその一人が香川素子。 何しろスリットへ向かう時のダッシュ乗せが素晴らしく、特に3・4・5コースからの攻めっぷりにケレン味がない。 また、過去にはF2を8度も経験しているように、腹のくくり方がハンパではない。 加えて、息子(香川颯太)のデビューが発奮材料となり、前期2V、今期も2Vと昨年5月からの一年間で4Vの固め打ち。特に3月の芦屋は男女混合戦での優勝だけに価値も高い。 SGは初出場だが、臆することはなく、高配当の使者になってくれるに違いない。

レベルアップした姿を、元地元水面でぶつける

ボート記者に携わると1日、いや1年が経つのが本当に早い。 時間のサイクルが早過ぎて、すぐに年齢を重ねてしまう。香川素子もキャリア20数年のレーサー人生は、まさに激動だったかもしれない。 もともと大阪支部でデビューして、長崎支部を経て、今は滋賀支部へ移籍した。その間に息子を授かり、出産も経た。 そんな息子(颯太、そうた)が、19年11月にボートレーサーとしてデビューするのだから、人生は分からない。 親子レーサーとしての責任感からか、昨年からの強さは目を見張る。 大瀧明日香との賞金争いに競り勝って、プレミアムG1徳山クイーンズクライマックス出場を果たした。 今年は既に2月びわこ男女ダブル優勝戦、3月芦屋混合一般戦と既に2度も優勝。勢いに乗って、初のSG住之江オールスター出場を決めた。 今回は、いわば古巣のホームプールに戻る。

求めに応じ捧げる希望の人

坂口周は天真爛漫。持ち前の明るさはボートレース界の太陽のようだ。 インタビューに対しても『周囲が求めていること』を理解しストライクを投げ込んでくる。 時に激しいレースをするのも根っこは同じだろう。『ファンの求め』に応じているのだ。 そんな坂口の圧巻のシリーズは2016年2月の東海地区選(蒲郡)。5・3・5着発進だったものの、 以降、1・2着を並べ優出を果たしたのだ。 とりわけ、3日目にコンマ01のスタートからまくり差したレースは凄まじかった。 優勝戦は6号艇ながら3コースに潜り込みコンマ05のトップスタートを決めたが、結果は6着敗退。 それでもレース後のすがすがしい顔が忘れられない。大切な人々に捧げ切った感に満ちていたからだ。 今回のクラシックは4年ぶりのSGとなるが、平和島は約1年前に優勝するなど相性がいい。 この困難な時節、坂口らしく周囲を照らし、未来に向かう希望を示してほしい。

8回目のSG戦出場でSG戦初優出目指す

2010年の住之江周年でGⅠ戦覇者の仲間入り。記念戦線にはスポット参戦が多く、 どちらかと言えば一般戦の鬼というイメージで、2015年には年間8回の優勝を飾ったほか、 2007年には6回、2012年と昨年は5回優勝と、ペラが好調でツボにはまった時は勝負強さを発揮する。 SG戦出場はこれまで7回だけだが、2011年の復興支援を含め、クラシックは今回で4回目の出場。 ダービーにも2回の出場があり、この辺はいかにも一般戦の鬼らしいSG戦出場歴だ。 7回のSG戦出場で予選突破は1回しかないが、それは2013年の平和島ダービー。 予選トップで優勝した瓜生正義に続いて2位での予選通過。 準優勝戦では落水失格を喫し、SG戦初優出を逃してはいるが、パワー負けさえしなければSGクラスが相手でも見劣ることはない。 今回の舞台も同じ平和島。7年越しのリベンジへ好調キープのまま乗り込む。

想いは背水の陣…勝負は春の平和島!

42歳…。記念クラスの実力者達も世代循環の流れで、ある程度の成績を残していても、 少し記念の入りが鈍くなってくる年齢。40代は不惑の言葉で表わされることもあるが、ボート界の40代は思うところの多い?年齢層。 坂口選手も覚悟を持って今を走る一人。「三重も若手が育っているし、自分もここらへんで頑張っておかないと記念も走れなくなる。 SGは4年ぶりくらい…。これがラストチャンスかもという気持ちを持ってクラシックは走るつもり」。 勝負のステージ平和島については「ダービーで(13年)得点2位からの準優落水という痛恨の思い出が(苦笑い)。 でも去年優勝できて(2月一般戦)、少し悪いイメージを解消できたかも。3枚、海水用のゲージも用意してるし、 しっかり準備して挑みたい」の言葉。背水の陣を自らにいい聞かせ、伝統の一戦へ挑む。

どん底から這い上がって来た男は強い!

「地元のGⅠに呼んでもらいたい」。これはA1戦士なら多くの選手が抱いている思い。では、単純に勝率を残せば声は掛かるのか!?不惑を迎えベテランの域に差し掛かるとそうはいかない。ボートレースに限らず、どの世界でもあり得ることなのだが、実際に自分がそうなった時に真価が問われる。坂口は2016年4月の64周年以降、地元の周年記念から遠ざかっている。同時期に他場の一般戦を走っていた。この悔しさを糧に奮起。加えて同県の井口佳典から「また一緒に上の舞台で頑張ろう」と激励を受けた。期は異なるが、同い年の言葉に決意を固めた。昨秋には早々と年間5Vをマーク。その後は丸亀、蒲郡でGⅠ連続優出と記念戦線でも十分にやれることを証明した。クラシックは4年ぶりのSGだが、臆することなく突き進む。

新ユーチューバーがクラシックで大暴れ

約1600人いるボートレーサーは、あらゆる個性が散らばっている。 そんな中で、坂口周ほど物腰の柔らかい選手は多くない。 記者当たりも良く、昔はレース以外の世間話などの話がふくらむ時もあった。 昨年は優勝5回の実績が実ってクラシック出場を果たした。 苦労人が約1週間前だったか、いきなりユーチューバーとしてデビューした。 最近は、峰竜太や上平真二などが同じようにチャンネルを作っているが、 坂口も「ボートレース坂口周ch」のチャンネル名でスタート。 自宅で飼う猫のことを中心に、「ビールの新しい飲み方」など、個性あふれるネタを提供している。 まだ、登録数は少ないが、プライベートの部分を少しずつ見せている。 素の部分を感じさせながら、レーサーとして大舞台での活躍を狙う。 平和島は昨年2月のタイトル戦で優勝した実績を残す。ユーチューバーの奮闘に期待したい。

外見はスマート、内面は意志の人

『天は二物を与えることもある』。永井彪也を見ていると思う。イケメンであることは言うに及ばず、ファンや報道陣への真摯な姿勢やレースぶりも光っている。そして、何でもやすやすとこなしてしまうスマートさがある。しかし、内実は違う。勝負師に欠かせない『強固な意志』の持ち主である。 ボートレースに魅せられた15歳の若者は、その後5回も受験することになる。多感な青春時代を夢にかけたのだ。また、養成時代に6コースで通したところにも芯の強さが表れている。 そんな永井が昨年の三国ヤングダービーを取った。丸野一樹や大上卓人らの同期、師匠中野次郎をはじめとした東京支部の先輩、最愛の家族を思い「レースなのに感情的にたかぶりそうになってしまった…」と回顧したように、情にも厚い。そうなのだ。永井彪也の人間的魅力ははかりしれない。

東京支部のスターの系譜を受け継ぐべき逸材

人数では福岡支部と1、2を争う東京支部には11人ものSG覇者が誕生している。 一発屋的な選手も多いが平成時代でも4勝の濱野谷憲吾を筆頭に長岡茂一、熊谷直樹、西田靖がそれぞれ2勝ずつ。 SGのドリーム戦にも誰かしら名前を連ねており、脈々とスターの系譜が受け継がれてきた。 ただ濱野谷以降、全国区のスター選手は?と問われても答えに窮する状況が続いていたが、ようやく永井彪也という次期スター候補が誕生した。 昨年の三国ヤングダービー制覇が転機。この優勝でつかんだチャレンジカップとグランプリシリーズ戦では一皮も二皮もむけた走りを披露。 特に6号艇から準優勝したグランプリシリーズ戦では「こんなに強くなったのか…」と思わされた。 今すぐではないかもしれないが、いずれはSG覇者になり、SGドリーム戦常連になるだろう。 抜群のルックス(と性格)も考慮すれば、女性新規ファン獲得の旗手的な役割まで期待したい。

しなやかに駆ける 水上のマッハパンサー

ごくひと握りのスター選手が持つ華やかさ。例えばかつては関東二枚看板と呼ばれた濱野谷憲吾に山崎智也。 彼らが帯びていた空気感。そういうレアな資質を継承しているのは、間違いなく関東ではこの永井だろう。 昨年ヤングダービー制覇で、SG戦線へ売り出す下準備は整った。さあ今年のSG初戦・平和島クラシックへ。その胸中を聞いた。 「平和島はデビューさせてもらった所だし、すごく好きな水面。狭い水面に抵抗はないし、調整が合わないなんてこともない。 ただ…、そこそこ成績がとれても、ここ一番に勝てない水面でもあるんです。すごく好きな水面なのに、困ったものです(苦笑)。それでもクラシックは東京勢で取る。そこだけは断固たる気持ちで挑みます」 と笑顔で語ってくれた。無論、戦うからには東京勢の中でも自らの手で、は当然の思い。「GPを意識して」の今年。SGに一番槍をつけ、東都の若武者が賞金戦線へ打って出るか!

豊かな感性を研ぎ澄ませて地元舞台へ挑戦

「感性がスゴイですね」。絶賛する声の主は丸野一樹。永井について尋ねた時の第一声だ。 また、さすがに同期だけあって「イケメン」という見たまんまのフレーズは出てこない。 もっと詳しく尋ねてみると「プロペラのことや調整力は僕の一歩も二歩も前を行ってます」と、何だかとってもうれしそうに話す。 はたから見ると丸野と永井は109期の出世頭を争う間柄。ライバル意識はないのか!? 「ライバルと言うよりも仲間ですね」と即答。 「彪也がヤングダービーを勝った時はうれしかったし、一緒に出場したSGで活躍(グランプリシリーズ優出2着)しているのを見てもうれしかった」と自分のことのように喜んだ。 それだけ愛されているのが永井の人柄。今年はSG戦線に定着して一層の活躍が期待される。

地元のイケメンが真価を問われる

ボート界きってのイケメンがSG戦線に乗ってきた。 昨年9月、プレミアムG1三国ヤングダービーを優勝してから、流れが変わった。 同12月のSG住之江グランプリシリーズでは、良機を駆って優出2着。 ファイナル入りを果たして、今年は6月SGグランドチャンピオン、7月オーシャンCの出場権利も見えてきた。 将来は明るく、活躍次第で年末に地元平和島で開催されるSGグランプリ出場の可能性も出てくる。 そんな永井の座右の銘は「明日(あす)は無いと思え!」。SG権利はつかんでも、目の前の1走に集中する。 その積み重ねが、さらなる成長につながるはずだ。クラシックの舞台となる平和島は、11年11月にデビューを飾った地。 不思議と、まだ優勝実績がなく、優出自体も17年12月の大晦日シリーズ(優出2着)以降ない。 今年最初のSGで、スターダムにのし上がるか。

黒の池永太から物語がはじまる!

競技はファンのためにある。どれだけファンを喜ばせ一体となれるか、それがプロの存在意義である。 池永太はタイトル数こそ多くないが、記憶に残るレースを提供してくれる男だ。 かつてはダッシュ戦で穴党を喜ばせてきたが、近況は2号艇時の強さが光る。2号艇での参戦回数は過去1年間で51回。 内、1着13本・2着18本・3着8本。3連対率は76.5%に及ぶのだ。『池永=4号艇』から『池永=2号艇』のイメージチェンジをデータも裏付けている。 そんな2号艇時の平均スタートはコンマ16。つまり、センター勢に合わせ、相手の動きを封じていることがわかる。 昨年5月の江戸川G2モーターボート大賞はイン逃げだったが、予選道中2コースから差して勝利しリズムアップにつなげたのも記憶に新しい。 平和島は2013年の全日本選手権準優でFに散った苦い思い出がある。だからこそ期待したい。『黒の池永太』からはじまる活躍の物語を!

師匠・原田富士男の引退でいよいよ独り立ち

ピット内で見せる引きしまった表情とは裏腹に、実はかなりの天然キャラで、プライベートでは周囲を爆笑の渦に巻き込む。 まな弟子の原田才一郎に言わせると、「普段はあれ(天然)ですけど、仕事になると厳しくて話は通じます(笑い)」とか。 ペラがオーナー制度に変わり、全国ほとんどのペラグループは解散したが、池永のグループは今もペラ小屋があり、レースのない日は ペラたたきの練習、ゲージ擦りなど見えない努力をしている。 「そろそろ活躍しないと忘れられそう」と奮起した昨年は一般戦で2年連続の優勝5回に加えて、江戸川のG2戦を制覇。 2015年の三国周年以来、4年ぶりにタイトルを獲得した。 また、唐津九州地区選を最後に、師匠の原田富士男が引退。「師匠が果たせなかったSG戦制覇、チャンスがあれば狙いたい」と発奮材料もできた。 平和島は地元以外では最も得意とする水面でもある。

気っ風良し!速攻肌な福岡の快男児

『速攻型』という選手イメージが先行するが、そのターンさばきは着実に精度を増し、成長の跡をしっかり見せている池永選手。 昨年末にはメモリアルウイン1000勝も達成し、一流選手としての証しを一つ刻んだ。さあ今年は…。 今回は直接本人に平和島クラシックへの抱負を聞いた。 「平和島はいい思い出も悪い思い出もある水面(13年ダービーでSG初予選突破、ただ準優でF)。 でも嫌いじゃないですよ。狭い水面は苦手ではないし、関東はなぜか分からないけど相性がいい。 自分も34歳。前みたいにSGに不安な気持ちを持って行くなんてことはなくなったし、そろそろひと頑張りしないと、って気持ちを持ってレースに行きます。 チャンスがあったらそこを逃さない、それができる準備だけはしっかりして行きたいですね」とのこと。 名前の如く?太く永い活躍へ、このクラシックも一つの足掛かりに!

97期の出世頭がバースデーシリーズで奮闘

「同期の中では活躍するのが遅かったです」と自ら話すように、初めてA1ボーダーを超えたのはデビュー10期目だった。 ただ、そこからは2012年に地元の新鋭王座決定戦(芦屋)でファイナル入り、15年には三国周年を優勝。 30歳の年にG1ウィナーの仲間入りを果たし、97期で一番乗りだった。 これに満足した訳ではないが、近年は記念戦線での快音は届いていない。 「正直言って焦りがあります」とポツリ。若手の台頭でG1の出場機会が減っている。 「選手としては今が一番いい時期だと思っていますし、もっと頑張らないといけませんね」とキッパリ。 クラシックの開催期間中(3月19日)には35歳のバースデーを迎える。 「平和島は好きですよ。若松を除けば相性もいいと思います」。 竹は節目があるから成長する。クラシックでは、ぶっ太く強い幹を作り上げる。

努力家が今年こそ飛躍へ

現代のボート界において、池永太は数少ない攻撃派の1人といえる。 昔からダッシュを利かせたまくりは迫力満点で、穴党ファンを喜ばせてきた。 記者に対しての取材対応も抜群で、舟券でも応援してしまう。 これまでの成績を見ると、大舞台までの道のりはやや遠回りした感じがする。 19期連続でA1級を続けながら、G1初優勝(15年9月三国周年)はデビューして約10年かかった。 強豪ぞろいの福岡支部では、どうしても目立たない存在になっていたが、地道に努力を重ねてきた。 昨年は一般戦で5度優勝。さらに、5月江戸川MB大賞でG2初優勝を飾った。 また、12月28日の若松では区切りのデビュー通算1000勝を達成。それも、師匠の原田富士男の前で達成した。 今年はさらなる飛躍が期待される。平和島は昨年9月に強烈なパワー出しで優勝した。好相性の水面で大暴れしたい。

鋼の身体が競技者としての自信の裏付け

「1等か6等という気持ちで攻めていくだけだった」。 2019年8月、地元のGⅠびわこ大賞で3コースまくりを決めて優勝した丸野一樹は、大一番をこう振り返った。 「レーサーにとって身体作りが特に大切だと気づきました」と直接聞いたのは4年ほど前。 トレーニングメニューを設定し計画的にアスリートとしての土台作りをはじめると、 成績のブレが小さくなりA級に定着していった。びわこの表彰式で語った「体重も管理できている」とは、 そうした積み重ねを指す。一朝一夕に到達できる境地ではない。 SG覇者を相手に4コースからまくり差しを決め、周囲をアッと言わせた2020年1月の唐津周年でも心身は研ぎ澄まされていた。 鍛え上げた鋼の身体が、『競技者としての自信』につながっているのだ。 結果を怖れない闘志の源である。今回が3回目のSGだが、丸野一樹を侮ってはならない。

躍進中の滋賀支部に突如出現した超新星

長い間、滋賀は弱小支部のひとつだった。野崎進、山田豊と「びわこ帝王」と呼ばれた看板選手は存在したが、 どちらかと言えば内弁慶タイプでSG戦制覇はなし。滋賀支部初のSG覇者は2006年桐生メモリアルの 中村有裕まで待たなければならなかった。それが今や守田俊介、馬場貴也が共にSG戦2勝。 ベテランの吉川昭男や川北浩貴は一般戦の鬼と化し、女子では遠藤エミもいて、 少数精鋭という言葉がピッタリくる支部に生まれ変わった。さらに丸野一樹の急成長。 昨年8月のびわこ周年、今年1月の唐津周年と短期間であっという間にGⅠ2勝の快挙。 滋賀支部でGⅠを複数回優勝しているのは守田、野崎、山田、南公に続いてまだ5人目。 びわこは3コース、唐津は4コースからの優勝というのも価値がある。 SG戦出場はクラシックでまだ3回目だが、今年もどこまで飛躍するのか楽しみでならない。

研究熱心な湖国のニュースター

年頭の唐津周年で自身2個目の記念タイトルを手にした湖国の新星・丸野。 今回は109期同期同支部の片橋幸貴選手にその印象を聞いた。 「自分はホンマ、人は人、自分は自分なんですよ。何で客観的なファン目線みたいな感じで(笑)」と言いつつも。 「丸野はすぐに記念を2つも取ってすごいなぁって感じです。 オカでは抜けたとこもあるけど、水面では抜け目ないですよね(笑)。 ミスなくソツなく、ターンでの判断力はすごいと感心します。デビューした頃とは印象も大分変わったと思いますよ。 昔から努力家、研究家だったけど、記念を取ってからはさらに磨きがかかってストイックになった感じ。 やり甲斐を持ってやってるなと思います。自分には疲れそうで真似できないですけどね(苦笑い)」とのこと。 タイプは違うがセンス豊富な滋賀の若手スター両名。まずは丸野がお先にクラシックへアタック。

超絶ターンで新風を巻き起こす!

今ボート界で「キレイな弧を描く選手権」を開催したら、間違いなくドリームメンバーに名を連ねるだろう。 鮮烈だったのがGⅠ初Vを飾った昨年8月のびわこ周年。未だに赤いカポックの航跡が目に浮かぶ。 これと瓜二つだったのが、1月からつ周年の準優勝戦。この時は2着だったが追い風10mの難水面で真価を発揮した。 いずれもスリットではイン艇が先行して1マークは逃げ態勢を築いた瞬間、襲い掛かって行く。 SGクラスは、握ってくる音が聞こえてから対応可能な技術を持っているが、それをも超すスピードと角度で駆け抜ける。 またツケマイだけでなく、まくり差しも非常に上手。からつ周年の優勝戦で魅せた1マークは「体が勝手に動いてました」と 決め打ちハンドルではなく、状況を見極めた技アリだった。全てを可能にしているのは減量を含む本人の努力。 クラシックで春一番を呼び起こす。

滋賀支部の「追い風」に乗ってきた

滋賀支部の勢いが止まらない。馬場貴也が2年連続でSGグランプリに出場。 女子は遠藤エミと香川素子が昨年末のプレミアムGⅠクイーンズクライマックスに出場した。 そんな「追い風」に乗って、丸野一樹も大舞台にのし上がった。昨年8月、 地元のびわこ周年で鮮やかな3コースまくりを決めてGⅠ初優勝。昨年9月には、こんなことを話していた。 「初めて賞金を意識しながら走るけど、今後につながるようにしたい」。 もう少しでSGグランプリ出場のところまで賞金を上積みできたのも、 地力が備わってきたから。実際、今年に入っても1月からつ周年では、 4コースから文句なしのまくり差しでGⅠ2勝目をつかんだ。もうSGランカーに入っても、 名前負けはしない。木下翔太、上條暢嵩らグラッツェ軍団の中でも、勢いはNo.1。 平和島SGクラシックは、切れあるターンが大いに期待できる。

器に収まらない猪突猛進の男!

2018年4月12日、平尾崇典のインタビューが痛快だった。 住之江周年で大外まくりから優勝した平尾が「山口達也君が宿舎でおかしなことばかり言うので、毎日面白くて面白くて…。緊張せずに1節間走り切れました」と打ち明けた。 その端々から山口達也の器に収まらない人間味が垣間見えたものだ。高3の時、卒業間近だったにもかかわらず転身。「母親を泣かした…」と本人が語っているように、決めたことには猪突猛進、緩めないところがある。一時期、アッと驚く奇策を連発したのもそう。 そして、昨年はスタンダードスタイルに舵を切りV8。7回がシリーズリーダーを守り切ってのイン逃げVだった。決めたことを貫徹する姿勢がいい。やはり、山口達也はモノが違う。 それは『勝利への純粋な心』にほかならない。そして、ファンはけがれなき意志に共鳴する。山口達也はそのシンボルである。

誰もまねできない独特の感性を持つ天才肌

「あいつは天才ですよ」。同期で一番の仲良しでもある西山貴浩は山口のことをこう表現する。 「レースもそうだけど、何よりもペラの感性がすごい」という。 何度となくペラの形をまねたことはあるのだが、とても乗りこなせないらしい。 西山に限らず、超抜に仕上げたエンジンは、次に乗る選手は同じようには絶対に出ない。 むしろ「よくあんなペラで走れますね」と首をひねる選手の方が圧倒的に多い。 そんな独特の感性でのエンジン出しが最大の武器。2019年後期には勝率8.47、優出12回、優勝7回と大爆発。 2013年後期にも優出9回、優勝6回の固め打ちがあったが、ツボにはまった時の強さは手が付けられない。 そんな彼の出世を妨げているのはF。キャリア14年で24本はあまりにも多すぎる。今期も含めF2も7回。 F地獄から抜け出せれば、間違いなく岡山の看板を背負う選手になる。

度胸一撃 鷹のミラクルガイ

やんちゃな天才肌。既存の定石や、昔ながらな不可分の選手道に強く囚われすぎず、 勝ちにこだわる奔放なレースを取る…記者の山口選手に対するイメージです。選手間での印象はどうなのか? 今回は岡山イーグル会の善き兄貴分・竹上真司選手に印象を聞いた。「あいつはすごいやつだと思う。天才。 エンジンも良く出すし、何でも乗りこなす。性格もいいよ。下の面倒もよく見るし、年上に対する気遣いもできる。 事故とかの失敗さえなくせばドンドンSGを取れておかしくない。 茅原(同グループ)とはお互いにライバルみたいな感じで意識するところもある間柄だろうね。 今は茅原が先にドーンと上に行ってるけど、力は負けていないと思うよ」と笑顔を交えた言葉だった。 山口は今期すでにF2。ただそれでも何かを期待させる才能と度胸の持ち主だ。ミラクルV…ないとは言わせないか。

F2でも指をくわえて待つタイプではない!

2019年は復活を印象付ける一年だった。 地元のダービー出場に燃え、前々期は8.47をマーク。「ダービーに向けて頑張ったと言うのは後付けですよ。 目の前の一走一走に集中しただけ」と話したが、それだけ期するものがあった。 そして、2015年のオーシャンカップ(三国)以来、4年ぶりのSGに帰ってきた。 ファイナルへ進出することはできなかったが、見せ場は十分に作った。 山口は人と同じことを嫌い、プロペラの形を工夫して伸び仕立てにすることもある。 乗りこなすのが大変で、彼の後に引いた選手が「アシ自体はいいけど、形が特殊なので…」と方向性に迷うシーンを目にする。 戦法だって進入から黙ってはいない。今大会はフライング2本持ちでの参戦だが、A1の出走回数(90走)にはメドが立っている。 また、F2も7度目だけに勝負は降りない。穴党ファンは必見だ。

超個性派キャラが、6年ぶりのクラシック

山口達也ほど、ファンに注目される選手はいないだろう。 正直、レースで何をするか読めない。存在感満点の走りはデビュー戦の05年11月児島から展開してきた。 エンスト(不良航法)、F、1着と波乱万丈な成績で終わったが、続く2節目の宮島(05年12月)は何と優出(5着)。 過去にはSGで1節2度のフライングを喫したり、今年1月の児島正月戦では、 2日目まで4戦3勝とシリーズを引っ張ったのに…。1回乗りの3日目は6枠でチルト3度に跳ねて、 コンマ08の大フライング。即日帰郷となった。破天荒なレーサー人生が目立つが、 何事にも素早く対応できるだけの潜在能力を秘める。岡山ボート王国の中でも「隠し玉」的な存在。 そんな山口は昨年8度も優勝して、6年ぶりにSG平和島クラシックの舞台を踏む。 現代ボート界屈指の超個性派キャラが、どこまで大暴れしてくれるか。楽しみしかない。

サムライに衒い(てらい)なし

『衒い』と書いて「てらい」と読む。ひけらかすこと、見せびらかすことを意味する言葉だ。 「あの人は衒いがない」などと使うが、そのままの人物がいる。中澤和志だ。SGを含む記念V5の男は決して押し出してこない。 内在する力で勝負するサムライである。その象徴が2006年のボートレースクラシック。遅れたかと思わせるような4カドからフルダッシュ。 一気にまくり切ったあのレースだ。音なしの構えから一瞬で決着させた瞬間、平和島のスタンドが揺れるようだった。驚きと歓喜がうなりとなったのである。 ファンはその魅力をいつも知っている。昨年はV6。5月には津の周年を制し5年ぶり7回目のクラシック出場権を得た。 表彰式で「地元選手もいるなか、追加の自分が優勝して…」と語ったが、これは状況に左右されず全力を尽くす姿勢の別の言い方である。 中澤和志は男らしくかっこいい。

底力は健在!平和島は実績抜群の得意水面

岩手県出身の82期。同期には菊地孝平、坪井康晴、赤岩善生と3人のSG戦覇者がいるが、G1戦初優勝は中澤和志が一番乗り。 SG戦初優勝は菊地に先を越されたが、その半年後、2006年3月の平和島クラシックで初優勝。出世争いでは菊地や赤岩らに全くひけは取っていなかった。 しかし、09年、10年とSG戦出場なし。11年から15年にかけて復活し、この間、SG戦2回の優出をどちらも準優勝と健在をアピールしたが、 16年からまた、SG戦線から離脱…。昨年10月の児島ダービーは実に4年ぶりのSG戦出場だった。 もっとも昨年は5月に津周年で5年ぶりのG1戦制覇もあった。G1戦の方も3節しか走っていない中での優勝と、底力を見せてくれた。 クラシックはG1戦もSG戦も初優勝した得意の平和島が舞台。 14年ぶりにお立ち台の真ん中に立つ姿が見られてもおかしくはない。

目立ちたがらない埼玉の才腕

記者は8年ほど戸田のピットに詰めましたが、埼玉の選手間でも一目置かれているな…と肌で感じたのがこの中澤選手でした。 実績とレーススキル。特に権高(けんだか)に構えてはいないし、割と冗談好きだったりもしますが、基本寡黙で物静かなたたずまい。 1期後輩で、埼玉戦では度々激闘を繰り広げる須藤博倫選手に、その印象を聞いてみた。 「向こうはそう思ってくれてないかもだけど、自分の中ではライバルと思うし、負けたくない存在ですよ。プロとして凄いなと思わせる選手。 ストイックだけど、好奇心が旺盛。色々変わった調整を試したりもする時もあるみたいですね。勝負に対して動物の嗅覚?みたいなモノを持っていると思います」の言葉。 『動物の嗅覚』その言葉には記者も「確かに!」とうなづいたもの。勝利への勘働きの鋭さ、顕(あらわ)にしない闘志と好奇心を人一倍秘めた選手だと思います。

後輩への思いやりがSG制覇へ繋がるか!?

2020年の新CMが解禁。田中圭さんに武田玲奈さんが言い放つ「先輩ヅラ」が早くもボート界の流行語になりつつある。そして、昨年も多くの先輩が貫禄を示したが、最も印象的だったのが中澤和志。令和初のG1開催だった津周年では、得点率トップ通過から4度目のG1タイトルをゲットした。ウェートを50.5㎏までそぎ落として頬がゲッソリとしていた。「後輩が伸び悩んでいたので『減量をしようか』ということになって。一人でやるのはツライだろうから一緒にと思って…」と吐露。2006年にクラシックを制した時ですら51.3㎏だっただけに、極限まで付き合った。また、津周年を勝つまでは、SGやG1の勲章は平和島と戸田で2勝ずつ。優出も18回中15回が関東のレース場だった。そんな中澤が不惑を超えて殻を破り、得意の平和島で2度目のSG制覇を目論む。

好相性のクラシックで2度目の大会制覇へ

平和島はSGクラシック開催が多い。今大会で何と16度目となる。時期的に強風が吹き、「春の嵐」を呼び込む。 02年、野澤大二が伝説の36号機でSG初制覇した時は、追い風15メートルも吹いた。中澤和志はそんなクラシックと相性がいい。 06年平和島大会でSG2度目の優出、鮮やかな4カドまくりを決めた。当時、出張でレースを目の前で見て、舟券をゲットした思い出が残る。 05年多摩川大会(5着)、15年尼崎大会(2着)と合わせて3度も優出した。結果を残す大会に、中澤は5年ぶりに臨む。 昨年5月、G1津周年を制して権利をつかんだ。予選トップ通過から、ファイナルはイン先制。2コース峰竜太の差しを振り切った。 この節は追加あっせんで参戦した流れで、SG出場を決めた。このツキを生かして、20年最初のビッグレースは、本領の攻撃力を発揮する。

初心を忘れぬ東男

人間はみな平等なので『オーラ』などというものが存在するはずもないが、『雰囲気』はある。 その『雰囲気』で周囲を清々しくさせるのが若林将。デビュー15年目ながら、未だに初々しさが光るナイスガイ。 昨年1月、G1江戸川大賞を取って記念レーサーの仲間入りを果たしたが、 「なるようにしかならないと思って緊張感を受け入れました。地元江戸川のG1がデビューからの目標だったので、達成できて本当にうれしい」と心情を吐露した。 初心を忘れていないのだと感じるとともに、その清々しさの理由を目の当たりにした。さっぱりとした男らしい人物を『東男(あづまおとこ)』というが、まさにそれ。だからだろう。ファンは自然に拍手を送っていた。 人柄とレースと結果が融合すると、静かな感動が起こるものだ。3回目のSG舞台平和島はV3としている実績水面。『東男』らしく、正々堂々戦い抜く。

もっと記念戦線に呼ばれてもいい実力者

昨年1月の江戸川周年、3回目のG1戦優出でついに記念覇者の仲間入り。 続く平和島の関東地区選でも優出、2019年はブレイクの年になるかと思われたが、8月から11月にかけて優出なしというスランプもあり、 グランプリシリーズ戦にも届かず。8月の大村メモリアルではSG戦2回目の出場で予選突破も果たしてはいるが、本人としては納得の行く1年ではなかった。 ただ、せっかく記念覇者になったにもかかわらず、G1戦2優出以降に呼ばれたのは、江戸川のG1戦とG2戦だけ。 すなわち昨年、上位グレードレースにはSG戦1回、G1戦3回、G2戦1回しか走っていない。 これでは腕の振るいようがなく、もっと記念戦線を走らせてあげたい。3回目のSG戦は初めて自力で出場権を得たクラシック。 しかも地元。記念レギュラーになるべく、全国に名前を売るチャンスが来た。

穏やかスマイル 南関屈指の早業師

昨年1月の江戸川周年で記念初Vの若林。江戸川鉄兵の愛弟子が、まさに面目躍如の一幕だった。 石渡門下は師匠の人柄の良さを受け継ぐ好人物ぞろい。同門の作間章と佐藤大佑の両名に若林の印象や、クラシックへの声援を聞いた。 兄弟子の作間は「人柄としては控え目な感じ?レースではグリップをしっかり作ってさばく、自分のスタイルを崩さない所が強みじゃないかな? クラシックでも背伸びはいらないでしょう。いつもの自分のレースで、やれることを全力で表現して欲しい」。 弟弟子の佐藤は「穏やかだけど、言うべき所はしっかり伝えてくれる先輩です。若林さんがG1取った後に、俺でも取れたんだから自分にも取れるって言ってくれたんですよね。 今度はSGを取って、同じ言葉をまたかけて欲しいです」と笑顔。仲間のエールに応えるべく、早春の平和島を全力プレーで駆け抜けたい。

ダークホースとしての資格は十分だ!!

