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岡崎恭裕

岡崎恭裕を軽んじてはならない。

岡崎恭裕のSG初Vから8年半になる。舞台は浜名湖・ボートレースオールスター。 インタビュアーとして痛恨だったのは、準優で白井英治が待機行動違反と判定され、同レース3着だった岡崎の繰り上がりを軽くみていたこと。不遜にも、『ゴールが目標…』と思ってしまったのだ。 優出インタビューで岡崎は、ラッキーだという受け止めを一切示さなかったばかりか、コース取りを否定しなかった。気圧されたのを鮮明に覚えている。実際、好きな5コースを奪い得意のまくり差しを繰り出してSG初優勝を果たした。 幸運に気を緩めなかったのは、競技や競技者、そしてファンへの敬意が根底にあるからだろう。真摯(しんし)な人物である。今年は唐津G1戦Vや浜名湖クラシック優出という活躍もあり、3回目のグランプリが待っている。 岡崎恭裕なら、計算を超えて何事かを起こす気がする。

今からでも十分に頂点を狙えるクールな天才

大多数の選手は本番レースを終えてカポックを脱いだ後、すぐに始まるレースリプレイを見る。 接触したりキャビったりした時は「すみません」「いやいや大丈夫よ」なんて会話が飛び交い、足負けした選手は相手に「出てるねえ」などとうらやましそうに話しかけたりする。 岡崎も熱心にリプレイを見るタイプ。「あそこは早く握り過ぎた」などとテクニカルな部分を振り返りながら楽しそうに反省していることが多い。10代の若さでブレイクした天才肌。岡崎ほどレースを楽しんでいる選手は他にいないのでは?といつも思わされる。 SG戦1勝、G1戦2勝の実績は、その実力から考えると明らかに物足りない。レースを楽しみ、なおかつガムシャラに結果を求めて欲しい。頂点を狙える資質は十分に備わっているのだから。

冷静と情熱がコラボする福岡の天才肌レーサー

岡崎恭裕の代表レース…と言えば10年・浜名湖のオールスター。6枠5コースからそこしかない!というスペースへのまくり差し一閃。デビュー6年目でのSG初戴冠劇だった。 やはり岡崎のレースの魅力と言えば、感性鋭いそのまくり差しのうまさ。この岡崎に加え篠崎兄弟も卒業した福岡県立香椎工業高校。そこの先輩(選手としては1期後輩だが)関裕也に岡崎の若き日の話を聞くと…「デビューした頃から、ああいう真似できないエグイまくり差しをしていた」の声。 技術面はやはり天才肌。人柄的には関いわく「冷静」。福岡後輩の松崎祐太郎にも聞くと「さらっとしとる?」(笑い)。 オカでは割合『クール』な印象。ただ水面では醒めた頭脳と熱いハートで繰り出す究極クラスのまくり差し『COOL』な舞姿。 さて年末賞金バトルもいよいよ大詰め。最後にもう一差しの舞、ランキング上位へ熱走期待だ!

ターン絶品の天才肌が金冠へ一直線!!

初めて見たのは2007年の津新鋭リーグ戦だった。 デビュー9か月で初Vを飾り、既に4優勝。SGの舞台も経験していた。話し方、ターンのキレ味が池田浩二に似ていて“天才肌”と感じた。 そこから3年後のオールスター(浜名湖)では、池田のインを絶品のまくり差しで大金星。順風満帆だった。 ところが、翌年のメモリアル(福岡)では優勝戦で勇み足。記念ロードから姿を消した。 その間に同世代がグングンと成長。周りにはSG・G1ウィナーがあふれ始めた。岡崎も2016年から復調。 「最初にグランプリに出た時(2010年当時23歳)は先輩ばかりだった。今、自分と近い選手が出るようになって、その中に加わってみたいと思った」と吐露。 2016年はグランプリメンバーに返り咲き、今年も当確ランプをともしている。池田が初めて金冠を奪取したのは33歳。31歳の岡崎がイケダ越えを目指す。

今年は〝ムード〟充満。一発を期待!

SG優勝史上最年少記録(約21歳9カ月)を持つ服部幸男とまではいかないまでも、スーパールーキーとして称された岡崎も出世はかなり早かった。 デビュー6年後の浜名湖オールスターでは参加選手中最年少の23歳でSG制覇。4000番台レーサーとしてボート界に一大旋風を巻き起こし、この年にグランプリ初出場(優出5着)を果たしている。 そんな彼も早いもので選手生活15年目に突入。もちろん、天性のスピードと、華麗なハンドルテクニックは健在だ。昨年は江戸川ダイヤモンドカップで念願のG1タイトルを奪取。 そして今年は好相性の浜名湖クラシックで優出4着と力走し、4月のからつ65周年を勝ってG1戦V2の躍進ぶり。 2年ぶり3回目の〝1億円バトル〟参戦がいよいよ現実味を帯びてきた。一発を期待したい。
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柳沢一

静から動へ変化する端麗な人物

辛抱し切れず柳沢一に言ってしまった。「棋士の羽生善治さんにそっくり」と。本人は否定したが、当方には確信がある。佇(たたず)まいが共通しているからだ。 将棋には、勝者と敗者が戦いを振り返る『感想戦』なるものがあるが、このときの羽生さんがいい。決しておごらず絶対的なことを言わない。ともすれば迷いさえ見せつつ、それでいて強いのだ。ひとことで言えば品のいいサムライである。 柳沢一も同じではないか。端麗な物腰でいて、ここ一番に強い。受け答えにも品格がある。どこか学者っぽいのだが理屈っぽくない。そして、静から動への変化が見事で勝負を一瞬で決める…。 つかみようがないほどスケールの大きな柳沢一が大舞台で『勝利の感想戦』に臨む姿を見てみたい。 そして、「羽生さんは、ボートレースの柳沢選手に似ている」と将棋ファンに言ってもらうのが夢だ。

グランプリ初出場へ、正念場の走りに注目

SG戦出場は19回で優出が2回。G1戦は108回出場して優出11回、優勝は4回。そのうち2014年から2017年までの4年間で3回優勝と、最近はほぼ年イチペースで優勝している。 今年はまだG1戦優勝こそないが、2回の優出がどちらも準優勝。さらに丸亀メモリアルの優出(5着)もあり、自己最高額だった昨年の獲得賞金約4,300万円をすでに更新。 約4,700万円余りを稼いで賞金ランクは24位。選手生活で初めてグランプリ出場も狙える位置に付けている。これまでの活躍はほぼ地元の東海地区に偏っていたが、グランプリ出場となれば、一気に全国区へ名乗りを上げることになる。 勝負の11月を迎え、その走りにより一層、注目が集まる。

サクセス待ち! 愛されるべき愛知の知性派

皆さんは…スポーツ物のドラマや漫画、主人公はどちらのタイプがお好きですか? 1番【素晴らしい才能を秘めた天才が、周囲をその力で圧倒しながら頂点へと駆け上がる】痛快無比な超人伝説物語。 2番【潜在力は圧倒的ではないが、努力と工夫と周りの人達の力を得て目標の舞台へと立ち向かう】いわゆる秀才型。 好みは分かれるでしょうが、日本人は割と2番好みの方が多いかも? 柳沢一…。師匠の原田幸哉はどらかというと1番タイプ?少し失礼ですが…柳沢は②番の秀才型ではないかと思います。水面では苛烈さとクレバーさを調和させた速攻戦。 オカでは理知的で温和に振る舞える素晴らしい人間性(おまけにイケメン)。もう一歩が届かぬ頂点へのもどかしさ。自ずと応援を誘うそのサクセス過程、そこから味わえるだろうカタルシス…。 年末の大舞台へ続く素晴らしいストーリーに期待したい!

まくり差しが調子のバロメーター!!

もう、3~4年前になるが、愛知の後輩・丹下将が「3コースから(柳沢)ハジメさんのようなまくり差しができるようになりたい」と話していた。 それを聞き、改めてじっくりとレースを見ると、絶妙なタイミングで飛び込んで行く。若手の荒々しい割り差しにはない、ロスのないスムーズなまくり差しだ。これが決まっている時は、仕上がり&調子がいい証拠。バロメーターにもなり、5コースの時も応用が利く。 今年は10月末時点で賞金ランキングは24位。惜しくも地元のダービー切符はつかめなかったが、11月はG1、G2、SGと高額賞金レースが待っている。師匠の原田幸哉は「ハジメちゃんがグランプリを経験したら、もっと変われる」と断言。 毎年、着実に成長して来た柳沢が初めてのベスト18入りに挑戦する。

年末へ向けて怒濤のラストスパート!

今年の柳沢はまさに快ペースだ。とこなめの地区選、蒲郡62周年でそれぞれ準優勝。夏のまるがめメモリアルでも優出5着と、存在感をアピールした。 近況のリズムにも狂いはなく、一般戦では地力の違いを見せつける優出ラッシュ。10月30日現在、獲得賞金ランクはグランプリ出場へのボーダー上24位。 この先、あっせんが入っている徳山65周年、大村のG2誕生祭の結果次第では18位以内に浮上する可能性もあるだけに期待は大きい。 もちろん、それは本人も承知しているだろうし、ここぞとばかりに勝負をかけてくるのは間違いない。 まだ経験したことがない年末の〝1億円バトル〟。是が非でも賞金を上積みして、シリーズ戦とは違う独特の雰囲気を味わってもらいたい。
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岩瀬裕亮

自立心高き真の自在派!

2010年5月蒲郡、鳴り物入りでデビューした新人がいた。岩瀬裕亮である。ヤマト106期の中ではズバ抜けた才能を発揮し、リーグ勝率はダントツの8.22。修了記念競走も制している。 持ち前のセンスがそうさせているのだろうが、レースに力みがなくバランスがいい。これを、『爆発力がない』・『うまいだけじゃ…』などと批判的に見る向きもあったが、岩瀬は自らを通してきた。真の自在派である。また、原田幸哉門下生としても知られていたが、ここを卒業。多くのSGレーサーがそうであるように、より困難な道を選択している。自立心の高さの表れにほかならない。 SGはこれが5回目。安定した成績を挙げ続けてきたメンバーだけがそろうダービーは初めてだ。さらに、地元が舞台ともなれば胸躍るのは本人だけではない。蒲郡ダービーは、その志に触れることができる最高の舞台に違いない。

ブレイクは時間の問題!潜在能力は文句なし

108期の江崎一雄が鳴り物入りでデビューし、そのデビュー戦から優出とフィーバーを巻き起こす1年前、106期岩瀬裕亮も勝率8.22、リーグ戦は全て優出し優勝2回。もちろん卒業レースも優勝。さらに当時のやまとレコードを更新するなど、久々に出現した大型新人として騒がれた。 現に初出走から舟券では1番人気を背負うという近年ではあり得ない快挙も。 その当時を思えば、必ずしも期待通りのスピード出世ではないが、前期は7.53と自己最高勝率を残し、地元開催のダービー出場を決めた。 過去4回出場しているSG戦では苦戦を強いられているものの、オーシャンカップには2年連続出場中と記念戦線では結果を出しつつある。潜在能力は文句なし。地元SG戦をブレイクのきっかけにできるか注目したい。

走りを楽しむ…天性のレーサースタイル

『仕事が楽しめる』。それは理想の一つとも言える人の時間の使い方、生き方でもあると思います。岩瀬裕亮の人柄や選手印象を、岩瀬と同期の鶴田勇雄に聞いてみると…。「楽しんで生きてるなって感じがします(笑)。レースに対しても変にストイックになり過ぎたりしないで、楽しんでやっている感じ。楽しむことを力にできて、稼ぐことにつなげられている気がします」と、笑顔で語ってくれた。無論、岩瀬自身悩んだり考えたりして仕事に取り組んでいる部分は当然あるはず。ただオカでは笑顔を見せ、肩肘を張りすぎずに振る舞える人柄は美徳だし、ボートレースの中にある競技性、ゲーム性というものを楽しめる感覚、またそれを可能にするだけのレーススキルも持ち合わせている。地元SGダービー。最高難易度のこのステージでも、楽しむを力に、最高のパフォーマンスを披露してくれるはずだ。

どん底から這い上がり地元で雪辱戦だ!!

「こんなに恥をかいたことはないです」。 蒲郡で行われた昨年のヤングダービーは、地元のエースとして期待を一身に背負った。 開催前はPRに協力して大いに盛り上げた。だが、始まってみれば、凡モーターに苦しみ予選敗退。加えて5日目の一般カードでは意味のないスリットオーバーと泣きっ面に蜂だった。 今年は60日のF休み明けからのスタートだったが、連続優勝で自信を取り戻し、ダービー切符も確保。まだG1を勝っていないが、いきなりSGを勝っても驚けないポテンシャルを秘めている。 今大会は愛知5本目の矢として参戦。 気合は入っているがプレッシャーはない。選手生活最大の屈辱は、蒲郡で晴らすしかない。

地元でSG。気合は半端なし!