逸材がそろう96期の第四勢力として3度目のSG切符をつかんできた。 やまと勝率ベスト5のうち、新田雄史、篠崎元志、平本真之はSGを2度ずつ取っている。 若林も在校勝率は5位(7.04)、遅ればせながら昨年1月に江戸川周年を制覇した。 G1を走り出した数年間は、なかなか結果を残せなかったが、同期の平本は「僕にはないものを持っているし、もっとやれると思いますよ」と若林のポテンシャルを評価していた。 最大の武器であるスタートは諸刃の剣。前期は期初めの5月にフライングをしたことが響き、期末はよもやのA1勝負駆けだった。 そして今期も期初めの11月江戸川で勇み足とリズムに乗れないが、平和島なら問題になることはない。 なぜなら、通算3Vは江戸川の4Vに次ぐ2番目の好相性。走り慣れた水面で最大のダークホースを演じる。

師匠の分まで完全燃焼

2020年SG第1弾の舞台は平和島。年末にはSGグランプリも開催されるとあって、東京支部勢は気合が入るはず。 クラシックには、地元から4人が出場するが、若林将は昨年1月、江戸川周年を制して真っ先に出場権を獲得した。 初のG1制覇が地元水面とあって、最高の気持ちだっただろう。そんな若林の師匠は石渡鉄兵。 実は、江戸川周年の時、石渡はけがの影響でA2級だったため、大会に出場できなかった。 しかし、若林は師匠から受け継いだペラ調整で、気配アップに成功。最高の美酒を味わった。江戸川イズムは、レースにも出ている。 鋭いスタートから、1Mは攻撃姿勢にあふれる。結果が出なくても、エンジンが厳しくても、スタイルは崩さない。 そのあたりも、師匠と似ている。今回の舞台、平和島は過去に3度優勝と得意水面。地元SGで完全燃焼してほしい。

ボートレーサーの『裏打ち』たる人物

建前上、ものごとには表も裏もないが実際には存在する。 今村豊・植木通彦・服部幸男・松井繁などがこの40年ほどのボートレース界の主役。 華々しい足跡を残してきた。心から敬意を込めて言う。太田和美はその『裏打ち』である。 デビュー早々いきなり5.51の勝率を叩き出し『浪速の怪物くん』と言わしめた。 以降、B2とA2が1回ずつあるが、あとはA1を通している。 「整備でも調整でも、根本から理解していなければ本物にならない。 人まねやノウハウありきでは続かない」と本人は語る。 すべてにおいて『自己探索』に徹する姿は、科学者のそれであり、また職人の心意気を感じさせる。 「人生自体がそうだが、選手生活にも必ず苦境がやってくる。それをどう乗り越えるか」と教えてくれる賢人が、 結果を気にせずありのままの自然体で臨んでくる大勝負。太田和美の凄みはそこにある。

松井繁不在の分も石野貴之と2人で奮起必至

近年では考えられないような鮮烈デビューで、「浪速の怪物くん」と呼ばれた太田。 91年11月の住之江デビュー戦の成績が22121⑤とオール2連対での優出。 9カ月後には初優勝を飾り、2年目はG1戦、3年目はもうSG戦にも出場していた。 SG戦初優勝は2回目の出場だった1998年の地元グランプリ。25歳という若さで頂点を極めた。 意外なことに1999年から2010年にかけての12年間ではグランプリ出場が1回だけ。 そういう意味では長い低迷期も経験しているのだが、2011年以降はグランプリ出場を逃したのは1回だけ。 もし今年グランプリを制覇すれば実に21年ぶり。これは同一SGタイトルでもっとも間隔の長い優勝記録ということにもなる。 王者松井繁が不在の今回、住之江水面での実績はズバ抜けており、石野貴之と2人、地元でタイトル死守に燃える。

センス&プライド 浪速の支柱

「怪物くん」。若かりし頃の太田選手にマスコミが時折使った異名です。 デビュー節。5戦2勝2着3回とオール連対で優出5着。 華々しく初陣を飾ると、2年半後には平和島クラシックでSG初陣。 キャリアを積んで98年の住之江グランプリで、デビューわずか7年目で頂点の金冠をいただいた。 『花の69期』。同期の名手・三嶌誠司選手に太田選手の印象を聞くと 「センス一本。そういう部分はデビューする前からすごかった。現役選手の実技教官を、 2艇旋回で練習生の時にやっつけてましたから」というエピソードを紹介してくれた。 そんな超速出世街道を欲しいままにした太田選手も、46歳を迎えての近況は自ら「不調」と位置づける流れの中。 それでも多摩川グラチャン優出、芦屋周年Vと要所の仕事でグランプリベスト18の椅子を手にした今年。 ここぞを勝利する、洗練されたセンスで再び頂きを目指す。

水面のみならず陸(オカ)でも金言で魅了!!

記者はボートレーサーから教えてもらうことが多い。 日頃は「出足がいい、伸びがいい」と言ったモーターのことが大半だが、太田和美にはそれ以外の話しを多く聞かせていただいた。 何かの制度が変わった時などは、それぞれの立場を分析して的確なコメントを出してくれる。 そんな太田からあるSGのピットで「なんで記者さん達は同じ選手ばかり取材するのかな!?」と投げられ、言葉が出なかった。 確かに社からはミーハー的要素を求められる。 ネームバリューのある選手や成績のいい選手を追うのは必須だが、それだけでいいのか!? という問題提起だった。 それを受け、その後はなるべく囲み取材には加わらず単独取材を心掛けた。 そんな金言をくれるのが太田和美。金冠奪取に最もふさわしい男だ。

「グランプリ」の重みを背負って…

太田和美とグランプリといえば…05年大会を思い出す。実は、住之江で走るまでが大変だった。 05年12月8日、グランプリ直前の三国周年で太田は他艇と接触。すぐに救急車で運ばれたが、左手甲の中指部分が骨折。 緊急手術を施す大アクシデントに見舞われた。16年の篠崎元志ほどでなくても、次節のグランプリは出場できるのか…。 そんな不安がよぎる中、太田は地元水面に来た。すると、トライアルをいきなり連勝!優勝戦にも進出(4着)した。 確か、初戦を快勝した翌日だったか。ピットで目が合うと、「走れるだけで幸せ」と話し、その目が少し潤んでいるように見えた。 グランプリの重みを感じさせた瞬間だった。かなり古い話をしたが、「怪物くん」は今回11度目の出場。 キャリアは重ねても、ポテンシャルの高さは誰もが認める。ここぞという時の攻撃力が怖い。

カッコつけるのが似合う浜名湖の顔

「レースは本当にカッコつけたい!」。真顔でこう語るのは徳増秀樹。前検日はサングラスをかけてレース場入り。 タクシーから降りてくる姿は映画のワンシーンのようだ。 「いま使っているのは3本から4本くらい。その時の気分で…」とサングラスは感性重視だが、「去年の反省を生かし賞金を積み上げることができた」とここまでを振り返る。ただ、その内容は「内緒…」。 『見えない部分』はそのまま『魅力』と言い換えてもいいだろう。 2019年、優勝は一般戦のみのV4ながら、参戦したG1とSG戦15節中11回で予選突破、優出4回という戦いを演じてランキング12位につけた。 グランプリは初舞台だ。24場制覇、2000勝レーサーは、役者揃いの静岡にあってカッコよさでも安定した強さでも『浜名湖の顔』。 「濃くいく!」のは当然だ。あの優勝ゴールの敬礼をファンは待っている。

意識改革が功を奏してグランプリ初出場

選手生活25年、45歳にしてのグランプリ初出場。2000勝を達成した区切りの年に、ついに夢にまでみた大舞台に立つ。 G1戦とG2戦を含め7回優勝した昨年に対し、今年の優勝は一般戦での4回だけ。 SG戦で2回の優出があったとはいえ、なぜ今年、グランプリの舞台に立てたのか。 それは、「僕は今までは1着の取り方しか知らない選手だった。1着じゃなければ2着も6着も同じだと。 でも今年はどうやって2、3着を取るかを考えながら走った」という意識の変化が大きい。 「グランプリに出るような選手は道中のプロ。そのプロたちにどこまで通用するのかが楽しみ」とも。 勝ち上がるためにはトライアルでひとつでも上の着を目指さなければならないグランプリ向きの意識改革が正解だったかどうか。 その答えはもうすぐ出る。

濃く輝く水上のパッションメーカー

「濃く行きます!」。徳増選手の決め台詞?多摩川グラチャン。 V戦共同会見の最後に一言リップサービスしてくれた台詞がこれだ。 彫りの深い顔立ちに、濃く太い眉毛。容姿も確かに濃い目だが、人柄やレースに対する情熱、その走り自体も面立ちに負けない特濃印の徳増秀樹。 そこまで自身で意識してかは?だが、うまいキャッチフレーズだとクスッと来たのを覚えている。 少々前の会話だが「自分の歳になると普通にそこそこの成績を取っているだけでは記念にも呼ばれなくなる。 ただ年齢だけで判断されていってしまうのは嫌なんです」と徳増は雑談の中で語ってくれたことがある。 競技年齢的に最も評価のハードルが上がりがちなハイミドル世代。 だからこそ熱く濃く、自らの存在をアピールする必要がある。 住之江グランプリも特濃の走りで、深く色濃く、輝く金冠へとアタックして行く!

SGタイトルホルダーを相手に下克上だ!!

今年のグランプリメンバーで「下克上」がピッタリなのは徳増秀樹以外ありえない。 デビュー5年目にA1へ昇格。2006年には年間最多勝利選手に輝くなど、記念でも戦える力を秘めていたが、静岡支部の選手層の厚さに阻まれた。 何しろ80期台前半にSGウィナーが5人もいたこともあり、75期の徳増に声が掛かる機会は少なかった。 それでも腐らずに経験値を積み上げ、今年は45歳にして初のグランプリにエントリー。加えて前期は自己ベストの勝率8.19をマークした。 以前も8点に迫るハイアベレージを残したことはあるが、当時とは内容が異なる。 今年はSG・G1戦線を歩んでの数字。重みが違う。対戦する17戦士は全てSGタイトル保持者。 相手にとって不足はなしだ。

永遠の「ライバル」に雄姿を見せる

最近の徳増秀樹は、「濃く行きます!」という言葉がキャッチフレーズになりつつある。 レースだけでなく、7月浜名湖G2ボートレース甲子園の選手宣誓みたいに、何事にも熱く攻める思いが強い。 グランプリ初出場を果たした陰には、昔から一緒に切磋琢磨(せっさたくま)する男がいた。 先日、住之江でトークショーを行い、最大のライバルについて聞かれた時だった。 「いないのが正直だけど、僕がずっとライバルだと思ったのは、同期の今坂勝広です。 (デビューから)本当に負けたくないと思って、ずっとやってきました。今は、天国から笑われないように、やっているところです」。 16年5月21日、まだ40歳の若さでこの世を去った同県同期の男に負けたくない。 この思いで、日々のレースを戦い抜いた。トライアル1stも躍動の走りは必至。今坂勝広も必ず見守っているはずだ。

労をいとわない見事な人物

「去年チャレンジカップで勝って、これまでと違う景色を見させてもらっている…」。 ナイスガイ馬場貴也はこう語る。現在、滋賀支部長という重責を担いながら記念戦線中心に参戦しているが、 「そのおかげで強くなれた部分もあります」と、労をいとわないところがさすが。 個人事業主たる選手、それも極めて多忙な記念レーサーが自分の時間を他者のために費やすのは、たやすいことではない。 煩雑なことを避けず、ささいなことだからこそ繊細に向き合ってきたのだ。その生きざまをファンはよく知っている。 人を大切にする馬場に惚れて応援するファンが言う。「実直で優しくて強くて…、見事な男です」。 深く理解できる言葉だ。「夏場に調整で戸惑った時期がありました…」と2019年を振り返るが、 秋以降リズムを取り戻しつつある馬場貴也。大舞台で本人とともに涙するファンを見てみたい。

昨年GPは3勝。短期決戦向きの走りは魅力

守田俊介が「僕の師匠です」と冗談半分に公言しているのが馬場。 エンジン出しに無頓着な守田のことを同じレースの時はしっかりと監視。 超抜エンジンを手にして大チャンスだった昨年の蒲郡ダービーの時など、陰でしっかりと支えていたのが印象的。 馬場は守田が優勝したダービー直後のSG戦、芦屋チャレンジカップでG1戦制覇を飛び越えてSG戦覇者の仲間入りを果たした。 イン戦における信頼度の高さ、3、5コースからの目の覚めるような全速まくり差しが武器だが、今年は2、4コースからのレースにも成長の跡が見られた。 グランプリは何コースからでも結果を出さねば勝ち上がれない。 昨年もこの舞台で3勝をマーク、2年連続出場となるオールラウンダーの馬場にとって、実力を出し切ればおのずと好成績を残せるような気がする。

進化を続けるレコードブレイカー

馬場『貴也ヨシヤ』。多くの方が名前の方を『タカヤ』と読んでしまうことは多いはず。 デビューしてしばらくは「ヨシヤ。ちゃんとした名前を覚えてもらえるよう、アピールしたい」と馬場はしばしば口にしていた。 そんな馬場も現在35歳。「ターンは舟が向いてしまえば、いくらでもスピードが出せる」。 各地でレコードをたたき出すスピード自慢で、若い頃から旋回センスは定評があった。 ただ、そこに機出しスキルを加えて、昨年チャレンジカップ優勝を飾ったのはデビュー15年目。 大輪、見事咲かせたが決して早咲きではない。同期の長田頼宗に馬場の話を聞くと 「養成所の頃から優等生タイプ。教官が手本にしろという選手でしたよ」の答え。 センスを磨く才もあり、人柄の良さも持ち合わせた好感が持てる秀才タイプ。 暮れの一戦では、磨き上げた強旋回でぜひ『ヨシヤ』コールを巻き起こしてほしい。

最盛期を迎えた滋賀の支部長が金冠取りへ!!

滋賀支部の躍進が止まらない。来春のクラシックに4人が当確ランプ。丸野一樹がG1ウィナーの仲間入りを果たし、ベテランの吉川昭男がG2制覇。守田俊介と馬場貴也はV量産態勢を築いている。また、川北浩貴だって6Vと有力だ。これに遠藤エミが加わる可能性も秘めている。そんな充実一途の滋賀を牽引する馬場は2年連続でグランプリに出場。かつては同期の活躍に悔しさと焦りで唇をかんでいたが、自身が結果を残せるようになり「今は心から祝福することができます」と大きく成長した。「2年連続グランプリ出場」の目標をクリアして迎えた大舞台。持ち前のスピードターンに磨きもかかっている。滋賀支部に初の黄金のヘルメットを持ち帰る日も遠くはない。

滋賀支部長が今年こそGP取りへ

昨年夏、馬場貴也と話す機会があった。選手会の滋賀支部長に就任して数カ月のころだった。 「支部長になったのは、自分が強くなれるいいチャンスかなと思います。精神的に強くなってプラスになると思います」。 あれから1年余り。馬場は言葉通りに強くなった。昨年は芦屋チャレンジカップでSG初優勝を飾り、今年もグランプリ出場をつかんだ。 支部長の勢いは、「チーム滋賀」にも確実に伝わっている。女子は遠藤エミが24日のGⅡ桐生レディースチャレンジカップを優勝。 香川素子が12月のプレミアムGⅠクイーンズクライマックス出場も決めた。 結束力が高まる中、ナイターSGグランプリのトライアル1st1回戦2枠で臨む。実は昨年も同じ2枠でトライアル1st1回戦を走り、鋭く差し伸びて勝利した。 今年も同じ形の再現を狙って、切れ味鋭いターンを決める。

納得度こそ、プロの真髄!

「まだまだ全然です…」。こう言って自分を戒める若者がいる。広島の大上卓人だ。 デビューは2011年11月。9期目にしてA級に初昇格した遅咲きは、2017年9月の蒲郡ヤングダービーで一気にギアチェンジした。 攻めて攻めて攻め尽くす走りを通したのだ。その競走に周囲は驚嘆した。 以来、『ピンロク勝負』といっても過言ではないスタイルが、持ち味として定着している。 こんなデータがある。これまで大上が参戦したSG(今年のクラシックのみ。児島ダービーは2回目)とG1の通算出走回数は192(10月21日時点)。 内、最も多いのが6着で40回。次に1着の34回となる。まさに『ピンロク』を地で行っているのだ。強豪相手にこの内容である。位負けしないハートが魅力なのだろう。 熱心なベテランボートレースファンから「大上で勝負なら悔いが残らない」と幾度も聞いた。勝っても敗れても納得させてくれる男。それが大上卓人だ。

着実に力を付けている広島の未来のエース

古いところでは長瀬忠義、昭和には中本逸郎、半田幸男、平成には西島義則、市川哲也を筆頭に前本泰和、辻栄蔵、山口剛らのSG戦覇者を輩出している広島も名門支部のひとつ。 大上卓人はその名門支部の将来を背負って立つ有望株。「昨年に比べると、今年の成績はイマイチ」と本人は振り返るが、「自分への期待値が上がった分もありますから…」ときっぱり。 昨年よりも圧倒的に記念戦線の出場が増えており、記念常連になるために誰もが通過する壁にぶち当たっているだけと考えていい。 その記念戦線でも地元宮島周年では予選3位通過などもあり、そもそも本人が思っているほど苦戦しているわけでもない。 ダービーは2回目のSG戦となるが、ここで全国に名を売る大活躍をしても何ら不思議はない潜在能力があることは断言できる。

笑顔が似合う赤ヘルニューウェイブ

某有名映画の先入観もあるかもですが…。広島支部というと、メンタルの強い武闘派や個性派スターが生まれやすい御家柄ではないかと思います。 今回フィーチャーされた大上選手は明るい好青年。いわゆる、こわもて系とはオカでの印象はかけ離れた存在です。 ただ水面では肝の据わった仕掛けから繰り出す鬼の攻撃型レースが持ち味。強烈なスタートダッシュで脅かし、自力主体にさばきあげて行く手法は『水上武闘派』広島・赤ヘル軍団の系譜と言えるでしょう。 先の三国ヤングダービーでは、前面に出たその闘志が裏目に出て節一クラスの足を擁しながら初日妨害で失権の憂き目。それでも連日の果敢な仕掛け戦で存在感をアピールした。 児島のSGダービー戦、相手はボート界のオーソリティーたち。若手跳ねっ返り?と思われても望むところ。根性を据えた走りでビッグレースに風穴を開けたい!

ここ一番で魅せるスリット攻勢が不気味だ!!

ヤングダービーは若手の登竜門と呼ばれるが、そこでキラリと光った逸材はその後に活躍する。大上卓人もその一人だ。 一昨年の蒲郡大会では、準優で4カドから独りだけ飛び抜けたスタート(コンマ05)を決めてまくり一閃。 シリーズリーダーの前田将太を沈めた。再演したのが2018年11月の徳山周年。同じく準優で4カドからコンマ08のトップショットでまくり勝ち。 今度も予選首位通過の桐生順平を沈めての大金星だった。まさに大物食い。それでいて一発屋ではない。 昨年は一般戦を5優勝して今年はクラシックに出場。G1あっせんが増えたが勝率も残してダービー切符をつかんだ。 リスクを恐れない度胸満点のスリット攻勢で、ただいま売り出し中だ。

広島の苦労人がSG2度目のチャレンジ

大上卓人で思い出すのは6月宮島周年。実績機を駆り、地元宮島におけるG1初優出(4着)を果たした。 レース内容も素晴らしかったが、優勝した辻栄蔵が表彰式で話した言葉が印象的だった。 「(僕が)優勝してうれしいけど、本当にうれしかったのは、大上卓人君が(優勝戦に)乗ってくれたので、ちょっと広島がいい雰囲気だなと思いました」。 広島を代表するGPレーサーが、大上の成長を認め、自分のことのように喜んだ。それだけ、次代を担う逸材なのは間違いない。 今年は予備から繰り上がって3月戸田クラシックでSGデビュー。 5日目に初勝利を飾り、水神祭も経験した。昔はフライング過多もあったが、ここ3年はA1級をキープ。 SG2度目の出場を果たすまで、苦労の道のりは長かった。今回、手にしたエンジンは2連対率35.1%と数字だけ見ると中堅。 どこまで気配を上げて、大物食いできるか。

心の矢印を他者に向ける懐深き人物

5~6年ほど前になるが、岡山市内のシティライトスタジアムで田口節子と一緒になったことがある。 Jリーグ・ファジアーノの試合会場で実施されたボートレースのPRイベントだった。 サッカーのサポーターを前に気恥ずかしさがあってもおかしくない状況の中、ごくごく普通にふるまってくれた田口…。 役割を心得た懐の深い女性だと感じ入ったのを忘れない。 振り返れば、家族の闘病と頑張りを自分の支えにしてきたのもそうだし、後輩への思い遣りや、出産育児を経て磨き上げたレースぶりに生きざまが表れている。 『心の矢印が自分以外の外に向いている他者本位の人物』なのである。ゆえにスタンドプレーがなく、やや地味に映るのだろう。 しかし、それこそが魅力。田口自身は語らずも、静かに穏やかに発信し続けている。見る者の感受性が試される児島ダービーかもしれない。

今も脳裏に焼き付いているデビュー期の衝撃

初めて田口節子を見たのは2000年2月の福岡。デビューして4カ月目、5節目のレースだった。 田口はデビュー1走目が2着、2節目には水神祭も飾っており、女子のすごい新人が出てきた…とは耳にしていたが、その福岡の節間成績は135211521。 これが初の準優進出で5着と優出は逃したが、節間4勝して、そのうちまくりが3本。 デビュー期なのでコースは当然のように全部6コースだったが、福岡の難水面をモノともせず圧巻の走りを披露。 当時福岡担当だった記者はものすごい衝撃を受けた。 以降の女子トップレーサーとしての活躍は説明の必要もないが、唯一、物足りなさを感じるのはSG戦で優出がないこと。 過去SG戦出場は22回で準優には3回乗っているが、3着が2回と惜しくも優出には届いていない。 ダービーの舞台は走り慣れた地元の児島。寺田千恵、横西奏恵に続く女子3人目のSG戦ファイナリストになる大チャンス到来だ。

静かに輝く銀河系の女流スター

水上では攻撃型の実力派、オカでは繊細でどちらかと言えばセンシィティブな方。田口選手のイメージです。 少々前の話ですが…、田口選手がF禍に見舞われ、そこからの復活へと頑張っている頃に話を聞いたことがあります。 その時に「少し成績を落としてしまうと、田口は終わった…、というような声が聞こえてきてつらい時もありますよ」と、苦笑いで心境を聞かせてくれたことがありました。 褒められる部分ではないのでしょうが、85期・銀河系の実力者の中でも、田口選手が切ったFの数36本は抜けて多い数字です。 それはファンの声援や舟券に応えたい使命感の果ての結果という側面もあるでしょう。 派手なオカの上でのパフォーマンスは少なめでも、人一倍ファンへ意識が向く選手ではないかと思います。 まずは温かい声援を。静かに強く輝くギャラクシークイーンの活躍に期待したい。

負けず嫌いをプラスに転化させ大暴れだ!!

平成後期のボート界を席巻した85期の銀河系軍団。SGタイトルホルダーが5人、G1は3人で田口も2度の女王に輝いている。 彼女の原動力は負けず嫌い。勝ちたい気持ちをスリットにぶつけてきた。通算のフライングは36本。同期ではぶっちぎりで、2位の井口佳典に7本も差をつけている。 しかもF2を10期も経験。気持ちをセーブすることができず、ピットで涙するシーンを目にしたこともある。 それでも、プラスに働いた時には破壊力満点。通算優勝回数は55回、全国24場制覇にもあとひとつ(福岡)に迫っている。 また、長所のひとつは男子相手の混合戦でも結果を残していること。これまでに6度の優勝を飾り、逃げは2本。それ以外の4つはインコース以外で挙げている。 母となりメンタル面が強化され、地元のアドバンテージが見込めるだけにSGでも伏兵以上のマークが必要だ。

母でも強い「銀河の女王」

田口節子は、4000番台以降の女子レーサーの先頭に立って、目覚ましい活躍を遂げてきた。 レディースチャンピオン(女子王座決定戦)2度制覇などの実績を積み重ね、女子トップの可能性を強く感じた。 そんな勢いのある中で結婚、出産を経験。田口は子供との生活を大事にしながら、レーサーとの両立を選んだ。以前までの攻撃ターンが少し減るかと思ったが、地力に陰りはなかった。 昨年のプレミアムG1桐生レディースチャンピオンでのこと。 前検日に写真を撮ろうとしたら、「私は撮らなくていいですよ。目立たなくていいですから」と苦笑いしながら、写真撮影を断ることがあった。 それでも、しっかり優出(5着)したあたりは、地力の違いだろう。 5度目のSGダービー出場を果たし、母でも強いところを見せるか。同郷の先輩、寺田千恵をはじめ、女子勢とともにホーム児島で躍動する。

流されない『克己心』の男

「よくわかりますね…」。かつて三角哲男に褒められたことがある。持ちペラ制の時代、三角は他がやらない個性的な方法を志向していた。 ピットで取材中、あきらかに形が異なるそのペラを見て、思わず口にしてしまったのだ。 選手間の流行に乗って最短距離で勝つ道をよしとしなかった三角。自らが考え、試し、修正を重ね続けて今がある。 一見、朗らかで屈託のない人物に見えるが、実は芯が強い『克己心』の男なのである。SG優勝は1994年の住之江グラチャン。 デビュー8年2カ月、27歳での栄誉だった。「1マークを回ってびっくりしました。 さんかくでもいいので名前を覚えてください!」と言って喝采を浴びていたあれは仮の姿。 現在を含め、43期連続A1を通せているのは流されないからだ。凄みがある。 そういえば…、児島は三角から褒められた場所。今度はこちらが称える番でありたい。

ボート界のシンデレラボーイと言えばこの男

日本人としては42年ぶり2人目の海外メジャーを制覇した女子プロゴルファーのスマイルシンデレラこと渋野日向子がフィーバー中だが、 今から25年前、我がボート界でシンデレラボーイともてはやされたのが三角哲男。 まだ記念常連ではなかった1993年、4人の欠場が出た地元多摩川周年に追加で呼ばれ、 予選18位通過ながらもG1戦初優出で大外から初優勝。この優勝で権利を得た翌1994年3月の平和島クラシックではSG戦初出場で初優出。 そしてこの優出で権利を得た同年6月の住之江グラチャンでSG初優勝と、一気に頂点に駆け上がった。 この年はもちろん、グランプリにも出場。52歳になった今なお、約2年ぶりとはいえSG戦に出場していること自体、驚嘆に値する。 25年前、ファンをあっと言わせたあのサプライズを再び期待したい。

東都が誇る気骨派ベテランレーサー

20数年前…、記者が舟券を購入できる年齢になった頃。 三角選手は『大外のゲリラ』と異名を取り、SG戦線で売り出し中でした。 現在のボート界と違い、進入の門戸は若手には簡単に開かず。 しかしそのコース不利を跳ね返す、変幻自在なアウト一本鮮やかな早技の数々。 遂に第4回・住之江グラチャンを2枠大外から制覇。 記者も地元唐津の場外ビジョンで声援を送ったのを記憶しています。 あれから四半世紀。「簡単にゃ死なねぇよ(笑)」の言葉どおり、三角選手は7点オーバーの超一線級として今も活躍中。 年齢は50を超えましたが、その姿は今でも一挑戦者。 「受け身になっちゃいけね。挑んでいかねぇと」。若手スピード派との苦闘は承知。 ただ、だてでは走れない五十路のダービー。 熱いオールドファンの応援を背に、今節も気骨の走りで魅せて欲しい。

過去の勲章は顧みずSG舞台に復帰!!

「サンカクでもいいですから、僕のことを覚えていてください」。 衝撃のレース、伝説のヒーローインタビュー(1994年グランドチャンピオン)から四半世紀が経った。当時を振り返ると、前年7月の多摩川周年を追加配分でG1初V。 SG初切符を得た翌年3月のクラシックでファイナル入りを果たし、 3カ月後のグランドチャンピオンを大外からぶち抜いた。 「記録上はSGを勝ったんでしょうけど、今は自分のことをSGウィナーだとは思ってません」とキッパリ。 現在も変わらずハイアベレージを残すが、最高キャリアは顧みない。 50代を迎え誰もが身体の衰えと共に下り坂を意識するが「思いっきりサイドブレーキを引っ張ってる」とニッコリ。 しかし、同世代のSG覇者と比較するとシフトチェンジが最も緩やか。 シンデレラストーリーを完成させた男が令和初ダービーに挑戦する。

マスターズ世代からの挑戦状

三角哲男といえば、昔からイメージが変わらない。豪快、超攻撃肌、鋭いスタート。 特にセンターや、4カドの時ほど、期待を抱かせる選手だろう。 確かな地力の証拠に、もっか43期連続でA1級勝率を続け、全国24場制覇へ王手をかけている(残り1場は芦屋)。 今年、5月の芦屋一般戦で優出した時は、3枠でチャンスもあった。しかし、優勝戦は1Mでまくり差しが入らず3着。記録達成はお預けとなった。 そんな三角も52歳、堂々たるマスターズ世代に入る。10月には桐生でG3マスターズリーグに出場を予定している。 しかし、普段から見せる若々しい攻めっぷりは、十分にトップレベルで通用する。 直前の9月G1戸田周年では、エース機を駆り連日、ゼロ台スタートで攻めた。 3年ぶりの出場となるダービーでも、レーススタイルを変えず、度胸満点の走りに期待したい。

絶好の舞台装置が待っている

「名前を覚えてください」。上野真之介はこう話した。2018年秋の児島周年は予選6走中1着4回。 劣勢気味だった舟足を2日目に一変させ2位で準優に進出したが、発言はその節のものである。 残念ながら、準優は中澤和志の3コースまくりに屈したものの上野の名はファンに刻まれた。 その証拠に、今年初夏の周年でも喝采を浴びている。上野にとって児島は躍進の地。絶好の舞台装置と初ダービーが重なった。注目しないわけにはいかない。 多くの選手が『児島は難しい』と語るが、上野には卓越した調整力がある。行き足を仕上げてくるのだ。 さらに、スリット通過時の艇団位置を表す発順は2.5前後。平均値の3.5を大きく上回る。 この調整力とスタート力こそが記念競走の3連対率58.8%(昨年1月~)のバックグラウンドである。 この秋、児島から佐賀のニュースターが生まれる予感がする。

師匠の峰、盟友・山田の思いを背負って走る

大村のボートレースメモリアルでは峰竜太ら3人が準優でF。さらに最終日の特別選抜A戦でも山田康二が今期2本目となるFに散った。 上野真之介にとって峰は師匠。そして山田は同期同門の間柄。もっとも身近な2人のFをどう受け止めただろうか…。 上野にとって児島のボートレースダービーはまだ4回目のSG戦。師匠との対決をきっと楽しみにしていたはず。山田はダービーには出場するが、F2では厳しい。 グランプリ以外のSG戦からしばらく姿を消す師匠、そしてF2になり来期A1級ピンチの盟友の分も、きっと気持ちを引き締めるのではないか?  記念実績では山田に大きくリードされているが、潜在能力は決してひけを取らない。グループのピンチを救うべく、奮戦必至の上野からしばらく目が離せない。

ガバ凄い佐賀の全速仕掛け人

2007年夏の甲子園、佐賀北高校の『がばい旋風』で、ちょっと有名になった『ガバイ』と言う言葉。『とても・非常に』と言う意味で使う副詞ニュアンスの方言。 ちなみに上野選手の出身地である佐賀でも、唐津市の方ではガバイのことは一般的にガバとしか発音しません。 なので唐津風に上野選手の風貌や性格を表現するなら…、カラッとした性格の男前『ガバよか男』と表現するでしょうか? 戦法的にもストレート仕立ての唐竹を割ったような攻撃型レースが持ち味で、直線系特化の調整に関しては現在のボート界でもベスト6には入る腕前。 メディア対応でも機転が利くタイプで、プロとして華もある選手。私事で恐縮ですが、上野選手の出身高校『唐津工業高校』は記者の母校でもあったりします。 個人的にも陰ながら応援する選手。ぜひダービーの大舞台も『ガバ凄か大まくり』らしい走りで沸かせて欲しい。

SAGAの新興勢力として台頭期待!

師匠の峰竜太がSG戦線から離脱。同門同期の山田康二がF2と佐賀支部は非常事態宣言が発令中だが、そんな時こそ新興勢力の出番だ。 上野真之介はA1になり立ての頃に住之江周年で優出4着と名前を売り出したが、その後しばらくは記念戦線で快音は響かなかった。 だが、英才教育の成果が表れ始め、前々期は全選手中8位の勝率7.86をマーク。 そして昨年のグランプリシリーズでSGデビューを果たした。今期も8月終了時点で7.42。 自己ベストには届いていないが、今季は11節でSG&G1が5節と、一般戦が主体だった前々期とは内容が異なっている。しかもその5節で予選突破が4節と地力が強化されたことは間違いない。 SGは今回のダービーが4度目の参戦。あっと驚く激走に期待だ。

師匠のぶんまで、上野真之介が暴れ回る

佐賀勢に暗雲がたれ込めている。大村SGメモリアルで、賞金ランク3位の峰竜太が準優、山田康二が最終日特選Aでともにフライングを切った。 峰はダービーが出場取り消しになり、山田はドリーム戦に選ばれたが、F2の立場。重い空気の中で、上野真之介が師弟のぶんも攻めに徹する。 上野といえば昨年12月、SG住之江グランプリシリーズでの出来事が印象深い。SG初出場で前検日に届いているはずのSGカッパが、なかった。 「本当に、今回ないんですかね? でも、SGはずっと楽しみにしていたので」。 気持ちを切り替えて臨み、最後は師匠・峰のGP制覇を自分のことのように喜んでいた。 そんな上野も5月福岡オールスターでSG初勝利を飾り、予選で3勝して準優進出(5着)。センター、アウトから活発な攻めは、トップレベルでも通用する。 ダービーの大舞台でも、貪欲に攻め立てる。

内面の重みを感じさせない外形が魅力

刻まれた記憶がある。2007年の大村・新鋭王座決定戦(第21回)の大峯豊だ。覚えでは、伸びる舟足を武器に優出し5コースからまくり差して先頭に躍り出た。しかし、不遇にも道中で石野貴之にかわされた…。レース後、敗戦のショックを顔に出さなかったが、1節置いた後の江戸川(2月)で自身初Vを飾った。ひそかに持ちあわせた反骨精神やブレない気構えがもたらした栄冠だろう。気概を隠し、鷹揚(おうおう)としているのが大峯。前検日のレース場入りは遅く、いつでも飄々(ひょうひょう)としている。減量に成功した時も、「きついのは最初だけ。食事内容を変えるだけで減らせます」とほほ笑んだ。内面の重みを感じさせない外形は勝負師のそれである。迎えるSGは、2回目のボートレースメモリアル。リベンジにふさわしい大村が舞台となれば、その魅力を知る人々の応援には力が入る。

パンチ力秘める山口支部の隠し玉は復調中

今村豊、白井英治、寺田祥という強力な3本の矢がいる山口支部において、大峯豊は第5の男だった。 ボートレースメモリアルの出場は2013年以来2回目となるが、この年は白井英治がF休み。 2014年以降は谷村一哉からその座を奪えず、出場はかなわなかったが、ようやくその谷村から第4の男の座を奪うことができた。 毒島誠と同期の92期だが、出世は比較的早く、G1戦初出場の大村新鋭王座(ヤングダービーの前身)で準優勝。 デビュー8年目だった2010年12月の児島中国地区選手権でG1戦初優勝も飾っている。ただ、記念タイトルはこれだけ。 SGも8回ほど出場しているが、まだ予選突破がない。とはいえ、昨年は6回しか出場していないG1戦で2回優出。 一般戦では優勝5回と、一時の低迷期は脱した。上のレベルでも見劣りしないパンチ力をSG舞台でも披露して欲しい。

関門屈指のパワーファイター

ボートレースでは、旋回はレースの『花』と称せる部分。ではオカでの仕事、整備や調整は?  同じ植物の部位で称せば『根』にあたる部分かな?と思います。 ちょっと前の話になってしまいますが、戸田の機力取材で大峯選手が「自分は出してナンボの選手、もっと出したいですね」と、 物足りないパワー面を指して、そんなコメントをしてくれたことを今でも覚えています。 そのパワー勝負を身上とするレーススタイルは、ターン一点の華やかさだけに寄らない、根のしっかりした安定味こそが魅力と言えるモノではないかと思います。 同期の安達裕樹選手に大峯選手の印象を聞くと「オカでは馬鹿もやるけどすごい選手、憧れの選手ですよ」と答えてくれたのは、 そういう地に足のついたレーススタイルを指しての事なのかもしれません。しっかり出して勝つ。SG戦でも、信じた道での勝負で沸かせて欲しい!

大魚逃した大村湾でリベンジ戦だ!!

ボートレースは競技の性質上、先頭を走る選手が後続を引き離すシーンが多い。 単純に決まり手だけを見ても「抜き」での決着は10%にも満たない。 それだけに、トップが入れ替わるようなレースは印象に残る。優勝を決める一戦ならなおさらだ。 惜しくも銀メダルに終わった大峯豊の新鋭王座決定戦(2007年)もそのひとつ。 レースを振り返ると、2コースの山本修一が先まくり。 大峯はまくり差しを届かせて先頭を走ったが、2周1マークで石野貴之に逆転を許してしまった。 スポットライトは優勝者に当たるが、記者としては惜しくも負けた選手こそ、その後の足取りが気になる。 3年後に中国地区選手権を制してG1ウィナーの仲間入りを果たしたが、SGは8度走ってまだ準優入りはゼロ。 毎回「今度こそ」の思いで挑戦している。メモリアルの舞台はあの時競った大村湾。 12年ごしのリベンジ戦だ。

山口「第4の男」大峯豊が暴れ回る

SGボートレースメモリアルは、各場から2人推薦されるので、山口支部から計4人が出場できる。 全国区スターの白井英治、今村豊、寺田祥が選ばれるのは当然として、「第4の男」は誰かが興味津々だった。 そんな最後の枠に大峯豊が選ばれた。6年ぶりの大会出場は、昨年の活躍も要因の1つだったかもしれない。 一般戦を中心に5度優勝して、GIは7月平和島(5着)、11月徳山(3着)で2度優出。特に徳山での活躍も大きかった。 今年は8月の徳山お盆シリーズを含めて5度も優勝し、3月クラシック、7月オーシャンカップとSGに2度出場を果たした。 特に、8月徳山は得点率トップから準優、優勝戦と逃げ圧勝。ファイナルは、山口支部のエース白井英治を寄せ付けなかった。 今回のメモリアルに向けて、最高の弾みがついた。山口「第4の男」が、徳山に恩返しする意味でも、大いに暴れ回る。

かつての江戸川の看板が推す大看板

「やっぱり鉄兵だろうね」。その昔、江戸川を大得意としていた小寺謙三さん(76歳)から聞いた。先日のことである。 曲がったことが大嫌い、小賢しい駆け引きを一切しなかった古老は、千葉県出身ながら江戸っ子の典型。粋な男前が親子ほど年の離れた後輩を頼もしく感じている。 「江戸川は怖がったら負け。波の頂点から頂点に飛び移っていくように乗るのがコツ…」とも教えてくれたが、 「断固たる決意で」と日頃から語るように、石渡の持ち味は思い切り。それでいてレースに外連味(けれんみ)がないのだから、正真正銘の継承者だ。 1997年から2010年までの14年間、推薦レーサーが毎年変わっていた江戸川に現れた本物の『大看板』は、今回が9年連続12回目の出場。 全73Vの内20回が江戸川、周年記念もふたつ取っている実績だけでなく、小細工無用の生き方に価値があると、胸に刻んでおきたい。

SG戦初制覇へ機は熟している江戸川の主

古いところでは「ターン魔術師」の岡本義則や「黒い弾丸」の黒明良光、誰もが知る「モンスター」野中和夫、そして「王者」松井繁に「艇王」植木通彦など、 かつては(松井は現役だが)ピタリとはまるニックネームを持つ選手は多かった。 しかし今、これは我々書き手の怠慢でもあるのだが峰竜太にしろ、桐生順平にしろニックネームで呼ばれることはない。 そんな中、「江戸川」鉄兵のニックネームを持つ石渡鉄兵は貴重な存在と言える。日本一の難水面を難なく乗りこなすテクニック。 もし、江戸川でSG戦が開催されれば、誰もがV候補筆頭に名前を挙げるだろう。 メモリアルには9年連続12回目の出場と、東京支部には欠かせない顔役で、ぜひともSG戦タイトルを獲得して欲しい選手の1人。機は十分に熟している。

優しくタフな難水面の鬼

枠なり自在の決まり手が全盛。競技として洗練されたが、昔よりも選手個性が打ち出しづらいという側面は感じる現在のボートレース。 メディアの文章表現からも大仰な言葉回しが敬遠されがちで、具合良くなじむ選手愛称や通り名が生まれづらくなったのは、少し寂しいことのように自分は思います。 『江戸川・鉄兵』…。そんな昨今でも、程良く使われる語感のいい愛称を持つ石渡鉄兵。 スキル以上に、ハートが試される最強の難水面・江戸川ボート。 その水面名を冠にしたストレートなニックネームには、江戸川ファンや関係者からの親しみと、波水面をモノともせぬタフな走りに対する敬意がこもっている。 「成績だけで乗れるSGではない。気持ちの入り方は違います」、当節メモリアルは『江戸川・鉄兵』として名を挙げてこその思いのはず。 波風で鍛えた心技を尽くし、熱く6日間を駆け抜けて欲しい。

経験を積み重ねた江戸川最強男がSG取りへ!!

江戸川で最多のG1戦3勝を挙げているのは、地元勢では熊谷直樹、濱野谷憲吾、西田靖。石渡鉄兵は2勝。 江戸川テッペイの異名を持ち、フランチャイズでの強さは別格だ。だが、偉大な先輩に追い付けていないのがSGでの勲章。 とても惜しかったレースがある。2011年のグランドチャンピオン(児島)では、瓜生正義の2コースまくりに乗じて差し迫ったが、舳先(へさき)は掛からなかった。 「あと少しのところだったけど、あの少しの差が大きいんだと思います」と振り返り“少しの差”を縮める努力を積み重ねて来た。 くしくも、あの時のファイナリストである佐々木康幸、平尾崇典、平本真之は後にSG制覇を成し遂げている。 江戸川でSGが開催されれば石渡は優勝候補の筆頭だろう。 だがその前に、他場でも優勝ボードを掲げる姿を見てみたい。

「江戸川鉄兵」が大村で攻めまくる

石渡鉄兵で連想するのは「江戸川鉄兵」のニックネームだろう。 全国屈指の難水面をこよなく愛し、今年も江戸川推薦で9年連続12度目のメモリアル出場をつかんだ。 ピットで取材すると、優しい口調で答え、写真撮影では、こちらのわがままなリクエストにも応えてくれる。 数年前、某ラガーマンに似ていると地上波テレビで紹介された時、ピットでは人気の的だった。 しかし、レースにいくと表情が一変する。特に4カドの時は強気の攻めが印象的。少々の荒れ水面を難なくこなすあたりは、「江戸川鉄兵」らしい。 昨年は夏場に足を痛めて約2カ月も休養。その影響で、2期前はA2級落ち。しかし、前期(昨年11月~4月)は流れを取り戻し、昨年12月から9連続優出も果たした。 今年は4度優勝して、復活ムードが漂う。インの強い大村水面で、石渡の強攻策が楽しみだ。

補欠を通した野球少年の志を見よ!

「試合に出場できなくても腐らず一生懸命素振りをしていました。」これは山田祐也の両親のことば。 小学校から中学時代にかけ飛び抜けて小柄だったためか、練習試合といえどもほとんどゲームに出る機会がなかったという。 しかし、山田は愚痴や不満を一切表さなかった。「初志貫徹タイプだと思っていたら、上場企業に就職後に、ボート選手になると言い出し会社も辞めてしまいまして…」と意外な過去を教えてくれた。 辛抱強い子が人生を賭けて示した決断ながら簡単な話ではなかった。一度試験に落ちると、車を売って家庭教師をつけることまでしたのである。容姿端麗で人間性光る山田祐也に深いバックグラウンドが存在している。家では「俺には何が足りない」とつぶやきながら、自他のレース動画を何度も再生する山田。3年連続のメモリアルはその真価が問われる舞台だ。

近い将来、徳島支部を背負って立つナイスガイ

中道善博、烏野賢太、濱村芳宏の全盛期に田村隆信という超新星が出現した頃、 SG戦優勝戦には必ずといっていいほど、誰かしら徳島支部の選手の名前があった。 オーシャンカップで興津藍がSG戦初優出を果たしたが、昨年のオーシャンカップの田村以来、徳島支部勢としては1年ぶりのSG戦優出というさみしい状況…。 しかしながら、徳島支部には将来有望な若手が多い。その筆頭が2016年の最優秀新人でもある山田祐也。 これまでG2戦以上のグレードレースにはSG戦2回を含め23回出場し、優出なし、 予選突破も2回だけと上のレベルでは明らかに苦戦を強いられているが、メモリアルには3年連続で選出されており、 関係者の期待の大きさが分かる。今は1走1走が将来の糧になる勉強の時期だ。

ルックス兼備な四国ヤングの実力派

昨年の某アンケートで『選手が選ぶ№1イケメン』に選ばれたこともある山田。 端整で彫りの深い顔立ちと、スラリとしたボディーバランス。 容姿端麗だが浮わついた印象もなく、メディア対応も丁寧で好感が持てる青年だ。 天は二物を与えるパターンで、レーサーとしての能力も評価は高い。 鳴門支部の大兄貴分的な存在である烏野賢太選手に、山田選手の印象を聞くと…。 「SGでやれる選手だよ。機出しさえしっかりすれば、すぐにSGで通用していく。努力家で人柄もいい。 自分も経験はあるけど、上を目指すのは一人ではきつい時もある。 周りに影響を与えて、その逆に刺激も受けて、若いので皆一緒に強くなって行ってくれるといいね」の言葉だった。 鳴門の顔、ボート界の顔にもなっていける器量も秘める若手だ。 盛り上がりを見せる四国若手勢代表、当節はそんな気概も持って暴れて欲しい。

艇団から飛び出すスリット攻勢は不気味!!

平均スタートタイミングの速い選手は大きく分けて二つ。 遅れないように早めに起こして様子を見るタイプとフルダッシュから攻めるタイプ。 質のいいスタートを放つ山田祐也は間違いなく後者だ。 まさに「他を出し抜くスリット」を起点に1マークも思い切りのいいターンを繰り出す。現時点では機力出しに課題を残しているが、それも少しずつ克服しつつある。 ボートレース甲子園の高知代表は選考勝率1位だったが、無念の選出漏れ。 この悔しさを晴らすには、もっと大きなステージで猛烈なアピールをするしかないだろう。 メモリアルは3年連続での選出だが、まだ地元・鳴門以外のSG・G1戦では準優入りを 果たせていない。壁を破る激走に期待したい。

優しいイケメンが、激しく攻める

ボートレーサーには、経歴だけ見ても十人十色。山田祐也も珍しいキャリアを経てきた。 高知県出身で地元の工業高校を卒業したのち、兵庫県の自動車部品生産工場で約3年勤めた。 ただ、働くうちに別の仕事に興味を持ち、レーサー募集の告知を見て試験に応募した。 112期でデビューするとセンスあるターン、スピードあふれる走りを展開。 16年最優秀新人選手に選ばれ、一気にスター街道へ。 17年の若松メモリアルでSG初出場を決めると、4走目でSG初1着を飾った。 何度か取材した印象としては、イケメンの優しい顔つきなのに、レースにいくと豹変。 激しいスリット攻勢から豪快に攻める。19年後期適用勝率(7月以降)はデビュー最高の6.98をマーク。 今年はすでに3度優勝と、地力は間違いなく強化。SG・3度目のチャレンジは、今の勢いを存分に発揮して欲しい。

『清々しさ』の背景にある一途な姿勢

「仁さんでよかった」。かつて森高一真がこう語ったことがある。 2013年11月のことだ。津の第16回チャレンジカップで優勝。しかし、グランプリに出場することができなかった。その優勝戦、齊藤仁は3着で自身初の大舞台進出を決めている。 発言は、その際の森高一真のものである。そう言わしめる人間的魅力が齊藤仁にはある。初出走は1998年11月。デビュー当時からファンだけでなく、同期を中心に選手間でも人気を博し、その名を冠したTシャツなどがつくられてきた。 レースは真剣勝負。しかし、勝っても負けても清々しい姿を、周囲が愛でたからだった。 『清々しさ』…。それは、背景に真面目で一途な生きる姿があってこその価値観だ。一生懸命結果を求めるが、態度は結果に左右されない。 カッコいいではないか。『だったら勝ってほしい!』。観る者がそう願うのは人情だろう。

派手さはなくとも東京支部の欠かせない顔

齊藤仁で真っ先に思い浮かぶのは人柄の良さ。報道陣に対する対応は言うまでもないが、現在は福岡に在住していることから、福岡支部の選手からも齊藤の人柄の話が耳に入ってくる。 これまでの実績はSG戦で優出が3回、G1戦制覇は2回。03年前期から34期連続でA1級をキープしており、そのうち7点勝率が16期もある。 さらに12人で争われた最後のグランプリ(2013年)にはチャレンジカップ制覇の森高一真を抑えて12位で出場なんてこともあった。 過去の成績を調べてみるともっとSG舞台でも活躍していいと思わざるを得ない。5月の江戸川G2戦では準優でFを切ってしまったが、これも実に5年ぶりのF。 「無事是名馬」的なタイプでもあるが、そろそろインパクトのある活躍を見てみたい。

負けず嫌いなさばきの達人

前にこのコーナーで濱野谷憲吾を東都の4番バッター、角谷健吾を3番バッターと例えた。 その例になぞらえ、今回クローズアップの齊藤仁を東都チームの打者枠で指名すれば…『東都の2番バッター』?ではないかと思う。 調整面も含めた器用な立ち回りと小技の利き。堅実でつなぐスタイルのシリーズ運びは、東都圏屈指のクオリティーを誇る。 戦術選択傾向からスタイルは差しさばきで食い下がるイメージは強い。ただ、その諦めない道中戦では「負けず嫌いの次男坊」と、自ら称すだけの気骨も示す。 全てに最上位は人の理想…、ただ現実的とも言えぬモノ。リアルを見て最善を尽くす、悔しさも最後に勝つ為の糧とする『さばき屋のストロングスピリッツ』こそが齊藤の持ち味だろう。 デビューから約21年。夢見がちな大振りはいらない。そのひたむきなさばき技、シャープなスイングで大冠を狙う。

意外な一発芸!?水面でもいつか秘技を

齊藤の一発芸が忘れられない。2013年はクラシック(平和島)の優出4着を手始めに、2度目のG1制覇やチャレンジカップ(津)優出3着で初のグランプリ切符をゲット。 その前夜祭でのワンシーンだった。 一人ずつ意気込みを聞かれた後に、持って行ったビールを一気飲み。 コップのフチを全て口に含み、グイッと上を向く鮮やかな飲みっぷりだった。 あのシーンをもう一度見たいと思い、YouTubeで検索。 「第28回賞金王決定戦 前夜祭」でヒットした。自分でもやれるんじゃないかと思い、風呂場で(しかも水で)挑戦をしてみたが、案の定ゴボゴボとこぼれてしまった。見た目以上に難しい。 レースはトライアル切符をつかんだチャレンジカップファイナルのような粘るスタイルが真骨頂。ただ、宴会では一発芸を持っている。いつか水面でも秘技を披露する日がやってくるだろう。

厳しい状況でも、気持ちはぶれない

メモリアルは8年連続10回目の出場。住まいを福岡に移し10年以上経っても、東京支部の主力を担う存在なのは間違いない。 そんな齊藤は、後輩からも愛されている。同じ東京だけでなく、関東地区や他地区の後輩たちと、よく話したりする光景を見かける。 しかし、レースに対しては、非常に厳しく自分を追いつめる。強い気持ちが出過ぎたか、5月の江戸川G2モーターボート大賞は悔しい結果が待っていた。 予選ラストを逃げて得点率3位通過。5日目の準優10Rは1枠で臨んだ。G2以上は今年2度目の優出を目指したが、コンマ01のフライング…。 めったにスタート事故を起こさない齊藤が、14年5月3日多摩川以来、何と5年ぶりに勇み足を喫した。スタート事故罰則も背負った。 置かれた状況は厳しくても、ぶれずに臨むのが齊藤のスタイル。大村ナイターSGも、的確に立ち回る。

古老が心酔する外連味のなさ

6月4日、児島周年記念を制した吉田拡郎は「ノーハンマーで通せてよかったです」と語った。 評判機ではあったが、「中村さんがしっかりやっている」としばしば口にしていた通り、モーター前操者で同県の先輩・中村格を信頼していることが伝わってきた。 自分だけで取ったタイトルではない。大時計前で優勝戦を観戦していたところ、80過ぎの古老が「吉田拡郎は本当に真面目な人間!」とレースそっちのけで話しかけてきた。 そして、よほどうれしかったのだろう。「これからもよろしく頼む」と言い残し喜々としてレース場を後にしていった。選手だけではない。 ファンの期待や行動もつながっている。歌舞伎では、実用と離れた見せかけや見栄えのことを外連味(けれんみ)といい、吉田拡郎のような人物を『外連味がない』というが、古老をして「真面目」と言わしめる37歳はなかなかいない。

今年は2014年の再現がありそうなムード

「他のグループの選手には絶対にペラを見せるな」。 鉄の結束を誇った岡山イーグル会にはかつて、こんな約束事があった。 でかペラ戦争真っただ中の1990年代の話だが、黒明良光率いるイーグル会は強豪そろう岡山の中心選手を多く抱え、他のグループとは完全に一線を画していた。 もちろん今はグループの垣根などは一切ないが、イーグル会にあらずして岡山強豪にあらず…的な空気がかつての岡山支部にはあった。 そんな時代を経験していない吉田拡郎はイーグル会ではない。 イーグル会全盛時を知る記者にとって、岡山の本流以外からSG覇者となり、わずか2枠しかないメモリアル出場の1枠を何度も勝ち取る選手が出てきたこと自体が驚嘆に値する。 6月4日には念願の地元周年を初制覇。SG、G1を勝ち、グランプリにも出場した5年前の再現。そんな流れをたぐり寄せつつある。

本物になるための2度目へ!

6月の月頭。児島67周年記念を見事1枠イン逃げ優勝で飾った吉田拡郎。 川崎智幸(14年62回大会V)から途切れていた岡山勢の優勝。 尊敬する同県先輩からバトンを無事引き継げたことにホッと胸をなでおろし、地元戦初タイトルの喜びをかみしめた。 ただ…「あそこを勝てた事は本当にうれしいですよ。ただ、そうは言っても大事なのは2回目。2度やってこそ本物ですから」と、その一時の喜びに立ち止まっている時間は多くは持てない。 当節メモリアルは児島の推挙を受け、身の引き締まるSG戦。 そしてこの後には、今年の大目標である児島ダービーが待つ。今は一戦に集中し1点でも高い勝率を、ダービー権利取りを、の思いも胸にある。 14年丸亀オーシャンに続く2度目のSG優勝を、岡山の雄たるべき地元2度目のタイトルを、本物へのトライアゲイン。挑戦は続いていく。

将棋で培った読みが加わり剛柔兼備に!!

ドラえもんのひみつ道具で人気アイテムのタイムマシン。仮に「未来」へ行くことができたのなら、どれだけ儲かるんだろう。ギャンブラーなら誰もが一度は考えたろう。 実際に未来へは行けないが、予測と行動を起こすことで成功を収められるようになる。 そんな成功者に多い趣味のひとつが将棋。吉田拡郎はかなりの腕前だ。 彼と対局したことがある東京報知の正永岳宏記者(元東大将棋部・部長)は「6回対戦して2度負けました。かなりの腕前でしたし、急所を突いてくるのが上手でした」とアマチュアでは相当なレベルだと証言していた。 レースの方は2014年にSGを勝つまではスリット勝負だったが、近年は道中のライン取りがうまくなり、展開を見極める力も身につけた。 柔軟さが加わった今、2個目のビッグタイトルへ視界が開けてきた。

「児島愛」を貫いて、地元へ恩返し

剣道2段、将棋もプロ並みの腕前…。そんな吉田拡郎が、なぜボートレーサーを目指したのか。昔、聞いたことがあった。 「高校の時に、森定(晃史)と友達になって、それから児島ボートにレースを見に行くようになった。何度か(森定と)一緒に行った」。 人生、何があるか分からない。選手を目指していた友達=森定の勧めでレースを見て、現在の職業を選択するとは、まさに不思議だ。 吉田を語る上で、忘れられないのが昨年7月のこと。 SG若松オーシャンCを優出2着で終えた翌日、児島ボートを訪れ、「倉敷市西日本豪雨災害義援金」として賞金の一部、500万円を寄付した。 倉敷市は生まれ故郷で、他人事ではなかった。地元を愛する気持ちが実り、今年6月に児島で周年記念初優勝を飾った。 SGメモリアルはもちろん、児島推薦で出場。今度は結果で地元に恩返しする。

『スタンド映え』するレーサー

「やつには敵わない…」。幾度聞いたことだろう。スタートで勝負しようにも「あれだけ伸びられたらやりようがない」という声だ。それも記念レーサーが発している。コース取りを含めバランス全盛の時代に『偏った手法』、つまり明確な戦法を駆使する真の勇者だ。初のG1を取った九州地区選でみせた『3カド』をはじめ、「求めたら伸びはくる!」と語る方法論は自らが編み出した。今や多くの後輩の手本となっている32歳は実に頼もしい。大村メモリアル出場により、SGは戸田クラシック(優出3着)、多摩川グラチャンに次ぎ3回目。今回は地元開催だけに俄然期待が大きくなる。…が、いつも通り走るだけ。奇をてらうこともスタンドプレイもないだろう。そもそもが、『スタンド映え』するレーサーなのだから。その志でファンの感動を呼べる稀有なプロフェッショナル…、それが桑原悠である。

長崎支部待望のスター候補が素質開花中

ブレイクは突然訪れた。2月の芦屋九州地区選。 初日から圧倒的なパワーで優勝間違いなし…のムードだった峰竜太を準優でまくり撃破すると、優勝戦も伸び仕様にして3カドに持ち出してのまくりを決め、2回目の優出でG1戦初制覇。 この優勝で権利を取った3月の戸田クラシックでも物怖じしない走りでSG初出場初優出。 G1戦優勝直後の津周年でも初日から3連勝するなど、わずか2カ月足らずの間に一気に全国のファンに名前を売った。 なかなかスター選手が育たない長崎支部だが、桑原は養成員時代、山田康二や前田将太と同期の102期で勝率は5位、リーグ戦優出はトップの7回、優勝も2回飾り修了レースは優出3着。 前田とはお互いをライバル視する間柄で、将来を渇望された逸材だった。 今年の好調さは決してバブルではなく、元々高かった潜在能力がようやく開花しようとしている。

優しい笑顔の御当地ニューヒーロー

桑原悠。近日のブレークより少々前の正直な印象は…。優しげな面立ちと人の良さそうな話し口…、ゴリッとした押し出しがなく…、欲がなさそう?ターンはうまいが戦形は一般戦でもさばき寄り。 特別戦で成り上がるには苦労するタイプかな?と申し訳なくも思ったモノ。 それが今年は九州地区選を3カドまくりV。戸田クラシックではSG初出場で優出の離れ業だ…。 そこで同期の上條嘉嗣選手に改めてその桑原の人柄を聞いてみた。「優しくて面倒見がいい。でも、正直もっと大雑把に物事を考えている人かと思ったら…、思った以上に仕事に対してストイック。へ~、そんな事考えて仕事をしているんだって事を思わされる」の言葉。近しい人にしか見せないが、気は優しくても芯は強しというタイプなのだろう。折れない心で鍛えた技と、優しい笑顔の御当地大村ニューヒーロー。熱走に声援を!

本格化の地元ナンバー・ツーに注目!!

東海地区をメインに活動していると、どうしても九州地区の若手を発掘するのが遅れてしまう。それでも、鮮明に覚えているのが桑原悠。 2011年10月にA1勝負で蒲郡へやって来て大暴れ。初参戦とは思えないキレッキレのスタートとターンでデビュー初V(5コースまくり差し)を飾った。 「この選手は記念に斡旋されるようになったら追いかけてみよう」と狙いを定めたが、G1の壁に何度もハネ返された。やがて16年には腰を痛めて降級。3期ほどA2に甘んじたが、エンジン出しを身につけA1に返り咲いた。 18年7月にA1へ返り咲く前はG2以上を35節走り予選突破は6度、それ以降は10節で4度の準優入り。九州チャンプに輝き、クラシックでも銅メダルをモノにした。 勲章もさることながら予選突破率は前者の17.1%から40%に上昇。確変した長崎ナンバー・ツーは必見だ。

攻撃スタイル貫き、地元SG初出場へ

現代のボートレースを表すなら…。枠なり、イン有利、出足型エンジン。昔とはレース形態が大きく変わり、1枠重視が主流と化している。そんな時代でも、桑原悠は攻撃スタイルに挑む。 独特のペラ、本体調整に取り組み、チルト角度もマイナス0.5度から0度、0.5度に上げて…。努力を惜しまなかった成果が、今年になって開花した。 2月G1芦屋の九州地区選手権で、初めて記念制覇を飾った。優勝戦の3カドまくりも素晴らしかったが、準優勝戦がすごかった。1枠峰竜太に対し、3枠から5カドを選択。豪快にまくって、全国に名前を売り出した。その勢いで3月SG戸田クラシックの出場権を得て、見事にSG初出場初優出(3着)した。 その頑張りが認められて、今回のメモリアルは地元大村の施行者希望枠で選ばれた。ホームプールでも攻めに徹して、結果を出す。

見えない肝心なことを知る人

『星の王子さま』の作者サン・テグジュペリ(フランス)が残した数々の名言の中に「肝心なこと、大切なことは見えない」がある。 現象の背景にこそ真理があるという人生の教えだ。ボートレースも同様だろう。水中のプロペラの動きは想像するしかないし、選手の心理も推し量るしかない。 そうしたこの競技の深みの伝道者が重成一人である。プロペラについて、「ギアの役割をしている」とか「どこでつかんで、どこで逃がすか…」など玄人好みの話をするのがいい。 何でも単純化する時代にあって、複雑なものを複雑なまま提示してくれる。だからこそ、そこに何があるのか、見る者の追究心が生まれる。 重成一人の言葉は謎に満ち、想像の翼を広げさせてくれるものだ。 10年連続のオールスターを支えているのは、ボートレースの面白味や醍醐味を求める熱心なファンであることはいうまでもない。

SG戦初制覇が待たれる香川支部のエース

2世レーサーにして親子ともどもイケメン。そのクールな表情とは裏腹に、実はしゃべらせるとまるで別人。 トークショーなどでは、ファンがおなかを抱えて笑うほどの芸達者でもある。 香川支部は安岐真人、平尾修二ら過去6人のSG覇者を輩出しているが、2013年チャレンジカップ優勝の森高一真を最後に、もう5年以上もSG戦制覇から遠ざかっている。 次にタイトルを…が期待される筆頭は言うまでもなく重成。これまでSG戦出場は66回で優出は6回。準優勝が2回あり、頂点はすぐ目の前にある。 オールスターも10年連続10回目の出場。 女子レーサーの台頭でオールスター出場は狭き門になった今なお、これだけ人気を博しているのは、間違いなく地元丸亀ファンの期待の大きさを表している。

一人我が道を行く艇界の『トリックスター』

『トリックスター』…。旋回戦術的なトリッキーさ、陸での奇抜なコメント。重成一人を称す言葉の一つかと思う。 当人的には綿密な理論の走りでも、感覚を共有できない立場からでは異能と映るそのレースセンス。 記者の目にも肌感覚で走る感性型のレーサーという印象は強い。関わりの深い香川支部の選手達に重成の印象を聞くと…。 川上清人「自分は新鋭のころによく一緒に走りました。失敗もあるけど、はまればゴツい」。 某若手選手は「天才型だけど、誰にも分け隔てなく技術を教えてくれます。ただその理論が難しい(苦笑い)」。 新鋭の木谷賢太は「お手本みたいな人。人気にしっかり応えていける強さを見習いたい」の声。 独創性の強さに対する憧憬、畏怖を得るのはトリックスターのらしき性質?  カタにはまらない奔放なスタイルで、凪(なぎ)のスタイルに慣れた近代ボートにひと嵐を。

15年前にブチ抜いた博多でSG初Vだ!!

6コースからGⅠを勝つ。なかなかレアなケースで2000年以降、ほぼ20回しかない。 ほぼ“ネンイチ行事”になっているが、特に新しいGⅠウィナーが誕生すると「さあ次はSGだ」と期待が膨らむ。 重成一人は2004年に福岡周年を大外からブチ抜き記念ロードでは欠かせない存在になった。 80期では4番目だった。その後はGⅠを5つ追加したが、まだSGには届いていない。 それ以上に不思議なことがある。これまでに66回もSG出場を果たしているが、ダービーだけは出場したことがない。 あれだけのテクニシャンでありながらである。海外のブックメーカーなら「重成がSGを勝つのが早いか、ダービーに出るのが早いか」を賭けの対象にしてしまうだろう。 ちなみに、僕なら前者を全力買いです。

「個性」をさらに極めて大会連続優出へ

オールスターは10年連続の出場。ファンは、卓越したターン技術を認めているからか。 しかし、それだけではないと記者は勝手に想像する。 重成一人と言えば、抜群のルックスに加えて、ヘアースタイルにも独創性が強い。 何が違うって、ピットで会う度に髪型、色が違うから驚きしかない。新聞社には資料写真が残っていて、選手ごとに撮影された写真を多く保存している。 そこで重成を検索すると、見事に髪の毛の色が違う写真ばかり出てくる。そんな「個性」を持った重成は、エンジンについてのコメントもかなり独特だ。 実は、じっくり話を聞いてもなかなか理解しづらい時があると、分かりやすい言葉で改めて説明してくれる。 「個性」が強い中に優しさも兼ね備え、記者やファンに対しての対応力は素晴らしい。 16年大会(2着)以来の優出へ、こだわりを前面に出す。

自力と他力の意味を知る

「見ていてください」。守屋美穂がしばしば口にするフレーズには意味がある。 「応援してください、は何だかおこがましい気がして…」とは本人の弁。がんばるのは自分。 ファンにリクエストできることを突きつめた結果が、かの言葉である。 加えて、レースは複数の要素が絡み合う世界。実力だけで論じられないものもある。 時折「運がよかったです」と語るのは謙遜ではなく本心。 自力と他力の意味を知る者の言葉は重く、レースに明確に表れていると言っていいだろう。 不利な状況を生まないスタートや接戦時の全速外マイなどはその典型。まずは人事を尽くすのだ。 とりわけ、接戦時の全速ターンは素早く角度をつけて折り返す豪快さと堅実味を併せ持っている。 必見だ。そうだ。ファンは見ている、いや見る価値を感じている。 オールスターでこそ守屋美穂の『準備と取り組み』を堪能したい。

名門岡山支部の将来を背負って立つママドル

守屋美穂のSG出場は今回の福岡オールスターが2年連続3回目。 女子では6番目、全体でも21番目の得票数を獲得しており相変わらず人気は高い。 2015年2月から1年2カ月の産休も経験しているが、ママになった今なお、産休前と変わらぬ強さを発揮。 女子4大競走の実績はクイーンズクライマックスが出場3回で優出2回。 レディースチャンピオンが出場6回で優出なし。 レディースチャレンジカップは3回の出場で2回優出し、昨年の芦屋大会を予選トップからの王道で優勝。 レディースオールスターは出場3回で優出なし。 2015年と2016年は産休の関係で女子4大競走には1回も出場していないが、それでもこれだけの実績を誇っている。 SGでは昨年の尼崎オールスターで水神祭は済ませた。 次の目標はSG初の予選突破だ。

ギャップとさばきの女子花形レーサー

守屋選手がデビューして間もない頃。戸田ボート前検の慌ただしいピットで、モーター取材の為に初見の守屋選手を探し回った記憶がある。 下調べの情報で『女子ウエイトリフティング競技選手権大会・優勝経験者』のイメージが頭にある。 先入観でパワフルそうな女子選手は…と探すのだがなかなか見つからず。登番ワッペンを頼りにようやく本人と対面。 小柄でかわいらしいその風貌に、結構なギャップを覚えたことを未だに覚えている。 どちらかというと物静かなタイプで、レーサーとしても冷静沈着なソツのないさばきが印象。 選手としては後輩である兄の大地選手に聞くと「兄妹だからどうこうではなく、ただ一人の選手としてすごい選手と思います。 いつかは同じステージで走れたらとも思います」とのこと。 兄の純粋な思いに応えるためにも『名は守りでも姿は攻め』、挑戦者の熱い走りでSG戦も沸かせて欲しい。

SGで最高のギャップを演出するか!!

守屋美穂に感銘を受けたことがある。5年ほど前の2014年、記者席で仕事をしていた時にJLCの女子レーサーを特集する番組(ビューティフルドリーマー)が流れていた。 最初は“ながら視聴”だったが、やがて手を止め、いつしか食い入るように観ていた。そこには空中ブランコに挑戦する本人の姿があり、限界に達しながらも見事に成し遂げた。 あのシーンを見て、本業でもいつか大仕事をする選手だと直感した。 放送後にオールスターでSG初出場、自己最高アベレージもマークして「これから」という時に産休したが、復帰から3年の月日を経てたくましくなった。 元々、学生時代は吹奏楽部からウエイトリフティングに転身して全国大会を制するなど、プラスの意外性を持っている。大舞台で発揮するチャンスだ。

「苦労」を乗り越えて3度目のオールスター

高校時代はウエイトリフティングで女子No.1。 鳴り物入りでボートレーサーになった守屋美穂が、3度目のSGオールスター出場。 そんな守屋とは苦い「思い出」がある。 約8年半前の10年11月、女子レーサーの素顔を紹介する紙面企画で、津ボートの宿舎へお邪魔した。 そこで私服に着替えて、何パターンか撮影させてもらった。 前検日の夕方に取材を終えて、さあレースが始まったら…。 当時の津は季節の変わり目で風の強い日が多く、初日と5日目にまさかの節間2本フライング(ともに集団)を喫した。 その期(11年後期)は一気にB2級へ陥落…。残念ながら紙面企画もお蔵入りとなり、申し訳ない思いが今でもある。 そんな苦労人は昨年、G2レディースチャレンジCを制すまでに成長した。 地力を確実に付けて、今度は男子のトップレーサー相手に結果を出す。

『特殊×特殊』の人

枠なりが主体の時代にあって、相手構わないコース取りと独特な調整を駆使するレーサーがいる。 石川真二だ。その石川を巡りこんなことがあった。 昨年7月の若松オーシャンCで幾人ものSGレーサーが苦心惨憺(さんたん)もがいていたが、そのほとんどが『石川流』に戸惑っていた。 というのも、オーシャンC直前の若松に石川は参戦。 節間中、自らのノウハウについて同節を走っていた何人かにアドバイスしている。 実際、それを取り入れ結果を残した者もいたのだ。 本体や燃料系が混然一体となった調整は『プロペラをこうすればこうなる』というような単純なものではない。 特殊なプロペラには特殊なやり方が必要。『特殊×特殊』にSGレーサーは困惑していたのだ。 後日、石川にそのことを伝えるとニコリとほほ笑んだ。自信があるのだ。数々の失敗と模索から生まれた自信ほど確かなものはない。

ファンも支持!進入から目が離せぬ個性派

大病からの復帰や支部の移籍など、石川真二のレーサー人生は決して平穏な道のりではなかった。 いつしかイン屋に転向し、独特のペラ形状から繰り出すスーパーピット離れで進入からレースを大いに盛り上げる存在。 選手の没個性化が進む中、その個性がファンにも認められ、49歳にしてついにオールスター初出場を決めた。 実は選手間では石川ペラの信仰者は多く、直接教えを請うために自宅を訪れる選手もいれば、 石川が乗った直後のエンジンを引いてペラゲージを作り、ピット離れが武器になった若手もいる。 これまでSG出場は33回あるが、昨年10月の蒲郡ダービーが初優出。 48歳6カ月でのSG初優出は、あの万谷章に続く2番目の年長記録でもあった。 ファンの後押しで出場がかなったオールスターでも、必ずや見せ場は作る。

飽くなきチャレンジ…『スローの鉄人』

『スローの鉄人』。レーサー石川真二に異名をつければ、安直すぎるがやはりこのフレーズかと思う。 単に内寄りを奪取しての巧腕戦、レースぶりだけを指して言う言葉ではない。現代ボートシーンで内寄りを奪い続けるスタイルに擁す精神力は当然。 またそれを可能とするオカの上でのたゆみのないペラ研究は、現状のスロー・イン屋達の中でも一線を画すイメージだ。 同じスロー型の中でも、石川はいわゆる顔でコースを奪い深水域のたたき合いに持ち込む『前付け』だけに甘んじないタイプ。 ピット離れで飛ばして「あの離れでは仕方ない」と言わしめる、自力型のスロータイプという姿勢を貫いている。 「優勝戦は悔しい思いもしたが、ダービー優出(昨年蒲郡)で自分もまだやれるのを感じた」。自らのスタイルがどこまで届くのか、 最高峰SGへと突きつけるスロー屋の意地。その挑戦に注目だ!