SG9冠を誇る池田浩二を筆頭に赤岩善生、平本真之など層の厚い愛知支部だが、この岩瀬もポテンシャルは相当なもの。いずれG1、SGタイトルに手が届くと期待される〝秘密兵器〟だ。 師匠の原田幸哉(現在は長崎支部)もその実力を高く評価しているだけに、楽しみなレーサーといえる。 昨年は勇み足の連発が出世を妨げた感じだが、それ以降はフライングはなく、今年は6月の福岡65周年(優出5着)と、9月の多摩川64周年(優出4着)でG1戦2優出。 タイトルゲットとはいかなかったものの、〝らしい〟走りで存在感を示してきた。SGは今回で5回目の挑戦。 しかも、念願のダービー初出場で舞台は地元の蒲郡。地元ファンの熱い声援を背に受けながら大仕事をやってのけたい。
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田頭実

インファイター・田頭実、見参!

プロフェッショナルの条件は諸々あるが、アスリートの場合『鮮明な戦法』というのがあるだろう。 田頭実はその体現者と言える。果断に勝ちにいく姿勢は51歳となった今も枯れることなく変わらない。フライングを恐れず前のめりになるところには、先々への計算がなく清々しい。選手とて生活者…、家計とは無縁ではないが、『今を生きる』のに徹しているから強気でスリット勝負に出るのだ。 かの長嶺豊が通算76回、上島久男(故人)が94回のフライングを記録しているが、田頭は70回。打たれても打たれても接近戦に挑むインファイター・ボクサーのようだ。記憶にも記録にも残る男である。今年は地元若松のゴールデンウイーク戦を含め4節連続優勝、通算V6と飛ばしまくっている。 様子見の多い序盤であっても、迷いなく戦うだけに初戦から目が離せない。

ペラ制度変更で復活!ダッシュ力は艇界随一

SG2勝にグランプリ出場3回で優出が2回。さらにG1戦6勝のうち、前代未聞で今後も絶対にあり得ないであろうF3優勝もあった田頭。その最大の武器は誰も真似できないスタートダッシュ。 タイミングが速いだけはなく、ダッシュ乗りはボート界一と断言できる。持ちペラ制度末期にはA1級も確保できないほどの低迷期があり、SG戦から4年以上も離れていた時期もあった。 しかし、オーナーペラ制度がプラス材料となって鮮やかに復活。伸びないと言われている現行モーターにおいて、田頭が乗ればなぜか伸びる。その秘密はペラの調整力だけではなく、ダッシュ乗りの良さを引き出す乗艇姿勢にある。 前期は7.99の勝率を残したが、今期(5月~)はそれさえも上回る好調度で、ダービーにはドリーム戦3号艇で登場。14年ぶりのSG制覇も決して夢ではない。

ハートで戦う…若松の闘将

仕事で自らのスタイルを貫く…。 そのためには、状況に屈さずにいられる自己の心技の強さや、それを周りに認めさせる立ち位置が要求されるものです。個で戦うが、競技としては団体で行うボートレースにおいても、強いパーソナリティーは、異質とみなされがちです。 田頭実の走法は、内寄り~センター筋での強ダッシュ、外枠では前付けから深水域でのSたたき合いと、今では数が減ったクラシックスタイルとも言うべき走法です。枠なり全盛の近代ボート育ちの若手からは『骨っぽい嫌な対戦相手』と、内心では思われているタイプでもあるでしょう。ただ面白いボートを!と望むファンからは、乱打戦上等! ピット離れからボートを楽しませるその走りは得難い個性です。 洗練されたさばき合いより、拳のぶつけ合いとも言えるストロングスタイル。熱いハートの走りが人々を魅了する。

快速攻でシロかクロかをハッキリさせる!!

ダービーのドリーム戦が大好きだ。 ボートレース界は賞金獲得額が「強さの証し」という明確なストーリーを打ち立て、年末のグランプリまで進められる。そんな中、勝率もひとつの指標でありながら、どこか賞金とは一線を画している。今年で言うなら、SG3連覇の懸かる毒島誠は予選スタート。 また、昨年も開催前に賞金1位だった石野貴之はドリーム戦からもれていた。いつものSGロードとは異なるのがダービー。その顔となるドリーム戦に田頭実はエントリーしている。選手層の厚い福岡支部だけに記念戦線での出場機会は減少したが、スタートのキレは全く衰えていない。 当大会は51代のダービー王に輝いた反面、3年前の浜名湖では初戦のフライング(非常識)で即日帰郷をしている。中途半端はありえない。シロかクロかをハッキリさせる。

名人が持ち味の豪快弾で魅せる!

田頭の持ち味はなんといってもスタート力だろう。ゆえにフライング事故とは常に隣り合わせだが、たとえフライングのハンディを背負っていても極端に仕掛けを緩めることはない。この変わらぬスタンスが最大の魅力であり、ファンから支持される一番の理由だ。 一昨年はマスターズチャンピオン(びわこ)を制し、昨年は九州地区選(福岡)で優勝を飾り、G1戦V6。今年はここまでV6。一般戦といえども5月若松からの4連続Vは称賛に値するもので、改めて存在感を示す格好となった。 そんなベテランが昨年のまるがめオーシャンカップ以来、1年3カ月ぶりにSGに出場する。 〝速攻野郎〟の集まりだが、若手に負けない弾丸スリットを繰り出すのは確実。気合十分にダービータイトル奪還に燃える。
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中谷朋子

比類なき整備・調整力が底力の源

212名いる女子選手の中で、いま最も安定しているレーサーを挙げるとしたら中谷朋子が筆頭だ。 1月1日以降の勝率7.58も、6回に及ぶ優勝回数も女子トップの数字。まさに『女流の顔』である。その背景に何があるのか…。 デビュー当時から言われているレースセンスは言うに及ばず、それを支えているのは整備・調整力である。超抜に仕上げるというよりも、常時戦える水準を保つのが中谷流。 五感を駆使してモーターを解析、素早く方向性を定めるのだ。数年前、「調整には自信がある…」と教えてくれたことがあるが、それは、そんな自分でも判断がつかない状態が続いたことへの裏返しの発言だった。 派手なコメントを出すわけではないが、ことばに飾りがなく『素直な事実』が隠されている。 SG初舞台ながら、ありのまま戦うだけで何かを起こしてくれそうな予感がする。

不惑を超え女子で最年長記録のSG戦初出場

「初めてのSG戦は楽しみで仕方がないですよ」 いつもはクールな中谷もダービーの話を振ると笑顔がこぼれる。それはそうだろう。42歳(開催時)にしてのSG戦初出場は、女子では41歳だった高橋淳美を抜いて最年長記録。男子を含めても井川正人、芝岡春繁、木下繁美に続く4番目の年長記録なのだから。 また、女子でSG戦初出場がダービーというのも中谷が初めて。1年間の勝率で決まるダービー出場に偶然やまぐれはあり得ない。 好調の要因を自己分析してもらっても、「決まったペラの形もないし、ずっと同じことをしてきただけなんですけどねえ」と本人も首をひねるほどなのだが、これまでの地道な努力が実り、地力が付いてきたのだろう。 蒲郡はけがで遅れたデビュー戦を迎えた思い出の地でもある。男子トップレーサーを相手にどこまで通用するのか楽しみだ。

可能性を示す…水上の女性アスリート

正直意外とも思えるが…。中谷は今回の蒲郡ダービーがSG初参戦。42歳にして女性アスリートがその競技の最高峰レースの門戸をたたいて行く。 中谷自身の研鑽(けんさん)し続けたテクニックとメンタルは当然賞賛すべき。そして同時に、ボートレースという競技の可能性の豊富さ、面白さという部分も感じさせてくれる事実とも思う。 今年の中谷は原稿時点(9/10)でV6。現在適用勝率も7.51のキャリアハイ。女子戦においては現在無双状態とも言える強さを誇る。 どちらかというと、うまいがさばいての連下型傾向で、その実力と存在感の割にはひのき舞台でスポットライトを得ることが少なかった。しかし…、今は競技者として進化し、勝負強さも身に帯びる走り。 「♪花の命は結構長い~」、いつかCMで流れたそんなフレーズをなるほどと思わせるような、美しくもたくましい…、そんな力戦、晴れ舞台を期待したい。

SGデビューも蒲郡! 新境地を開く!!

前期は自己最高勝率の7.51をマーク。 今期(5月~)もハイアベレージを継続して、女子レーサーでただ一人、ダービーボーダーをクリアした。胸を張ってのSG初参戦だ。 「ダービー出場を意識して走ってきましたし、やっぱりSGに出たかったです。22年もかかってしまいましたけどね」と胸のうちを明かした。 ダービーの舞台となる蒲郡は、中谷にとって縁のある水面。デビューが1カ月ほど遅れたこともあり、蒲郡から選手生活が始まった。 「選手としての1走目だったし、SGのデビュー戦も蒲郡。いい結果を出して、年末に弾みをつけたいです」とワクワクが止まらない様子。 蒲郡は昨年9月の男女W優勝戦でVと相性も悪くない。ここから新たな1ページが始まる。

今年は快リズム。初SGでも魅了する!

近況の充実ぶりには目を見張るものがある。中谷の適用勝率7.51は自己ベストで女子レーサーNo.1。しかも、今年は早々とV6を飾っており、その勢いをとどまるところを知らない。 「前期の勝率1位は素直にうれしいですね。今度は年間を通して一番になれるように努力していきます」と、さらなる飛躍に期待をふくらませる。 スタート勝負に固執した昨年はフライング事故による影響が出世を妨げたが、今年は対照的なリズムで来春のクラシック出場権まで手中にする素晴らしいペース。 そして今回はダービーで念願のSGデビューだ。男子の強豪を相手に戦うだけに勝ち抜くのは容易ではないが、ここまで来れば力のすべてを振り絞って結果を出してもらいたい。 飛びっ切りの笑顔を待ってます。
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平本真之

真の喜びを知る少年の心の持ち主

2015年3月、常滑周年記念の優勝パレードで平本真之は歓喜の中にあった。 取材のためレスキュー艇に乗り合わせたが、その横顔が夕陽に輝いている。そして、スタンドを埋め尽くした切れ目のない『祝意』が、壮観でありながら清々しく澄み渡っていたのを思い出す。 ファンは、平本の人品に魅せられていたのだ。苦境にあっても笑顔を絶やすことなく乗り越えてきた平本について、かつての野球部の恩師が「プロレーサーになっても高校時代から姿勢が変わらない。素晴らしい…」と語るのを見て、膝を打つ思いがした。 純真さは、勝つ喜びからくるのではなく、闘う場を得ている喜びがもたらす。野球少年はバッターボックスに立てるだけでうれしい。純真な心をもつ平本の底抜けの爽快な笑顔をまた見たい。

足がいい時の勝負強さはボート界屈指

乗り心地という言葉を最初に使ったのは、あの艇王・植木通彦と記憶している。 モンキーターンで驚異の追い上げを披露していた艇王のハンドルは乗り心地が生命線だった。今はもう、どの選手も乗り心地という言葉を当たり前のように使う。 それをグリップと表現する選手も多いが、抜群のハンドルワークが武器の平本にとってもグリップ感が生命線。もっと欲を出して「足」も求めて欲しいのだが、期せずして「足」もいい時には、好結果を残してきた。 SG戦2勝はどちらもグリップ感だけはなく、足も優勢だった。3年ぶりとなるダービーはこれまた期せずして地元蒲郡。平本の口から「足もいい」という言葉が聞こえてくれば、間違いなく優勝争いに絡んでいるだろう。

篤きの闘争心を秘めるスマイルファイター

今年は東海地区選のファイナルで無念のF。闘志のぶつかり合いの末で致し方ない部分はあったが、G1・G2選出除外のペナルティーを受け、年間の立ち上がりでつまづきがあったことは否めない平本真之。 それでも今年はここまで3500万円台の賞金を稼ぎ出し、勝率ハイアベレージとともにプロとしての地力を感じさせる仕事ぶりを見せている。 ちなみに丸亀のメモリアルでは瓜生正義の前検欠場により、朝方の9時半に突然の招集がかかるというハプニング があった。 「こんな事は初めてだけど、これは賞金面の部分でありがたいです」と笑顔の参戦。その結果は今一息振るわずではあったが、SG戦の間隔を空けずに走れたことには価値もあったはず。 年の序盤のうっぷんを、年末戦へ加速するためのエナジーに変え、持ち味であるここぞの爆発力を今こそ発揮。会心の笑顔を見せてほしい。

三つ巴からアタマひとつ抜け出すぞ!!

96期の出世争いが面白い。最初にG1を勝ったのは新田雄史。09年のびわこ周年を逃げ切った。 2年後のびわこ周年で王者・松井繁を差し切ったのが篠崎元志。平本真之は3番目で芦屋周年を制した。 SGに話題を移すと、最初に勝ったのは篠崎。12年のグランプリシリーズだった。新田は翌年のオールスターで初優勝。 平本は14年のグランプリシリーズを5カドから一蹴した。常に同期の両者を追いかけてきた。まるで自身のレーススタイルを彷彿(ほうふつ)させるかのように。 強くなるためには、また、強い姿であり続けるには、ライバルの存在は必要不可欠。現在は3者がSG2冠で並んでいるだけに、次の勲章は今後の出世争いへ大きく影響を与えるだろう。 蒲郡はスピード自慢の平本に絶好の舞台だ。

地元水面で反撃の一矢を放つ!

ポテンシャルの高さは愛知支部の中でも文句なしにトップクラス。 それを証明するためにも地元・蒲郡で開催される今度のダービーは平本にとって真価が問われる。2014年の平和島グランプリシリーズでSG初制覇を成し遂げ、そして2016年には尼崎オールスターを制してビッグV2。 一躍、スターダムにのし上がった彼だが、それ以降はSG、G1戦で優出はあるといえども〝快音〟を響かせるまでには至っていない。 前回のまるがめメモリアルでは屈辱の戦いを強いられただけに今大会は一層、並々ならぬ決意を胸に挑んでくるはずだ。 勝手知ったる水面で意地の反撃へ。集中力を高めて持てる力のすべてを出し切ってもらいたい。多くのファンが再ブレークを期待している。
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西山貴浩

エンターテイナーの泣き笑いを見たい

「とうとうやりました!」。これは今年4月、常滑G2モーターボート大賞で逆転優勝を果たした直後の西山貴浩の言葉だ。 デビュー丸2年でA級勝率を獲得、以来B級陥落は一度もない。エンターテイナー顔負けのユーモアあふれるリアクションは誰もが知るところであり、『舟券でも楽しめる』のが西山貴浩だ。 事実、現勝率7.68は、83.9%の3連対率に支えられている。驚異的な数字だ。しかしながら、SGオールスター参戦がわずか2回なのは腑に落ちない。もし、朗らかな振る舞いの向こうに隠している反骨精神があるとしたら、『結果でファンを唸らせてやりたい』という気概ではないか。 思わず出た「とうとう…」は数々の悔しい思いの裏返しと推察する。実力で得た初のダービー出場…。生真面目で責任感が強い西山貴浩の『泣き笑い』を蒲郡で見てみたい。

お笑い系を装いながら実は隠れた努力家

陸の上のパフォーマンスはボート界一。なぜかオールスターにはファン投票で出場したことはないが(委員会推薦2回)、ファンを爆笑させることに関しては右に出る者はいない。 そんなキャラなので、おちゃらけて、ふざけた印象が強いと思うが、仕事に関しては実はストイックで大真面目。ある日、家族で焼き肉を食べに行き、これから口にしようかと思った瞬間に追加参戦の電話が掛かってきて、減量のため一口も食べなかったなんてこともある。 レースのない日も終わりのない減量に取り組み、誰よりもペラの研究にも熱心。あぁ見えて、実はボート界屈指の努力家でもある。今年はG2も初制覇して、「ハク」も少しついた。SG戦は過去に1度だけ優出はあるが、そろそろインパクトのある活躍を期待したい。

届くか天辺! 笑いと捌きの鋭き鋭鋒

明るくエスプリの効いたオカでのパフォーマンス。極楽ご陽気キャラ? ファンの方の西山の選手像は、そういう部分が先行すると思う。 ただ少し立ち位置の違う、同期の前沢丈史の言葉…「すごくいいやつだけど、やまとの頃は今とは違って(笑)おとなしい印象でしたよ。自分も人の事は言えないけど成績が良くなかったし、あまりはっちゃけられなかった(はしゃげなかった)部分もあったと思うけど…」と少し意外な声。 「西山は学校の勉強は?だけど(笑)、ボートで勝つための勉強をする力、その才能はすごいと思います」。西山はある種の才気はあったが、清き正道のエリート街道をきたタイプではないだろう。 道化も取り込むタフなセルフプロデュースと、修練あってこそのしたたかな走り。その水陸二面のさばきが頂点へ届くのか。チャレンジ注目だ。

マイクパフォーマンスが活躍の原動力!!

A2落ちから一年。前期は復調へ大きな足掛かりとなった。 4月にとこなめモーターボート大賞でG2以上の特別戦を初制覇。バックストレッチ4番手からの“クルリ大逆転”だった。 A1に定着し始めた頃に「抜きで勝つのが一番好き」と話していたのを思い出す。ココ一番でクレバーな立ち回りが功を奏した。 また、自己最高勝率もマーク。その後も好調をキープしてダービーボーダーを初めてクリアした。 ボート界のエンターテイナーとして誰もが認める存在になったが、何よりも結果を残したい。「強くならなきゃ、(パフォーマンスを)やっていてもしょうがない」。 ずっと抱いていた思いは、レースを盛り上げるためだけでなく、自身の原動力になっている。

総力戦でSGタイトルを狙う

西山といえば近年のボートレーサーにはいない、独特なキャラクターで有名だ。 人を愉快にさせる話術、テンポのいいトークは見事というほかはなく、お笑いの世界でも大成しそうである(失礼)。 そんな〝センス〟を秘めた彼だが、もちろん、選手としての力量もかなりのもの。 7月からの適用勝率は自己最高の7.68。そして今年は早々とV5を達成。いつも以上のリズムで推移しているだけに、期待の大きさは計り知れない。 G1戦は計6回の優出があり、SGは2015年のグランプリシリーズ戦で優出5着の実績。さらにたくましさを増した今ならエンジンの仕上がり次第で主役に躍り出てもおかしくはないだろう。 念願のダービー初出場、誰もがほしがるダービータイトル奪取を目指し、一発を狙っていく。
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萩原秀人

頼りになる北陸の一等星!

「ほんとうに緊張するんで、記念レースは向いてないような気がします」。7~8年前、萩原秀人はしばしばこう自己分析していた。 思い切りのいいレースが魅力的で、誰が見ても北陸の新星であったが、自身はギリギリの精神状態だったようだ。 こうも語っている。「スタートの発順で負けたくない」。つまりトップスタートを切り続けレースの主導権を握るスタイルを志向していたのだ。メモリアル3回を含め、これまでSGを20回経験しているが、『何としてもトップスタート』という戦いの意志は『的確な判断とさばき重視』へと変化した。 記念中心に走りながら2連対率が約5割、3連対率は約7割に及んでいることでもわかる。 考えてみれば、『スタート』も『判断とさばき』もファンへの貢献の仕方でしかないことに気づく。高い緊張感を克服し、萩原秀人は頼りになる北陸の一等星として輝いている。

2010年以来のSG優出を目指す福井第3の男

萩原のSGデビューは2009年のチャレンジカップ。翌2010年にはクラシック、グラチャン、オーシャンカップと出場したSG戦で3連続優出を記録。 今垣光太郎、中島孝平に続く福井支部「第3の男」として存在感を大いにアピール。翌2011年からはSG戦出場の機会はめっきり減ったが、クラシックだけは2015年から4年連続で出場中。 記念常連なのに谷間の一般戦にめっぽう強く、2009年以降、年間5回以上優勝した年が5回あり、昨年は7回の優勝を飾っている。 しかも、通算45回の優勝のうち、インからは30回だけで、3分の1にあたる15回はイン以外での優勝。唯一のG1タイトルである2016年の福岡周年も3コースからの差し勝ち。 どこから何でもできる器用さを武器に8年ぶりのSG優出を目指す。

進化を続けるオールラウンダー

強くてうまいが圧倒的ではない。『さばき屋・名手』というイメージを重ねていかにもスッとなじむ…、萩原秀人の選手像というと自分にとってはそんな印象だ。ハンドルワークに長け、感性肌のレーサーかと思いがちだが、選手像としては努力型。少々前に『さばき巧者』というお題で萩原選手に取材したことがあるのだが…「そういう風に言ってもらえるのはうれしい。でも自分ではまだまだと思っているし、年数やっても毎走が勉強ですよ(笑)。あ~、この選手は、ここでこうくるのか…とか、自分がやられたり抜かれたりした時の事は覚えておいて、対応の幅を増やして次に生かしたいと思って走っている」という答えがあった。基本を怠らないからこそ今見せる技の切れ。さばきの技は一日にして成らず。積み重ね錬成した仕事人の技で、SGでも崩れず、時に乱戦へ風穴をあける走りも見せてくれる。

スピード全開の鋭角ターンで今度こそ!!

サッカーのワールドカップを観ていた時、ふと「萩原秀人とウルグアイ代表の(エディンソン)カバーニって似てない!?」と記者仲間に振ってみた。 「う~ん、髪形だけじゃないの」と反応はもうひとつ。改めて写真を見比べてみると、確かに顔のつくりは違っていた。だが、スピードを前面に押し出したプレースタイルは共通している。 現代のボートレースは、いかに外枠から好成績を残せるかがポイント。前付け、追い上げなどの選択肢はあるものの、やはりターン力を駆使した握り差しは必要不可欠だ。 これまでSGファイナルは3度経験。いずれも6着と、まだ決定打は放てていないが、今度こそ鋭角な弧を描きトップゴールを決める。

主役の座を目指し、気合十分に挑む

選手にとってシリーズの最初から最後までピン(1着)を並べるほど気持ちのいいものはないだろう。萩原は7月のからつでこの偉業を達成した。 自身初となる圧巻の"9連勝完全V"。SG、G1戦線で不発に終わっていたモヤモヤを吹き飛ばす、リズム好転への価値ある優勝となった。 G1は2016年12月の福岡63周年で初制覇を成し遂げている。SGタイトルはまだ手にしていないが、それでも過去に3優出(クラシック、グラチャン、オーシャンカップでそれぞれ6着)の実績。SGで通用することは早々と証明してきただけに期待は高まる。 福井支部に新たな栄冠を―。キャリアを積み重ねてきた実力者が気合を入れ直してタイトル奪取に燃える。
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磯部誠

少年の心をもつナイスガイ!

人生は出会いに満ちている。『人に恵まれない』と嘆く者の多くが潜在チャンスを逃しているのではないか…、磯部誠を見ていて思う。 カーディーラーに就職した青年は、あるとき客として来店した池田浩二と遭遇するが、その千載一遇の機会を逃さなかったのだ。 少年が抱くかっこよさへの憧れと、ある種のライバル心…。磯部の中の『子ども』が人生の転機をつかませた。それはプロになっても変わっていない。明朗快活、負けた後の姿もいい。 「勝負は勝ったり負けたり。敗れた時にこそ真価が問われる」とは、かのミスター麻雀・小島武夫先生(故人)の至言だが、磯部は天然自然にそれを体現していて朗らかである。 憧れの池田浩二と並び、常滑の推薦を得たメモリアルでSG初舞台というのも奇遇。ここで、人生のステージを変えるのだろう。

今が旬!愛知支部次世代の看板を背負う新星

愛知支部からは福岡、岡山の15人、大阪の14人に次ぐ12人のSG覇者が誕生している。 ただ、原田幸哉が長崎へと移籍し、池田浩二もスランプ気味。岩瀬裕亮も壁にぶち当たっている印象で次世代のスター候補誕生が待たれている中、ついに磯部誠がベールを脱ぎ始めた。 前期は7.60と自己最高勝率を残し、今年はすでに優勝が5回。メモリアルがSG初出場だが、続く地元蒲郡のダービー出場も決めている。 好調の要因を「たまたまペラが当たっているだけで、バブルですよ」と本人は謙遜(けんそん)しているが、師匠・平本真之譲りのハイセンスなレースは、これまで培ってきた実力があるからこそ。 丸亀は6月の周年でG1初優出した好相性の水面。初のSG舞台でも快走が見られるかもしれない。

大胆不敵な愛知期待の星!

今回の丸亀メモリアルには100期以降の選手が10人参戦する。各場の顔が選出されるメモリアルでこのメンバー変遷。SG界にも着実に新世代の波が到来しつつある。その若手ホープ達の中でも、当節がSG初陣となる磯部誠。イケイケの強気な性格と攻撃型レースで、着々と自らのスタンディングポジションを固めてきた27歳だ。愛知若手達の優しき良きお兄さん的存在でもある河村了からは「チャラくて、生意気だけど(笑)。仕事に対する姿勢はオカの上からもすごくしっかりしてる。他地区にもあの世代では中田竜太くんとかいい選手はいるけれど、ポテンシャルは負けてない。愛知の新鋭世代を岩瀬(裕亮)と一緒に引っ張って行く選手だと思います」の声。6月の丸亀周年では優出も果たし、その技量は記念域にも届いている。性格的にも大舞台に気後れするタイプとは思えない。大胆不敵、心技体の全てを賭しSG戦へと挑んでいくはずだ。

牙城を崩したニュートコタンが存在を刻む!!

「まさか、メモリアルに出られるとは思っていなかった」。各場2名ずつの選出になった2012年以降、とこなめの推薦枠(優先出場含む)は常に「池田浩二&平本真之」の組み合わせだった。 もしも、ブックメーカーが年頭にオッズを付けたとしたら、今年も1.25倍程度だったに違いない。だが、ついにその牙城が崩れた。磯部にSG初出場の抱負を尋ねると「技量と経験がないことは確か。 何か印象に残ることをしたい」と吐露。「まだ何かは決めていないですけどね」とほほえみ、初SGへの不安よりも、まるでハイスクールに進学するのを楽しみにしている少年のようだった。 「僕には勢いだけはありますから」とアピールも忘れない。ニュートコタンが初のビッグステージで自分の存在を刻む。

SG初出場でいきなり魅せる!