個性貫きファンからの認定書を授かる!!

自在性を極めることが、現代ボートレースの成功例になりつつあるが、石川真二は個性を打ち出し結果を残して来た。スーパーピット離れをベースに積極的なコース取りを実現させるため、独特のチューンナップを貫く。また、ストイックな姿勢はモーター出しだけではない。直線を向いた時に“伏せ込む”乗艇姿勢は、1cmでも前に行きたいという意志が伝わって来る。水面際で石川のレースを観ると、まるで無人のボートが走っているようだ。昨秋の蒲郡ダービーはSG32度目の挑戦にして初めてファイナリストに名を連ねた。準優までは個性が全開に輝いていたが、最後は何もできなかった。最大視聴率を誇るSG優勝戦で力を出せなかったことは悔しさしかなかったハズだ。

孤高を貫き、初のオールスター出場

人間は誰1人として同じ人生を歩まない。しかし、石川真二ほど、波瀾万丈のレーサー人生を歩む人は少ないだろう。 06年に年間9度の優勝を果たして、97年10月のからつダービーでSG初出場。 しかし、デビュー11年目の01年に「ギラン・バレー症候群」という病気を患い、生命の危機に陥った。 それでも、驚異の回復でレースに復帰すると、12年にまたも年間9度優勝を飾った。 11年には愛知から福岡支部へ転籍。14年9月に全国24場制覇を果たす。 貪欲なペラ調整で強力なピット離れを追求して、全国各地でシビアなコース取りを展開する。 ピットで話すときの表情は穏やかだが、いざ水面に出ると孤高の戦いを貫く。純粋に勝利へこだわる。 その思いがファンに伝わり、デビュー30年目で初のSGオールスター出場にこぎつけた。

『清らかな攻め』が存在する

ボートレースは公営競技でありファンの多くは勝ち負けを予想している。選手が勝負師であるようにファンもまた勝負師である。 では、『勝負は結果がすべて』なのだろうか…。いや、『プロセスへの期待』があるのではないのか、そう思えてならない。 そもそも結果がすべてならレース観戦の必要はない。後刻、数字を確認すればいい。 しかし、どんな戦い方をするのか、見なくては気が済まない選手がいる。代表は竹井奈美だ。 オールスターは3年連続4回目。今回選出15位ながら、投票数だけなら11位。ここにファンの気持ちが集約されているばかりか、『プロとは何か』の答えがある。 『勝ち方に対する期待』だけでなく、『負け方への憧れ』の体現者が竹井。 その攻めるレースは穢(けが)れがない。勝っても負けても清々しい。こう生きたいと願うファンが、人生を重ね合わせたくなるレーサーなのだ。

将来は弟・貴史と姉弟でのSG出場を目指す

オールスターでは女子レーサーの出場人数が制限されるようになったが、そんな中でも竹井は3年連続4回目のオールスター出場を決めるなど、とにかく人気は抜群。 サッカーの超名門校・東福岡高サッカー部のキャプテンを務めた弟・貴史も姉の後を追って選手になり、姉弟そろってA1級で活躍中。 姉はオールスター以外にもオーシャンカップ出場があり、SG出場は過去4回。弟も成長過程にあり、いずれ史上初の姉弟同時SG出場の楽しみも残している。 自宅から一番近いレース場は若松だが、デビューも初優勝も今回のオールスターの舞台・福岡。その初優勝は好枠独占の遠藤エミ、松本晶恵をまくるインパクトのある勝ち方だった。 SGでは苦戦を強いられてきたが、得意の福岡が舞台なら、旋風を巻き起こす可能性は十分にある。

朗らかなレディーファイター

『好青年』。若い男性に対し使うイメージの言葉ですが、意味合い的には性別を問わずに感じのいい若者全般を称して使う言葉だそうです。竹井選手の人柄を一括し表すなら、ちょっと違和感はありますが『好青年』こそが相応しいでしょうか? 人気選手となっても真摯(しんし)さを忘れないメディア対応。素の会話でも衒(てら)いのない自然な雰囲気は、接する人に好感を抱かせます。 選手像としては…デビュー当初から旋回センスは光りましたが、ガーンと一気に強くなったというよりは、山あり谷ありを乗り越えての今。「デビューして9年(間もなく10年)ですもんね。意外と年食っとー、と言われます(苦笑)」 朗らかな人柄はそのままに、しっかり地力をつけ女流屈指のファイターステイタスを築きつつある。強さだけではない愛され資質?オールスターでも存分にひと花咲かせてもらいたい!

20代最後のSGも攻めの姿勢は崩さない!!

日本一の大所帯である福岡支部は、ベテランから若手までA1選手であふれている。 女子も日高逸子から大山千広まで幅広いラインアップだ。デビュー20期目を迎えた竹井奈美も負けじと踏ん張っている。 9期前にA1へ初昇格してからは2度のA2陥落を経験。だが、翌期には2度とも自己最高アベレージをマークしてステップアップを果たして来た。 そして、竹井にとって1期先輩で1歳年上の小野生奈は前を行く偉大な存在。女子の第一人者に成長してSGでも通用することを証明している。 そんな小野が初めてSG予選の壁を突破したのが5度目のSG出場となったオールスター(2017年福岡)。 竹井も回を重ねて今回が5度目のSG挑戦となるだけに、地元の声援を背に攻めの姿勢を崩さない。

持ち前の攻撃力を生かす竹井奈美

18年度のボートレース界は、売り上げが1兆3700億円を超えて活況にわいた。その売り上げの約10%が女子戦。 遠藤エミ、小野生奈ら男子相手でも通用する女子が増えた中、竹井奈美は必死にもがいている。 センター、アウトからの攻撃ターンが魅力で、印象的だったのは昨年10月住之江ヴィーナスシリーズ優勝戦。 2枠で臨み、1枠には大山千広が構えた。断然人気を集めた同郷の後輩に対し、竹井は2コースからコンマ05と踏み込み、強ツケマイ!一瞬の判断が見事に決まった。 SGオールスターは4度目の出場。15年大村、17年福岡、18年尼崎と過去3度は全て予選落ちと、男子相手に結果が出ていない。 しかし、今回の舞台は地元福岡。独特のうねりを突破するには、鋭いターンの切れ、ペラや本体調整のマッチが要求される。地の利を生かしSG初の予選突破を狙う。

再生した『まくる濱野谷』

人は、かっこよさに憧れるが、かっこよさの定義とは何だろうか。むずかしい命題だが、定義はなくとも答えがある。濱野谷憲吾だ。 1997年の常滑大会から今年まで23回連続で選出され続けているオールスター男は、新進気鋭の20代も、地位を確立した30代も、熟練期の40代も、人を惹きつけ続けている。その魅力は、周囲や流行に流されることなくスタイルを貫ける意志にある。おまけに、群れずに自立しているからなおかっこいい。 ただ、そんな濱野谷にも不調はあった。2015年6月から3年間、G1タイトルから遠ざかっていたのだ。その間、『まくらない濱野谷』と言うファンもいた。しかし、自らの反省と意志で攻撃力を回復させ、昨年6月の丸亀周年や10月の高松宮記念Vにつなげてきたのだ。 凄みがある。ファンが待っていた『まくる濱野谷』の再来。それは福岡の水面でこそ期待される。

出世舞台の福岡でオールスター初Vにトライ!

ケンゴの出世物語を語る上で絶対に外せないエピソードはSG戦初出場だった1996年10月の福岡ダービー。予選突破がならなかった終盤に2日連続で転覆の洗礼を受けた。 しかし、ケンゴの評価は下がるどころか、逆にうなぎ登り。「福岡の難水面にひるむことなく果敢に握って回る、すごい若手が出てきた」というわけだ。 その2年後、舞台は同じ福岡ダービーでケンゴはSG戦初優勝を飾る。2日連続転覆の雪辱を果たすドラマチックな優勝でケンゴは真のスターになった。 今年のオールスターの舞台も福岡。ケンゴは1999年から13年連続でドリーム戦出場(すなわちファン投票6位以内)の人気者で、さらにオールスターは5年連続を含む優出7回。まだ優勝していないのが不思議なほどの相性の良さだ。 復活を遂げた今、全国に名を売った思い出の福岡でオールスター初優勝に挑む。

愛される『東都のエース』!

『東都のエース』…。20年近い間ですっかり耳に馴染み、濱野谷の固有名詞としか思えないほど定着したニックネーム。長いスタープレイヤーとしてのキャリアの中で、栄冠も賞賛も…無念も野次も、多くのものを『東都のエース』そのフレーズと共に併せのんできたはずだ。 それでも一流にありがちな気取りは少なく、オーラはあるが基本朗らかな人柄で、接っすれば自然体。少なくとも人目に『東京代表』と気負い過ぎを思わせることもない男だ。 「ボートは結局レース場に行けば個人競技だから…」、正直メディアの『東京の顔』という持ち上げ方よりは、個で戦うボート競技の本質に沿った考え方をしている選手でもあるように思う。 そんな濱野谷も今年はマスターズデビューという年齢。復権の昨年から挑んだ今年SG初戦は、まさかの得点日非常識F…。 再度態勢を整え福岡オールスターへ挑みたい。

今年はSG戦線で完全復活をアピールだ!!

昨年は丸亀周年で節目となるG1戦20Vを飾り、10月の高松宮記念(住之江)も優勝。 G1通算92優出から算出すると優勝率は23%だ。ところが、SGでは通算38優出4優勝。確率論からすると「勝負強い」カテゴリーには入らない。 また、SGの優勝戦には1号艇で5度も駒を進めたが、栄冠に届いたのは2000年のチャレンジカップ(住之江)のみ。絶好機を逃してきたもどかしさがある。 だが、濱野谷のレースには華がある。彼でなければ乗り越えられなかった準優勝戦はいくつもある。SG優出回数が多いのは、むしろ地力が高い証し。 そんな優出名人が14年のグランプリシリーズ以来、ファイナリストから遠ざかっている。実に丸4年以上だ。誰もがSGでの完全復活を待っている。

東都のエースが今年も魅せる!

24歳の若さで福岡ダービー(1998年)を優勝するなど、ここまでSG通算V4を誇る〝東都のエース〟。 漫画「モンキーターン」の主人公・波多野憲二のモデルとしても有名な濱野谷は45歳になっても変わらぬ華やかさを持つ。 昨年は6月のまるがめ66周年、10月の住之江・高松宮記念でG1戦V2。年末のグランプリには選出順位14位で8年ぶり12回目の出場を果たしたのが記憶に新しい。 今年に入ってからは地元の平和島で幸先よくV発進。予選落ちした2月の関東地区選や、戸田クラシック予選最終日でのFは残念だったが、すぐに気持ちをリセットして反撃に転じてくると信じたい。 2019年の〝濱野谷劇場〟の幕はまだ上がったばかり。今後のさらなる活躍を願わずにはいられない。

37期連続A1の超安定勢力!

どの世界にも『名わき役』がいる。俳優はいうまでもないが、好投手を支える捕手や難しい手術をサポートする助手など枚挙にいとまがない。 脚光を浴びる主体ではないが、ともすれば中心人物よりも力量があり要所を押さえる存在である。ボートレース界では角谷健吾だろう。静かにファンに貢献し続ける男だ。 デビューは1992年11月、2走目で水神祭を飾ったが、事故とフライングもあり前途が心配された。しかし、8期目にはA2に昇格。その2年後にはA1に上がり、現在37期連続A1としている。 G1V1でSG出場が20回止まりだと侮ってはならない。真の実力者である。20代後半、「小さく速くスムーズに旋回したい」と理想を描いていたが、そのイメージを今なお追求していることはレースで分かる。 センター戦の強さはその表れである。徐々に濃く深くなっていく人間像…。角谷健吾は名だたる茶器のようだ。

クラシックは地元グラチャンへの勝負駆け

昨年はG1の斡旋が多く、多摩川周年では準優Fもあった角谷だが、一般戦では13回優出し、優勝が6回。そのうちインからの優勝は3回のみで、イン以外でも3回の優勝を飾って勝負強さを発揮。 2017年の平和島ダービー以来、1年5カ月ぶり21回目のSG戦出場を決めた。そのクラシックの舞台は戸田。 2000年2月の関東地区選でG1戦出場7回目、2回目の優出で唯一のG1戦優勝を飾った思い出の水面でもある。 当時はまだ27歳という若さで、4コースからのまくり勝ち。戸田はこのG1タイトルも含め、5回の優勝を誇る好相性の水面。 SG戦ではまだ優出がなく、もし今回優出すれば46歳3カ月でのSG初優出は歴代4位の年長記録になると同時に、6月の地元多摩川グラチャンの権利も獲得することになる。

東都代表の3番バッター?!

昨年マスターズCの出場年齢が45歳に引き下げられ、『この人がマスターズか~』と意外な時の流れを感じさせられた参戦者が複数いたと思う。 中でも自分にはこの角谷選手が特にそれを感じさせた一人。 当人に『角谷さんがマスターズって、何か違和感を感じます』と話しかけると、「自分でも違和感しかないですね(笑い)」の答えが返ってきた事を記憶している。 風貌の若さもあるが、2001年前期からA1級をキープし続け高値安定のアベレージ、調整力を骨子とした硬軟合わせたさばき型の戦形、スタンスにブレがなく46歳という年齢からの衰えを感じさせない。 長らく東都圏の3番バッター?的な存在の角谷だが、ただそろそろ欲しいのはやはり記念・SGでの特大ホームランのはず。 クラシック舞台の戸田は00年地区選制覇の思い出の地でもあり相性もいい。快音響けばこの水面こそか!

円熟期を迎えSG最高成績を残す時だ!!

ひとりのボートレーサーを振り返る時、注目するポイントがある。いつがピークでいつがどん底だったのか。 角谷健吾はそれを判断するのが難しい選手だ。何しろ初めてA1に昇格してからの41期間、常に安定した勝率を残してきた。 たった1度だけギリギリボーダーに届かなかった半年間がある。それが2000年にG1タイトル(関東地区選手権)を取った年時だったのは不思議な結果だ。 反対に最高値は3期前の7.58。かつてはスタートとスピード任せだったが、マスターズ世代となり円熟期を迎えた。 昨年は6優勝を挙げ、21度目のSG切符を手中。今が一番強いのかもしれない。 クラシックの舞台となる戸田はG1Vのメモリアル水面で、一般戦も4V。このSGに懸ける思いは強い。

戸田はドル箱水面。攻勢をかけろ!

長きにわたりA1をキープし続けるベテラン角谷が気合を入れ直して一発を狙ってくる。 昨年のV6達成で権利を獲得した3年ぶり5回目のクラシック出場。再び訪れたこのチャンスにモチベーションは高まる。 過去のSGでは予選をクリアできても準優止まり。優出経験は一度もないだけに、ここらで男を上げたいものだ。 舞台となる戸田は2000年の関東地区選でG1初Vを飾るなど優勝実績が豊富な好相性の水面。 戦いに勝つ術を熟知しているレース場のひとつであり、それが大きなアドバンテージになること間違いなしだろう。 いいエンジンでも引き当てればなおさらのこと楽しみな存在になる。 タイトル奪取に燃える46歳の速攻派レーサーに熱い視線を注ぎたい。

香川の『奥ゆかしい人』

『ゴシ』と呼ばれている中越博紀には静かな存在感がある。 昨年1月の大村G2モーターボート誕生祭で、峰竜太をはじめSGタイトルホルダー5名を相手にインから逃げて優勝。 「意識するとメンタルで負けそうなので何も考えないようにして」初のSG出場権を得た。 しかし内心、「これが最後のチャンス…」と思っていたという。 「戸田は、1マーク先手必勝の水面。2マークは操縦性が重要」と語るが、元来センターから果敢なスタートで展開をつくることが多い。「地に足をつけて戦っていきたい」とは、結果を怖れず自分らしさを通す宣言だろう。 そして、「最初で最後のSGという気持ちで、自分の全部を戸田においてきたい!」とも語った。 喜びや悔しさをあまり見せない中越博紀が初めて言葉を鮮明にした。 檜舞台のSGボートレースクラシック、奥ゆかしい『ゴシ』の歓喜の発露を見てみたい。

まだまだ伸びシロが十分ある遅咲きの努力家

93期の島崎豊教官によると訓練生時代の中越は、「大人しくて目立たない存在だったが、後半にかけてメキメキと上達。コツコツと努力するタイプだった」とのこと。 デビュー時に騒がれたわけでもなく、出世も決して早くはなかったが、昨年1月、大村MB誕生祭を予選トップから王道優勝して、その名をアピール。 G2戦とはいえ峰竜太や桐生順平、菊地孝平ら下しての堂々たる初タイトル獲得だった。 G1戦ではまだ優出がなく、また、ここ数年はA1級とA2級を行ったり来たり。冬場に強く、夏場に成績を落とすパターンが続いているが、逆に考えれば、まだまだ伸びシロは山ほどあるということ。 これまでのようにコツコツと努力を積み重ねて、さらに飛躍して欲しい。初のSG戦はいい経験になるはずだ。

93期のSGニューカマー

同期の絆…。良く耳にする言葉だが、今回SGに初参戦する中越博紀の立ち場を思えば、なるほど大切なモノだと改めて思う。 戸田クラシックには93期勢は中越を加えて3名が参戦。残る2名は…長田頼宗に馬場貴也とボート界屈指の好青年コンビ。 戦友ともなる長田に中越の印象を聞くと…「緊張しいだけど、身内では割と調子乗りな所もありますね(笑い)」。 その辺りの心の機微も良く知るだけに、クラシックでは「頑張れと言っても緊張させるだけ。馬場選手と一緒にワイワイやって、足でも引っ張ってやりますか。あいつには簡単には稼がせませんよ(笑)」と、冗句の中に親しみのこもったエール。 独特の空気感があるSG初戦に、ピットでの身の寄せ所と情報源がある強みは大きい。同期の支えが心技の柔軟性を保つ一助ともなるはずだ。肩の力を抜いて、全力を出し切るSG初陣を飾ってほしい。

A2から出直し大舞台で下克上だ!!

7年振りに行われる今春の戸田クラシック。一番最初に権利をゲットしたのは中越博紀だ。 優勝した昨年1月のモーターボート誕生祭は中越以外のファイナリストは全てSGタイトルホルダー。そんな強者ばかりを相手に得点率トップ通過から堂々と押し切った。 また、この期はアベレージも自己ベストにコンマ02まで迫り、充実期を迎えていた。ところが、前期はA2に陥落。最後まで突破口を見つけられなかった。 仕切り直しとなった今期はA1返り咲きペース。待ちに待ったSG参戦については「A2で参戦する負い目はありますけど、今の力で挑戦するしかない。 実力不足なのは自分が一番分かってます」と腹を括っている。小細工が利かない戸田水面は思い切りが重要。覚悟は負けていない。

SG初登場! 奇跡を起こせ!

2003年にデビューして選手生活15年。SGとは無縁の〝裏街道〟を歩んできた中越が夢にまで見た檜舞台に立つ。 昨年1月の大村「モーターボート誕生祭(G2)」の優勝でクラシックの出場権を獲得し、34歳になって初めてのSG挑戦。期待と不安が入り乱れているだろうし、普通に考えれば厳しい戦いが待っている、といえるかもしれない。 しかし、ボートレースは腕はもちろん、エンジンの仕上がり度の善し悪しが明暗を分ける競技。足がよければ下克上も起こる世界だけに〝可能性〟はゼロではないのだ。 誕生祭で破った対戦相手は峰竜太(2着)、菊地孝平(3着)、辻栄蔵(4着)、桐生順平(5着)、森高一真(6着)とグランプリ覇者を含むバリバリのSGレーサーばかりだった。 そんな強敵を下してきた自信を胸に再び一発を狙ってもらいたい。

たまにはけんかに負けてこい

『たまにはけんかに負けてこい!』。博多名物「にわかせんぺい」の有名なコピーである。 およそ50年経つが、これほど記憶に刻まれるCMも珍しい。 野性味がありながら、どこか品があり意志が感じられる。『父は息子の強さを知っている。強いのはいい。しかし、それ以上に勇者であれと願う。強い者に立ち向かう人であってほしい。負けを恐れるな。敗れて知ることもある』という教え…。なぜか赤岩善生とつながる。 「器用じゃないし、レースもうまくない。だったら、勝てる何かを身につけようと整備に打ち込んできた」と言う。 赤岩は父親を尊敬しているし、「勝てる勝負だけするのは自分の流儀に反する」とも語る。 強面なのにどこか哀愁がある。強いのに脆さも併せもっている。この人物の魅力だ。 「結果が大事」と赤岩が言えば言うほど、結果の裏付けとなるプロセスを語ってくれる男なのである。

妥協を知らぬプロ根性はボート界随一

SGタイトルこそ1勝のみだが、全国24場全場制覇をはじめ、3期連続を含む期勝率8点台が7回、年間V5以上が10回、完全優勝が現役では今村豊の12回に続く10回など、抜群の実績を残してきた赤岩。 その最大の武器は2つ。「妥協」を知らないメンタルと「執念」という言葉がふさわしい「本体整備」だ。 勝てるレースは全て勝つ。 妥協なしのメンタルは完全優勝10回と記念常連でありながら、谷間の一般戦での優勝率の高さに表れている。 また、今時、SG戦でも本体整備に着手する選手は少なく、ペラ中心の調整の選手がほとんどだが、赤岩だけは前検日から整備室にこもりっきり。 赤岩が乗ったモーターは本体自体が上昇するので次節以降も上位機の仲間入りをしていることが多いことにも感心させられるほどだ。

心技一徹! ボートマイスター

先の3Days完全V後には「自分には派手さはないけど、地道さはあるから」と口にした赤岩善生。 こわもての派手なルックスに目は行きがちだが、レーサーとしての在り方は努力研鑽の人。 全節完全整備の信念で築き上げた『整備巧者』の看板は、自らの勘と手腕を磨く部分も当然ながら、 自身のフィールドを他者に認めさせる面でも強く機能する。「昔は俺が整備をしようとすると、色々言う人もいたけどね…」。 今や赤岩ならエース機に初手から三つ割りを加えても、口だしをする者もいないだろう。 自身でターンスキルの甘さがある事を口にすることもある。 ただそこを補うオカの技能で、また一つの選手スタイル、才能のあり方を示してきた。 一歩ずつ踏み固めてきた道筋の先に今があるからこそ、心技にブレがないことが強み。 ひと跳びの跳躍ではない、着実な歩みで頂点を目指す。

反骨スピリットで闘志全開だ!!

蒲郡ではG1・2勝を含む通算23V。 蒲郡最強男の異名を持つが、ここまでの道のりは決して“楽”ではなかった。 喜怒哀楽で表現をするのなら“怒”をパワーに変えて来た。 2009年のメモリアルはまるがめの施行者推薦で出場。 前年にグランプリ入りを果たしたにも関わらず、蒲郡代表から外されたことに烈火のごとく怒った。 そのメモリアルで優出3着など、賞金ランキング12位で2年連続グランプリに出場した。 2016年は2期続けて7点勝率に届かず、メモリアルの2枠からも漏れた。 これには怒りを内に秘め、数字で証明。 翌期には8点アベレージを残して2005年後期以来、2度目の勝率ナンバーワンに輝いた。 そして昨年は6年ぶりにG1を奪取。グランプリ戦士にも返り咲いた。 整備室では本体と格闘、レースでも常に奮闘している姿からは、ハンパないエナジーを醸し出している。

2019年を好発進。戸田も巧者だ!

昨年5月の宮島64周年でG1・V6を飾った赤岩は、2カ月後の三国MB大賞(G2)も優勝。 勝負をかけた芦屋チャレンジC(優出5着)で賞金を上積みし、9年ぶり3回目のグランプリ出場を果たした。 TR1stでの敗退で無念のシリーズ戦回りを余儀なくされたのは残念だったが、その悔しさを晴らすかのように、今年は多摩川「3Days」を圧勝。 自身、10回目のパーフェクトV(4戦全勝)の達成で底力をみせつけたばかり。 それは2019年のさらなる飛躍を予感させるに十分な内容だった。 戸田は2010年の54周年で優勝経験があり、また一般戦でもV4の実績がある好相性の水面。 ボート界の頂点を狙う強者がモチベーションを高めて初タイトル奪取を狙ってくる。

休まない人

かなり前だが、山川美由紀に本を紹介したことがある。「レースと関係ない物を読むことが多い」と聞いたからだ。 その時は夏目漱石の三部作「三四郎」「それから」「門」を伝えた。「純文学のような物も読みます」という答えは意外だったが、勝負の世界に生きる者の切迫感を慮ることになった。 しばしば人は『緊張と緩和』というが、山川の場合は違うのではないか。緩和なら雑誌が適している。生真面目に本を読むにはスタミナが必要だ。山川美由紀とは『休まない人』なのである。 それは時間を惜しむように試運転や調整を繰り返す姿と完全に重なる。G1初Vは1999年の四国地区選。以来20年、『女子代表』の看板を下げたことはない。 昨年夏のPG1レディースチャンピオン優勝は記憶に新しいし、今年もさっそく鳴門オールレディースを獲った。年齢を感じさせないのは当たり前。休まないのだから。

42年ぶり快挙から20年。今なお頂点に君臨

1999年2月の鳴門四国地区選優勝の衝撃は今も忘れない。 準優で3着ながら2着の福田雅一に転覆現場における航走指示違反があり、繰り上がり優出。優勝戦は人気の木村光宏と安岐真人が握り合う展開になり、節一パワーを生かし大外から最内差しで優勝。女子では田川照子、戸板君子、杉本明子に続く42年ぶり4人目の快挙だった。 1996年3月の平和島クラシックも惜しかった。ズバ抜けた節一パワーで男子勢を圧倒。準優で5着と敗れ優出はならなかったが、最終日を連勝締め。優出していれば女子初の快挙も十分あり得る、見たこともない超抜パワーだった。 日高逸子と2人、女子レーサーを牽引してきた山川は、G1戦初制覇から20年、50歳を過ぎた今なお、SG戦にも顔を出す。その事実だけでも驚嘆に値する。

Miss一撃! 女子速攻派の代名詞

日常周りの雑貨や食品でも、ふと改めて思ってみれば、大分長く一線で活躍し、親しまれ残っているモノってあるなぁと思い至ることってありませんか? 新しい技術や商品は出ても、結局流通に残ってそのシェアでの顔となっいる物には、それ相応の商品としての強力な地力が備わっているということの証明でもあります。 日常品と並列にする訳ではありませんが、山川選手もボートキャリア30年を超えてなお『女子速攻派』と言えば、いまだ真っ先にファンや記者に名を挙げさせるプレイヤーです。 新世代隆盛のレディースボートにおいても、まだその分野で山川のブランド存在感を超えてくる選手は不在のように思います。 次回SGクラシックの舞台はまさにその速攻派の聖地・戸田。 山川にとっても96年・女王初戴冠のメモリアルプール。女子速攻派代表、気持ちも乗せた一撃早技の舞に期待したい。

歴代最強女王が5年ぶりのSG参戦だ!!

デビュー4期目にA級に昇格、1990年からはずっと女子の第一線で活躍して来た。 1月23日現在で優勝回数(80)1着本数(2449)G1優勝回数(4)は女子選手トップ。 1期先輩の日高逸子には生涯獲得賞金額で約290万円ほど及ばないが、それを踏まえても女子レーサーの最高峰だ。 1996年に勝ったレディースチャンピオンは、まだG1に認定をされていなかった。G2以上で優勝した年齢を振り返ると29、32、34、45、50、51歳と全ての年代で美酒を味わっている。 競馬界のレジェンド武豊も日本ダービーを20代、30代、40代で制覇。50代でも勝つことを目標に掲げている。 それだけタイトルを狙える位置にずっといることが素晴らしい。

ベテラン女王の底力が侮れない

年輪を重ねても衰えるどころか、なお進化し続ける豪腕はまさに女子のレジェンドだ。 山川は昨年の桐生レディースチャンピオンで大会最多V4を飾るとともに自身が持つ最年長記録(45歳9カ月から51歳9カ月)を更新。 世代交代の激しい波をがっちりと受け止める文句なしの快走で〝パワークイーン〟の強さをまざまざと見せつけた。 この優勝でリズムも急上昇。師走の平和島クイーンズクライマックス(優勝戦3着)でのティアラ戴冠は持ち越しになったが、存在感を十二分に誇示した。 もちろん、この経験は今後への〝力〟になることは間違いなしだ。 6年ぶり9回目となるクラシック出場。52歳になったベテランが今度は男子の強豪を相手にどんな戦いを見せるのか-、楽しみでならない。

『スタイル=プロセス』の体現者

結果が大事か、プロセスが大切か…。永遠のテーマの答えはそれぞれだろう。 それぞれだから言うことができる。プロセスが大切だと。渡邉英児を見ていて思う。 「スタートは遅くゴールは早く」とは、かつて本人がよく口にした言葉。また、「カドの英ちゃん」とも呼ばれた。 プロセスがそのままレーススタイルになっている。 結果がすべてならレース観戦の必要はないのだ。渡邉のレースは「次の次の次を考えて走っている」から道中が面白い。 手に汗握る。近況3連対率72%はそのカタチに過ぎないと言っても過言ではないだろう。 福岡マスターズチャンピオンの表彰セレモニーで見せた爽快な笑顔には、プロセスを大切にし続けながら20年もの間、記念で結果が出せなかった男の『辛抱の歴史』が刻まれていた。 5年ぶりにクラシックに登場するバックボーンを想うと、実に感慨深い。

ますます磨きが掛かっている熟練技に注目

簡略化されている公式の決まり手にはないが、「イン差し」という高等テクニックがある。 まくられたインの選手がまくりには抵抗せず、まくった艇の引き波をいったん越えて差すハンドル。 ボート界屈指のテクニシャンだった中道善博さんの得意技で、他に角川政志さんなど一部選手だけの限定技だったが、スピード全盛の今、そんなハンドルを持つ選手はほとんどいない。 この高等テクニックを昨年4月の福岡マスターズチャンピオン準優で披露したのが渡邉英児だった。 若かりし頃から技巧派レーサーではあったが、マスターズ世代になった今、今時の若手には真似ができないハンドルを持ち続けている。 ベテランならではの熟練技がイン絶対、スピード絶対の今時のSGにどこまで通用するのかは、戸田クラシックの見所のひとつだ。

インテリジェンス&スキルの静岡巧腕

『直感精読』。棋界のレジェンド加藤一二三さんが大切にされている言葉だそうです。 ひらめきと深い読み、そんな意味合いを込めた造語のようですが、この言葉…、ボートレーサーにとってもさばきの真髄という部分に触れる言葉のようにも思います。 今回スポットの当たった渡邉英児選手は、さばき型の名手として息の長い活躍を見せてくれている静岡のベテランです。 その能力の屋台骨は、オカの上では回転域を読み切るひらめき感性のいいペラ調整能力。 水面では展開を読み解く瞬発力、判断力という部分のように思います。 直感と思考…、相反している言葉のようでも、このバランス感覚の良さは知性という部分も求められるボート競技の大切な素養とも言える部分でしょう。 さばき屋一本の叩き上げである渡邉選手の『直感精読』。 28年のキャリアで培かった知識と技の粋を、戸田クラシックにぶつけていって欲しい。

堅実なさばきタイプだが大胆な戦略も兼備!!