デビュー当初から将来性を見込まれていた好センスの持ち主。その期待に応えるように磯部は着実に出世街道を突き進んでいる。 現在の適用勝率は6点台の壁を打ち破って自己最高の7.60。今年は12優出V5と素晴らしい勢いで結果を出しており、来春のクラシック出場も射程圏に入った。 6月のまるがめ66周年ではG1戦で初優出(3着)した経験も大きく、ますます自信を深めたのは間違いない。 天性のスピードと勝負勘、どのコースからでも白星を量産できるオールラウンドプレーヤー。そしてナイター戦での強さにも定評がある。 今回のSG初出場はさらなるステップアップへの絶好のステージといえそうだ。いざ、下克上へ、愛知支部の気鋭が会心のショットを繰り出す。
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平尾崇典

深く濃い岡山愛の人

「僕が呼んできます!」。デビュー当時、平尾崇典はインタビューに来ない同県先輩レーサーや報道陣を慮り(おもんぱかり)動き回っていた。 朗らかで気遣いのできる『王国の星』も45歳。今は味のある受け答えが面白い。 優勝した2012年の児島チャレンジカップ、水面際で平尾のスタートの起こしだけを見ていたが、『重くてムダのない仕掛け』が強く印象に残っている。それは、地元代表の重責を感じさせるに余りあった。 当時の48.5キロという十分すぎる減量も壮絶だったが、体重管理を含めた勝負への準備は今も続いている。今年4月の住之江周年は6コースからゼロ台でまくり切り優勝。表彰式で、選手宿舎が同室だった同県レーサーを持ち出し「後輩が奇想天外なことを言うので、理屈抜きに過ごせた…」と会場を笑わせた。やはり面白い。 そして岡山愛は深く濃い。メモリアルは平尾崇典にふさわしい舞台である。

名門岡山支部復活へのキーマンが復調ムード

昭和の時代、岡山支部がどれほどボート界を席巻していたかを知るファンも少なくなったかもしれない。 SG戦7勝で初代グランドスラマーの北原友次を筆頭にSG覇者は15人。全場制覇は5人、通算2,000勝以上の選手も22人と他支部の追随を許さない。 昭和50年には当時年間4回しかなかったSG戦を全部岡山の選手で独占したこともあった。 記念戦線のみならず、万谷章など一般戦の鬼も多数存在した。しかし今、岡山支部の記念の顔は茅原悠紀と吉田拡郎のみ。一般戦の鬼も見当たらない。 黒明良光を総帥とするイーグル会の流れをくむ平尾崇典は名門支部復活のキーマン。SG戦出場はめっきり減っていたが、4月の住之江周年で見せた大外まくりが復活の狼煙(のろし)。 SG戦線でもまだまだ活躍してもらわなければならない。

したたかに舞う岡山の業師

相反する言葉ですが…『貪欲』と『禁欲』。 読み聞きして知る限りのことですが、物事を成して成功することができる人は、 その両極にある二つの心のコントロールがうまいタイプの人だそうです。 少々前の話ですが、 平尾選手の選手像を某岡山のベテラン選手に聞いたことがあります。その時の言葉が「レースに対する執念がすごい」…でした。 身長171㎝、 選手としてはやや大柄な体格を50キロのヒョロリとした痩身に、20年を超える年月維持し続けた自己管理能力とストイックさ。 レースでの上位着に対するシビアさ、貪欲さ…。そのあたりを示唆した言葉のようでした。 水面では戦術性に富む走り、オカでは戦力開示が少ない、いわゆる業師・くせ者系の筆頭格の一人とも言える選手像。 個性派ぞろいの岡山支部代表。そのしたたかな舞はSG戦でも要注意だ。

会心の一撃で久々のG1奪取。次はSGだ!!

4月の住之江周年では圧巻の大外まくりを決めた。 「毎年G1以上を1つは勝ちたいと思ってやって来た。それが5年もかかってしまった」とポツリ。 さぞ、喜びもひとしおかと思いきや、優勝戦の夜はそれに浸るヒマがなかったようだ。「70回以上優勝をしているけど、これまでで一番実感がなかった」と吐露。 理由は「表彰式の後に(山口)達也と飲んで、あいつが酔いつぶれてしまって…。ホテルの手配や介抱でそれどころじゃなかった」と目を細めて表情を崩した。 12年チャレンジカップは地元で功成り名遂げ、祝勝会では大盤振る舞い。「SGは2回勝たないとお金が残らない」とジョークで話したが、2度目のVが迫っていると予感させる近況だ。

集中力を高めて、またもや一発!

いつもクールで物静かな平尾だが、レースになるとたちまちアグレッシブなファイターに変貌する。勝ちにこだわり、何事にも屈しない。そんな姿に感銘を受けるファンも少なくないはずだ。 忘れもしない、今年4月の住之江62周年ファイナル。ここで彼は大外6コースからコンマ04のトップSを決めると、矢のようなまくりで圧勝した。 2013年1月の中国地区選(徳山)以来、5年3カ月ぶりとなる5度目のG1戦V。もちろん、足はよかったが、住之江でしかも記念の優勝戦で内5艇を豪快に一気飲みとは恐るべし――であった。 この優勝をきっかけに以後もまずまずのペース。今後の頑張り次第では年末の大一番への出場も見えてくるだけに腕の見せどころとなる。 SGの看板を背負う〝勝負師〟の底力を再び見せてもらいたい。
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谷村一哉

変身した「戦国の長子」!

「田舎の長男」…。39歳になる谷村一哉はデビュー当時こう言われていた。柔和でおっとりとした性格は果たして勝負師向きなのか…、多くのファンが感じ、案じたことだろう。事実、20代半ばから後半にかけA2落ちを繰り返している。接戦にもろく、強豪の後塵(こうじん)を拝する傾向は否めなかった。正直、気弱に映った。しかし、30代に入り周囲のエールが谷村を生まれ変わらせている。気丈なレーサーに変身したのだ。象徴的だったのは2016年。1月に徳山周年を制しG1初タイトルを取ると、2月には宮島中国ダービーV。一気に記念常連の仲間入りを果たす。その年はSG出場5回、翌17年は3回のSG戦を経験している。先行艇に対し内からプレッシャーをかける粘りに加え、難しい2コースもうまく立ち回る谷村一哉を軽視してはならない。現代ボートレース界の「戦国の長子」が下克上を起こす予感がする。その舞台は丸亀メモリアルだ。

再び大舞台での活躍が待たれる山口第4の男

かつては小林嗣政、福永達夫、今村豊。そして今現在は今村、白井英治、寺田祥。選手数は決して多くない山口支部だが、いつの時代もファンに誇れる「三本の矢」が存在した。しかし、「第4の男」がなかなか出て来ない。 山口には徳山、下関とレース場が2つあるので、メモリアルには必ず4人が出場できるが、谷村一哉は「第4の男」筆頭候補としてメモリアルには2012年から途切れることなく7年連続出場。 2014年の若松大会では優勝戦1号艇をゲット、SG制覇に王手をかけた。2016年にはG1連覇を果たしたものの、これ以降は大舞台で活躍の報が聞こえて来ないのは残念。 大峯豊、原田篤志、海野康志郎らの突き上げが激しくなってきた今こそ、周囲を納得させる結果を残したい。

流れに乗る山口四天王の…ラストワン!

昨年は今村豊のマスターズV3。寺田祥はメモリアルでSG悲願の初優勝。そして今年は64年ぶりの徳山SGグラチャンで白井が涙のSGV2。 山口勢にいい流れがきている中で、さて次は…と目されるのはやはりこの谷村一哉だ。某山口支部の若手によれば『今村さん、白井さん、寺田さん、谷村さんが山口四天王』との声もある。 インパクトのある前3人に、優しい性格の分で谷村は少しその影に隠れがちではあるが、G1戦2勝の押しも押されぬ中国地区のスターであることは間違いない。 ちなみに今回出場するSGメモリアルは、14年若松大会で優勝戦1枠を手にするも、2枠白井のS00まくりに屈した苦い想いも残す大会だ。 谷村はリベンジ…というネガティブな言葉は似合わない好漢。ただ手からこぼした一歩先に進むための鍵は、もう一度この大会でこそつかみ取る!その想いはやはり胸中に持つはずだ。

7年連続の推薦を受け今こそ夢をかなえる時だ!!

ボートレーサー養成所では4点台の勝率だった谷村一哉は「一番ヘタなぐらいでしたし、A1へ上がるのも遅かったです」と苦笑い。 同期が逸材ぞろいなだけに遅く感じたみたいだが、デビュー9期目での初昇格だった。それよりも、SGに初参戦するまでに13年8か月間もかかった方が意外だった。 ターン力を磨き、大舞台で経験値を積み、課題だったメンタル面も克服。16年には徳山周年、中国地区選でG1タイトルをゲットした。 14年のメモリアルではSG未冠の山口トリオが内枠を占拠。白井英治が勝ち、昨年は寺田祥が初制覇。今度は自分の番だと思うのは当然のことだ。 SGを優勝することが夢だった男が、今はハッキリとした目標として乗り込んで来る。

地力は証明済み。ソロソロ一発!

屈辱の敗戦を喫したあの日から4年が経とうとしている。 2014年の若松メモリアル。 この大会の優勝戦で谷村は1枠を勝ち取りSG初優出初Vへの千載一遇のチャンスを迎えたが、2コースからタッチSを決めた同じ山口支部の白井英治のまくりを浴びてよもやの6着。夢ははかなくも散った。 皮肉にもこのときが白井のSG初優勝とは、まさに厳しい勝負の世界の現実である。しかし、そんな悔しさをバネに2016年には徳山62周年で念願のG1初V。そして翌節には中国地区選(宮島)も制してG1戦2勝目と、まざまざと地力を見せつけた。 以後、特別戦線では鳴りを潜めているが、それはご愛嬌だ。自身にとっては今年最初のSG戦。同期の菊地孝平や、赤岩善生に負けない走りでシリーズを盛り上げてもらいたい。
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林美憲

好感もてる職人気質の人!

「イメージボール…、これを覚えるとビリヤードが楽しくなります」。こう教えてくれたのはメモリアル初出場の林美憲。 キュー(玉をつく棒)で手玉を動かし、カラフルな的球を操ろうとしても素人には微妙な角度が分からない。「実際には存在しない仮想ボールを想定し、その芯をつく!」と教えてくれた。試してみると本当だった…。まるで『見えないスタート』のようだ。 「集中力をつけるため」とビリヤードとの接点を語るが、どこか職人気質なところが反映しているように思えてならない。技やスピードを楽しむところがある。丸亀は今年の四国地区選を含めG1戦V2。相性がいい。機力上位でも「確信をもてない」と言うが、最後は「やっぱり出てましたね」と白状することしばしば。 2月もそうだった。どこか愛らしくて好感がもてる人物だ。地区選の再来を願わずにはいられない。

13年ぶりのSG戦優出目指す名門復活のキーマン

SG戦が来ないレース場のひとつだった鳴門が2016年にオーシャンカップ、2017年にはグラチャンと2年連続でSG戦を開催。 しかし、地元徳島勢は2回とも誰一人出場を果たせなかった。中道善博さんを輩出、烏野賢太、濱村芳宏、田村隆信が後に続いたかつての名門は低迷にあえいでいる。 林美憲は2004年のクラシックがSG初出場。その初出場から5回連続で予選突破の快挙を達成し、2004年のグランプリシリーズ、2005年のオーシャンカップは優出してどちらも準優勝。SG制覇に手が届きかけた時期もあった。 持ちペラ制度時代に見せていた圧倒的なパワーは鳴りを潜めているが、今年は2月の四国地区選でG1戦3勝目を飾り復活。意外にも初出場のメモリアルで13年ぶりのSG優出を目指す。

目指すはスポットライトのど真ん中!

『名バイプレイヤー』。記念V3を含む通算56優勝の名手にこう書いては失礼だが、SG戦での林の戦績を省みると、その立ち位置はそういう表現になる気がする。 04年GPシリーズ、05年OCは共に紙一重の準優勝。賞賛に値する成績だが、やはり優勝と準優勝の間にある価値感の差は大きい。 また四国A1巧者として名を売って久しいが、今回が鳴門ボートの推挙を受けての初メモリアル参戦というのも、林のもどかしい立ち位置を感じさせる。 叩き上げの早業と調整力は、まだまだ十二分に特別戦でも冴えを見せ、2月地区選V、先の浜名湖クラシックでのしぶとい着取りでも証明されている。 メインスポットライトの少し外寄りから、いつかは舞台をアッと言わせる主役獲りを。同姓著名人・林修先生の言葉ネタではないが『いつやるの? 今でしょ』と、その走りで語って見せたい!

G1戦3Vは四国両県での勲章!台風の目だ!!

毎年、梅雨入り前に発表を心待ちしている。それは、メモリアルの出場選手だ。 どうしても、若手の抜てきに目を奪われがちだが、中堅からベテランの域に差し掛かった選手の初推薦も味がある。 今年の四国チャンプに輝いた林美憲は、クラシックで4年ぶりのSG戦に復帰。惜しくもオーシャンカップは僅か1ポイント差に泣いたが、G1での走りっぷりは出場選手に負けていない。 選考期間中に4度G1にあっせんされ、全て予選をクリア。蒲郡DCの優勝戦では、道中追い上げての3着と健闘した。もう1節あっせんが入っていれば…と個人的に思っていただけに、この推薦には当人も燃えているだろう。 2度の準Vを含む15度のSG出場歴があるが、記念レギュラーではないだけに舟券妙味は高い。

G1戦V2のドル箱水面で一発を狙う!

2004年のグランプリシリーズ(住之江)、翌年のオーシャンカップ(桐生)をそれぞれ準優勝。 惜しくもSGタイトルには手が届かなかった林だが、ポテンシャルの高さは早々と証明した。2010年には四国地区選(まるがめ)で念願のG1戦初Vを飾り、そして今年は再びまるがめ地区選で8年ぶりのタイトル奪還。 そのハンドルさばきはさらに凄みが加わってきた感がある。それだけに浜名湖クラシックの予選落ちは案外だったが、もちろん、あれが地力と判断するのは早計だろう。 今回のメモリアルの決戦の舞台は相性抜群のまるがめ。G1戦V2を飾ってきた水面で本人も気合を入れ直してくるのは間違いない。 夢にまで見たSG初制覇へ、真っ向勝負を挑む豪腕チャレンジャーに注目したい。
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大池佑来

優男にみえるが、ハードワークにたえる関東の星

大池佑来がついにSGデビューを果たす。 B2からはじまりB1・A2へと進む上昇階段を一度も上下することなく9期連続のA1。そのポテンシャルを考えると、10年7ケ月目の大舞台は意外というほかない。 デビューは多摩川。平和島で初優出を果たすと、江戸川で初優勝。東京支部選手のお手本のような足跡を残してきた。 その優しい雰囲気とは裏腹に、戦いはコンディションを選ばない。また、冷静に立ち回るべきところは抑え、攻め時とみれば容赦なくスピード戦に持ち込むなど、レースはアクセントが利いており野性味がある。 SG初見参だと侮れば、丸亀で後悔することになるだろう。

若手屈指の波乗り巧者がSG戦に初見参

福岡生まれの神奈川育ち。小1までボートレース若松と芦屋のちょうど中間地点に住んでいた。選手を目指した高2の時の体重が47キロしかなく、筋トレに励んで体重を増やした努力家。 若手の頃は江戸川から地区スターに指名されるほど、軽量級でありながら荒れ水面が大好きな波乗り巧者。7年目からはずっとA1級をキープし、2015年後期には7.26の勝率も残しているが、記念戦線では壁にぶち当たっており、これまで40節出場して予選突破は10回。優出もG1戦2回目の出場だった2012年の芦屋新鋭王座だけ。 SG初出場となる今回のメモリアル選出は、さらなる飛躍を…という期待を込められた指名に違いない。SG戦でいきなり結果を出すのは難しいかもしれないが、低迷が続く東京支部の新興勢力になるべく、何かをつかんで欲しい。

度胸満点のベビーフェイス

メモリアル…というと実績重視、その地域の顔を代表選手として推挙するという色が濃かったが、近年は施行者さんサイドの有望若手のプロデュース、そういうスタンスもうかがえる。昨年でいえば多摩川推薦の永井彪也。 今年の東京勢からのサプライズメモリアル参戦は初出場の江戸川推薦・大池佑来。ベビーフェイスの綺麗な顔立ちで、未だに若手のくくりと捉えがちだが、ボートキャリアはすでに11年、関東実力者の立ち位置も築いている31歳だ。 すでに今年はV3も遂げる活躍。ただ本人は「一般戦ばかりではダメですよね。記念でもっと頑張っていかないと」と、自らに発破もかけていたところ。 ちょうどそこへきて、うれしいSG初参戦だ。本人もキャリア的にここらで一旗揚げたいという思惑もあるはずだ。江戸川関係者の心意気と、親からもらったユウキの名に応える度胸満点のSG初陣を飾ってほしいものだ。

江戸川が送り込んだ秘密兵器がベールを脱ぐ

日本一特殊な水面からエントリー。通算13優勝の内、3度を推薦された江戸川で飾っている。G1でも早くから声をかけているように、期待の逸材を送り込んで来た。 かと言って難水面だけが得意な選手ではない。高速プールの多摩川でも3優勝を挙げ、今年のゴールデンウイーク戦も制覇している。 また、かつてはナイターレースに苦手意識を持っていたが、それも2年前の若松、桐生の優勝で払拭(ふっしょく)済み。少しずつだが、着実に地力を強化して来た。舟券の急所は4・2コース。 スタート力を生かしたカド一撃と、密かに精度がアップしている2コース差しで好配当を狙ってみたい。

力をつけてきた大池に熱視線!

イケメンでファンが多く、記者への対応も丁寧。そして何よりレースが巧みだ。SG初出場といえども今の大池なら〝大仕事〟をやってのける可能性を秘める。 現在、9期連続でA1をキープし、近況は例年以上の優出ラッシュ。まくり一撃で圧倒するタイプではないが、旋回スピードはすさまじく道中の競り合いの強さにも定評がある。 「スタート事故を少なくするために、考え方を変えてターンで勝負するようにしたら少しずつ成績が上がってきた。方向性は間違ってなかったと思います」 最近は記念でも予選突破を果たす急成長ぶり。「これからもレベルの高いところを走らせてもらっていろいろなことを吸収していきたい」と、さらなる飛躍を胸に全力を注ぐ。〝新勢力〟の走りに注目したい。
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服部幸男

「プロセスへの誓い」に高い精神性

「ベストを尽くします」。服部幸男が発信し続ける宣誓に込められているものは何だろうか。果たしてベストとは?… 「人生には、自分で決められることもあれば決められないこともある。自己の力が及ばない世界の中で、与えられた生を、与えられた立場を全うしたい」。そう語っているような気がしてならない。 以前、ストレートに聞いたことがあるが、服部はその問いに静かにほほ笑んだ。「ベスト」という言葉に結果への約束は含まれていない。プロセスへの誓いなのだ。 刻々変化する環境や条件、そして自己の能力や感性。それら移り変わるものの中で、異なる道程に真摯(しんし)に向き合う姿勢がそこにある。 「いつも今が始まり。一瞬一瞬を誠実に生きたい」という精神性の根底に、重ねる年齢が含まれるのは当然のことだ。その存在は強いとか弱いとかを超え、優れてかっこいい。

艇王、王者と共に世代交代を促した革命児

「水の上では先輩も後輩もない!」これはかつて服部が出演していたCMでのセリフ。 まさにこの言葉通りの活躍で植木通彦、松井繁らと共にベテラン勢(野中和夫、中道善博、安岐真人ら)を圧倒、世代交代の旗頭として一世を風靡(ふうび)した。 21歳9か月でのSG初優勝は今村豊の記録を大幅に更新しての史上最年少記録で、いまだ破られていないし、今後もまず塗り替えられることはない偉業。 1997年のグランプリ制覇を最後に、もう20年もSG制覇から遠ざかっているとはいえ、2006年のグランプリシリーズから2012年のオーシャンカップまで優出した SG戦では4連続準優勝の記録も残し、さらに今年で13年連続出場と相性抜群のオールスターでは2013年から4年連続優出した。 圧倒的な存在感に陰りは見られない。

モンキー世代の革命児

『無敵の服部~、世界を1人占め~』。某有名バンドの89年くらいの『服部』という曲だが…。まさにオンタイム。 服部幸男のサクセスストーリーが始まった時期とシンクロする曲だなぁ~と思った記憶がある。 デビュー3年5カ月、92年に平和島ダービーでSG初制覇。97年の住之江では賞金王にまで登り詰める。 TVCMの「水の上に先輩も後輩もない!」という服部の台詞は、ボート界ではあまりに有名な一言。 物静かだが向こう気が強く、その実力1本で年功序列の感が強かった当時のボート界に風穴をあけてみせ、時代の革命児だった。 時は流れて今やその服部もマスターズクラス。艇界上層に立ちはだかる先輩として追われる側の身となったが、ファンは圧倒的な輝きを放っていた『若きカリスマ・服部』の雄姿も忘れてはいない。 その支持と票を得てのオールスター、エールに応える走りで男を見せたい。

SG最年少Vから四半世紀-。情熱は枯れない

これまでで一番衝撃を受けたレースは!? と尋ねられたら、服部幸男が優勝した平成4年のダービー(平和島)と答える。 当時のまくり差しは、1マークへ向けて締めて行き、イン艇だけを行かせるもの。だが、服部が大外から繰り出したのは「ツケマイ差し」。 5コース艇をスピードの差で抑え込み、結果的に差し抜ける、当時は見たことのない大ワザだった。 あれからボートレースにのめり込み、記者という職業にも就いた。そんなキッカケを与えてくれた服部が、平成のラストイヤーを迎えてもSGにエントリー。 枯れることのない情熱をリスペクトする。

スランプ脱出へ、真価が問われる

初出走が1989年(平成元年)の5月だから、服部のボートレーサーとしてのキャリアは29年になる。松井繁とは同期で盟友だ。 そして松井よりも出世は早かった。92年のダービー(平和島)では当時21歳の若さでSG初制覇。 今村豊が持っていたそれまでの記録を更新するSG史上最年少優勝を果たし、現在もその記録は破られてはいない。 積み重ねてきたこれまでのタイトルはSGV4、G1V21。97年にはグランプリを制して頂点に立った実力者だ けに近年の低迷ぶりは信じがたいが、もちろん、このまま終わることはないはず。 〝皇艇〟復活-を待ち望むファンのためにも次の尼崎オールスターは腕の見せどころとなる。 是が非でも再浮上へのきっかけをつかみたい。
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遠藤エミ

『健気』という生き方の体現者

ソフトボールの塁間は18.29m。ここを、ランナーは3秒前後で駆けていく。 歩調を合わせ、捕球し、送球する野手に時間的余裕はない。ミスが許されないスポーツだ。そのソフトボールに、遠藤エミは青春をかけていた。 絶え間ない反復練習と精神を鍛える叱咤(しった)が伝統の競技にあって、『すべてを真に受ける』性格では心身がもたない。 底抜けに朗らかだったり、あっけらかんとしていたり、くよくよしない性格の者が多い。遠藤も、女子トップレーサーでありながら強烈な闘志をほとばしらせることはない。 以前、「パン屋さんになりたかった…」と教えられた時、誇らしい気持ちになったのは何故だろう。 高い緊張感を強いられる世界でさりげなく努力し、強者に立ち向かう。そして結果に一喜一憂しない。さらに加味される優しさ…。 遠藤エミは『健気』(けなげ)という生き方を体現している。

女子初のSG制覇にもっとも近い努力家

養成所時代の勝率が3.92で102期の中でブービーだったなんて信じられるだろうか? 女子強豪はほぼ例外なくデビュー前から鳴り物入りで出世も早いのだが、遠藤の訓練生時代は劣等生で、A級昇格にも時間を要した。 しかし、それは外野からでは分からない「目先ではなく、さらに先を見据えて」という遠藤の信念によるもの。才能ではなく地道な努力で身につけた実力が、昨年一気に開花したわけだ。 今年はG2戦準優Fという試練を与えられてしまったが、目先に捕らわれない遠藤にはかすり傷にもならないだろう。女子初のSG制覇にもっとも近い一人。 何があっても、この評価は揺るがない。それだけの地力を十二分に培ってきたのだから。

女子最強軌道のニュージェネターン

遠藤のレースを、遠藤と同期の某男子選手と一緒に観戦した事がある。 その時に遠藤は落水失格を喫したのだが…。このレースを見て同期男子選手は「遠藤の落水は、やまとの時も含めて見たの初めてかも? 体が強いタイプだから、転覆はあっても落水しないんですよね」と口にしていたものだ。 この話は遠藤の旋回センスを評してもいる。男子で言えば桐生順平や、毒島誠らがそうだが、体幹&バランスが強く、低い重心で艇との一体感を持ってボートを旋回で振り回す。 それだけに艇ごと水面下へ沈む転覆はあっても、自分だけが艇から放り出される落水は少ない。遠藤は女子では数少ない、そういうニュージェネタイプの旋回機動ができる選手でもある。 昨年末に大村QCを制し、当然次の照準はSGへ向く今年の遠藤。女子選手のさらなるフロンティアを、そのスケールの大きい旋回で切り開いて欲しい。

可能性は周囲をアツくする。そんな逸材だ!