昨年はマスターズチャンピオン(福岡)を2コースから差し切り20年ぶりにG1を制覇した。 この間の「20年」を振り返ると、A2に1度だけ陥落したが、残りの39期間はA1をキープした。 堅実な航跡を描いて来た一方で、時折みせる大胆なコース取りも印象的だ。一番驚かされたのが2004年のチャレンジカップ(児島)。 3号艇で迎えた準優勝戦で、1号艇の松井繁から前付けでインを奪取。2コースに回った王者に差されはしたが、2着で優出を果たした。12年のオールスター(浜名湖)も優勝戦でイン取りを試みた。 結果は井口佳典に察知されたが、2号艇で楽な2コースを選ばずにリスクを背負ってでもSG優勝だけを狙った。 また、かつての地元実況アナに「カドのエイちゃん」とネーミングされたように、勝負どころでは思い切ったダッシュ戦も披露する。虎視眈々がよく似合う選手だ。

今年も円熟のハンドルさばきで魅了する

努力を惜しまず仕事を一生懸命頑張っていれば、いつかはいいことがある。それを証明したのが渡邉だ。 昨年の「プレミアムG1・マスターズチャンピオン」。この大会で彼は初出場でヒーローになった。 うねりのキツい福岡特有の難水面もなんのその、2コースから鮮やかに差し切って1998年8月の浜名湖45周年以来、約20年ぶりとなる2つめのG1タイトル奪取。 出場資格が45歳以上に引き下げられ、勢いのある〝若手〟が参入してきた中での優勝はまさに称賛に値する内容だった。 その後は一般戦ながら児島、宮島、尼崎での3連続Vが印象的。 「自分は流れにまかせて走る〝サラリーマン〟です」と笑わせるが、これぞ歴戦の底力だろう。 49歳のベテランが2019年も大いに盛り上げてくれるはずだ。

虚心坦懐に臨みさえすればいい

陸上長距離競技にひとつの格言がある。「抜くときは一気に抜き去れ」。並んでホッとしていたのでは負けてしまう。追いついてきたスピード差そのままに、むしろ加速するくらいの勢いで相手に背中を見せろというのだ。ヤングダービーの表彰式で関浩哉の隣に立った時、それを思い出した。 「自分なんかでいいのか…」という発言への回答でもあった。「いろいろな人の支えがあって選手になれました。自分だけの力では絶対にここまで来られなかった」というのは素直な本心。初優勝がG1というのは決して偶然ではない。それは、計算がないからこそできた偉業。出世の道筋を計画する者には計画外のことは起きない。飾りなく素地のまま存在するのは清々しくたくましいのだ。そんな人物に贈りたい。 『初のSGも虚心坦懐に臨みさえすればいい。そして、行けると感じたなら一気に行ってしまえ』と。

仲谷颯仁が語る関浩哉という選手とは…

記者は関浩哉を直接取材したことがないので、同期の仲谷颯仁に関を語ってもらった。 仲谷「彼は真面目ですね。養成員の時からボートに対する意識も高かったです。話しても面白いし、お酒が入ればもっと面白くなります。レースはスピードがありますよね。僕にとってはライバルというよりも、一緒に頑張りたい存在。彼がヤングダービーを優勝した時もうれしかったですし。いずれ同じ上の舞台で走ることになると思います。師匠は土屋太朗さんですが、毒島誠さんとも一緒にいることが多いそうで、色々教えてもらっているらしいですよ」。 115期の出世頭・仲谷に続いてG1タイトルを手にした関。真面目で度胸も満点。そして毒島という、これ以上ないお手本が身近にいる。強くならないわけはない。

平成のラストシンデレラボーイへ

ヤングダービーV。若手勢にとってのボートスターへの特急券を今年の浜名湖大会で手にした関浩哉。約4年にしてのG1初出場を自らの通算初優勝へとつなげてみせたスター性は、まさに平成のラストシンデレラボーイと評してもいいもの。 そんな関の養成所時代の印象を、同期の東都ホープ佐藤隆太郎に聞くと…「真面目で真っすぐで、純粋なイメージ」と、選手ビジョンを裏切らない言葉が返ってきた。時流に反して3年間ダッシュ一本で磨いた機動戦は、そんなひた向きさがあってこそ形を帯びたものだろう。 いよいよ次はSGクラシック参戦。「結果にとらわれず、持っているモノ全てをぶつけてきて欲しい」とは佐藤からのエールの言葉。 夢のSG舞台への馬車は手に入れた。早春の戸田では新世代達の想いも胸に、鮮やかなセカンドステップを踏んでほしい。

ハンパない成長曲線を描き記念ロードへ!!

デビューから8期間、勝率は全て右肩上がり。成長曲線がハンパない。 外からスタートとターンを磨き、ダッシュオンリーでA2に昇格。枠なりに入り始めた2期後に最高の一期間を迎えた。 アベレージを6.85までハネ上げ、初出場だったヤングダービー(浜名湖)ではG1ウィナーの仲間入りを果たした。 振り返るとヤングダービーは、シリーズでフライングが多発。かいくぐった関は5回乗りの6号艇なしというラッキーな流れに乗じた。 そして、ファイナル1号艇のプレッシャーをハネ返したことは何よりも財産になったことだろう。2019年1月からは初のA1。 ヤングチャンプとしての期待を集め、芦屋周年を皮切りに江戸川、平和島、津と記念レギュラーと同じあっせんが組まれている。 成長著しいこの時期に何を会得することができるのか!?試練に立ち向かう姿は必見だ。

伸びしろ十分。偉大なる先輩に続け!

リーチ、一発ツモ! 麻雀に例えて大変失礼だが、一発で勝ち上がるほど気持ちのいいものはない。 9月に浜名湖で行われたヤングダービー。この開催で関はG1戦初出場V。それまで優勝経験のない無名に近かった23歳(当時)が一躍、脚光を浴びた。 調べてみると、1988年のまるがめ四国地区選の山下将人(引退)以来、史上2人目となるG1でのデビュー初V。しかも、関の当時23歳10カ月での優勝はヤングダービーの前身「新鋭王座決定戦」の原田幸哉(2000年)の24歳3カ月を更新する最年少記録となった。 群馬支部には今年のボート界に一大旋風を巻き起こした毒島誠がいるが、若い彼の活躍でさらに支部を活気づけたのはいうまでもない。 伸びしろ満載の〝有望株〟に今後も熱い視線を注ぎたい。

静かなる不動の男

「孝平なら仕方ない」。8年前、とあるSG選手がこう言った。2010年のグランプリレーサー中島孝平はライバルにそう思わせる何かをもっている。 今垣光太郎に次ぐ2番手のポジションは、目立つことを求めない中島にとってほどよかったはず。人知れず努力することができたのだから…。隠された姿を知っている者こそがその成果に敬服した。 しかし、黄金のヘルメットをかぶったことで何をしているのか注目されるようになった。周囲が素朴な男の平常心をゆさぶったのだ。しかし、彼は変わっていない。以下はその証左である。2011年以降、グランプリ&グランプリシリーズを除くSGレースは計56シリーズ(7大会×8年)あるが、その内の50大会にさりげなく出場し続けている。 今年の尼崎オールスターの栄冠は、耕し続けた土壌が咲かせた花に他ならない。中島孝平は静かなる不動の男である。

4回目のグランプリも活躍は必至!

選手仲間からは尊敬の意味も込めて「振り向けば孝平」と呼ばれている。後ろを振り向いたらいつも中島が追い上げて来ているから…という意味らしい。 最近はめっきり減ってしまったいぶし銀のさばきタイプ。選手仲間からもそう思われているわけ。しかし、それは本当の中島の走りではない。オーナーペラ制度になって以降、ペラに正解を出しておらず、足負けすることが多いからだ。 ほぼノーハンマーで節一パワーだった5月の尼崎オールスターでは得点率トップから王道優勝。パワーで優位に立てば、1着を並べる攻撃型の走りもできるのだ。2008年の桐生周年で完全優勝していることも、それを証明している。上位機のみで戦うグランプリはまさに中島向きの大会。現に過去3回の出場で優勝1回、準優勝1回という実績を残している。

かなえるか…Wミリオンダラー

『OKライン』という言葉はご存じですか? メンタルマネージメントの一つで、適度な自己目標の構築、それを達成することで自己肯定=満足感を得る。ポジティブな向上心を失わない精神環境を作る…大体こんな感じの事を指した言葉です。ただ、一流選手はその適切なOKラインの置きどころに悩む事もあるそうです。 中島孝平…10年・住之江GPでSG初優勝。再度その一点を越える達成感を得ることは、なかなか容易な道のりではないでしょう。 機力・パワーゲームで一歩後れを取り…、自らを「一発屋」と笑うこともある近年の中島。無論SG2冠、G1戦6冠、獲得賞金10億円オーバーの現役GPランナーにそぐう言葉ではないでしょう。 自虐の言葉、ただその陰にちらつくプライドとそして純粋な探求心。決して届かぬ距離ではない黄金のOKライン、今一度越えて会心の笑顔を取り戻して欲しい。

絶品のレバー操作で道中勝負はお任せだ!!

今年で33回目を迎える師走の大一番・グランプリ。過去には22名の優勝者が黄金のヘルメットをかぶった。その中で以下に挙げる8選手には共通項がある。 安岐真人、福永達夫、高山秀則(以上引退)太田和美、田中信一郎、吉川元浩、中島孝平、茅原悠紀。 答えは「グランプリがSG初制覇だった」。 さらに掘り下げると、取った順番に安岐から田中までの5選手は、その後にSGタイトルを追加している。そんな吉兆を受け継いでいた残る3選手の中から中島孝平がオールスターで見事に優勝。バトンを受け渡した。 住之江はSG4優出1優勝、G1は7優出で2着2回。勲章は1つのみだが、大崩れしない強みが生きている。 かつて重成一人が「孝平ちゃんのレバーワークは素晴らしい」と絶賛していた。巧みなコーナーワークから目が離せない。

グランプリV2へ、起死回生の一発!

しばらくの間、快音を響かせることができなかったが、今年は〝ムード〟を漂わせている。中島は5月の尼崎オールスターで見事な王道V。 2010年のグランプリ以来、7年5カ月ぶり2度目のSG優勝を飾り再び頂点へ上り詰めるための出場権を手に入れた。「オールスターを勝ったあとが情けなかった。 あれが自分の弱さでもあります」と反省の弁を綴ったが、「6位以内を意識して走ってきた」努力が報われての獲得賞金5位。トライアル2ndからのシード枠を死守できたのは大きなアドバンテージとなる。 「住之江は地元の三国と同じ淡水で調整がしやすい」という言葉どおり、もともと住之江は得意な水面。きっちりとエンジンを仕上げて流れを引き寄せればグランプリV2の可能性は大いにある。

『一流の素直』の体現者

素直が一番、と多くの指導者がいう。しかしそれはたやすいことではない。相手を信じ切る実直さと、授かったものを再構築する力が必要だからだ。 人の話を正面から聞くと同時に、自分のカタチに仕上げていかなければならない。言いなりと素直は違う。相反するものを両立してこそ『一流の素直』が完成するが、笠原亮はそれを天然自然にやってのけている人物である。 豪快にみえて繊細なレバー操作という最高技術を会得しているが、その源流をさかのぼると野球に行きあたる。甲子園を夢見て強豪校の門をくぐった一般入部の野球少年がレギュラーの座を勝ち取るまでのプロセスを、当時の監督は「素直だったですから…」と回想している。素直で健気(けなげ)だからこそ支えられ強くなるのだ。服部幸男との関係性も同様だろう。 静岡のグランプリレーサーは服部幸男のみだが、笠原亮は二人目にふさわしい。

好モーターゲット時の勝負強さは特筆もの

笠原亮の過去2回のグランプリ出場は、いずれもSG戦を制覇した2005年と2015年。 要するに一発で権利を手に入れた形だが、3回目の出場となる今年は初めてSG戦制覇なしで出場を決めた。 その内容は丸亀メモリアルでの準優勝。そして2月の徳山周年、10月の戸田周年でG1戦2勝と文句の付けようはないのだが、「目立つ活躍はその3回だけ。あとのレースは予選敗退が多いんです。自分の実力不足を痛感させられてばかりで…」と本人の口からは、とてもグランプリに出場する選手とは思えないほど、反省の言葉が多く出てくる。 しかし、それも一時的な結果に満足することなく、さらに上を目指している証拠。アウト戦でも一発力を秘めるタイプだけに、グランプリ向きの選手と言えるかもしれない。

度胸と感性のハイブリッドスター

『つけまい』という決まり手。最近ではファンの方にニュアンスが伝わりづらい…という理由で、やや敬遠されがちな言葉ですが、笠原亮がデビュー5年11カ月でSG初出場&初優勝を決めた05年多摩川クラシック(当時は総理杯・2枠3コースV)の決まり手は、公式発表でも『つけまい』の記載です。 他艇と同体もしくは少し遅れた初動位置からターンに入り、ジカ内の艇を全速戦のスピード差で引き波に沈める技。無論今の笠原は時流に合わせた多彩な決め手も有す選手ですが、ここぞの華舞台でつけまいの決まり手を繰り出せるスピード感覚とその勝負度胸は、超一級のボートプレイヤーとしての今を支える部分とも思います。 水面では超スピードで他艇をかく乱。オカでは記者達をケムに巻いてこちらもかく乱? ただ憎めないキャラクター。シャイだが大胆…、感性と度胸の走りに最終決戦も注目だ。

師匠もかぶった黄金のヘルメットを持ち帰る

カメラや人前ではシャイな笠原亮だが、たくさんの思いを胸に走っている。現在は生まれ育った三島市で少年野球の手伝いをしてモチベーションに繋げている。 ボートレーサーは、プロとして厳しい闘いが続くが、恵まれている一面も存在する。そこを痛感したからこそ、初心に帰ることができた。 振り返ると若手の時は勢いだけでタイトルを奪取した。2005年のクラシック(多摩川)はSG初出場、初優出、初優勝の快挙を達成。 2コースからまくった岡本慎治をツケマイで沈める一閃だった。続くびわこ周年はインから逃げ切り、SG制覇の翌節にG1初Vの離れ業を成し遂げた。 プロペラが現行制度になって持ち前のターン力が生きるようになった。今年はG1戦2優勝。師匠の服部幸男以来の金冠を静岡に持ち帰る!!

度胸満点の攻勢でいざ頂点へ!

デビューから5年と11カ月で多摩川のクラシックを制覇。 2015年の芦屋チャレンジカップでSGV2を達成するまでに10年の年月を要したのは意外だったが、この間に技術、メンタル面でのさらなる向上は著しいものがあった。 日々の努力を惜しむことなく、前を見て必死に取り組む姿勢。もちろん、一流レーサーには天性の素質も要求されるが、人並み外れた努力がなければ絶対に実りはない。 そういう意味で笠原には大いに期待している。今年は徳山、戸田でのG1戦V2に加え、まるがめメモリアルでも準優勝。いつになく好リズムなだけに、本人も気合MAXで一発を狙ってくるだろう。 実力で勝ち取った3年ぶり3回目の頂上決戦チケット。悲願の黄金ヘル戴冠へ、度胸満点のS攻勢で平成最後のヒーローを目指す。

岡崎恭裕を軽んじてはならない。

岡崎恭裕のSG初Vから8年半になる。舞台は浜名湖・ボートレースオールスター。 インタビュアーとして痛恨だったのは、準優で白井英治が待機行動違反と判定され、同レース3着だった岡崎の繰り上がりを軽くみていたこと。不遜にも、『ゴールが目標…』と思ってしまったのだ。 優出インタビューで岡崎は、ラッキーだという受け止めを一切示さなかったばかりか、コース取りを否定しなかった。気圧されたのを鮮明に覚えている。実際、好きな5コースを奪い得意のまくり差しを繰り出してSG初優勝を果たした。 幸運に気を緩めなかったのは、競技や競技者、そしてファンへの敬意が根底にあるからだろう。真摯(しんし)な人物である。今年は唐津G1戦Vや浜名湖クラシック優出という活躍もあり、3回目のグランプリが待っている。 岡崎恭裕なら、計算を超えて何事かを起こす気がする。

今からでも十分に頂点を狙えるクールな天才

大多数の選手は本番レースを終えてカポックを脱いだ後、すぐに始まるレースリプレイを見る。 接触したりキャビったりした時は「すみません」「いやいや大丈夫よ」なんて会話が飛び交い、足負けした選手は相手に「出てるねえ」などとうらやましそうに話しかけたりする。 岡崎も熱心にリプレイを見るタイプ。「あそこは早く握り過ぎた」などとテクニカルな部分を振り返りながら楽しそうに反省していることが多い。10代の若さでブレイクした天才肌。岡崎ほどレースを楽しんでいる選手は他にいないのでは?といつも思わされる。 SG戦1勝、G1戦2勝の実績は、その実力から考えると明らかに物足りない。レースを楽しみ、なおかつガムシャラに結果を求めて欲しい。頂点を狙える資質は十分に備わっているのだから。

冷静と情熱がコラボする福岡の天才肌レーサー

岡崎恭裕の代表レース…と言えば10年・浜名湖のオールスター。6枠5コースからそこしかない!というスペースへのまくり差し一閃。デビュー6年目でのSG初戴冠劇だった。 やはり岡崎のレースの魅力と言えば、感性鋭いそのまくり差しのうまさ。この岡崎に加え篠崎兄弟も卒業した福岡県立香椎工業高校。そこの先輩(選手としては1期後輩だが)関裕也に岡崎の若き日の話を聞くと…「デビューした頃から、ああいう真似できないエグイまくり差しをしていた」の声。 技術面はやはり天才肌。人柄的には関いわく「冷静」。福岡後輩の松崎祐太郎にも聞くと「さらっとしとる?」(笑い)。 オカでは割合『クール』な印象。ただ水面では醒めた頭脳と熱いハートで繰り出す究極クラスのまくり差し『COOL』な舞姿。 さて年末賞金バトルもいよいよ大詰め。最後にもう一差しの舞、ランキング上位へ熱走期待だ!

ターン絶品の天才肌が金冠へ一直線!!

初めて見たのは2007年の津新鋭リーグ戦だった。 デビュー9か月で初Vを飾り、既に4優勝。SGの舞台も経験していた。話し方、ターンのキレ味が池田浩二に似ていて“天才肌”と感じた。 そこから3年後のオールスター(浜名湖)では、池田のインを絶品のまくり差しで大金星。順風満帆だった。 ところが、翌年のメモリアル(福岡)では優勝戦で勇み足。記念ロードから姿を消した。 その間に同世代がグングンと成長。周りにはSG・G1ウィナーがあふれ始めた。岡崎も2016年から復調。 「最初にグランプリに出た時(2010年当時23歳)は先輩ばかりだった。今、自分と近い選手が出るようになって、その中に加わってみたいと思った」と吐露。 2016年はグランプリメンバーに返り咲き、今年も当確ランプをともしている。池田が初めて金冠を奪取したのは33歳。31歳の岡崎がイケダ越えを目指す。

今年は〝ムード〟充満。一発を期待!

SG優勝史上最年少記録(約21歳9カ月)を持つ服部幸男とまではいかないまでも、スーパールーキーとして称された岡崎も出世はかなり早かった。 デビュー6年後の浜名湖オールスターでは参加選手中最年少の23歳でSG制覇。4000番台レーサーとしてボート界に一大旋風を巻き起こし、この年にグランプリ初出場(優出5着)を果たしている。 そんな彼も早いもので選手生活15年目に突入。もちろん、天性のスピードと、華麗なハンドルテクニックは健在だ。昨年は江戸川ダイヤモンドカップで念願のG1タイトルを奪取。 そして今年は好相性の浜名湖クラシックで優出4着と力走し、4月のからつ65周年を勝ってG1戦V2の躍進ぶり。 2年ぶり3回目の〝1億円バトル〟参戦がいよいよ現実味を帯びてきた。一発を期待したい。

静から動へ変化する端麗な人物

辛抱し切れず柳沢一に言ってしまった。「棋士の羽生善治さんにそっくり」と。本人は否定したが、当方には確信がある。佇(たたず)まいが共通しているからだ。 将棋には、勝者と敗者が戦いを振り返る『感想戦』なるものがあるが、このときの羽生さんがいい。決しておごらず絶対的なことを言わない。ともすれば迷いさえ見せつつ、それでいて強いのだ。ひとことで言えば品のいいサムライである。 柳沢一も同じではないか。端麗な物腰でいて、ここ一番に強い。受け答えにも品格がある。どこか学者っぽいのだが理屈っぽくない。そして、静から動への変化が見事で勝負を一瞬で決める…。 つかみようがないほどスケールの大きな柳沢一が大舞台で『勝利の感想戦』に臨む姿を見てみたい。 そして、「羽生さんは、ボートレースの柳沢選手に似ている」と将棋ファンに言ってもらうのが夢だ。

グランプリ初出場へ、正念場の走りに注目

SG戦出場は19回で優出が2回。G1戦は108回出場して優出11回、優勝は4回。そのうち2014年から2017年までの4年間で3回優勝と、最近はほぼ年イチペースで優勝している。 今年はまだG1戦優勝こそないが、2回の優出がどちらも準優勝。さらに丸亀メモリアルの優出(5着)もあり、自己最高額だった昨年の獲得賞金約4,300万円をすでに更新。 約4,700万円余りを稼いで賞金ランクは24位。選手生活で初めてグランプリ出場も狙える位置に付けている。これまでの活躍はほぼ地元の東海地区に偏っていたが、グランプリ出場となれば、一気に全国区へ名乗りを上げることになる。 勝負の11月を迎え、その走りにより一層、注目が集まる。

サクセス待ち! 愛されるべき愛知の知性派

皆さんは…スポーツ物のドラマや漫画、主人公はどちらのタイプがお好きですか? 1番【素晴らしい才能を秘めた天才が、周囲をその力で圧倒しながら頂点へと駆け上がる】痛快無比な超人伝説物語。 2番【潜在力は圧倒的ではないが、努力と工夫と周りの人達の力を得て目標の舞台へと立ち向かう】いわゆる秀才型。 好みは分かれるでしょうが、日本人は割と2番好みの方が多いかも? 柳沢一…。師匠の原田幸哉はどらかというと1番タイプ?少し失礼ですが…柳沢は②番の秀才型ではないかと思います。水面では苛烈さとクレバーさを調和させた速攻戦。 オカでは理知的で温和に振る舞える素晴らしい人間性(おまけにイケメン)。もう一歩が届かぬ頂点へのもどかしさ。自ずと応援を誘うそのサクセス過程、そこから味わえるだろうカタルシス…。 年末の大舞台へ続く素晴らしいストーリーに期待したい!

まくり差しが調子のバロメーター!!

もう、3~4年前になるが、愛知の後輩・丹下将が「3コースから(柳沢)ハジメさんのようなまくり差しができるようになりたい」と話していた。 それを聞き、改めてじっくりとレースを見ると、絶妙なタイミングで飛び込んで行く。若手の荒々しい割り差しにはない、ロスのないスムーズなまくり差しだ。これが決まっている時は、仕上がり&調子がいい証拠。バロメーターにもなり、5コースの時も応用が利く。 今年は10月末時点で賞金ランキングは24位。惜しくも地元のダービー切符はつかめなかったが、11月はG1、G2、SGと高額賞金レースが待っている。師匠の原田幸哉は「ハジメちゃんがグランプリを経験したら、もっと変われる」と断言。 毎年、着実に成長して来た柳沢が初めてのベスト18入りに挑戦する。

年末へ向けて怒濤のラストスパート!

今年の柳沢はまさに快ペースだ。とこなめの地区選、蒲郡62周年でそれぞれ準優勝。夏のまるがめメモリアルでも優出5着と、存在感をアピールした。 近況のリズムにも狂いはなく、一般戦では地力の違いを見せつける優出ラッシュ。10月30日現在、獲得賞金ランクはグランプリ出場へのボーダー上24位。 この先、あっせんが入っている徳山65周年、大村のG2誕生祭の結果次第では18位以内に浮上する可能性もあるだけに期待は大きい。 もちろん、それは本人も承知しているだろうし、ここぞとばかりに勝負をかけてくるのは間違いない。 まだ経験したことがない年末の〝1億円バトル〟。是が非でも賞金を上積みして、シリーズ戦とは違う独特の雰囲気を味わってもらいたい。

自立心高き真の自在派!

2010年5月蒲郡、鳴り物入りでデビューした新人がいた。岩瀬裕亮である。ヤマト106期の中ではズバ抜けた才能を発揮し、リーグ勝率はダントツの8.22。修了記念競走も制している。 持ち前のセンスがそうさせているのだろうが、レースに力みがなくバランスがいい。これを、『爆発力がない』・『うまいだけじゃ…』などと批判的に見る向きもあったが、岩瀬は自らを通してきた。真の自在派である。また、原田幸哉門下生としても知られていたが、ここを卒業。多くのSGレーサーがそうであるように、より困難な道を選択している。自立心の高さの表れにほかならない。 SGはこれが5回目。安定した成績を挙げ続けてきたメンバーだけがそろうダービーは初めてだ。さらに、地元が舞台ともなれば胸躍るのは本人だけではない。蒲郡ダービーは、その志に触れることができる最高の舞台に違いない。

ブレイクは時間の問題!潜在能力は文句なし

108期の江崎一雄が鳴り物入りでデビューし、そのデビュー戦から優出とフィーバーを巻き起こす1年前、106期岩瀬裕亮も勝率8.22、リーグ戦は全て優出し優勝2回。もちろん卒業レースも優勝。さらに当時のやまとレコードを更新するなど、久々に出現した大型新人として騒がれた。 現に初出走から舟券では1番人気を背負うという近年ではあり得ない快挙も。 その当時を思えば、必ずしも期待通りのスピード出世ではないが、前期は7.53と自己最高勝率を残し、地元開催のダービー出場を決めた。 過去4回出場しているSG戦では苦戦を強いられているものの、オーシャンカップには2年連続出場中と記念戦線では結果を出しつつある。潜在能力は文句なし。地元SG戦をブレイクのきっかけにできるか注目したい。

走りを楽しむ…天性のレーサースタイル

『仕事が楽しめる』。それは理想の一つとも言える人の時間の使い方、生き方でもあると思います。岩瀬裕亮の人柄や選手印象を、岩瀬と同期の鶴田勇雄に聞いてみると…。「楽しんで生きてるなって感じがします(笑)。レースに対しても変にストイックになり過ぎたりしないで、楽しんでやっている感じ。楽しむことを力にできて、稼ぐことにつなげられている気がします」と、笑顔で語ってくれた。無論、岩瀬自身悩んだり考えたりして仕事に取り組んでいる部分は当然あるはず。ただオカでは笑顔を見せ、肩肘を張りすぎずに振る舞える人柄は美徳だし、ボートレースの中にある競技性、ゲーム性というものを楽しめる感覚、またそれを可能にするだけのレーススキルも持ち合わせている。地元SGダービー。最高難易度のこのステージでも、楽しむを力に、最高のパフォーマンスを披露してくれるはずだ。

どん底から這い上がり地元で雪辱戦だ!!

「こんなに恥をかいたことはないです」。 蒲郡で行われた昨年のヤングダービーは、地元のエースとして期待を一身に背負った。 開催前はPRに協力して大いに盛り上げた。だが、始まってみれば、凡モーターに苦しみ予選敗退。加えて5日目の一般カードでは意味のないスリットオーバーと泣きっ面に蜂だった。 今年は60日のF休み明けからのスタートだったが、連続優勝で自信を取り戻し、ダービー切符も確保。まだG1を勝っていないが、いきなりSGを勝っても驚けないポテンシャルを秘めている。 今大会は愛知5本目の矢として参戦。 気合は入っているがプレッシャーはない。選手生活最大の屈辱は、蒲郡で晴らすしかない。

地元でSG。気合は半端なし!

SG9冠を誇る池田浩二を筆頭に赤岩善生、平本真之など層の厚い愛知支部だが、この岩瀬もポテンシャルは相当なもの。いずれG1、SGタイトルに手が届くと期待される〝秘密兵器〟だ。 師匠の原田幸哉(現在は長崎支部)もその実力を高く評価しているだけに、楽しみなレーサーといえる。 昨年は勇み足の連発が出世を妨げた感じだが、それ以降はフライングはなく、今年は6月の福岡65周年(優出5着)と、9月の多摩川64周年(優出4着)でG1戦2優出。 タイトルゲットとはいかなかったものの、〝らしい〟走りで存在感を示してきた。SGは今回で5回目の挑戦。 しかも、念願のダービー初出場で舞台は地元の蒲郡。地元ファンの熱い声援を背に受けながら大仕事をやってのけたい。

インファイター・田頭実、見参!

プロフェッショナルの条件は諸々あるが、アスリートの場合『鮮明な戦法』というのがあるだろう。 田頭実はその体現者と言える。果断に勝ちにいく姿勢は51歳となった今も枯れることなく変わらない。フライングを恐れず前のめりになるところには、先々への計算がなく清々しい。選手とて生活者…、家計とは無縁ではないが、『今を生きる』のに徹しているから強気でスリット勝負に出るのだ。 かの長嶺豊が通算76回、上島久男(故人)が94回のフライングを記録しているが、田頭は70回。打たれても打たれても接近戦に挑むインファイター・ボクサーのようだ。記憶にも記録にも残る男である。今年は地元若松のゴールデンウイーク戦を含め4節連続優勝、通算V6と飛ばしまくっている。 様子見の多い序盤であっても、迷いなく戦うだけに初戦から目が離せない。

ペラ制度変更で復活!ダッシュ力は艇界随一

SG2勝にグランプリ出場3回で優出が2回。さらにG1戦6勝のうち、前代未聞で今後も絶対にあり得ないであろうF3優勝もあった田頭。その最大の武器は誰も真似できないスタートダッシュ。 タイミングが速いだけはなく、ダッシュ乗りはボート界一と断言できる。持ちペラ制度末期にはA1級も確保できないほどの低迷期があり、SG戦から4年以上も離れていた時期もあった。 しかし、オーナーペラ制度がプラス材料となって鮮やかに復活。伸びないと言われている現行モーターにおいて、田頭が乗ればなぜか伸びる。その秘密はペラの調整力だけではなく、ダッシュ乗りの良さを引き出す乗艇姿勢にある。 前期は7.99の勝率を残したが、今期(5月~)はそれさえも上回る好調度で、ダービーにはドリーム戦3号艇で登場。14年ぶりのSG制覇も決して夢ではない。

ハートで戦う…若松の闘将

仕事で自らのスタイルを貫く…。 そのためには、状況に屈さずにいられる自己の心技の強さや、それを周りに認めさせる立ち位置が要求されるものです。個で戦うが、競技としては団体で行うボートレースにおいても、強いパーソナリティーは、異質とみなされがちです。 田頭実の走法は、内寄り~センター筋での強ダッシュ、外枠では前付けから深水域でのSたたき合いと、今では数が減ったクラシックスタイルとも言うべき走法です。枠なり全盛の近代ボート育ちの若手からは『骨っぽい嫌な対戦相手』と、内心では思われているタイプでもあるでしょう。ただ面白いボートを!と望むファンからは、乱打戦上等! ピット離れからボートを楽しませるその走りは得難い個性です。 洗練されたさばき合いより、拳のぶつけ合いとも言えるストロングスタイル。熱いハートの走りが人々を魅了する。

快速攻でシロかクロかをハッキリさせる!!

ダービーのドリーム戦が大好きだ。 ボートレース界は賞金獲得額が「強さの証し」という明確なストーリーを打ち立て、年末のグランプリまで進められる。そんな中、勝率もひとつの指標でありながら、どこか賞金とは一線を画している。今年で言うなら、SG3連覇の懸かる毒島誠は予選スタート。 また、昨年も開催前に賞金1位だった石野貴之はドリーム戦からもれていた。いつものSGロードとは異なるのがダービー。その顔となるドリーム戦に田頭実はエントリーしている。選手層の厚い福岡支部だけに記念戦線での出場機会は減少したが、スタートのキレは全く衰えていない。 当大会は51代のダービー王に輝いた反面、3年前の浜名湖では初戦のフライング(非常識)で即日帰郷をしている。中途半端はありえない。シロかクロかをハッキリさせる。

名人が持ち味の豪快弾で魅せる!

田頭の持ち味はなんといってもスタート力だろう。ゆえにフライング事故とは常に隣り合わせだが、たとえフライングのハンディを背負っていても極端に仕掛けを緩めることはない。この変わらぬスタンスが最大の魅力であり、ファンから支持される一番の理由だ。 一昨年はマスターズチャンピオン(びわこ)を制し、昨年は九州地区選(福岡)で優勝を飾り、G1戦V6。今年はここまでV6。一般戦といえども5月若松からの4連続Vは称賛に値するもので、改めて存在感を示す格好となった。 そんなベテランが昨年のまるがめオーシャンカップ以来、1年3カ月ぶりにSGに出場する。 〝速攻野郎〟の集まりだが、若手に負けない弾丸スリットを繰り出すのは確実。気合十分にダービータイトル奪還に燃える。

比類なき整備・調整力が底力の源

212名いる女子選手の中で、いま最も安定しているレーサーを挙げるとしたら中谷朋子が筆頭だ。 1月1日以降の勝率7.58も、6回に及ぶ優勝回数も女子トップの数字。まさに『女流の顔』である。その背景に何があるのか…。 デビュー当時から言われているレースセンスは言うに及ばず、それを支えているのは整備・調整力である。超抜に仕上げるというよりも、常時戦える水準を保つのが中谷流。 五感を駆使してモーターを解析、素早く方向性を定めるのだ。数年前、「調整には自信がある…」と教えてくれたことがあるが、それは、そんな自分でも判断がつかない状態が続いたことへの裏返しの発言だった。 派手なコメントを出すわけではないが、ことばに飾りがなく『素直な事実』が隠されている。 SG初舞台ながら、ありのまま戦うだけで何かを起こしてくれそうな予感がする。

不惑を超え女子で最年長記録のSG戦初出場

「初めてのSG戦は楽しみで仕方がないですよ」 いつもはクールな中谷もダービーの話を振ると笑顔がこぼれる。それはそうだろう。42歳(開催時)にしてのSG戦初出場は、女子では41歳だった高橋淳美を抜いて最年長記録。 男子を含めても井川正人、芝岡春繁、木下繁美に続く4番目の年長記録なのだから。 また、女子でSG戦初出場がダービーというのも中谷が初めて。1年間の勝率で決まるダービー出場に偶然やまぐれはあり得ない。 好調の要因を自己分析してもらっても、「決まったペラの形もないし、ずっと同じことをしてきただけなんですけどねえ」と本人も首をひねるほどなのだが、これまでの地道な努力が実り、地力が付いてきたのだろう。 蒲郡はけがで遅れたデビュー戦を迎えた思い出の地でもある。男子トップレーサーを相手にどこまで通用するのか楽しみだ。

可能性を示す…水上の女性アスリート

正直意外とも思えるが…。中谷は今回の蒲郡ダービーがSG初参戦。42歳にして女性アスリートがその競技の最高峰レースの門戸をたたいて行く。 中谷自身の研鑽(けんさん)し続けたテクニックとメンタルは当然賞賛すべき。そして同時に、ボートレースという競技の可能性の豊富さ、面白さという部分も感じさせてくれる事実とも思う。 今年の中谷は原稿時点(9/10)でV6。現在適用勝率も7.51のキャリアハイ。女子戦においては現在無双状態とも言える強さを誇る。 どちらかというと、うまいがさばいての連下型傾向で、その実力と存在感の割にはひのき舞台でスポットライトを得ることが少なかった。しかし…、今は競技者として進化し、勝負強さも身に帯びる走り。 「♪花の命は結構長い~」、いつかCMで流れたそんなフレーズをなるほどと思わせるような、美しくもたくましい…、そんな力戦、晴れ舞台を期待したい。

SGデビューも蒲郡! 新境地を開く!!

前期は自己最高勝率の7.51をマーク。 今期(5月~)もハイアベレージを継続して、女子レーサーでただ一人、ダービーボーダーをクリアした。胸を張ってのSG初参戦だ。 「ダービー出場を意識して走ってきましたし、やっぱりSGに出たかったです。22年もかかってしまいましたけどね」と胸のうちを明かした。 ダービーの舞台となる蒲郡は、中谷にとって縁のある水面。デビューが1カ月ほど遅れたこともあり、蒲郡から選手生活が始まった。 「選手としての1走目だったし、SGのデビュー戦も蒲郡。いい結果を出して、年末に弾みをつけたいです」とワクワクが止まらない様子。 蒲郡は昨年9月の男女W優勝戦でVと相性も悪くない。ここから新たな1ページが始まる。

今年は快リズム。初SGでも魅了する!