もう12年ほど前の話になるが、横西奏恵さん(2012年引退)が女子二人目のSG優勝戦(06年クラシック平和島)で6着に敗れたあと、先輩記者とこんな会話をしたことを思い出す。 僕が「女子レーサーがSGを獲る日は来るんでしょうか!?」と尋ねると、先輩は「まあ、リニアモーターカーに乗るのが先か、どっちかだろう」と独特の表現で返答。 無念にもその先輩は、どちらも見ぬまま急逝した。 リニアは2027年に開業予定。まだ少し先だが、見通しは立っている。女子選手も男子選手との実力差が少しずつ縮まり、活躍の場は広がっている。 そして、全てがかみ合った時、頂点まで一気に届きそうなのが遠藤エミ。 あのターン力はSG戦士とも互角に渡り合えている。SGVに最も近い女子レーサーだ。

成長し続ける遠藤。大いなる野望を胸に

昨年の桐生順平のグランプリ初優勝も感動したが、クイーンズクライマックスでの遠藤の走りも記憶に残る素晴らしいものだった。 自身3回目の出場で大会史上初の4連勝完全V。神秘的とも言える強さでファンのド肝を抜いた。 年齢の近い桐生が頂点に上り詰めたことで、「モチベーションが上がりましたね」というが、すべては彼女のレーサーとしての才能だろう。 誰にも負けまいとする勝利への気迫が幸運をたぐり寄せた。もちろん、〝最強女王〟の称号を手にしたとあれば、今後はもうワンランク上のステージでの活躍を目指すのみ。 2018年はまさに真価が問われる戦いになる。 男子相手に互角に渡り合える天性のスピードで常識破りのSGタイトル戴冠を狙っていく。
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吉川元浩

結果の窓から見てはならない「度量衡の人」

『度量衡』という言葉がある。『度』は長さ、『量』は体積、『衡』は質量を表す。つまり、ものさしや秤を意味するのだが、かつて古老から「人物の大きさをはかるときにも使う」と教えられたのを思い出す。 未来と過去を見通す時間軸が長く、現実を受け入れる器が大きく、言動が重厚である者を、人は尊敬する。まっさきに吉川元浩が思い浮かぶのはなぜだろうか。 阪神淡路大震災という未曾有の経験を経てボートレーサーを目指したというが、人知を超えた大きな渦の中で生かされている確信があるのでは…と勝手に思う。 結果に一喜一憂しない姿勢と2007年・福岡グランプリVで語った「今年、自分が一番努力した」という言葉は相反するようだが、その根底には『人事を尽くして天命を待つ』精神があるはずだ。 吉川元浩は、結果の窓から見てはならぬ大きな男だ。

11年遠ざかっているSG制覇は地元水面で

今ではとても考えられないが、かつて兵庫は弱小支部のひとつで、2005年までSG覇者不在、SG常連も少なく、G1覇者さえなかなか誕生しない時期があった。 その状況を打破したのが魚谷智之と吉川元浩。2006年の福岡ダービーで魚谷と吉川がワンツー。尼崎場外では売り上げよりも、払戻金の方が圧倒的に多かったという伝説も残った。 翌2007年には魚谷がSG連覇、吉川がグランプリを制覇して、この2人で獲得賞金1、2位を独占。尼崎ファン待望の全国区スターが一気に2人も誕生した。 ただ、吉川はグランプリ制覇以降、SGタイトルには無縁。G1戦16勝の実力から考えても、これはあり得ないこと。 地元尼崎のSG戦はオールスターで9回目。待望のSG2勝目は地元水面で…の意気込みだろう。

篤実なセンタープールの業師

「 今さらそんなこと思い出させるなよ…」と、吉川選手がこの原稿をうっかり読んだらそうぼやきそうな話ですが…。 自分が吉川元浩にまつわるシリーズで一番印象強く覚えている一節というと、10年の戸田『本命バトル祭(第1回)』です。 シード企画戦の先駆けで、注目度が高かった当節。吉川は本命選手で召集を受け、低調機でファンの期待に応えようとする無理がたたって、Fに転覆も喫する厳しい成績でした。 券を買っているファン側からは、何だよ…の思いがあって仕方なしです。 ただ、ファンや運営の期待に応えようと苦闘して、プライドを傷つけられながらも、メディア対応も丁寧に最後までこなした吉川の姿は、内幕を知っている記者達からは賞賛の声が挙がる一節でもありました。 言葉にされては面映ゆいでしょうが、誠実と努力の人。待望の地元SGでの活躍へ、素直にエールを送りたいものです。

地元で迎える9度目のSGで悲願達成を!

ボートレーサーを評価する指標として、賞金獲得額、勝率、優勝回数などが挙げられる。 この中で優勝回数については、同時に優出回数も表記されることが多い。 そして、いつも瞬時に計算をしてしまうことがある。それは優勝回数に6を掛けることだ。 その数値が実際の優出回数に対してハイorローで「勝負強いかどうか」の判断にもなる。 例えば吉川元浩の場合、通算75優勝×6=450。実数は230、断然のローでV確率は32.6%だ。G1は55優出16優勝、V確率は29.1%。これもかなりの優秀な数値だ。 ただ、SGになると17優出1優勝、V確率は5.9%まで落ちる。 今回のオールスターは地元の尼崎で行われる自身9度目のビッグ舞台。このままSGのV確率がひとケタで終わる選手ではない!

尼崎では最強! 吉川の豪腕が炸裂する

マスターズ世代に突入した吉川だが、まだ45歳。魚谷智之とともに兵庫のエースとしてさらなる飛躍が期待されるSGタイトルホルダーだ。 SG初制覇は2007年のグランプリ(福岡)。 いきなりの黄金ヘル戴冠だったが、08年(3着)と09年(5着)にも優勝戦に進出し、改めてその実力を全国に知らしめた。 ただ、09年を最後にグランプリの出場が途絶えているだけに胸中は決して穏やかではないはず。 そんな焦りからか、一時期はフライング事故の多発で苦境に陥ったこともあった。それでも不屈の精神力で立ち直り、存在感を示してきたところに彼の資質の高さがうかがえる。 知り尽くしたホームプールでの戦いは絶対的なアドバンテージ。SGV2へ、今こそ真価が問われる。
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守田俊介

今度は、『涙と喝采』の舞台を!

「かめはめ波~!」…。その声とともに紙吹雪が舞ったのは2015年10月の浜名湖・ボートレースダービー。守田俊介が初のSGタイトルを勝ち得た優勝セレモニーは『笑いと喝采』が交錯する舞台となった。 「僕に元気玉をください!」というオープニングセレモニーでの願いにファンは惜しみなく声援を送り続けたが、その優勝賞金全額寄付をもって社会への深い感謝を表した。応援したくなるのは当然だ。 『整備もプロペラもしない』と言われて久しいが、「あまりに素早くたたいているから、見えないんです」と笑う。やはり気持ちのいい男だ。 ダービーVを振り返り、「ほんとうは泣くかな…と思ったんですが、あれはあれで自分らしくてよかったです」と語った守田…。今度はファンが選んでくれたオールスターだ。『涙と喝采』の舞台を願わずにはいられない。

弱点の整備力を補って余りあるテクの持ち主

もし、モーター性能が全く互角だったら誰が一番強いか…。記者仲間で必ず名前が挙がるのは市川哲也と守田俊介の2人だ。 市川はSG戦で完全優勝の偉業を達成した時でも、決して節一パワーではなかったし、グランプリ制覇時はエース機が味方だったことを思い出す。 守田もデビュー時からパワー面では劣勢なことが多く、スタート力と卓越したハンドルワークを武器に今の地位を築き上げた印象。SG戦で上位パワーだったことは過去に何度もない。 ダービーでSG初優勝を成し遂げた時は数少ない上位パワー時で、チャンスをきっちり生かし切った。 モーター出し勝負の時代になった今なお、SG常連の地位を譲らないのはズバ抜けたレース勘があるからこそ。SG2勝目のチャンスはきっとまた訪れるに違いない。

『心技に魅力あふれる最強速攻派』

ボートレースは特に、メンタルという部分が強く反映される競技です。それだけに、そのレーススタイルには選手の性格や、大げさに書けばその生き方のようなモノがにじみ出るという部分も強いように思います。 守田俊介と言えば、デビュー21年6カ月で成し遂げた15年・浜名湖ダービーV。その優勝賞金をそっくり東日本大震災の被災者の方達へ寄付したというレジェンドなエピソードを持つ選手です。 オカの上での欲のないさっぱりとした在り方、守田の場合それがそのまま選手スタイルへ通じるとも言えそうな気がします。 『物欲』=『エンジンパワー』に対してはさほど執着せず、持ち前のS力を根幹としたレーススキルで勝負する。水上では苛烈な速攻、オカでは涼しげな立ち居振る舞い。 ギラつく闘志 がぶつかり合うSG戦の中では異質でも、そのおおらかな人柄を含め、とても魅力にあふれた選手です。

衝撃を与える男がさらなる一打を狙う!

2015年10月、浜名湖で行われたダービーで山田雄太がSG初出場初優出を果たした。この時にトップゴールを駆け抜けたのが守田俊介。優勝賞金の3500万円を全額寄付してビッグニュースになった。 思い起こせばSG初出場も衝撃的だった。住之江で行われた1997年クラシック。優勝回数を積み重ね、デビュー2年10カ月でSG初出場。 同期の辻栄蔵が初めて出るまでに6年2カ月も要したのを考えると、ぶっちぎりの早さだ。そんな天才肌の弱冠21歳が、初日から前付けを敢行。6号艇で2コースまで潜り込み場内を沸かせた(結果2着)。 既に新鋭リーグ戦では恒例になっていたが、歴戦の強者(1号艇今村暢孝、3号艇安岐真人)が相手でも動じることはなく、自身のスタイルを貫いた。 人々に強烈なインパクトを与える男が、さらなる一打を狙っている。

再び脚光を-。ダービー王・守田に注目!

勝負の世界は実力だけではなく、運も勝敗を大きく左右する。 いかに〝流れ〟をたぐり寄せられるか―なのだ。そういう意味では守田の2015年ダービー優勝は記憶に残る印象的なレースだった。 予備1位からの繰り上がり出場で、あれよあれよの間の王道V。実績エンジンを手にするラッキーはあったにせよ、流れを完全に引き寄せる強運ぶりで悲願のSG初戴冠となった。 しかも、周囲を驚かせたのは東日本大震災の被災地に賞金の全額を寄付したことだろう。 「みんなの後押しがあって勝てた。この賞金は僕だけのものではないと思った」。 レーサーである前に正義感の強い心優しき人間性が映し出されていた。 あの〝衝撃〟から2年と6カ月。今度は尼崎で大器晩成のSGホルダーが豪腕を発揮する。
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松井繁

ボートレース界のブランド

かつて、実績ある先輩アナウンサーからこんなことを聞いた。 「一流は呼び捨てにされる」。『王・長嶋』『大鵬・柏戸』『尾崎・青木・中島』…。「つまり、ブランドなんだよ」。大先輩はそう説明してくれた。 今、ボートレース界では『松井繁』だろう。『王者』だからである。追う者からはタワーの如くハッキリと見えるトップアスリートも、本人の視点に立てば踏み慣らされた道は見えない。開拓者なのだ。 その看板は軽いはずもないが、松井繁に悲壮感はなく淡々と歩んでいる。それだけに、2009年の第24回グランプリ(優勝)で語った「いつももがいているんです」という言葉が忘れられない。 端麗な姿の向こうに計り知れない努力が隠されているのだ。『松井繁』というブランドはボートレース界の誇りでもある。

生涯獲得賞金36億円が何よりも王者の証し

生涯獲得賞金が約36億4千万円。この数字に王者松井の全てが凝縮されている。 2位の今村豊に約8億円の差を付けてぶっちぎりのトップだが、年間2億円超えが実に6回! 松井のグランプリ制覇は3回なので、グランプリ未制覇でも3回ほど2億円超えを達成。そのうち2003年にはSG戦未制覇にも関わらずG1戦8勝をマークして2億円を超えた。 1億円台は11回。実働28年で36億円は年平均にすると1億3千万円にもなる。年平均が1億円を超えているのは他に艇王・植木通彦さんしかいない。 プロの世界は稼いでナンボ。どんな記録や実績よりも、この獲得賞金だけで松井のすさまじさが分かる。 昨年も3カ月連続G1戦優勝など、50歳手前の今なお、衰え知らずの走りっぷり。今年も主役の座は譲らない。

ボートドリームの体現者

『夢をかなえる4つの《C》』。 ディズニーランドの創設者ウォルト・ディズニーの言葉なのですが、その4つの『C』とは…『Curiosity・好奇心』、『Confidence・自信』、『Courage・ 勇気』…、そして『Constancy・継続』を指します。 中でも大事なのは自らが信じた道を貫き続ける自信と継続だそうです。松井選手も自らが掲げる金言に「継続は力」という言葉をあげています。 王者・松井が他の名選手達と一線を画する部分は、高いレース技量も当然ですが、やはり一番は自らを信じてボートレーサーとしての頂点を求め続けていける、そのメンタリティーでしょう。 たゆまず、だからこそかなえた生涯獲得賞金36億円。夢=ビッグマネーは、ドライでも最も分かりやすい成功者の夢の形です。 ボートドリームの体現者『絶対王者・松井繁』。憧れを裏切らぬその威風に今年も期待したい。

今年はSGで最強ルーティンを披露だ!