近況の充実ぶりには目を見張るものがある。中谷の適用勝率7.51は自己ベストで女子レーサーNo.1。しかも、今年は早々とV6を飾っており、その勢いをとどまるところを知らない。 「前期の勝率1位は素直にうれしいですね。今度は年間を通して一番になれるように努力していきます」と、さらなる飛躍に期待をふくらませる。 スタート勝負に固執した昨年はフライング事故による影響が出世を妨げたが、今年は対照的なリズムで来春のクラシック出場権まで手中にする素晴らしいペース。 そして今回はダービーで念願のSGデビューだ。男子の強豪を相手に戦うだけに勝ち抜くのは容易ではないが、ここまで来れば力のすべてを振り絞って結果を出してもらいたい。 飛びっ切りの笑顔を待ってます。

真の喜びを知る少年の心の持ち主

2015年3月、常滑周年記念の優勝パレードで平本真之は歓喜の中にあった。 取材のためレスキュー艇に乗り合わせたが、その横顔が夕陽に輝いている。そして、スタンドを埋め尽くした切れ目のない『祝意』が、壮観でありながら清々しく澄み渡っていたのを思い出す。 ファンは、平本の人品に魅せられていたのだ。苦境にあっても笑顔を絶やすことなく乗り越えてきた平本について、かつての野球部の恩師が「プロレーサーになっても高校時代から姿勢が変わらない。素晴らしい…」と語るのを見て、膝を打つ思いがした。 純真さは、勝つ喜びからくるのではなく、闘う場を得ている喜びがもたらす。野球少年はバッターボックスに立てるだけでうれしい。純真な心をもつ平本の底抜けの爽快な笑顔をまた見たい。

足がいい時の勝負強さはボート界屈指

乗り心地という言葉を最初に使ったのは、あの艇王・植木通彦と記憶している。 モンキーターンで驚異の追い上げを披露していた艇王のハンドルは乗り心地が生命線だった。今はもう、どの選手も乗り心地という言葉を当たり前のように使う。 それをグリップと表現する選手も多いが、抜群のハンドルワークが武器の平本にとってもグリップ感が生命線。もっと欲を出して「足」も求めて欲しいのだが、期せずして「足」もいい時には、好結果を残してきた。 SG戦2勝はどちらもグリップ感だけはなく、足も優勢だった。3年ぶりとなるダービーはこれまた期せずして地元蒲郡。平本の口から「足もいい」という言葉が聞こえてくれば、間違いなく優勝争いに絡んでいるだろう。

篤きの闘争心を秘めるスマイルファイター

今年は東海地区選のファイナルで無念のF。闘志のぶつかり合いの末で致し方ない部分はあったが、G1・G2選出除外のペナルティーを受け、年間の立ち上がりでつまづきがあったことは否めない平本真之。 それでも今年はここまで3500万円台の賞金を稼ぎ出し、勝率ハイアベレージとともにプロとしての地力を感じさせる仕事ぶりを見せている。 ちなみに丸亀のメモリアルでは瓜生正義の前検欠場により、朝方の9時半に突然の招集がかかるというハプニング があった。 「こんな事は初めてだけど、これは賞金面の部分でありがたいです」と笑顔の参戦。その結果は今一息振るわずではあったが、SG戦の間隔を空けずに走れたことには価値もあったはず。 年の序盤のうっぷんを、年末戦へ加速するためのエナジーに変え、持ち味であるここぞの爆発力を今こそ発揮。会心の笑顔を見せてほしい。

三つ巴からアタマひとつ抜け出すぞ!!

96期の出世争いが面白い。最初にG1を勝ったのは新田雄史。09年のびわこ周年を逃げ切った。 2年後のびわこ周年で王者・松井繁を差し切ったのが篠崎元志。平本真之は3番目で芦屋周年を制した。 SGに話題を移すと、最初に勝ったのは篠崎。12年のグランプリシリーズだった。新田は翌年のオールスターで初優勝。 平本は14年のグランプリシリーズを5カドから一蹴した。常に同期の両者を追いかけてきた。まるで自身のレーススタイルを彷彿(ほうふつ)させるかのように。 強くなるためには、また、強い姿であり続けるには、ライバルの存在は必要不可欠。現在は3者がSG2冠で並んでいるだけに、次の勲章は今後の出世争いへ大きく影響を与えるだろう。 蒲郡はスピード自慢の平本に絶好の舞台だ。

地元水面で反撃の一矢を放つ!

ポテンシャルの高さは愛知支部の中でも文句なしにトップクラス。 それを証明するためにも地元・蒲郡で開催される今度のダービーは平本にとって真価が問われる。2014年の平和島グランプリシリーズでSG初制覇を成し遂げ、そして2016年には尼崎オールスターを制してビッグV2。 一躍、スターダムにのし上がった彼だが、それ以降はSG、G1戦で優出はあるといえども〝快音〟を響かせるまでには至っていない。 前回のまるがめメモリアルでは屈辱の戦いを強いられただけに今大会は一層、並々ならぬ決意を胸に挑んでくるはずだ。 勝手知ったる水面で意地の反撃へ。集中力を高めて持てる力のすべてを出し切ってもらいたい。多くのファンが再ブレークを期待している。

エンターテイナーの泣き笑いを見たい

「とうとうやりました!」。これは今年4月、常滑G2モーターボート大賞で逆転優勝を果たした直後の西山貴浩の言葉だ。 デビュー丸2年でA級勝率を獲得、以来B級陥落は一度もない。エンターテイナー顔負けのユーモアあふれるリアクションは誰もが知るところであり、『舟券でも楽しめる』のが西山貴浩だ。 事実、現勝率7.68は、83.9%の3連対率に支えられている。驚異的な数字だ。しかしながら、SGオールスター参戦がわずか2回なのは腑に落ちない。もし、朗らかな振る舞いの向こうに隠している反骨精神があるとしたら、『結果でファンを唸らせてやりたい』という気概ではないか。 思わず出た「とうとう…」は数々の悔しい思いの裏返しと推察する。実力で得た初のダービー出場…。生真面目で責任感が強い西山貴浩の『泣き笑い』を蒲郡で見てみたい。

お笑い系を装いながら実は隠れた努力家

陸の上のパフォーマンスはボート界一。なぜかオールスターにはファン投票で出場したことはないが(委員会推薦2回)、ファンを爆笑させることに関しては右に出る者はいない。 そんなキャラなので、おちゃらけて、ふざけた印象が強いと思うが、仕事に関しては実はストイックで大真面目。ある日、家族で焼き肉を食べに行き、これから口にしようかと思った瞬間に追加参戦の電話が掛かってきて、減量のため一口も食べなかったなんてこともある。 レースのない日も終わりのない減量に取り組み、誰よりもペラの研究にも熱心。あぁ見えて、実はボート界屈指の努力家でもある。今年はG2も初制覇して、「ハク」も少しついた。SG戦は過去に1度だけ優出はあるが、そろそろインパクトのある活躍を期待したい。

届くか天辺! 笑いと捌きの鋭き鋭鋒

明るくエスプリの効いたオカでのパフォーマンス。極楽ご陽気キャラ? ファンの方の西山の選手像は、そういう部分が先行すると思う。 ただ少し立ち位置の違う、同期の前沢丈史の言葉…「すごくいいやつだけど、やまとの頃は今とは違って(笑)おとなしい印象でしたよ。自分も人の事は言えないけど成績が良くなかったし、あまりはっちゃけられなかった(はしゃげなかった)部分もあったと思うけど…」と少し意外な声。 「西山は学校の勉強は?だけど(笑)、ボートで勝つための勉強をする力、その才能はすごいと思います」。西山はある種の才気はあったが、清き正道のエリート街道をきたタイプではないだろう。 道化も取り込むタフなセルフプロデュースと、修練あってこそのしたたかな走り。その水陸二面のさばきが頂点へ届くのか。チャレンジ注目だ。

マイクパフォーマンスが活躍の原動力!!

A2落ちから一年。前期は復調へ大きな足掛かりとなった。 4月にとこなめモーターボート大賞でG2以上の特別戦を初制覇。バックストレッチ4番手からの“クルリ大逆転”だった。 A1に定着し始めた頃に「抜きで勝つのが一番好き」と話していたのを思い出す。ココ一番でクレバーな立ち回りが功を奏した。 また、自己最高勝率もマーク。その後も好調をキープしてダービーボーダーを初めてクリアした。 ボート界のエンターテイナーとして誰もが認める存在になったが、何よりも結果を残したい。「強くならなきゃ、(パフォーマンスを)やっていてもしょうがない」。 ずっと抱いていた思いは、レースを盛り上げるためだけでなく、自身の原動力になっている。

総力戦でSGタイトルを狙う

西山といえば近年のボートレーサーにはいない、独特なキャラクターで有名だ。 人を愉快にさせる話術、テンポのいいトークは見事というほかはなく、お笑いの世界でも大成しそうである(失礼)。 そんな〝センス〟を秘めた彼だが、もちろん、選手としての力量もかなりのもの。 7月からの適用勝率は自己最高の7.68。そして今年は早々とV5を達成。いつも以上のリズムで推移しているだけに、期待の大きさは計り知れない。 G1戦は計6回の優出があり、SGは2015年のグランプリシリーズ戦で優出5着の実績。さらにたくましさを増した今ならエンジンの仕上がり次第で主役に躍り出てもおかしくはないだろう。 念願のダービー初出場、誰もがほしがるダービータイトル奪取を目指し、一発を狙っていく。

頼りになる北陸の一等星!

「ほんとうに緊張するんで、記念レースは向いてないような気がします」。7~8年前、萩原秀人はしばしばこう自己分析していた。 思い切りのいいレースが魅力的で、誰が見ても北陸の新星であったが、自身はギリギリの精神状態だったようだ。 こうも語っている。「スタートの発順で負けたくない」。つまりトップスタートを切り続けレースの主導権を握るスタイルを志向していたのだ。メモリアル3回を含め、これまでSGを20回経験しているが、『何としてもトップスタート』という戦いの意志は『的確な判断とさばき重視』へと変化した。 記念中心に走りながら2連対率が約5割、3連対率は約7割に及んでいることでもわかる。 考えてみれば、『スタート』も『判断とさばき』もファンへの貢献の仕方でしかないことに気づく。高い緊張感を克服し、萩原秀人は頼りになる北陸の一等星として輝いている。

2010年以来のSG優出を目指す福井第3の男

萩原のSGデビューは2009年のチャレンジカップ。翌2010年にはクラシック、グラチャン、オーシャンカップと出場したSG戦で3連続優出を記録。 今垣光太郎、中島孝平に続く福井支部「第3の男」として存在感を大いにアピール。翌2011年からはSG戦出場の機会はめっきり減ったが、クラシックだけは2015年から4年連続で出場中。 記念常連なのに谷間の一般戦にめっぽう強く、2009年以降、年間5回以上優勝した年が5回あり、昨年は7回の優勝を飾っている。 しかも、通算45回の優勝のうち、インからは30回だけで、3分の1にあたる15回はイン以外での優勝。唯一のG1タイトルである2016年の福岡周年も3コースからの差し勝ち。 どこから何でもできる器用さを武器に8年ぶりのSG優出を目指す。

進化を続けるオールラウンダー

強くてうまいが圧倒的ではない。『さばき屋・名手』というイメージを重ねていかにもスッとなじむ…、萩原秀人の選手像というと自分にとってはそんな印象だ。 ハンドルワークに長け、感性肌のレーサーかと思いがちだが、選手像としては努力型。少々前に『さばき巧者』というお題で萩原選手に取材したことがあるのだが…「そういう風に言ってもらえるのはうれしい。でも自分ではまだまだと思っているし、年数やっても毎走が勉強ですよ(笑)。あ~、この選手は、ここでこうくるのか…とか、自分がやられたり抜かれたりした時の事は覚えておいて、対応の幅を増やして次に生かしたいと思って走っている」という答えがあった。基本を怠らないからこそ今見せる技の切れ。さばきの技は一日にして成らず。積み重ね錬成した仕事人の技で、SGでも崩れず、時に乱戦へ風穴をあける走りも見せてくれる。

スピード全開の鋭角ターンで今度こそ!!

サッカーのワールドカップを観ていた時、ふと「萩原秀人とウルグアイ代表の(エディンソン)カバーニって似てない!?」と記者仲間に振ってみた。 「う~ん、髪形だけじゃないの」と反応はもうひとつ。改めて写真を見比べてみると、確かに顔のつくりは違っていた。だが、スピードを前面に押し出したプレースタイルは共通している。 現代のボートレースは、いかに外枠から好成績を残せるかがポイント。前付け、追い上げなどの選択肢はあるものの、やはりターン力を駆使した握り差しは必要不可欠だ。 これまでSGファイナルは3度経験。いずれも6着と、まだ決定打は放てていないが、今度こそ鋭角な弧を描きトップゴールを決める。

主役の座を目指し、気合十分に挑む

選手にとってシリーズの最初から最後までピン(1着)を並べるほど気持ちのいいものはないだろう。萩原は7月のからつでこの偉業を達成した。 自身初となる圧巻の"9連勝完全V"。SG、G1戦線で不発に終わっていたモヤモヤを吹き飛ばす、リズム好転への価値ある優勝となった。 G1は2016年12月の福岡63周年で初制覇を成し遂げている。SGタイトルはまだ手にしていないが、それでも過去に3優出(クラシック、グラチャン、オーシャンカップでそれぞれ6着)の実績。SGで通用することは早々と証明してきただけに期待は高まる。 福井支部に新たな栄冠を―。キャリアを積み重ねてきた実力者が気合を入れ直してタイトル奪取に燃える。

少年の心をもつナイスガイ!

人生は出会いに満ちている。『人に恵まれない』と嘆く者の多くが潜在チャンスを逃しているのではないか…、磯部誠を見ていて思う。 カーディーラーに就職した青年は、あるとき客として来店した池田浩二と遭遇するが、その千載一遇の機会を逃さなかったのだ。 少年が抱くかっこよさへの憧れと、ある種のライバル心…。磯部の中の『子ども』が人生の転機をつかませた。それはプロになっても変わっていない。明朗快活、負けた後の姿もいい。 「勝負は勝ったり負けたり。敗れた時にこそ真価が問われる」とは、かのミスター麻雀・小島武夫先生(故人)の至言だが、磯部は天然自然にそれを体現していて朗らかである。 憧れの池田浩二と並び、常滑の推薦を得たメモリアルでSG初舞台というのも奇遇。ここで、人生のステージを変えるのだろう。

今が旬!愛知支部次世代の看板を背負う新星

愛知支部からは福岡、岡山の15人、大阪の14人に次ぐ12人のSG覇者が誕生している。 ただ、原田幸哉が長崎へと移籍し、池田浩二もスランプ気味。岩瀬裕亮も壁にぶち当たっている印象で次世代のスター候補誕生が待たれている中、ついに磯部誠がベールを脱ぎ始めた。 前期は7.60と自己最高勝率を残し、今年はすでに優勝が5回。メモリアルがSG初出場だが、続く地元蒲郡のダービー出場も決めている。 好調の要因を「たまたまペラが当たっているだけで、バブルですよ」と本人は謙遜(けんそん)しているが、師匠・平本真之譲りのハイセンスなレースは、これまで培ってきた実力があるからこそ。 丸亀は6月の周年でG1初優出した好相性の水面。初のSG舞台でも快走が見られるかもしれない。

大胆不敵な愛知期待の星!

今回の丸亀メモリアルには100期以降の選手が10人参戦する。各場の顔が選出されるメモリアルでこのメンバー変遷。SG界にも着実に新世代の波が到来しつつある。 その若手ホープ達の中でも、当節がSG初陣となる磯部誠。イケイケの強気な性格と攻撃型レースで、着々と自らのスタンディングポジションを固めてきた27歳だ。 愛知若手達の優しき良きお兄さん的存在でもある河村了からは「チャラくて、生意気だけど(笑)。仕事に対する姿勢はオカの上からもすごくしっかりしてる。他地区にもあの世代では中田竜太くんとかいい選手はいるけれど、ポテンシャルは負けてない。愛知の新鋭世代を岩瀬(裕亮)と 一緒に引っ張って行く選手だと思います」の声。 6月の丸亀周年では優出も果たし、その技量は記念域にも届いている。性格的にも大舞台に気後れするタイプとは思えない。大胆不敵、心技体の全てを賭しSG戦へと挑んでいくはずだ。

牙城を崩したニュートコタンが存在を刻む!!

「まさか、メモリアルに出られるとは思っていなかった」。各場2名ずつの選出になった2012年以降、とこなめの推薦枠(優先出場含む)は常に「池田浩二&平本真之」の組み合わせだった。 もしも、ブックメーカーが年頭にオッズを付けたとしたら、今年も1.25倍程度だったに違いない。だが、ついにその牙城が崩れた。磯部にSG初出場の抱負を尋ねると「技量と経験がないことは確か。 何か印象に残ることをしたい」と吐露。「まだ何かは決めていないですけどね」とほほえみ、初SGへの不安よりも、まるでハイスクールに進学するのを楽しみにしている少年のようだった。 「僕には勢いだけはありますから」とアピールも忘れない。ニュートコタンが初のビッグステージで自分の存在を刻む。

SG初出場でいきなり魅せる!

デビュー当初から将来性を見込まれていた好センスの持ち主。その期待に応えるように磯部は着実に出世街道を突き進んでいる。 現在の適用勝率は6点台の壁を打ち破って自己最高の7.60。今年は12優出V5と素晴らしい勢いで結果を出しており、来春のクラシック出場も射程圏に入った。 6月のまるがめ66周年ではG1戦で初優出(3着)した経験も大きく、ますます自信を深めたのは間違いない。 天性のスピードと勝負勘、どのコースからでも白星を量産できるオールラウンドプレーヤー。そしてナイター戦での強さにも定評がある。 今回のSG初出場はさらなるステップアップへの絶好のステージといえそうだ。いざ、下克上へ、愛知支部の気鋭が会心のショットを繰り出す。

深く濃い岡山愛の人

「僕が呼んできます!」。デビュー当時、平尾崇典はインタビューに来ない同県先輩レーサーや報道陣を慮り(おもんぱかり)動き回っていた。 朗らかで気遣いのできる『王国の星』も45歳。今は味のある受け答えが面白い。 優勝した2012年の児島チャレンジカップ、水面際で平尾のスタートの起こしだけを見ていたが、『重くてムダのない仕掛け』が強く印象に残っている。それは、地元代表の重責を感じさせるに余りあった。 当時の48.5キロという十分すぎる減量も壮絶だったが、体重管理を含めた勝負への準備は今も続いている。今年4月の住之江周年は6コースからゼロ台でまくり切り優勝。表彰式で、選手宿舎が同室だった同県レーサーを持ち出し「後輩が奇想天外なことを言うので、理屈抜きに過ごせた…」と会場を笑わせた。やはり面白い。 そして岡山愛は深く濃い。メモリアルは平尾崇典にふさわしい舞台である。

名門岡山支部復活へのキーマンが復調ムード

昭和の時代、岡山支部がどれほどボート界を席巻していたかを知るファンも少なくなったかもしれない。 SG戦7勝で初代グランドスラマーの北原友次を筆頭にSG覇者は15人。全場制覇は5人、通算2,000勝以上の選手も22人と他支部の追随を許さない。 昭和50年には当時年間4回しかなかったSG戦を全部岡山の選手で独占したこともあった。 記念戦線のみならず、万谷章など一般戦の鬼も多数存在した。しかし今、岡山支部の記念の顔は茅原悠紀と吉田拡郎のみ。一般戦の鬼も見当たらない。 黒明良光を総帥とするイーグル会の流れをくむ平尾崇典は名門支部復活のキーマン。SG戦出場はめっきり減っていたが、4月の住之江周年で見せた大外まくりが復活の狼煙(のろし)。 SG戦線でもまだまだ活躍してもらわなければならない。

したたかに舞う岡山の業師

相反する言葉ですが…『貪欲』と『禁欲』。 読み聞きして知る限りのことですが、物事を成して成功することができる人は、 その両極にある二つの心のコントロールがうまいタイプの人だそうです。 少々前の話ですが、 平尾選手の選手像を某岡山のベテラン選手に聞いたことがあります。その時の言葉が「レースに対する執念がすごい」…でした。 身長171㎝、 選手としてはやや大柄な体格を50キロのヒョロリとした痩身に、20年を超える年月維持し続けた自己管理能力とストイックさ。 レースでの上位着に対するシビアさ、貪欲さ…。そのあたりを示唆した言葉のようでした。 水面では戦術性に富む走り、オカでは戦力開示が少ない、いわゆる業師・くせ者系の筆頭格の一人とも言える選手像。 個性派ぞろいの岡山支部代表。そのしたたかな舞はSG戦でも要注意だ。

会心の一撃で久々のG1奪取。次はSGだ!!

4月の住之江周年では圧巻の大外まくりを決めた。 「毎年G1以上を1つは勝ちたいと思ってやって来た。それが5年もかかってしまった」とポツリ。 さぞ、喜びもひとしおかと思いきや、優勝戦の夜はそれに浸るヒマがなかったようだ。「70回以上優勝をしているけど、これまでで一番実感がなかった」と吐露。 理由は「表彰式の後に(山口)達也と飲んで、あいつが酔いつぶれてしまって…。ホテルの手配や介抱でそれどころじゃなかった」と目を細めて表情を崩した。 12年チャレンジカップは地元で功成り名遂げ、祝勝会では大盤振る舞い。「SGは2回勝たないとお金が残らない」とジョークで話したが、2度目のVが迫っていると予感させる近況だ。

集中力を高めて、またもや一発!

いつもクールで物静かな平尾だが、レースになるとたちまちアグレッシブなファイターに変貌する。勝ちにこだわり、何事にも屈しない。そんな姿に感銘を受けるファンも少なくないはずだ。 忘れもしない、今年4月の住之江62周年ファイナル。ここで彼は大外6コースからコンマ04のトップSを決めると、矢のようなまくりで圧勝した。 2013年1月の中国地区選(徳山)以来、5年3カ月ぶりとなる5度目のG1戦V。もちろん、足はよかったが、住之江でしかも記念の優勝戦で内5艇を豪快に一気飲みとは恐るべし――であった。 この優勝をきっかけに以後もまずまずのペース。今後の頑張り次第では年末の大一番への出場も見えてくるだけに腕の見せどころとなる。 SGの看板を背負う〝勝負師〟の底力を再び見せてもらいたい。

変身した「戦国の長子」!

「田舎の長男」…。39歳になる谷村一哉はデビュー当時こう言われていた。柔和でおっとりとした性格は果たして勝負師向きなのか…、多くのファンが感じ、案じたことだろう。 事実、20代半ばから後半にかけA2落ちを繰り返している。接戦にもろく、強豪の後塵(こうじん)を拝する傾向は否めなかった。正直、気弱に映った。 しかし、30代に入り周囲のエールが谷村を生まれ変わらせている。気丈なレーサーに変身したのだ。象徴的だったのは2016年。1月に徳山周年を制しG1初タイトルを取ると、2月には宮島中国ダービーV。一気に記念常連の仲間入りを果たす。その年はSG出場5回、翌17年は3回のSG戦を経験している。 先行艇に対し内からプレッシャーをかける粘りに加え、難しい2コースもうまく立ち回る谷村一哉を軽視してはならない。現代ボートレース界の「戦国の長子」が下克上を起こす予感がする。その舞台は丸亀メモリアルだ。

再び大舞台での活躍が待たれる山口第4の男

かつては小林嗣政、福永達夫、今村豊。そして今現在は今村、白井英治、寺田祥。選手数は決して多くない山口支部だが、いつの時代もファンに誇れる「三本の矢」が存在した。しかし、「第4の男」がなかなか出て来ない。 山口には徳山、下関とレース場が2つあるので、メモリアルには必ず4人が出場できるが、谷村一哉は「第4の男」筆頭候補としてメモリアルには2012年から途切れることなく7年連続出場。 2014年の若松大会では優勝戦1号艇をゲット、SG制覇に王手をかけた。2016年にはG1連覇を果たしたものの、これ以降は大舞台で活躍の報が聞こえて来ないのは残念。 大峯豊、原田篤志、海野康志郎らの突き上げが激しくなってきた今こそ、周囲を納得させる結果を残したい。

流れに乗る山口四天王の…ラストワン!

昨年は今村豊のマスターズV3。寺田祥はメモリアルでSG悲願の初優勝。そして今年は64年ぶりの徳山SGグラチャンで白井が涙のSGV2。 山口勢にいい流れがきている中で、さて次は…と目されるのはやはりこの谷村一哉だ。某山口支部の若手によれば『今村さん、白井さん、寺田さん、谷村さんが山口四天王』との声もある。 インパクトのある前3人に、優しい性格の分で谷村は少しその影に隠れがちではあるが、G1戦2勝の押しも押されぬ中国地区のスターであることは間違いない。 ちなみに今回出場するSGメモリアルは、14年若松大会で優勝戦1枠を手にするも、2枠白井のS00まくりに屈した苦い想いも残す大会だ。 谷村はリベンジ…というネガティブな言葉は似合わない好漢。ただ手からこぼした一歩先に進むための鍵は、もう一度この大会でこそつかみ取る!その想いはやはり胸中に持つはずだ。

7年連続の推薦を受け今こそ夢をかなえる時だ!!

ボートレーサー養成所では4点台の勝率だった谷村一哉は「一番ヘタなぐらいでしたし、A1へ上がるのも遅かったです」と苦笑い。 同期が逸材ぞろいなだけに遅く感じたみたいだが、デビュー9期目での初昇格だった。それよりも、SGに初参戦するまでに13年8か月間もかかった方が意外だった。 ターン力を磨き、大舞台で経験値を積み、課題だったメンタル面も克服。16年には徳山周年、中国地区選でG1タイトルをゲットした。 14年のメモリアルではSG未冠の山口トリオが内枠を占拠。白井英治が勝ち、昨年は寺田祥が初制覇。今度は自分の番だと思うのは当然のことだ。 SGを優勝することが夢だった男が、今はハッキリとした目標として乗り込んで来る。

地力は証明済み。ソロソロ一発!

屈辱の敗戦を喫したあの日から4年が経とうとしている。 2014年の若松メモリアル。 この大会の優勝戦で谷村は1枠を勝ち取りSG初優出初Vへの千載一遇のチャンスを迎えたが、2コースからタッチSを決めた同じ山口支部の白井英治のまくりを浴びてよもやの6着。夢ははかなくも散った。 皮肉にもこのときが白井のSG初優勝とは、まさに厳しい勝負の世界の現実である。しかし、そんな悔しさをバネに2016年には徳山62周年で念願のG1初V。そして翌節には中国地区選(宮島)も制してG1戦2勝目と、まざまざと地力を見せつけた。 以後、特別戦線では鳴りを潜めているが、それはご愛嬌だ。自身にとっては今年最初のSG戦。同期の菊地孝平や、赤岩善生に負けない走りでシリーズを盛り上げてもらいたい。

好感もてる職人気質の人!

「イメージボール…、これを覚えるとビリヤードが楽しくなります」。こう教えてくれたのはメモリアル初出場の林美憲。 キュー(玉をつく棒)で手玉を動かし、カラフルな的球を操ろうとしても素人には微妙な角度が分からない。「実際には存在しない仮想ボールを想定し、その芯をつく!」と教えてくれた。試してみると本当だった…。まるで『見えないスタート』のようだ。 「集中力をつけるため」とビリヤードとの接点を語るが、どこか職人気質なところが反映しているように思えてならない。技やスピードを楽しむところがある。丸亀は今年の四国地区選を含めG1戦V2。相性がいい。機力上位でも「確信をもてない」と言うが、最後は「やっぱり出てましたね」と白状することしばしば。 2月もそうだった。どこか愛らしくて好感がもてる人物だ。地区選の再来を願わずにはいられない。

13年ぶりのSG戦優出目指す名門復活のキーマン

SG戦が来ないレース場のひとつだった鳴門が2016年にオーシャンカップ、2017年にはグラチャンと2年連続でSG戦を開催。 しかし、地元徳島勢は2回とも誰一人出場を果たせなかった。中道善博さんを輩出、烏野賢太、濱村芳宏、田村隆信が後に続いたかつての名門は低迷にあえいでいる。 林美憲は2004年のクラシックがSG初出場。その初出場から5回連続で予選突破の快挙を達成し、2004年のグランプリシリーズ、2005年のオーシャンカップは優出してどちらも準優勝。SG制覇に手が届きかけた時期もあった。 持ちペラ制度時代に見せていた圧倒的なパワーは鳴りを潜めているが、今年は2月の四国地区選でG1戦3勝目を飾り復活。意外にも初出場のメモリアルで13年ぶりのSG優出を目指す。

目指すはスポットライトのど真ん中!

『名バイプレイヤー』。記念V3を含む通算56優勝の名手にこう書いては失礼だが、SG戦での林の戦績を省みると、その立ち位置はそういう表現になる気がする。 04年GPシリーズ、05年OCは共に紙一重の準優勝。賞賛に値する成績だが、やはり優勝と準優勝の間にある価値感の差は大きい。 また四国A1巧者として名を売って久しいが、今回が鳴門ボートの推挙を受けての初メモリアル参戦というのも、林のもどかしい立ち位置を感じさせる。 叩き上げの早業と調整力は、まだまだ十二分に特別戦でも冴えを見せ、2月地区選V、先の浜名湖クラシックでのしぶとい着取りでも証明されている。 メインスポットライトの少し外寄りから、いつかは舞台をアッと言わせる主役獲りを。同姓著名人・林修先生の言葉ネタではないが『いつやるの? 今でしょ』と、その走りで語って見せたい!

G1戦3Vは四国両県での勲章!台風の目だ!!

毎年、梅雨入り前に発表を心待ちしている。それは、メモリアルの出場選手だ。 どうしても、若手の抜てきに目を奪われがちだが、中堅からベテランの域に差し掛かった選手の初推薦も味がある。 今年の四国チャンプに輝いた林美憲は、クラシックで4年ぶりのSG戦に復帰。惜しくもオーシャンカップは僅か1ポイント差に泣いたが、G1での走りっぷりは出場選手に負けていない。 選考期間中に4度G1にあっせんされ、全て予選をクリア。蒲郡DCの優勝戦では、道中追い上げての3着と健闘した。もう1節あっせんが入っていれば…と個人的に思っていただけに、この推薦には当人も燃えているだろう。 2度の準Vを含む15度のSG出場歴があるが、記念レギュラーではないだけに舟券妙味は高い。

G1戦V2のドル箱水面で一発を狙う!

2004年のグランプリシリーズ(住之江)、翌年のオーシャンカップ(桐生)をそれぞれ準優勝。 惜しくもSGタイトルには手が届かなかった林だが、ポテンシャルの高さは早々と証明した。2010年には四国地区選(まるがめ)で念願のG1戦初Vを飾り、そして今年は再びまるがめ地区選で8年ぶりのタイトル奪還。 そのハンドルさばきはさらに凄みが加わってきた感がある。それだけに浜名湖クラシックの予選落ちは案外だったが、もちろん、あれが地力と判断するのは早計だろう。 今回のメモリアルの決戦の舞台は相性抜群のまるがめ。G1戦V2を飾ってきた水面で本人も気合を入れ直してくるのは間違いない。 夢にまで見たSG初制覇へ、真っ向勝負を挑む豪腕チャレンジャーに注目したい。

優男にみえるが、ハードワークにたえる関東の星

大池佑来がついにSGデビューを果たす。 B2からはじまりB1・A2へと進む上昇階段を一度も上下することなく9期連続のA1。そのポテンシャルを考えると、10年7ケ月目の大舞台は意外というほかない。 デビューは多摩川。平和島で初優出を果たすと、江戸川で初優勝。東京支部選手のお手本のような足跡を残してきた。 その優しい雰囲気とは裏腹に、戦いはコンディションを選ばない。 また、冷静に立ち回るべきところは抑え、攻め時とみれば容赦なくスピード戦に持ち込むなど、レースはアクセントが利いており野性味がある。 SG初見参だと侮れば、丸亀で後悔することになるだろう。

若手屈指の波乗り巧者がSG戦に初見参

福岡生まれの神奈川育ち。小1までボートレース若松と芦屋のちょうど中間地点に住んでいた。選手を目指した高2の時の体重が47キロしかなく、筋トレに励んで体重を増やした努力家。 若手の頃は江戸川から地区スターに指名されるほど、軽量級でありながら荒れ水面が大好きな波乗り巧者。 7年目からはずっとA1級をキープし、2015年後期には7.26の勝率も残しているが、記念戦線では壁にぶち当たっており、これまで40節出場して予選突破は10回。 優出もG1戦2回目の出場だった2012年の芦屋新鋭王座だけ。 SG初出場となる今回のメモリアル選出は、さらなる飛躍を…という期待を込められた指名に違いない。 SG戦でいきなり結果を出すのは難しいかもしれないが、低迷が続く東京支部の新興勢力になるべく、何かをつかんで欲しい。

度胸満点のベビーフェイス

メモリアル…というと実績重視、その地域の顔を代表選手として推挙するという色が濃かったが、近年は施行者さんサイドの有望若手のプロデュース、そういうスタンスもうかがえる。昨年でいえば多摩川推薦の永井彪也。 今年の東京勢からのサプライズメモリアル参戦は初出場の江戸川推薦・大池佑来。ベビーフェイスの綺麗な顔立ちで、未だに若手のくくりと捉えがちだが、ボートキャリアはすでに11年、関東実力者の立ち位置も築いている31歳だ。 すでに今年はV3も遂げる活躍。ただ本人は「一般戦ばかりではダメですよね。記念でもっと頑張っていかないと」と、自らに発破もかけていたところ。 ちょうどそこへきて、うれしいSG初参戦だ。本人もキャリア的にここらで一旗揚げたいという思惑もあるはずだ。江戸川関係者の心意気と、親からもらったユウキの名に応える度胸満点のSG初陣を飾ってほしいものだ。

江戸川が送り込んだ秘密兵器がベールを脱ぐ

日本一特殊な水面からエントリー。通算13優勝の内、3度を推薦された江戸川で飾っている。G1でも早くから声をかけているように、期待の逸材を送り込んで来た。 かと言って難水面だけが得意な選手ではない。高速プールの多摩川でも3優勝を挙げ、今年のゴールデンウイーク戦も制覇している。 また、かつてはナイターレースに苦手意識を持っていたが、それも2年前の若松、桐生の優勝で払拭(ふっしょく)済み。少しずつだが、着実に地力を強化して来た。舟券の急所は4・2コース。 スタート力を生かしたカド一撃と、密かに精度がアップしている2コース差しで好配当を狙ってみたい。

力をつけてきた大池に熱視線!

イケメンでファンが多く、記者への対応も丁寧。そして何よりレースが巧みだ。SG初出場といえども今の大池なら〝大仕事〟をやってのける可能性を秘める。 現在、9期連続でA1をキープし、近況は例年以上の優出ラッシュ。まくり一撃で圧倒するタイプではないが、旋回スピードはすさまじく道中の競り合いの強さにも定評がある。 「スタート事故を少なくするために、考え方を変えてターンで勝負するようにしたら少しずつ成績が上がってきた。方向性は間違ってなかったと思います」 最近は記念でも予選突破を果たす急成長ぶり。「これからもレベルの高いところを走らせてもらっていろいろなことを吸収していきたい」と、さらなる飛躍を胸に全力を注ぐ。〝新勢力〟の走りに注目したい。

「プロセスへの誓い」に高い精神性

「ベストを尽くします」。服部幸男が発信し続ける宣誓に込められているものは何だろうか。果たしてベストとは?… 「人生には、自分で決められることもあれば決められないこともある。自己の力が及ばない世界の中で、与えられた生を、与えられた立場を全うしたい」。そう語っているような気がしてならない。 以前、ストレートに聞いたことがあるが、服部はその問いに静かにほほ笑んだ。「ベスト」という言葉に結果への約束は含まれていない。プロセスへの誓いなのだ。 刻々変化する環境や条件、そして自己の能力や感性。それら移り変わるものの中で、異なる道程に真摯(しんし)に向き合う姿勢がそこにある。 「いつも今が始まり。一瞬一瞬を誠実に生きたい」という精神性の根底に、重ねる年齢が含まれるのは当然のことだ。その存在は強いとか弱いとかを超え、優れてかっこいい。

艇王、王者と共に世代交代を促した革命児

「水の上では先輩も後輩もない!」これはかつて服部が出演していたCMでのセリフ。 まさにこの言葉通りの活躍で植木通彦、松井繁らと共にベテラン勢(野中和夫、中道善博、安岐真人ら)を圧倒、世代交代の旗頭として一世を風靡(ふうび)した。 21歳9か月でのSG初優勝は今村豊の記録を大幅に更新しての史上最年少記録で、いまだ破られていないし、今後もまず塗り替えられることはない偉業。 1997年のグランプリ制覇を最後に、もう20年もSG制覇から遠ざかっているとはいえ、2006年のグランプリシリーズから2012年のオーシャンカップまで優出した SG戦では4連続準優勝の記録も残し、さらに今年で13年連続出場と相性抜群のオールスターでは2013年から4年連続優出した。 圧倒的な存在感に陰りは見られない。

モンキー世代の革命児

『無敵の服部~、世界を1人占め~』。某有名バンドの89年くらいの『服部』という曲だが…。まさにオンタイム。 服部幸男のサクセスストーリーが始まった時期とシンクロする曲だなぁ~と思った記憶がある。 デビュー3年5カ月、92年に平和島ダービーでSG初制覇。97年の住之江では賞金王にまで登り詰める。 TVCMの「水の上に先輩も後輩もない!」という服部の台詞は、ボート界ではあまりに有名な一言。 物静かだが向こう気が強く、その実力1本で年功序列の感が強かった当時のボート界に風穴をあけてみせ、時代の革命児だった。 時は流れて今やその服部もマスターズクラス。艇界上層に立ちはだかる先輩として追われる側の身となったが、ファンは圧倒的な輝きを放っていた『若きカリスマ・服部』の雄姿も忘れてはいない。 その支持と票を得てのオールスター、エールに応える走りで男を見せたい。

SG最年少Vから四半世紀-。情熱は枯れない

これまでで一番衝撃を受けたレースは!? と尋ねられたら、服部幸男が優勝した平成4年のダービー(平和島)と答える。 当時のまくり差しは、1マークへ向けて締めて行き、イン艇だけを行かせるもの。だが、服部が大外から繰り出したのは「ツケマイ差し」。 5コース艇をスピードの差で抑え込み、結果的に差し抜ける、当時は見たことのない大ワザだった。 あれからボートレースにのめり込み、記者という職業にも就いた。そんなキッカケを与えてくれた服部が、平成のラストイヤーを迎えてもSGにエントリー。 枯れることのない情熱をリスペクトする。

スランプ脱出へ、真価が問われる

初出走が1989年(平成元年)の5月だから、服部のボートレーサーとしてのキャリアは29年になる。松井繁とは同期で盟友だ。 そして松井よりも出世は早かった。92年のダービー(平和島)では当時21歳の若さでSG初制覇。 今村豊が持っていたそれまでの記録を更新するSG史上最年少優勝を果たし、現在もその記録は破られてはいない。 積み重ねてきたこれまでのタイトルはSGV4、G1V21。97年にはグランプリを制して頂点に立った実力者だ けに近年の低迷ぶりは信じがたいが、もちろん、このまま終わることはないはず。 〝皇艇〟復活-を待ち望むファンのためにも次の尼崎オールスターは腕の見せどころとなる。 是が非でも再浮上へのきっかけをつかみたい。

『健気』という生き方の体現者

ソフトボールの塁間は18.29m。ここを、ランナーは3秒前後で駆けていく。 歩調を合わせ、捕球し、送球する野手に時間的余裕はない。ミスが許されないスポーツだ。そのソフトボールに、遠藤エミは青春をかけていた。 絶え間ない反復練習と精神を鍛える叱咤(しった)が伝統の競技にあって、『すべてを真に受ける』性格では心身がもたない。 底抜けに朗らかだったり、あっけらかんとしていたり、くよくよしない性格の者が多い。遠藤も、女子トップレーサーでありながら強烈な闘志をほとばしらせることはない。 以前、「パン屋さんになりたかった…」と教えられた時、誇らしい気持ちになったのは何故だろう。 高い緊張感を強いられる世界でさりげなく努力し、強者に立ち向かう。そして結果に一喜一憂しない。さらに加味される優しさ…。 遠藤エミは『健気』(けなげ)という生き方を体現している。

女子初のSG制覇にもっとも近い努力家

養成所時代の勝率が3.92で102期の中でブービーだったなんて信じられるだろうか? 女子強豪はほぼ例外なくデビュー前から鳴り物入りで出世も早いのだが、遠藤の訓練生時代は劣等生で、A級昇格にも時間を要した。 しかし、それは外野からでは分からない「目先ではなく、さらに先を見据えて」という遠藤の信念によるもの。才能ではなく地道な努力で身につけた実力が、昨年一気に開花したわけだ。 今年はG2戦準優Fという試練を与えられてしまったが、目先に捕らわれない遠藤にはかすり傷にもならないだろう。女子初のSG制覇にもっとも近い一人。 何があっても、この評価は揺るがない。それだけの地力を十二分に培ってきたのだから。

女子最強軌道のニュージェネターン

遠藤のレースを、遠藤と同期の某男子選手と一緒に観戦した事がある。 その時に遠藤は落水失格を喫したのだが…。このレースを見て同期男子選手は「遠藤の落水は、やまとの時も含めて見たの初めてかも? 体が強いタイプだから、転覆はあっても落水しないんですよね」と口にしていたものだ。 この話は遠藤の旋回センスを評してもいる。男子で言えば桐生順平や、毒島誠らがそうだが、体幹&バランスが強く、低い重心で艇との一体感を持ってボートを旋回で振り回す。 それだけに艇ごと水面下へ沈む転覆はあっても、自分だけが艇から放り出される落水は少ない。遠藤は女子では数少ない、そういうニュージェネタイプの旋回機動ができる選手でもある。 昨年末に大村QCを制し、当然次の照準はSGへ向く今年の遠藤。女子選手のさらなるフロンティアを、そのスケールの大きい旋回で切り開いて欲しい。

可能性は周囲をアツくする。そんな逸材だ!

もう12年ほど前の話になるが、横西奏恵さん(2012年引退)が女子二人目のSG優勝戦(06年クラシック平和島)で6着に敗れたあと、先輩記者とこんな会話をしたことを思い出す。 僕が「女子レーサーがSGを獲る日は来るんでしょうか!?」と尋ねると、先輩は「まあ、リニアモーターカーに乗るのが先か、どっちかだろう」と独特の表現で返答。 無念にもその先輩は、どちらも見ぬまま急逝した。 リニアは2027年に開業予定。まだ少し先だが、見通しは立っている。女子選手も男子選手との実力差が少しずつ縮まり、活躍の場は広がっている。 そして、全てがかみ合った時、頂点まで一気に届きそうなのが遠藤エミ。 あのターン力はSG戦士とも互角に渡り合えている。SGVに最も近い女子レーサーだ。

成長し続ける遠藤。大いなる野望を胸に

昨年の桐生順平のグランプリ初優勝も感動したが、クイーンズクライマックスでの遠藤の走りも記憶に残る素晴らしいものだった。 自身3回目の出場で大会史上初の4連勝完全V。神秘的とも言える強さでファンのド肝を抜いた。 年齢の近い桐生が頂点に上り詰めたことで、「モチベーションが上がりましたね」というが、すべては彼女のレーサーとしての才能だろう。 誰にも負けまいとする勝利への気迫が幸運をたぐり寄せた。もちろん、〝最強女王〟の称号を手にしたとあれば、今後はもうワンランク上のステージでの活躍を目指すのみ。 2018年はまさに真価が問われる戦いになる。 男子相手に互角に渡り合える天性のスピードで常識破りのSGタイトル戴冠を狙っていく。

結果の窓から見てはならない「度量衡の人」

『度量衡』という言葉がある。『度』は長さ、『量』は体積、『衡』は質量を表す。つまり、ものさしや秤を意味するのだが、かつて古老から「人物の大きさをはかるときにも使う」と教えられたのを思い出す。 未来と過去を見通す時間軸が長く、現実を受け入れる器が大きく、言動が重厚である者を、人は尊敬する。まっさきに吉川元浩が思い浮かぶのはなぜだろうか。 阪神淡路大震災という未曾有の経験を経てボートレーサーを目指したというが、人知を超えた大きな渦の中で生かされている確信があるのでは…と勝手に思う。 結果に一喜一憂しない姿勢と2007年・福岡グランプリVで語った「今年、自分が一番努力した」という言葉は相反するようだが、その根底には『人事を尽くして天命を待つ』精神があるはずだ。 吉川元浩は、結果の窓から見てはならぬ大きな男だ。

11年遠ざかっているSG制覇は地元水面で

今ではとても考えられないが、かつて兵庫は弱小支部のひとつで、2005年までSG覇者不在、SG常連も少なく、G1覇者さえなかなか誕生しない時期があった。 その状況を打破したのが魚谷智之と吉川元浩。2006年の福岡ダービーで魚谷と吉川がワンツー。尼崎場外では売り上げよりも、払戻金の方が圧倒的に多かったという伝説も残った。 翌2007年には魚谷がSG連覇、吉川がグランプリを制覇して、この2人で獲得賞金1、2位を独占。尼崎ファン待望の全国区スターが一気に2人も誕生した。 ただ、吉川はグランプリ制覇以降、SGタイトルには無縁。G1戦16勝の実力から考えても、これはあり得ないこと。 地元尼崎のSG戦はオールスターで9回目。待望のSG2勝目は地元水面で…の意気込みだろう。

篤実なセンタープールの業師

「 今さらそんなこと思い出させるなよ…」と、吉川選手がこの原稿をうっかり読んだら、そうぼやきそうな話ですが…。 自分が吉川元浩にまつわるシリーズで一番印象強く覚えている一節というと、10年の戸田『本命バトル祭(第1回)』です。 シード企画戦の先駆けで、注目度が高かった当節。吉川は本命選手で召集を受け、低調機でファンの期待に応えようとする無理がたたって、Fに転覆も喫する厳しい成績でした。 券を買っているファン側からは、何だよ…の思いがあって仕方なしです。 ただ、ファンや運営の期待に応えようと苦闘して、プライドを傷つけられながらも、メディア対応も丁寧に最後までこなした吉川の姿は、内幕を知っている記者達からは賞賛の声が挙がる一節でもありました。 言葉にされては面映ゆいでしょうが、誠実と努力の人。待望の地元SGでの活躍へ、素直にエールを送りたいものです。

地元で迎える9度目のSGで悲願達成を!

ボートレーサーを評価する指標として、賞金獲得額、勝率、優勝回数などが挙げられる。 この中で優勝回数については、同時に優出回数も表記されることが多い。 そして、いつも瞬時に計算をしてしまうことがある。それは優勝回数に6を掛けることだ。 その数値が実際の優出回数に対してハイorローで「勝負強いかどうか」の判断にもなる。 例えば吉川元浩の場合、通算75優勝×6=450。実数は230、断然のローでV確率は32.6%だ。G1は55優出16優勝、V確率は29.1%。これもかなりの優秀な数値だ。 ただ、SGになると17優出1優勝、V確率は5.9%まで落ちる。 今回のオールスターは地元の尼崎で行われる自身9度目のビッグ舞台。このままSGのV確率がひとケタで終わる選手ではない!

尼崎では最強! 吉川の豪腕が炸裂する

マスターズ世代に突入した吉川だが、まだ45歳。魚谷智之とともに兵庫のエースとしてさらなる飛躍が期待されるSGタイトルホルダーだ。 SG初制覇は2007年のグランプリ(福岡)。 いきなりの黄金ヘル戴冠だったが、08年(3着)と09年(5着)にも優勝戦に進出し、改めてその実力を全国に知らしめた。 ただ、09年を最後にグランプリの出場が途絶えているだけに胸中は決して穏やかではないはず。 そんな焦りからか、一時期はフライング事故の多発で苦境に陥ったこともあった。それでも不屈の精神力で立ち直り、存在感を示してきたところに彼の資質の高さがうかがえる。 知り尽くしたホームプールでの戦いは絶対的なアドバンテージ。SGV2へ、今こそ真価が問われる。

今度は、『涙と喝采』の舞台を!

「かめはめ波~!」…。その声とともに紙吹雪が舞ったのは2015年10月の浜名湖・ボートレースダービー。守田俊介が初のSGタイトルを勝ち得た優勝セレモニーは『笑いと喝采』が交錯する舞台となった。 「僕に元気玉をください!」というオープニングセレモニーでの願いにファンは惜しみなく声援を送り続けたが、その優勝賞金全額寄付をもって社会への深い感謝を表した。応援したくなるのは当然だ。 『整備もプロペラもしない』と言われて久しいが、「あまりに素早くたたいているから、見えないんです」と笑う。やはり気持ちのいい男だ。 ダービーVを振り返り、「ほんとうは泣くかな…と思ったんですが、あれはあれで自分らしくてよかったです」と語った守田…。今度はファンが選んでくれたオールスターだ。『涙と喝采』の舞台を願わずにはいられない。

弱点の整備力を補って余りあるテクの持ち主

もし、モーター性能が全く互角だったら誰が一番強いか…。記者仲間で必ず名前が挙がるのは市川哲也と守田俊介の2人だ。 市川はSG戦で完全優勝の偉業を達成した時でも、決して節一パワーではなかったし、グランプリ制覇時はエース機が味方だったことを思い出す。 守田もデビュー時からパワー面では劣勢なことが多く、スタート力と卓越したハンドルワークを武器に今の地位を築き上げた印象。SG戦で上位パワーだったことは過去に何度もない。 ダービーでSG初優勝を成し遂げた時は数少ない上位パワー時で、チャンスをきっちり生かし切った。 モーター出し勝負の時代になった今なお、SG常連の地位を譲らないのはズバ抜けたレース勘があるからこそ。SG2勝目のチャンスはきっとまた訪れるに違いない。

『心技に魅力あふれる最強速攻派』

ボートレースは特に、メンタルという部分が強く反映される競技です。それだけに、そのレーススタイルには選手の性格や、大げさに書けばその生き方のようなモノがにじみ出るという部分も強いように思います。 守田俊介と言えば、デビュー21年6カ月で成し遂げた15年・浜名湖ダービーV。その優勝賞金をそっくり東日本大震災の被災者の方達へ寄付したというレジェンドなエピソードを持つ選手です。 オカの上での欲のないさっぱりとした在り方、守田の場合それがそのまま選手スタイルへ通じるとも言えそうな気がします。 『物欲』=『エンジンパワー』に対してはさほど執着せず、持ち前のS力を根幹としたレーススキルで勝負する。水上では苛烈な速攻、オカでは涼しげな立ち居振る舞い。 ギラつく闘志 がぶつかり合うSG戦の中では異質でも、そのおおらかな人柄を含め、とても魅力にあふれた選手です。

衝撃を与える男がさらなる一打を狙う!

2015年10月、浜名湖で行われたダービーで山田雄太がSG初出場初優出を果たした。この時にトップゴールを駆け抜けたのが守田俊介。優勝賞金の3500万円を全額寄付してビッグニュースになった。 思い起こせばSG初出場も衝撃的だった。住之江で行われた1997年クラシック。優勝回数を積み重ね、デビュー2年10カ月でSG初出場。 同期の辻栄蔵が初めて出るまでに6年2カ月も要したのを考えると、ぶっちぎりの早さだ。そんな天才肌の弱冠21歳が、初日から前付けを敢行。6号艇で2コースまで潜り込み場内を沸かせた(結果2着)。 既に新鋭リーグ戦では恒例になっていたが、歴戦の強者(1号艇今村暢孝、3号艇安岐真人)が相手でも動じることはなく、自身のスタイルを貫いた。 人々に強烈なインパクトを与える男が、さらなる一打を狙っている。

再び脚光を-。ダービー王・守田に注目!

勝負の世界は実力だけではなく、運も勝敗を大きく左右する。 いかに〝流れ〟をたぐり寄せられるか―なのだ。そういう意味では守田の2015年ダービー優勝は記憶に残る印象的なレースだった。 予備1位からの繰り上がり出場で、あれよあれよの間の王道V。実績エンジンを手にするラッキーはあったにせよ、流れを完全に引き寄せる強運ぶりで悲願のSG初戴冠となった。 しかも、周囲を驚かせたのは東日本大震災の被災地に賞金の全額を寄付したことだろう。 「みんなの後押しがあって勝てた。この賞金は僕だけのものではないと思った」。 レーサーである前に正義感の強い心優しき人間性が映し出されていた。 あの〝衝撃〟から2年と6カ月。今度は尼崎で大器晩成のSGホルダーが豪腕を発揮する。

ボートレース界のブランド

かつて、実績ある先輩アナウンサーからこんなことを聞いた。 「一流は呼び捨てにされる」。『王・長嶋』『大鵬・柏戸』『尾崎・青木・中島』…。「つまり、ブランドなんだよ」。大先輩はそう説明してくれた。 今、ボートレース界では『松井繁』だろう。『王者』だからである。追う者からはタワーの如くハッキリと見えるトップアスリートも、本人の視点に立てば踏み慣らされた道は見えない。開拓者なのだ。 その看板は軽いはずもないが、松井繁に悲壮感はなく淡々と歩んでいる。それだけに、2009年の第24回グランプリ(優勝)で語った「いつももがいているんです」という言葉が忘れられない。 端麗な姿の向こうに計り知れない努力が隠されているのだ。『松井繁』というブランドはボートレース界の誇りでもある。

生涯獲得賞金36億円が何よりも王者の証し

生涯獲得賞金が約36億4千万円。この数字に王者松井の全てが凝縮されている。 2位の今村豊に約8億円の差を付けてぶっちぎりのトップだが、年間2億円超えが実に6回! 松井のグランプリ制覇は3回なので、グランプリ未制覇でも3回ほど2億円超えを達成。そのうち2003年にはSG戦未制覇にも関わらずG1戦8勝をマークして2億円を超えた。 1億円台は11回。実働28年で36億円は年平均にすると1億3千万円にもなる。年平均が1億円を超えているのは他に艇王・植木通彦さんしかいない。 プロの世界は稼いでナンボ。どんな記録や実績よりも、この獲得賞金だけで松井のすさまじさが分かる。 昨年も3カ月連続G1戦優勝など、50歳手前の今なお、衰え知らずの走りっぷり。今年も主役の座は譲らない。

ボートドリームの体現者

『夢をかなえる4つの《C》』。 ディズニーランドの創設者ウォルト・ディズニーの言葉なのですが、その4つの『C』とは…『Curiosity・好奇心』、『Confidence・自信』、『Courage・ 勇気』…、そして『Constancy・継続』を指します。 中でも大事なのは自らが信じた道を貫き続ける自信と継続だそうです。松井選手も自らが掲げる金言に「継続は力」という言葉をあげています。 王者・松井が他の名選手達と一線を画する部分は、高いレース技量も当然ですが、やはり一番は自らを信じてボートレーサーとしての頂点を求め続けていける、そのメンタリティーでしょう。 たゆまず、だからこそかなえた生涯獲得賞金36億円。夢=ビッグマネーは、ドライでも最も分かりやすい成功者の夢の形です。 ボートドリームの体現者『絶対王者・松井繁』。憧れを裏切らぬその威風に今年も期待したい。

今年はSGで最強ルーティンを披露だ!

ボートレーサーはオシャレな人が多い。他のアスリート達と比べても、群を抜いている思う。その象徴的な存在が王者・松井繁だ。 ファッションの極意を尋ねた時、返った来た答えが「サイズを合わせる」だった。これは勝負の世界においても当てはまる。 自身の短所を知っていなければ、反省を元に強化することが出来ない。同時に長所も分かっていなければ、チャンスが来ても掴むことが出来ない。 王者の最大の武器は我慢に耐えられること。結果を欲しがってスタート勝負に頼らず、それでいて勝機が訪れたら逃さない。 昨秋の桐生、福岡、尼崎のG1V劇こそ王者の真骨頂。今年はSG戦線で必勝ルーティンに持ち込む。それが叶えば夢のグランプリ4Vが見えてくる。

揺るぎない絶対王者。貫禄の走りで圧倒!

昨年、12年連続22回目のグランプリ出場を果たした松井だが、それまでの道のりは決して平坦ではなかった。 5月の福岡オールスター(4着)以降はSGはおろか、G1での優出もなくなった。 「特に夏場はエンジンが悪くて苦しかったね。でも、そこを我慢できたのが大きい」という言葉どおりに季節が変わると劇的にリズムは好転していく。 10月の桐生61周年、11月の福岡64周年をV。GP出場が決まった直後の尼崎65周年でも見事な優勝を飾る怒濤の快進撃となった。 短期間でG1V3はSGを1つ勝つよりも難しく価値のあるものだが、それをいとも簡単にやってのけるのだからさすがという他はない。 前人未到のGPV4を目指す絶対王者が今年もボート界の軸となり、存在感を見せつけるのは間違いない。

人を励ます頼もしいレジェンド

『未来は変えられるが過去は変えられない』という。果たしてほんとうにそうだろうか。今村豊を見ていて思う。 ボートレース界を拓いてきたレジェンドは、過去の見え方をも変えてきたのではないか。『歴史を再構築させる力』をもっているのだ。それも、伝統を壊すことなく向かうべき方向を変えるという方法で。 だから、年配者から好かれ、若者からは尊敬されるのだろう。 その彼が「目標はない」という。どんな言葉より人々を励ます至言だ。『一日一日を実直に生きていく』という生き方への宣言は、ボートをぶつけない、弱い立場の者に強く出ないなどのスタイルと合致する。 「実るほどこうべを垂れる稲穂かな、と父に教えられまして…」と静かに語る横顔も、レース中の鬼の形相も、大きな価値を内包し清々しく頼もしい。

38年目の今なお輝き続ける永遠のスター

今村のデビューがどれだけ当時のファンの度肝を抜いたか、最近のファンには想像がつかないだろう。 デビュー戦優出やデビュー期A級特進は何人かいるが、10カ月目にはG1戦を走り、SG戦には1年ジャストで出場し、1年2カ月でG1戦初優勝。同じ2年目にはもうG1戦2勝目。そして3年ジャストでSG初優勝…。 これらは全て大外6コースから。 ずっとリアルタイムで見てきたが、その衝撃はとても言葉ではいい尽くせない。そんなレジェンドもデビューして38年になるが、今でも「今村豊」の名前があると胸がワクワクする。そんなオールドファンはきっと多いはず。 誰が何と言っても今村はその人柄も含めてボート界の永遠のスター。記録にも記憶にも残る唯一無二のスーパースターだ。

『シンギュラリティ』=『今村豊の全速ターン』

孫正義さんがAI技術の進化にまつわる話の中で口にして、ちょっと流行った言葉なのですが…。技術的特異点。大まかに書くと…、ある技術体系が、それまでの時系列と全く違う爆発的な進化を起こすポイントです。 ちょっと強引ですが、まさにこの言葉をボート界に当てはめれば、『シンギュラリティ』=『今村豊の全速ターン』ではないでしょうか。 ターンの進化を促し、過酷なエンジン出し競争から旋回技術の勝負へ。ボートレースをスタイリッシュに進化させた功績者が今村だったように思います。 その、ひときわ特異な輝きを放つ今村豊も56歳。肉体的な衰えが出るのは競技者としてやむなしでしょう。それでもボート新時代を切り開いたフロンティア精神を、その走りと後ろ姿でまだまだ若者達に焼きつけていって欲しいものです。

SG最年少Vを飾った浜名湖で最年長Vも!

「レース場に預けておく」。舟券ファンなら負けた時に一度は言ったことがあるフレーズだろう。今村豊も2014年に浜名湖で行われたグランドチャンピオンの優勝戦後に同じコトバを放っている。 53歳でSG最年長Vに挑戦した時だ。50歳以上でのSG戴冠者は安岐真人と野中和夫(両名とも引退)の二人しか存在しない。いずれも90年代の記録で21世紀になってからは出現していない。 あれから約4年。56歳になった今村豊が力を振り絞ってチャレンジする。「(当時の)SG最年少Vを達成した選手が最年長Vも記録」。 こんな素晴らしいシーンをこの目で観てみたい。34年前にSG初制覇の衝撃を与えた浜名湖で―。

ボート界のレジェンドが反撃に転じる!

昭和の時代を彩り、元号が変わって30年が経とうとしている現在もトップレーサーとして君臨する今村の存在はまさに選手の鑑(かがみ)だ。 その強靱な肉体は56歳という年齢を全く感じさせず、ハンドルテクニックはもちろん、若手にも負けないコーナースピードを繰り出す。 SGV7、G1戦V48の輝かしい実績もあくまで通過点にしか過ぎず、今後はさらにタイトルを積み重ねていくに違いない。 浜名湖では1984年のオールスターでSG初制覇を達成。92年にはメモリアルも制してビッグV2。 「江戸時代の話をされてもね…」と笑い声が返ってきそうだが、今年最初のSGが思い出の水面なら燃えないわけがない。 昨年、オールスターからダービーまでのSG5大会で予選落ちした屈辱を晴らすためにも豪腕発揮といきたい。

感謝こそ、躍動の原点

「師匠の秋山さんに…(伝えたい)」。 昨年夏のびわこ周年で片岡雅裕は言葉を詰まらせた。初のG1表彰式で、こみあげてきたものを隠すことができなかったのは、人知れず苦しんできたからだろう。 選手会香川支部長でもある秋山広一は社会性を重んじる人物だが、『その大きな眼差しがあるからこそ今の自分がある』と感じているに違いない。美しい涙だった。 派手な面が一切なく言葉を先に投げないのは性分だろうが、プロとしては面白味に欠ける。 感謝の深さを見てしまった者として言いたい。勝負の世界は厳しく、負ける時は簡単に負ける。だからこそ、結果を求めすぎることなく戦ってほしい。感謝がプロセスを育み、そのプロセスの先に結果があるのだから…。 むろん、片岡雅裕はそれを知っている男だ。

自衛隊から転身した元高校球児は意外性の男

ボート界には甲子園出場経験者も含めて元高校球児が非常に多く、片岡もそんな1人。 1977年春の甲子園に部員12人で初出場し、元阪急の山沖之彦を擁して準優勝。「二十四の瞳」と呼ばれて一世を風靡(ふうび)した高知県立中村高校野球部の出身だ。 残念ながら片岡は甲子園には行けず、高校卒業後は陸上自衛隊に入隊。そこからボート界へと転身した経歴を持つ。 出世は決して早い方ではなく、記念戦線もスポット参戦が多かったのだが、昨年7月のびわこ周年でG1戦初優勝。優出自体は6回目だったが、2月の四国地区選手権に続いて昨年まだ2回目のG1戦で優勝したことに底力を感じる。 数少ないチャンスを物にした勝負強さは特筆もの。こういうタイプは案外、あっさりとSG戦を勝つ意外性を持つ。

四国次代の担い手へ…今は挑戦者の身

わりと早い段階から四国ホープとの認識を周りに抱かれ、飛躍の時を期待された片岡雅裕。ただ13年の津チャレンジカップ以降は特別戦の壁に苦しんだ。 成績面でも足踏みし、なかなかSG出場の権利も取れずと自らも歯がゆい思いをしていたはずだ。そんな片岡がお待たせの記念初Vを遂げたのは、デビューから約10年…昨年7月のびわこ周年。 乱戦シリーズを制して、最後は見事1枠インから逃げての優勝だった。これを弾みに昨年は再びチャレンジカップ(下関)、そしてグランプリシリーズ(住之江)と2つのSGに参戦。 ただ、SGの水神祭こそ果たしたが「先輩にも後輩相手にも差を感じた…」と、成績は振るわず自らの修行点を痛感した。今年は「GPに出たい」という夢と目標を心に掲げて自らを磨く1年。 今は挑戦者。まずはクラシックにその渾身(こんしん)のトライを刻みつけたい!

衝撃の初Vから8年。全国スターへ急加速だ!

「この選手はヤルなっ」。 ボートレース記者なら、いつだって、誰だってアンテナを張り巡らせている。今から8年前、TV画面から飛び出して来そうなまくり差しが目に飛び込んで来た。それが片岡雅裕だ。 その優勝戦は、将来が有望な愛知の若手A1選手が1号艇に乗っていたこともあり、仕事の手を止めてリアルタイムで注視した。だが、勝ったのは赤いカポック。 デビューから2年4カ月、5コースに持ち出しての初V劇だった。その後も地元の丸亀を走る時は異常に強かったが、内弁慶でもあった。 殻を破ったのは、2013年9月の新鋭王座決定戦(桐生)と翌月の蒲郡周年。どちらも鮮やかなレースでファイナル入りを果たした。 そして、昨年はG1タイトルも手にしてローカルヒーローから全国区へ歩み始めた。

琵琶湖の次は浜名湖で-。片岡に熱視線!

努力を惜しまず頑張っていればいつかは報われる-。それを証明する激走だった。 片岡は昨年7月のびわこ65周年でG1戦初V。デビューして9年と8カ月、自身6回目のG1優出で夢にまで見た大きな勲章を手に入れた。 「ここまで長かったけど、頑張ってきてよかった。これを通過点と言えるようにしたいし、もっと上のタイトルも獲りたい」。 ヒーローインタビューではこみ上げる涙とともに熱く抱負を語った。その後は11月の福岡64周年で優出(4着)したのが記憶に新しい。 今年に入ってからはまるがめの四国地区選(3着)でも6強入りと、G1ウイナーの看板を汚さぬ走りを見せつけている。 SGは今回で4回目の出場。もちろん、チャレンジャーの身であるが、昔の彼ではない。 琵琶湖の次は浜名〝湖〟でエンジン全開だ。

頼もしい『庶民の味方』!

前本泰和はファンの視線をそらさないレーサーだ。 髭(ひげ)の闘将・大嶋一也さんの引退レース(昨11月蒲郡)…、スタート展示で⑤前本は⑥大嶋さんをブロックした。一瞬、『引退レースなのに』と感じたが、しびれるような勝負を繰り返してきた御大への敬意が背景にあった。 大嶋さんは本番で前本を抑え2コース進入。2着で選手生活の幕を下ろした(前本3着)。 後日、『最善を尽くし悔いなし』と語る前本の笑顔がとても印象的だった。 デビューして四半世紀余り、103回の優勝を誇るがV5以上の年が10回もある。さらにV11の年も2回を数える真の実力者だ。そして今年は唐津周年(1月)を制し、いきなり波にのっている。 勝負強いがダントツの人気にはならない前本泰和。その存在は頼もしく『庶民の味方』と言うにふさわしい。

40代半ばで記念常連に達した一般戦の鬼

あの彦坂郁雄、野中和夫を超える「7場所連続優勝」という新記録を樹立し、全国24場全場制覇も達成している前本は、間違いなく史上最強の「一般戦の鬼」であり、「遅咲きの雄」と表現してもいい。 2013年にはグランプリシリーズ戦でSG制覇しているが、優勝98回とどんなに一般戦で勝ちまくっても記念常連になれなかった男が、昨年はSGで3回優出し、デビューして25年、45歳にして初めてグランプリに出場。 同年代の記念常連選手たちはすでにピークを過ぎて記念戦線から離脱し始めているというのに、前本は逆に常連となり、今年もさっそく唐津周年を優勝するなど結果も出している。 師匠・西島義則譲りの勝負強さと常に快速に仕上がるモーター出しを武器に、今年はSG2勝目を目指す。

2千勝も間近…職人肌の優勝請負人

2/12時点での通算勝利数が1950勝。優勝103回、内G1戦4V、SG1V。 前本が今年も例年どおりのペースで勝ち星をあげれば、おそらく夏~秋口には、46歳にして2千勝のメモリアルウインを達成。 まさに堂々たる戦歴だが…。記念Vまでは15年7カ月、30歳代半ばにしての記念初優勝は、売り出しも早く、例年最多優勝争いに顔を出すVハンター前本の実力からすればそう早いものではなかった。そのせいか、前本の印象は特別戦で渡り合う今でも『叩き上げ』、『平場の鬼』というイメージが強い。 遅咲きで圧倒的な華々しさはなくとも、職人肌の剛健な気風。レーススタイルも行き足の鋭い仕立て、進入から圧をかけての仕掛け戦とクラシカルなスタイル。そんな前本がGRANDE5その一つ目を獲るならば、まさにこの伝統の一戦『クラッシック』はふさわしいのかもしれない。

2年連続GP出場へ1V水面の克服がカギ!

平成のVハンター前本泰和は、2月14日現在で通算の優勝回数が103。 2016年には全国24場制覇も達成しているが、その中でも得手不得手があるのだろうか!?そこでクイズ。
問1.V回数が多いレース場順に3連単で?
正解は、宮島(18V)→児島(9)→丸亀(7)。
これはホームの宮島から電話投票コードがひとつずつ東へ向かっただけ。アタマがテッパンだったこともあり、人気サイドだった。
問2.反対にVが1回のレース場が3つある。それは?
正解は、浜名湖、徳山、芦屋。この3場の共通点は、偶然にも今年のSG開催場だ。
2年連続グランプリ出場を目指す前本にとって、SGロードでの賞金加算は必要不可欠。クラシックはもちろん、この3大会で結果を残すことが出来るのか!? 開幕カードから楽しみが膨らむ。

からつで早々とG1V。前本は今年も好調!