ボートレーサーはオシャレな人が多い。他のアスリート達と比べても、群を抜いている思う。その象徴的な存在が王者・松井繁だ。 ファッションの極意を尋ねた時、返った来た答えが「サイズを合わせる」だった。これは勝負の世界においても当てはまる。 自身の短所を知っていなければ、反省を元に強化することが出来ない。同時に長所も分かっていなければ、チャンスが来ても掴むことが出来ない。 王者の最大の武器は我慢に耐えられること。結果を欲しがってスタート勝負に頼らず、それでいて勝機が訪れたら逃さない。 昨秋の桐生、福岡、尼崎のG1V劇こそ王者の真骨頂。今年はSG戦線で必勝ルーティンに持ち込む。それが叶えば夢のグランプリ4Vが見えてくる。

揺るぎない絶対王者。貫禄の走りで圧倒!

昨年、12年連続22回目のグランプリ出場を果たした松井だが、それまでの道のりは決して平坦ではなかった。 5月の福岡オールスター(4着)以降はSGはおろか、G1での優出もなくなった。 「特に夏場はエンジンが悪くて苦しかったね。でも、そこを我慢できたのが大きい」という言葉どおりに季節が変わると劇的にリズムは好転していく。 10月の桐生61周年、11月の福岡64周年をV。GP出場が決まった直後の尼崎65周年でも見事な優勝を飾る怒濤の快進撃となった。 短期間でG1V3はSGを1つ勝つよりも難しく価値のあるものだが、それをいとも簡単にやってのけるのだからさすがという他はない。 前人未到のGPV4を目指す絶対王者が今年もボート界の軸となり、存在感を見せつけるのは間違いない。
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今村豊

人を励ます頼もしいレジェンド

『未来は変えられるが過去は変えられない』という。果たしてほんとうにそうだろうか。今村豊を見ていて思う。 ボートレース界を拓いてきたレジェンドは、過去の見え方をも変えてきたのではないか。『歴史を再構築させる力』をもっているのだ。それも、伝統を壊すことなく向かうべき方向を変えるという方法で。 だから、年配者から好かれ、若者からは尊敬されるのだろう。 その彼が「目標はない」という。どんな言葉より人々を励ます至言だ。『一日一日を実直に生きていく』という生き方への宣言は、ボートをぶつけない、弱い立場の者に強く出ないなどのスタイルと合致する。 「実るほどこうべを垂れる稲穂かな、と父に教えられまして…」と静かに語る横顔も、レース中の鬼の形相も、大きな価値を内包し清々しく頼もしい。

38年目の今なお輝き続ける永遠のスター

今村のデビューがどれだけ当時のファンの度肝を抜いたか、最近のファンには想像がつかないだろう。 デビュー戦優出やデビュー期A級特進は何人かいるが、10カ月目にはG1戦を走り、SG戦には1年ジャストで出場し、1年2カ月でG1戦初優勝。同じ2年目にはもうG1戦2勝目。そして3年ジャストでSG初優勝…。 これらは全て大外6コースから。 ずっとリアルタイムで見てきたが、その衝撃はとても言葉ではいい尽くせない。そんなレジェンドもデビューして38年になるが、今でも「今村豊」の名前があると胸がワクワクする。そんなオールドファンはきっと多いはず。 誰が何と言っても今村はその人柄も含めてボート界の永遠のスター。記録にも記憶にも残る唯一無二のスーパースターだ。

『シンギュラリティ』=『今村豊の全速ターン』

孫正義さんがAI技術の進化にまつわる話の中で口にして、ちょっと流行った言葉なのですが…。技術的特異点。大まかに書くと…、ある技術体系が、それまでの時系列と全く違う爆発的な進化を起こすポイントです。 ちょっと強引ですが、まさにこの言葉をボート界に当てはめれば、『シンギュラリティ』=『今村豊の全速ターン』ではないでしょうか。 ターンの進化を促し、過酷なエンジン出し競争から旋回技術の勝負へ。ボートレースをスタイリッシュに進化させた功績者が今村だったように思います。 その、ひときわ特異な輝きを放つ今村豊も56歳。肉体的な衰えが出るのは競技者としてやむなしでしょう。それでもボート新時代を切り開いたフロンティア精神を、その走りと後ろ姿でまだまだ若者達に焼きつけていって欲しいものです。

SG最年少Vを飾った浜名湖で最年長Vも!

「レース場に預けておく」。舟券ファンなら負けた時に一度は言ったことがあるフレーズだろう。今村豊も2014年に浜名湖で行われたグランドチャンピオンの優勝戦後に同じコトバを放っている。 53歳でSG最年長Vに挑戦した時だ。50歳以上でのSG戴冠者は安岐真人と野中和夫(両名とも引退)の二人しか存在しない。いずれも90年代の記録で21世紀になってからは出現していない。 あれから約4年。56歳になった今村豊が力を振り絞ってチャレンジする。「(当時の)SG最年少Vを達成した選手が最年長Vも記録」。
こんな素晴らしいシーンをこの目で観てみたい。34年前にSG初制覇の衝撃を与えた浜名湖で―。

ボート界のレジェンドが反撃に転じる!

昭和の時代を彩り、元号が変わって30年が経とうとしている現在もトップレーサーとして君臨する今村の存在はまさに選手の鑑(かがみ)だ。 その強靱な肉体は56歳という年齢を全く感じさせず、ハンドルテクニックはもちろん、若手にも負けないコーナースピードを繰り出す。 SGV7、G1戦V48の輝かしい実績もあくまで通過点にしか過ぎず、今後はさらにタイトルを積み重ねていくに違いない。 浜名湖では1984年のオールスターでSG初制覇を達成。92年にはメモリアルも制してビッグV2。 「江戸時代の話をされてもね…」と笑い声が返ってきそうだが、今年最初のSGが思い出の水面なら燃えないわけがない。 昨年、オールスターからダービーまでのSG5大会で予選落ちした屈辱を晴らすためにも豪腕発揮といきたい。
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片岡雅裕

感謝こそ、躍動の原点

「師匠の秋山さんに…(伝えたい)」。 昨年夏のびわこ周年で片岡雅裕は言葉を詰まらせた。初のG1表彰式で、こみあげてきたものを隠すことができなかったのは、人知れず苦しんできたからだろう。 選手会香川支部長でもある秋山広一は社会性を重んじる人物だが、『その大きな眼差しがあるからこそ今の自分がある』と感じているに違いない。美しい涙だった。 派手な面が一切なく言葉を先に投げないのは性分だろうが、プロとしては面白味に欠ける。 感謝の深さを見てしまった者として言いたい。勝負の世界は厳しく、負ける時は簡単に負ける。だからこそ、結果を求めすぎることなく戦ってほしい。感謝がプロセスを育み、そのプロセスの先に結果があるのだから…。 むろん、片岡雅裕はそれを知っている男だ。

自衛隊から転身した元高校球児は意外性の男

ボート界には甲子園出場経験者も含めて元高校球児が非常に多く、片岡もそんな1人。 1977年春の甲子園に部員12人で初出場し、元阪急の山沖之彦を擁して準優勝。「二十四の瞳」と呼ばれて一世を風靡(ふうび)した高知県立中村高校野球部の出身だ。 残念ながら片岡は甲子園には行けず、高校卒業後は陸上自衛隊に入隊。そこからボート界へと転身した経歴を持つ。 出世は決して早い方ではなく、記念戦線もスポット参戦が多かったのだが、昨年7月のびわこ周年でG1戦初優勝。優出自体は6回目だったが、2月の四国地区選手権に続いて昨年まだ2回目のG1戦で優勝したことに底力を感じる。 数少ないチャンスを物にした勝負強さは特筆もの。こういうタイプは案外、あっさりとSG戦を勝つ意外性を持つ。

四国次代の担い手へ…今は挑戦者の身

わりと早い段階から四国ホープとの認識を周りに抱かれ、飛躍の時を期待された片岡雅裕。ただ13年の津チャレンジカップ以降は特別戦の壁に苦しんだ。 成績面でも足踏みし、なかなかSG出場の権利も取れずと自らも歯がゆい思いをしていたはずだ。そんな片岡がお待たせの記念初Vを遂げたのは、デビューから約10年…昨年7月のびわこ周年。 乱戦シリーズを制して、最後は見事1枠インから逃げての優勝だった。これを弾みに昨年は再びチャレンジカップ(下関)、そしてグランプリシリーズ(住之江)と2つのSGに参戦。 ただ、SGの水神祭こそ果たしたが「先輩にも後輩相手にも差を感じた…」と、成績は振るわず自らの修行点を痛感した。今年は「GPに出たい」という夢と目標を心に掲げて自らを磨く1年。 今は挑戦者。まずはクラシックにその渾身(こんしん)のトライを刻みつけたい!

衝撃の初Vから8年。全国スターへ急加速だ!

「この選手はヤルなっ」。 ボートレース記者なら、いつだって、誰だってアンテナを張り巡らせている。今から8年前、TV画面から飛び出して来そうなまくり差しが目に飛び込んで来た。それが片岡雅裕だ。 その優勝戦は、将来が有望な愛知の若手A1選手が1号艇に乗っていたこともあり、仕事の手を止めてリアルタイムで注視した。だが、勝ったのは赤いカポック。 デビューから2年4カ月、5コースに持ち出しての初V劇だった。その後も地元の丸亀を走る時は異常に強かったが、内弁慶でもあった。 殻を破ったのは、2013年9月の新鋭王座決定戦(桐生)と翌月の蒲郡周年。どちらも鮮やかなレースでファイナル入りを果たした。 そして、昨年はG1タイトルも手にしてローカルヒーローから全国区へ歩み始めた。

琵琶湖の次は浜名湖で-。片岡に熱視線!

努力を惜しまず頑張っていればいつかは報われる-。それを証明する激走だった。 片岡は昨年7月のびわこ65周年でG1戦初V。デビューして9年と8カ月、自身6回目のG1優出で夢にまで見た大きな勲章を手に入れた。 「ここまで長かったけど、頑張ってきてよかった。これを通過点と言えるようにしたいし、もっと上のタイトルも獲りたい」。 ヒーローインタビューではこみ上げる涙とともに熱く抱負を語った。その後は11月の福岡64周年で優出(4着)したのが記憶に新しい。 今年に入ってからはまるがめの四国地区選(3着)でも6強入りと、G1ウイナーの看板を汚さぬ走りを見せつけている。 SGは今回で4回目の出場。もちろん、チャレンジャーの身であるが、昔の彼ではない。 琵琶湖の次は浜名〝湖〟でエンジン全開だ。
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前本泰和

頼もしい『庶民の味方』!

前本泰和はファンの視線をそらさないレーサーだ。 髭(ひげ)の闘将・大嶋一也さんの引退レース(昨11月蒲郡)…、スタート展示で⑤前本は⑥大嶋さんをブロックした。一瞬、『引退レースなのに』と感じたが、しびれるような勝負を繰り返してきた御大への敬意が背景にあった。 大嶋さんは本番で前本を抑え2コース進入。2着で選手生活の幕を下ろした(前本3着)。 後日、『最善を尽くし悔いなし』と語る前本の笑顔がとても印象的だった。 デビューして四半世紀余り、103回の優勝を誇るがV5以上の年が10回もある。さらにV11の年も2回を数える真の実力者だ。そして今年は唐津周年(1月)を制し、いきなり波にのっている。 勝負強いがダントツの人気にはならない前本泰和。その存在は頼もしく『庶民の味方』と言うにふさわしい。

40代半ばで記念常連に達した一般戦の鬼

あの彦坂郁雄、野中和夫を超える「7場所連続優勝」という新記録を樹立し、全国24場全場制覇も達成している前本は、間違いなく史上最強の「一般戦の鬼」であり、「遅咲きの雄」と表現してもいい。 2013年にはグランプリシリーズ戦でSG制覇しているが、優勝98回とどんなに一般戦で勝ちまくっても記念常連になれなかった男が、昨年はSGで3回優出し、デビューして25年、45歳にして初めてグランプリに出場。 同年代の記念常連選手たちはすでにピークを過ぎて記念戦線から離脱し始めているというのに、前本は逆に常連となり、今年もさっそく唐津周年を優勝するなど結果も出している。 師匠・西島義則譲りの勝負強さと常に快速に仕上がるモーター出しを武器に、今年はSG2勝目を目指す。

2千勝も間近…職人肌の優勝請負人

2/12時点での通算勝利数が1950勝。優勝103回、内G1戦4V、SG1V。 前本が今年も例年どおりのペースで勝ち星をあげれば、おそらく夏~秋口には、46歳にして2千勝のメモリアルウインを達成。まさに堂々たる戦歴だが…。 記念Vまでは15年7カ月、30歳代半ばにしての記念初優勝は、売り出しも早く、例年最多優勝争いに顔を出すVハンター前本の実力からすればそう早いものではなかった。 そのせいか、前本の印象は特別戦で渡り合う今でも『叩き上げ』、『平場の鬼』というイメージが強い。遅咲きで圧倒的な華々しさはなくとも、職人肌の剛健な気風。 レーススタイルも行き足の鋭い仕立て、進入から圧をかけての仕掛け戦とクラシカルなスタイル。 そんな前本がGRANDE5その一つ目を獲るならば、まさにこの伝統の一戦『クラッシック』はふさわしいのかもしれない。

2年連続GP出場へ1V水面の克服がカギ!