マスターズ世代に突入した前本だが、その華麗なハンドルさばきはさらに輝きを増してきた感がある。 2016年2月の徳山では史上14人目となる〝24場完全制覇〟を達成。そして、昨年のオーシャンカップでは準優勝し、ダービーでも優出5着。 〝一般戦の鬼〟という代名詞を覆すSG戦線での活躍が光った。 選出順位18位で念願の初出場を決めたグランプリは残念ながらTR1stで脱落し、シリーズ戦(優出3着)回りを余儀なくされたが、これも経験だ。 悔しさを〝力〟として蓄え、さらなる飛躍を遂げてもらいたい。 すでに2018年はからつ64周年でG1通算V4を飾る幸先のいい滑り出しを決めたばかり。 再びグランプリの出場を果たすためにも〝仕事人〟の巧腕に期待したい。

自制的な勝負師の典型がここに!

『勝負師』と簡単に言うがスタイルはさまざまあって面白い。 闘志をむき出しにするのはその代表格。一方、力みがなく飄々(ひょうひょう)としている者や学者肌も散見される。そんな中、『瓜生タイプ』なるものが存在する。極めて自制的な自律型だ。 自制的とは、自分を最優先にしない他者の視点をもった行動哲学を意味するが、勝ち負けの世界にあってそんなことがありうるのかといぶかしむ向きも多いだろう。 しかし、武芸の世界ではごく当たり前の価値観である。そして、瓜生正義が我々の眼前にいる。 何と戦うのか…、何を与えるのか…、瓜生正義という人物が示唆する世界は大きく把握しきれない。大きいものに憧れるのは人の習い。 見ているだけで自分も大きくなれそうな気がするのは、私だけだろうか。

クラシックは記念戦線本格復帰前の最大の山場

羽野直也と仲谷颯仁を除く福岡の記念戦士に昨年中盤から元気がない。 「出る杭を打つ」のではなく、「出る杭を育てる」と言われる瓜生が記念戦線から離脱したことが要因ではないか。 福岡勢にとって瓜生は精神的な支柱。福岡勢の元気のなさに、改めて瓜生の存在感の大きさを痛感させられている次第。 悲願のグランプリ制覇直後の昨年は色々ありすぎて記念戦線から離脱し、今期も出走回数不足でA2級に降格。 記念戦線の本格復帰は今年7月以降まで待たなければならない厳しい立場だが、クラシックに出場できるのは不幸中の幸い。 大きなハンデを背負っている賞金争いを挽回する序盤最大のビッグチャンス。 大げさな言い方をすれば、グランプリ復帰へ勝負駆けという位置づけになる。

心技そろう尊い艇界のカリスマ

ユーモアがありメディア対応も上手な川上剛が「瓜生さんに『しっかり記者さん達の取材の対応をしないとダメだ』と、前に教えられたことがあるんですよ」と口にしていたことを覚えている。 全てが瓜生のお陰…でもないだろうが、総じて今の福岡の若手選手達は、メディア対応という部分で人柄の良さを感じさせてくれる。 やはり若手は、師匠、支部の先輩、そして身近にいるビッグレーサーの背中にこそ憧れて育っていくもの。 GPV含むSG9冠、G1戦17勝の艇界最高峰の一角に座しながら、人としての誠実さも忘れない。瓜生正義はそんな若手にこそ見上げて欲しい名選手だ。 ただ…そんな瓜生も、昨年はF2で約20年続けたA1級の椅子も失うなど苦しんだ。今年は尊い艇界のカリスマが、その輝きを取り戻す大切な1年。 まずは大事な特別戦出場機会、クラシックでその存在感を見せつけたい。

試練を乗り越え10個目のビッグタイトルへ

限られた選手だけが味わう極限かつ継続的なプレッシャー。それがグランプリを取った選手の宿命だ。 昨年の瓜生正義は、年間3本のスリットオーバーが示すように、完全に自滅してしまった。 近年を振り返ってもグランプリ覇者は反動が出るケースが多い。 翌年の獲得賞金順位は、2011年~の5年間で山崎智也の9位(2015年)が最高。他は2ケタ順位に甘んじている。 瓜生も例に漏れず30位だった。それだけ、現行のプロペラ制度では同じ選手が頂点に居続けることが困難になっている。 ただし、立場が変われば形勢も逆転する。何しろ地力が落ちたワケではない。本来は何事にもポジティブシンキングで乗り越えるタイプだけに、この試練もプラスに転換させるはずだ。 節目となる10個目のビッグタイトルへ復活劇を演じるか。

昨年の瓜生はFの渦。2018年は心機一転

ボート界の頂点を極めた男に待ち受けていた想定外の現実-。 一昨年のグランプリ覇者でMVPにも輝いた瓜生は昨年3月の江戸川ダイヤモンドカップの初日ドリームでフライング。そして次節、大村のダイヤモンドカップ優勝戦でも痛恨のスリットオーバーに泣いた。 このG1戦での連続Fはいくら敏腕レーサーといえどもダメージが大きい。 前期は90日の休みを余儀なくされたばかりか、呪われたように復帰後4節目の10月福岡でまたもやF…。出走回数不足により今年1月からは屈辱のA2降格と、一転して〝悲劇のヒーロー〟になってしまった。 しばらくの間は極端に速いスタートは封印されることになるだろう。 しかし、このまま終わる瓜生でないこともファンは知っている。時が来たら覚醒する。

潔さという男気が魅力!

「乗れるようになるのが先です」。20代半ば、森高一真は自分の方向性を言い切っていた。 舟足を言い訳にせず、与えられた状態で戦う覚悟を示したのだ。確かに『男気』ある競走は枚挙にいとまがない。 記念常連となる中で調整や整備を体得していくが、そこにも『男気』が存在している。「整備するなら勝負の整備」というスタイルだ。 ペラ調整はともかく、モーター本体に手を加える時は「ちょっと良くなれば…」という整備はしない。失敗を恐れず一発逆転を狙っている。 闘魂すさまじかった安岐真人さんを心から慕い強気のレースを志向するも、実際は流れの中で勝負している。すなわち、与えられた状況という運命に恭順であり、結果は天に任せるという思想だ。 森高一真の『男気』は、潔く清々しい。

悲願のGP出場を果たし、スケールアップ必至

SG制覇=グランプリ出場という図式が2014年以降は完全に成り立っているが、12人枠だった2013年までの28回の歴史の中で、実に13人ものSG覇者がグランプリに出場できなかった事実がある。 その最後の1人になってしまったのが森高。2013年11月、津チャレンジカップでSG初制覇を成し遂げたが、12位の選手にわずか21万円届かずに次点に泣いた。 そのリベンジを見事に果たし、昨年は初めてグランプリに初出場。SG制覇こそなかったが、蒲郡周年を制し、SGではメモリアルで優出と充実の年だった。 しかし今期は勝率が6点台を割り込むほどの不調。31期続けているA1級キープがピンチという信じられない状況で、残り3カ月にA1級キープをかける。土俵際での底力をとくと拝見したい。

華舞台へ今一度…今年は春から荒稼ぎ?

森高一真というと…あのこわもて系のマスクから、誰もが最初にその選手スタイルを武闘派系の強攻型と想像するのではないだろうか? ただ実際は、調整力を骨子としたさばき型タイプで、割とソツのない走りでポイントを稼ぐのがレーススタイルのベース。風貌とはギャップを有する選手でもある。 存在感のあるタイプだけに、正直意外でもあったのだが、GP戦の出場も惜しい惜しいが続いていて、昨年の住之江大会が初の参戦だった。 そのGP戦は「メンタルの部分では戦えたと思うが、調整や旋回面では差も感じた」と、2nd敗退を冷静に分析。 「また走りたい舞台ではあるよ。17年はたまたま出場できたが、次を狙うならもっと早めから意識していかないと」。 有言実行か、18年は1月出だしの大村G2誕生祭で優出し早くもひと稼ぎ。今年はSG戦線も初手から飛ばしてくるか?

外枠でのパフォーマンスが高く穴党必見!

各レース場でファンの語り草になるレースが存在する。蒲郡でノミネートされるひとつが2006年7月の51周年記念(勝者は正木聖賢)だ。この時の森高一真は3着に敗れはしたが、勝負師としてのド根性を全国にアピールした。当時、バリバリのイン屋だった上瀧和則(現選手会長)との壮絶なコース争い。 待機行動では両者のボートがタテに並ぶほどだった。最終的に森高がインを奪取したものの、80mの深い起こし位置では持たなかった。それでも、コンマ09を決めて見せ場は作った。 「入るだけではない」のは、干支(えと)がひと回りした今でも考え方は同じ。前付けに動くケースでは、勝負になるアシに仕上がっていることが前提だ。 それでいて、キレのあるまくり差しも兼備している。日頃から公営競技を愛するだけに、穴舟券を買うファンの気持ちも大事にしている。

GP出場の経験を自信に今年も躍動する

こわもてだが、シャイで優しい性格の持ち主。それが森高だ。 もちろん、実力も確かなものがある。 2013年の津チャレンジカップではSG初V。銀河系85期のSGウイナーは田村隆信、湯川浩司、井口佳典、丸岡正典に続いて5人目、デビュー14年目の出来事だった。 その年、13位次点でグランプリに出場できない〝珍事〟があったが、それに動じることもなく、ここまで香川支部を引っ張りボート界の発展に一役買ってきた。 昨年は選出順位16位で念願のグランプリにも初出場。結果はともかく、〝18人〟の中に入れたことは今後への大きな自信になるのは間違いないだろう。 さらなる飛躍を期す2018年。昭和の香りを漂わせる個性派が再び攻勢をかけてくる。

飛躍は感性から訪れる!

原田幸哉から厳しい指摘を受けたことがある。15年近く前のことだ。 勝利者インタビューで『保険をかけた…』という表現をした私に対し他の選手へのインタビューにも関わらず、「ファンが分かりにくい言葉はやめたほうがいい!」と直言された。 今でも覚えているのは、それこそがアナウンサーの本分に関係することだと思っているからだ。原田幸哉はファンの感性をもっている。 海上自衛隊で艦外の音を聞き分けるソナー担当をしていたためだろうか、感覚を大切にする人物だが、そのこととレーサーとしての活躍は無縁ではないはずだ。 計算の世界に生きる人に飛躍的成長は難しい。計算を逸脱しないようにしているからだ。計算式を度外視してこそ計算外のことが起こるのだ。 原田幸哉は『飛躍は感性から訪れる』と教えてくれる人である。

薄れぬ存在感!9年ぶりSG制覇へ機は熟す

SG3勝、G1戦13勝の実績を持つ原田だが、珍しい記録の持ち主でもある。かつてG1戦4勝のうち2回が恵まれ優勝だった石塚憲明といういぶし銀のベテランがいたが、原田もG1初優勝の新鋭王座が3艇Fによる恵まれ。 SG2勝目の浜名湖グラチャンも魚谷智之のFによる繰り上がりなど、実に恵まれ優勝(Fによる繰り上がり)がSGで1回、G1で4回もあるのだ。原田自身はSG、G1の優勝戦でFを切ったことがなく、集団Fに巻き込まれない。 原田の存在自体が相手に「スタートを行かなければ…」というプレッシャーをかけていると考えられる。SG制覇からもう9年も遠ざかっているが、昨年もG1戦2勝と存在感は決して薄れてはいない。 長崎支部移籍後初のSG制覇も時間の問題だろう。

F休み明けでも浜名湖の下ごしらえはOK?

原田幸哉をプレイヤーとしてタイプ別に区分けすれば、天才肌系?となるだろうか。こう書き出すとあからさまなヨイショ原稿のようだが、現実にそう思える場面に遭遇する。 原田は足作りよりレース技能重視の スタンスで、競技者としての感性はギフト(天賦の才)に近いモノを感じさせる。以下はやや原田には失礼な話だが、前操者・原田幸哉のモーターを引いた某選手が「これであの人はあれだけ稼ぐんだから…すごい」と、前操原田の活躍からは信じられないほどの凡脚に苦しみ、そんな言葉を口にしていた。 レースでこそ勝つ…そんな矜持をも感じさせる原田の今年の始動は、F休みのため2月17日の浜名湖一般戦から。この後唐津を走って浜名湖クラシックに参戦。 大舞台を前に1節浜名湖の感覚をつかむ好機を得られる愛のあるあっせん配分。それに応える男気も、技もある選手だ。

初心に帰って豪快なレースを約束!

1月14日、蒲郡のトークショーに訪れていた原田幸哉に2018年の意気込みを聞いてみた。 「今年は上半期が勝負だと思ってます。まずは3月の浜名湖(クラシック)、そして直後の蒲郡周年は目一杯の勝負を懸けます」と力強く言い放った。OFFモードから急にスイッチが入ったのにはワケがある。 「今年は初めて沖縄で正月を迎えました。考える時間がたくさんあって…。一番思ったのは、レースが小さくなっているなと。 まだまだ若手にもターンでは負けていないし、スタートを含めてもっと豪快なレースをしよう」と決意した。 ありがたいことに始動戦は2月17日からの浜名湖一般戦。1カ月後の大勝負へ向け、イメージを膨らませるには絶好の機会を 与えられた。8年4カ月ぶりのSG戴冠が現実味を帯びてくる。

当地で再びタイトル奪取。原田の底力に期待!

昨年、2年ぶり5回目のGP出場を果たした原田だが、結局は1勝もできぬまま終わった。 シード組上位6人に渡った高複勝率オレンジモーターと、原田が手にした53号機とでは明らかにパワー差があっただけに残念だ。 エンジン力の差が勝敗を左右する現代のボートレースの象徴かもしれなかった。いずれにしても屈辱の敗戦を味わって闘志に火がついたのは間違いない。 昨年1月の下関62周年では幸先よくV発進を飾ったのが記憶に新しいが、もちろん、今年も気持ちをリセットして序盤から勝負をかけてくることだろう。 2018年一発目のSGクラシックは浜名湖。当地はグラチャンを勝った思い出のボート場でもあるだけに注目度は高い。

純度を増す『ひたむきさ』が魅力!

かつて『新艇王』という称号が確立しかけた時期がある。魚谷智之が2006年の福岡ダービーに続き、翌年のオーシャンカップ(桐生)とメモリアル(蒲郡)を取った2007年のことだ。 ダービーでSG初Vを飾ると、直後からとどまるところを知らない強さを発揮した魚谷…。2007年後期期間の1着率は48.9%に達している。ちなみに3連対率は82%に及んだ。 『新艇王』の呼び声はSG連覇を受け報道陣から発せられたが、魚谷は『その器にあらず』という趣旨の返答をしている。努力家らしいと思う。 それは、自らの弱さをも知り、乗り越えんと奮闘している人物だからだ。人間らしいから自然にたくさんの応援が集まるのだ。 人間魚谷のひたむきさは42歳となった今も変わっていない。むしろ、その精神はますます精錬され『純度』を増しているようだ。

一時の低迷期を乗り越え、完全復活は目前!

過去、2億円レーサーは延べ22人誕生しているが、魚谷もそのうちの一人。 オーシャンカップ、メモリアルとナイターSGを連覇した2007年。G1も3勝してグランプリ制覇の吉川元浩を抑えて獲得賞金1位にも輝き、MVP、記者大賞の3冠を獲得。頂点を極めた。 ところが2010年以降、SG、G1の優勝から遠ざかり、SG準優Fの試練などもあって低迷期を迎える。ようやく復調の兆しを見せたのが8年ぶりにグランプリに出場した2016年。そして昨年は10月の津周年で8年ぶりのG1制覇も果たした。 直後の平和島ダービーでも優勝戦1号艇を手にしながら優勝を逃したものの、完全復活は時間の問題。もう10年間も遠ざかっているSG制覇へ、今年は本人もその気になっているはずだ。

再び水得た…旬魚の走り!

昨年10月の津周年で優勝した魚谷智之。この報を伝える記事で『魚谷8年ぶりの記念V』という原稿見出しに「えっ?そんな久しぶり?」と驚いたファンの方はわりと多かったはず。 記念でも存在感は示しながら、確かに優勝となると09年11月の福岡周年6号艇でのV以来。 様々なペラ・モーターのレギュレーション変更。 ここへの対応でやや後れをとり、SGV3黄金期に見せたような機出しとレースができないもどかしさ、悔しさを味わったその月日は、他者が想像する以上に魚谷本人にとって長い年月だったはず。ただ昨年はこの雌伏の期間にもう一丁磨きをかけた旋回で、SG平和島ダービーでも1枠優出。無念の惜敗準Vではあったが、再度覚醒の今を感じさせる仕事ぶりを示した…。魚谷は今年で脂も乗った43歳となる。季節と旬は巡るもの。旨味凝縮の旬魚の走りで4度目の栄冠へトライだ。

完全復活へ必要なピースはSG優勝だ!

久しぶりのウイニングランだった。昨秋の津周年で復活Vを飾った魚谷智之。 G1以上では、2009年11月の福岡周年以来、7年11カ月ぶりだった。 表彰式を終えた後に、記者陣による囲み取材が行われたのだが、そこで「ここ何年かは本当に苦しかった。ひとつ勝つことの難しさを痛感しました」と吐露。 「一番成績のいい頃には、こんなにかかるとは思わなかった―」。実感が伝わって来た。 改めて振り返ると2006年7月の鳴門周年で2度目のG1を制してからは、3年ちょっとの間にSGを3優勝、G1を9優勝。 誰もが認めるボート界の中心人物だった。「ずっと一生懸命にやってきたし、苦しんだからこそ、津の優勝にたどり着けた」 長かったブランクは何かを意味する。その答えは今年のSG戦線で証明する。

復調著しい魚谷。今年はSGタイトル奪還だ!

2006年のダービーでSG初制覇を達成した魚谷は翌年、オーシャンカップとメモリアルの2つのビッグタイトルをゲットしてSGV3。 その後は〝らしさ〟が影を潜めていたが、ようやく明るい日が差してきた。昨年10月の津65周年では8年ぶり11回目のG1Vを飾って復活をアピール。 「勝つことの難しさを身に染みて感じてます」と、久々に味わうヒーローのお立ち台で気持ちを引き締めた。 平和島ダービーは惜しくも準優勝。前ヅケして2コースに入った深川に差し切られる苦杯をなめたが、SG優勝戦の1枠を取れたことで手応えをつかんだのは間違いない。 静から動へー。さらなる飛躍を胸に2018年は一発目の浜名湖クラシックからバシッと存在感を見せつける。

重責を希望に変容させる天性の人!

『茅原悠紀は誰かに似ている…』ずっと思い続けてきたが、最近答えが出た。高中正義だ。 1971年、18歳ですい星のごとくアマチュア界からデビュー、一気にスーパースターとなった日本を代表するエレキ・ギタリストである。 高中の演奏を見れば誰もがギターが好きであると一目で分かるが、茅原悠紀も同様。 プロデビュー早々、名だたる一流を向こうに回し、臆することなくスポットライトの中心に立ったことも共通する。 高中は『フュージョン』という新分野を開拓したが、茅原は『ニュージェネレーション』の旗手となった。新しいボートレースの行方はその肩にかかっている。 スターの条件のひとつに、そうした重責を重荷とせず、『希望』に変容させる素養が含まれるが、茅原悠紀はそれを天然に持ちあわせている。 だからだろう。そのレースは『明るい未来』を感じさせる。

名門・岡山支部を一身で支える練習の鬼

「ホームの児島なら目をつむったままでも3周できます。それくらい練習してますから」 売り出す前の茅原は、自信満々にこう語っていた。ボート界屈指の名門・岡山支部を今や一身で支えている天才は、実は練習の鬼で努力家でもある。 2014年の平和島グランプリでは大外6コースから衝撃的な優勝を飾ったが、同年4月、同じ平和島の周年優勝戦でFを切っていた。 その後遺症さえみじんも感じさせなかったメンタルの強さも武器。 2016年の江戸川MB大賞以降、約2年間でG1戦2回、G2戦1回を含む9回の優勝は全て優勝戦1号艇からの王道V。 SG初優勝は誰もが驚く伏兵優勝だったが、さらに進化した茅原のSG2勝目は近年得意パターンの王道Vになるに違いない。

くるか怒涛のニュージェネウェーブ…茅原悠紀

14年の平和島GP戦は茅原悠紀の驚異の6コース優勝で幕を降ろした。 明けて正月…茅原の優勝を目の当たりにした同じニュージェネレーションの桐生順平が、戸田の地元戦で「凄く刺激になりました。今度は自分が取りますよ」と、少し悔しそうに自らを奮い立たせる言葉を口にしていたのを覚えている。 あれからわずか3年後の昨年末、桐生はその簡単ではない目標をあっさりとかなえて見せた。 それも節間、決して楽な流れではない戦いを経て、最後は王道のイン逃げV。 今度は茅原がそれを間近で見る番となった。 この時、茅原はエンジン面で恵まれぬ悪条件もあったが、やや道中でのミスが目についた。それだけに、胸中では負けていられない…、余計にその思いを強くしたはずだ。 今年は持ち味の超好角度ターンへさらに磨きをかけ、SGロード開幕戦から飛ばしてくることは間違いない。

超絶ターンを駆使してタイトル量産だ!

ボートレースは、モーターを仕上げることが勝利への近道。出ていれば、上手に見えるし結果も残る。 では、最高にマッチングした時に、一番スゴイレースを魅せるのは誰!? と尋ねられたら、茅原悠紀に一票を投じる。 ボートを奥で返し鋭角ターンを実演。回った直後にウィリーと完璧なミッションをこなす。これが1マークの決定力を生み、道中の猛追劇にも繋げている。 そのスケールと完成度たるやハンパではない。お寿司に例えて恐縮だが、桶の大きさはボート界で随一。今後、どれだけのネタを乗せられるかに焦点が集まる。 正月レースを優勝して通算34V、その内SGは1勝、G1は4勝。大トロが燦然(さんぜん)と輝くが、まだウニやイクラは乗せていない。 2018年は彩りを鮮やかにする一年だ。

昨年7月周年の借りは必ず返す!燃える茅原に注目

2012年の浜名湖オールスターでSG初出場を果たし、2年後の平和島GPでSG初優勝。 茅原はアッという間にボート界のトップレーサーへ駆け上がった。 昨年は徳山での地区選を制してG1V4。 3回目の出場となった年末の大一番、グランプリは〝引き〟とエンジン出しに苦労して優勝戦に勝ち進むことはできなかったが、それでもトライアル1stから見せ続けた強烈なコーナースピードが印象的だ。 年が明けた地元児島戦ではさっそくの新春V。強豪がそろっていた中で改めて実力を誇示する圧巻のレース運びで、2018年一発目を最高の形で滑り出した。 果たして、今年はどんなドラマを演出してくれるのか-。 インで2着に負けた昨年7月の64周年の借りを返すためにもクラシックは力ずくで獲りにいく。

勝負師と勇者の条件を兼ね備えた爽快な男

勝負師の条件のひとつに『記憶力』がある。 一流のキャッチャーはゲーム後、スコアブックなしに配球を完全に振り返ることができる。 将棋界における棋譜の記憶も同様だ。 ボートレース界では毒島誠選手がその体現者。 デビュー当時から、一戦毎に調整やレース内容をメモし続けた。 いちいちすべてを見直しているわけではないんです。書くことで頭に残るんで…」と謙遜するが、記録の中には『振り返りたくないこと』も含まれる。 失敗の記憶を含めた戦歴はこうして心に刻まれ、反骨精神や探求心が培われたのではないだろうか。妥協すれば成長はとまる。 スイスイ流れる者に努力とか根性は無縁。嫌なことに向き合い、苦しむことを受け入れるのが『勇者の条件』。 だからこそ、『爽快さ』を失わない毒島選手の存在は大きい。

2014年からSGフル参戦中のSGの顔役

キャリア14年で全国24場制覇へ残すは江戸川だけ。2016年の徳山周年では大外からの優勝もある。 いつでもどこでも強い。弱点のなさが毒島の強さの秘密。 今やSGでも顔役。SG初出場は2010年のオールスターだが、2012年までの3年間でSG出場は7回だけ。 2013年はグラチャン以外のSGに全て出場し、2014年以降は1回も休むことなく年間8回のSGにフル出場。 グランプリ出場を逃したのも2016年だけだ。 昨年は下関チャレンジカップで予選トップからの王道優勝を果たしSG2勝目。 グランプリも1stステージからの出場ながらファイナルまで進出した。 クラシックの舞台、浜名湖は2010年の新鋭王座でG1初優勝した思い出の水面。 今回も文句なしにV候補に名前が挙がる。

負けられぬ…関東新二枚看板・毒島誠

若手記念ランナーで最も復調して欲しい選手に力が戻ってきた…毒島誠。 一昨年の後半から一時期は記念域での機力出し負けが顕著で、自慢のスピードターンも旋回負荷に脚力が耐え切れず艇が暴れるシーンが多かった。 そんな状況で迎えた昨年9月多摩川周年ではモータースペック以上の脚力に仕上げて「今後につながるいい調整ができた」と笑顔も見せてのファイナル入り。 そして11月下関チャレンジカップではパワー機の力を確実に引き出して、うれしい自身2度目のSG優勝を飾った。 ただ新関東二枚看板のもう一方、桐生順平はひと足先に昨年、グランプリ覇者に輝いた。 生来の負けず嫌い、今年は目前のSG…その先も見据えて気合を再注入してくるはずだ。

旺盛なチャレンジ精神で多彩な芸を発揮!

アグレッシブさでは群を抜く毒島誠は、公私ともキラッキラに光っている。 約1600人のボートレーサーで“リア充選手権"を開催したのなら、間違いなくドリーム戦に選ばれるだろう。そして優勝も。 2017年を振り返ってみると“公”では4年3カ月ぶりにSGを優勝。2個目のビッグタイトルを手にした。 “私”では、念願のキハダマグロを釣り上げ、トライアスロンにも挑戦。好タイムで完走した。 まさに静と動、対極なことを笑顔で難なく成し遂げる。 多彩な一面は本業であるボートレースでも存分に発揮。代名詞の超速ターンに加えて、スーパーピット離れで揺さぶりをかける。 ありのままの姿が個性となって輝いている。

SGV3へ真っ向勝負 好相性の浜名湖で毒島が燃える

昨年の下関チャレンジカップを〝王道〟で優勝。 2013年のメモリアル以来、2つめのSGタイトルを手にした毒島はその勢いでグランプリも優勝戦(5着)まで駒を進めた。 シード組が操るオレンジモーターに対し、決して素性がいいとは言えない64号機。 トライアル1stからのファイナル進出は〝隠れエース〟39号機とコンビを組む菊地孝平(4着)と2人だけだったから評価に値する。 そんな経験を〝宝〟のひとつとして胸に刻み、新しい2018年はさらなる進化を遂げてもらいたい。 浜名湖は新鋭王座決定戦を制し、SG初出場(オールスター)も果たした思い出のいっぱい詰まったレース場だ。一発目から勝負をかけていく。

素直さが武器の爽快な若者!

誰に聞いても「応援したくなる」と言われる若者がいます。「素直で感じがいいし、それがレースに表れている」という統一見解の対象は羽野直也選手。今年10月の大村65周年を制し、浜名湖クラシックの出場権を獲得しました。 初のG1本格参戦の舞台がその浜名湖。周年出場を祝いファンが新調してくれたピカピカの横断幕を1マーク先に発見し「うれしい!」とニコニコ顔だったのは7月のこと。9月の蒲郡ヤングダービーでは準優で惜敗しましたが、直後の大村で開花。インの原田幸哉選手に対し先行してマクリかけたものの、抵抗されるとみるや差しに転換。バックでつかまえ栄冠を手にしました。頑なにならず、素直に作戦を切り替えた結果でした。 先のグランプリシリーズ戦でもSG水神祭を飾りステージアップした若人が横断幕を力に浜名湖を闊歩(かっぽ)しそうです。

平成生まれ初のG1覇者は近年まれに見る逸材

2017年の最優秀新人のタイトル争いは久々に見応えがあった。まず115期の仲谷颯仁がブレイクし、それを1期先輩の羽野が追う展開は、26年前の1991年の服部幸男と松井繁の激闘を思い起こさせるレベル。 羽野の大村周年優勝で事実上ケリはついたが、「仲谷君がいたから、自分も頑張れた」と語っているように、強力なライバルの存在が羽野をさらに成長させた。 とはいえ羽野は突然ブレイクしたわけではない。 センス抜群のハンドルワークと、本人がもっとも意識しているスタートダッシュで九州では早くから将来を大いに期待されていた逸材。G1出場4節目にしての初優出、初優勝程度で驚いてはいけない。 なぜなら、SGという大舞台でも、あっという間に大仕事をやってのけるはずなので。

平成生まれの旗手へ…羽野直也

最近のボート界、選手間では「最近の若手はガッついた感じがなくて」…という若者達への物足りなさを感じるベテラン選手達の声を良く聞く。 そんな中で、今年は待望の若手スターの台頭がファンを喜ばせたのではないだろうか。 年末GPではニュージェネの代表格である桐生順平が優勝を果たし夢の賞金王に。 そして、この羽野直也もまた10月の大村周年で弱冠22歳、平成生まれ初の記念ウイナーに輝いた。またこれがフロックでないことを示すように12月頭の芦屋周年では実に惜しい内容での準優勝も果たしている。 今年夏場に少しだけ取材した時の印象では、優しげな風貌だが取材受け応えには聡明さや勝負へのストイックさを感じさせた。 優しさと芯の強さ、この二つを併せ持つ平成の変革期の旗手へとなっていけるのか。今後の走りに注目したい若者だ。

平成生まれのG1ウイナーは陸の上でも魅了!

2017年のボート界も熱く激しいバトルが繰り広げられたが、一番センセーションな話題と言えば、10月7日に羽野直也が大村周年を優勝したことだろう。 デビューからわずか3年5か月、平成生まれの22歳が2コース差しでG1初制覇を成し遂げた。 羽野を初めて目の当たりにしたのは直前のヤングダービー。 ライバルと目される仲谷颯仁と同じく蒲郡は初登場だったこともあり、どんなレースを見せてくれるのか!? ワクワクしながら取材したのをハッキリと覚えている。 そして、レースっぷりもさることながら、陸(おか)の上でも魅了する。 しっかりとした受け答えと考え方はとても22歳とは思えない。「師匠(別府正幸)からは『ただ強くなるだけでなく、人としても成長するように』と言われています」。 次なるターゲットはSG初タイトルだ。

平成生まれのG1ウイナー羽野が次代のエース!

2017年は羽野にとって〝激動〟の1年となった。最も印象的なのはやはり大村65周年だ。 エース機とコンビを組むアドバンテージがあったとはいえ、しっかりとパワーを引き出しての優勝。 〝平成生まれの初のG1タイトルホルダー誕生-〟と、スポーツ各紙をにぎわした。 それがフロックでないことを証明するかのように、のちの芦屋65周年でも優出(2着)。 SG初出場を果たしたグランプリシリーズ戦では4日目に早々と水神祭を飾るなど、とにかく近況の充実ぶりには目を見張るものがある。 住之江ピットでは取材する機会にも恵まれたが、「来年(2018年)はGP出場を目指します!」とも言ってくれた。 確定的となった2017年の最優秀新人賞。無限の可能性を秘めたスーパールーキーから目が離せない。

トップレーサーとして名を刻む!

今から7~8年前、JLC専属解説者の佐藤正子さんが『この子はうまくなる!』と唸った選手がいます。デビュー1年ほど経った小野生奈選手です。 ボートレース福岡での旋回練習をスタンドから見ていた時のことでした。『課題をもって取り組んでいますね…』と語っていましたが、その後の活躍は予感通り。男子の上位にも負けない存在にまで登りつめました。 女子として単身参戦した11月の下関チャレンジカップ初日6R、あの松井繁選手を相手に見せた激しい4着競りは圧巻でした。 『王者といえども、絶対に引かない構え』に、熱い闘志と強烈な意志を感じさせたものです。 小野生奈…。その名はボートレース界のトップレーサーとして永く刻まれる予感がします。

劣等生から努力一本で上り詰めたシンデレラ

「努力は必ず報われる」という言葉がある。それを地で行くのが小野生奈。訓練生時代は勝率ブービーの劣等生。水神祭にも1年半を費やした。 しかし、先日けがで引退を余儀なくされた吉田弘文さんに師事し、まず減量に取り組んで練習に明け暮れる日々。 さらにプロペラ調整だけでなく、本体整備にも積極的に取り組むようになった。 そんな努力が実って、今や文句なしの女子トップレーサーの一人に。すでにSG出場は8回を数えるが、今年は5月のオールスターで女子初の3連勝、7月のオーシャンカップでは準優で一時2着を走るなど、SG優出目前の活躍を見せた。 平山智加が不在の今、女子でもっとも「SG制覇の夢」に近い存在…と言っても過言ではないだろう。

全速に華あり…小野生奈

今年は原稿時点(12/14)で4千万オーバーの女子ナンバー1賞金も稼ぎあげ、大願のレディースチャンピオン優勝、女子から唯一人SGチャレンジカップ出場とまさにキャリアハイのスコアをたたき出している小野生奈。 そのチャレンジカップでは3日目に無念のFに散ったが、福岡オールスターは予選3勝で準優4着、丸亀オーシャンカップもまとめる走りで準優3着と、ファイナルへの扉はすでにノックしている状態だ。 とにかく男子一線級相手に、一つも握り負けない度胸とスピード感覚は現在の女子選手の中でも間違いなく屈指の存在だろう。 寺田千恵、横西奏恵に続くSGファイナリストに名を連ねる日もそう遠くはないはずだ。 来年クラッシックは浜名湖…、広々とした水面で大胆に舞う姿にまずは期待したい。

SG経験を積みファイナリストも夢ではない

やまと学校(現ボートレーサー養成所)卒業時に目標を「レディースチャンピン優勝」と掲げ、夢は「SG出場」と書いた。 どちらも叶えた小野だが、ここまでの道のりは険しかった。 やまと勝率は後ろから2番目、デビューしてからはもっと厳しく勝率は1.35、1.52と6着ばかりだった。 必死の練習を重ねるが、水神祭を挙げるまでには時間を要した。 デビュー4期目、179走目でのトップゴールだった。あれから7年―。2017年はSGに4度出場して2度の予選突破を果たした。 また、オーシャンカップでは“あわや"のシーンを演出。SGファイナリストに名を連ねる日も遠くないだろう。 今後も目標と夢をどんどん更新して行く。

地元で手にした大きな勲章。それに恥じない活躍を期待したい

日々の努力を惜しまず、そして笑顔を絶やさない。誰からも愛される人柄…。 そんな小野だからこそ、応援するファンはたくさんいることだろう。 また、それに応えるように彼女は着実に成長し、結果を出してきた。 来年1月からの適用勝率は自身3回目の〝大台〟となる7.18。 この数字こそが現在の充実ぶりを如実に物語っている。 芦屋のレディースチャンピオンでは圧巻の走りで念願のG1タイトルもゲット。 慣れ親しんだ地元での優勝は喜びとともに今後へのさらなる〝起爆剤〟になったのは間違いない。 自分を信じ、冷静かつ強気な攻め。これから幾度となく訪れるだろうビッグ戦線でぜひ見せつけてほしい。 待ち遠しい来春の浜名湖クラシック。男子相手でも女王の地力が侮れない。