平成のVハンター前本泰和は、2月14日現在で通算の優勝回数が103。 2016年には全国24場制覇も達成しているが、その中でも得手不得手があるのだろうか!?そこでクイズ。
問1.V回数が多いレース場順に3連単で?
正解は、宮島(18V)→児島(9)→丸亀(7)。
これはホームの宮島から電話投票コードがひとつずつ東へ向かっただけ。アタマがテッパンだったこともあり、人気サイドだった。
問2.反対にVが1回のレース場が3つある。それは?
正解は、浜名湖、徳山、芦屋。この3場の共通点は、偶然にも今年のSG開催場だ。
2年連続グランプリ出場を目指す前本にとって、SGロードでの賞金加算は必要不可欠。クラシックはもちろん、この3大会で結果を残すことが出来るのか!? 開幕カードから楽しみが膨らむ。

からつで早々とG1V。前本は今年も好調!

マスターズ世代に突入した前本だが、その華麗なハンドルさばきはさらに輝きを増してきた感がある。 2016年2月の徳山では史上14人目となる〝24場完全制覇〟を達成。そして、昨年のオーシャンカップでは準優勝し、ダービーでも優出5着。 〝一般戦の鬼〟という代名詞を覆すSG戦線での活躍が光った。 選出順位18位で念願の初出場を決めたグランプリは残念ながらTR1stで脱落し、シリーズ戦(優出3着)回りを余儀なくされたが、これも経験だ。 悔しさを〝力〟として蓄え、さらなる飛躍を遂げてもらいたい。 すでに2018年はからつ64周年でG1通算V4を飾る幸先のいい滑り出しを決めたばかり。 再びグランプリの出場を果たすためにも〝仕事人〟の巧腕に期待したい。
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瓜生正義

自制的な勝負師の典型がここに!

『勝負師』と簡単に言うがスタイルはさまざまあって面白い。 闘志をむき出しにするのはその代表格。一方、力みがなく飄々(ひょうひょう)としている者や学者肌も散見される。そんな中、『瓜生タイプ』なるものが存在する。極めて自制的な自律型だ。 自制的とは、自分を最優先にしない他者の視点をもった行動哲学を意味するが、勝ち負けの世界にあってそんなことがありうるのかといぶかしむ向きも多いだろう。 しかし、武芸の世界ではごく当たり前の価値観である。そして、瓜生正義が我々の眼前にいる。 何と戦うのか…、何を与えるのか…、瓜生正義という人物が示唆する世界は大きく把握しきれない。大きいものに憧れるのは人の習い。 見ているだけで自分も大きくなれそうな気がするのは、私だけだろうか。

クラシックは記念戦線本格復帰前の最大の山場

羽野直也と仲谷颯仁を除く福岡の記念戦士に昨年中盤から元気がない。 「出る杭を打つ」のではなく、「出る杭を育てる」と言われる瓜生が記念戦線から離脱したことが要因ではないか。 福岡勢にとって瓜生は精神的な支柱。福岡勢の元気のなさに、改めて瓜生の存在感の大きさを痛感させられている次第。 悲願のグランプリ制覇直後の昨年は色々ありすぎて記念戦線から離脱し、今期も出走回数不足でA2級に降格。 記念戦線の本格復帰は今年7月以降まで待たなければならない厳しい立場だが、クラシックに出場できるのは不幸中の幸い。 大きなハンデを背負っている賞金争いを挽回する序盤最大のビッグチャンス。 大げさな言い方をすれば、グランプリ復帰へ勝負駆けという位置づけになる。

心技そろう尊い艇界のカリスマ

ユーモアがありメディア対応も上手な川上剛が「瓜生さんに『しっかり記者さん達の取材の対応をしないとダメだ』と、前に教えられたことがあるんですよ」と口にしていたことを覚えている。 全てが瓜生のお陰…でもないだろうが、総じて今の福岡の若手選手達は、メディア対応という部分で人柄の良さを感じさせてくれる。 やはり若手は、師匠、支部の先輩、そして身近にいるビッグレーサーの背中にこそ憧れて育っていくもの。 GPV含むSG9冠、G1戦17勝の艇界最高峰の一角に座しながら、人としての誠実さも忘れない。瓜生正義はそんな若手にこそ見上げて欲しい名選手だ。 ただ…そんな瓜生も、昨年はF2で約20年続けたA1級の椅子も失うなど苦しんだ。今年は尊い艇界のカリスマが、その輝きを取り戻す大切な1年。 まずは大事な特別戦出場機会、クラシックでその存在感を見せつけたい。

試練を乗り越え10個目のビッグタイトルへ

限られた選手だけが味わう極限かつ継続的なプレッシャー。それがグランプリを取った選手の宿命だ。 昨年の瓜生正義は、年間3本のスリットオーバーが示すように、完全に自滅してしまった。 近年を振り返ってもグランプリ覇者は反動が出るケースが多い。 翌年の獲得賞金順位は、2011年~の5年間で山崎智也の9位(2015年)が最高。他は2ケタ順位に甘んじている。 瓜生も例に漏れず30位だった。それだけ、現行のプロペラ制度では同じ選手が頂点に居続けることが困難になっている。 ただし、立場が変われば形勢も逆転する。何しろ地力が落ちたワケではない。本来は何事にもポジティブシンキングで乗り越えるタイプだけに、この試練もプラスに転換させるはずだ。 節目となる10個目のビッグタイトルへ復活劇を演じるか。

昨年の瓜生はFの渦。2018年は心機一転

ボート界の頂点を極めた男に待ち受けていた想定外の現実-。 一昨年のグランプリ覇者でMVPにも輝いた瓜生は昨年3月の江戸川ダイヤモンドカップの初日ドリームでフライング。そして次節、大村のダイヤモンドカップ優勝戦でも痛恨のスリットオーバーに泣いた。 このG1戦での連続Fはいくら敏腕レーサーといえどもダメージが大きい。 前期は90日の休みを余儀なくされたばかりか、呪われたように復帰後4節目の10月福岡でまたもやF…。出走回数不足により今年1月からは屈辱のA2降格と、一転して〝悲劇のヒーロー〟になってしまった。 しばらくの間は極端に速いスタートは封印されることになるだろう。 しかし、このまま終わる瓜生でないこともファンは知っている。時が来たら覚醒する。
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森高 一真

潔さという男気が魅力!

「乗れるようになるのが先です」。20代半ば、森高一真は自分の方向性を言い切っていた。 舟足を言い訳にせず、与えられた状態で戦う覚悟を示したのだ。確かに『男気』ある競走は枚挙にいとまがない。 記念常連となる中で調整や整備を体得していくが、そこにも『男気』が存在している。「整備するなら勝負の整備」というスタイルだ。 ペラ調整はともかく、モーター本体に手を加える時は「ちょっと良くなれば…」という整備はしない。失敗を恐れず一発逆転を狙っている。 闘魂すさまじかった安岐真人さんを心から慕い強気のレースを志向するも、実際は流れの中で勝負している。すなわち、与えられた状況という運命に恭順であり、結果は天に任せるという思想だ。 森高一真の『男気』は、潔く清々しい。

悲願のGP出場を果たし、スケールアップ必至

SG制覇=グランプリ出場という図式が2014年以降は完全に成り立っているが、12人枠だった2013年までの28回の歴史の中で、実に13人ものSG覇者がグランプリに出場できなかった事実がある。 その最後の1人になってしまったのが森高。2013年11月、津チャレンジカップでSG初制覇を成し遂げたが、12位の選手にわずか21万円届かずに次点に泣いた。 そのリベンジを見事に果たし、昨年は初めてグランプリに初出場。SG制覇こそなかったが、蒲郡周年を制し、SGではメモリアルで優出と充実の年だった。 しかし今期は勝率が6点台を割り込むほどの不調。31期続けているA1級キープがピンチという信じられない状況で、残り3カ月にA1級キープをかける。土俵際での底力をとくと拝見したい。

華舞台へ今一度…今年は春から荒稼ぎ?

森高一真というと…あのこわもて系のマスクから、誰もが最初にその選手スタイルを武闘派系の強攻型と想像するのではないだろうか? ただ実際は、調整力を骨子としたさばき型タイプで、割とソツのない走りでポイントを稼ぐのがレーススタイルのベース。風貌とはギャップを有する選手でもある。 存在感のあるタイプだけに、正直意外でもあったのだが、GP戦の出場も惜しい惜しいが続いていて、昨年の住之江大会が初の参戦だった。 そのGP戦は「メンタルの部分では戦えたと思うが、調整や旋回面では差も感じた」と、2nd敗退を冷静に分析。 「また走りたい舞台ではあるよ。17年はたまたま出場できたが、次を狙うならもっと早めから意識していかないと」。 有言実行か、18年は1月出だしの大村G2誕生祭で優出し早くもひと稼ぎ。今年はSG戦線も初手から飛ばしてくるか?

外枠でのパフォーマンスが高く穴党必見!

各レース場でファンの語り草になるレースが存在する。蒲郡でノミネートされるひとつが2006年7月の51周年記念(勝者は正木聖賢)だ。この時の森高一真は3着に敗れはしたが、勝負師としてのド根性を全国にアピールした。当時、バリバリのイン屋だった上瀧和則(現選手会長)との壮絶なコース争い。 待機行動では両者のボートがタテに並ぶほどだった。最終的に森高がインを奪取したものの、80mの深い起こし位置では持たなかった。それでも、コンマ09を決めて見せ場は作った。 「入るだけではない」のは、干支(えと)がひと回りした今でも考え方は同じ。前付けに動くケースでは、勝負になるアシに仕上がっていることが前提だ。 それでいて、キレのあるまくり差しも兼備している。日頃から公営競技を愛するだけに、穴舟券を買うファンの気持ちも大事にしている。

GP出場の経験を自信に今年も躍動する

こわもてだが、シャイで優しい性格の持ち主。それが森高だ。 もちろん、実力も確かなものがある。 2013年の津チャレンジカップではSG初V。銀河系85期のSGウイナーは田村隆信、湯川浩司、井口佳典、丸岡正典に続いて5人目、デビュー14年目の出来事だった。 その年、13位次点でグランプリに出場できない〝珍事〟があったが、それに動じることもなく、ここまで香川支部を引っ張りボート界の発展に一役買ってきた。 昨年は選出順位16位で念願のグランプリにも初出場。結果はともかく、〝18人〟の中に入れたことは今後への大きな自信になるのは間違いないだろう。 さらなる飛躍を期す2018年。昭和の香りを漂わせる個性派が再び攻勢をかけてくる。
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原田 幸哉

飛躍は感性から訪れる!

原田幸哉から厳しい指摘を受けたことがある。15年近く前のことだ。 勝利者インタビューで『保険をかけた…』という表現をした私に対し他の選手へのインタビューにも関わらず、「ファンが分かりにくい言葉はやめたほうがいい!」と直言された。 今でも覚えているのは、それこそがアナウンサーの本分に関係することだと思っているからだ。原田幸哉はファンの感性をもっている。 海上自衛隊で艦外の音を聞き分けるソナー担当をしていたためだろうか、感覚を大切にする人物だが、そのこととレーサーとしての活躍は無縁ではないはずだ。 計算の世界に生きる人に飛躍的成長は難しい。計算を逸脱しないようにしているからだ。計算式を度外視してこそ計算外のことが起こるのだ。 原田幸哉は『飛躍は感性から訪れる』と教えてくれる人である。

薄れぬ存在感!9年ぶりSG制覇へ機は熟す

SG3勝、G1戦13勝の実績を持つ原田だが、珍しい記録の持ち主でもある。かつてG1戦4勝のうち2回が恵まれ優勝だった石塚憲明といういぶし銀のベテランがいたが、原田もG1初優勝の新鋭王座が3艇Fによる恵まれ。 SG2勝目の浜名湖グラチャンも魚谷智之のFによる繰り上がりなど、実に恵まれ優勝(Fによる繰り上がり)がSGで1回、G1で4回もあるのだ。原田自身はSG、G1の優勝戦でFを切ったことがなく、集団Fに巻き込まれない。 原田の存在自体が相手に「スタートを行かなければ…」というプレッシャーをかけていると考えられる。SG制覇からもう9年も遠ざかっているが、昨年もG1戦2勝と存在感は決して薄れてはいない。 長崎支部移籍後初のSG制覇も時間の問題だろう。

F休み明けでも浜名湖の下ごしらえはOK?

原田幸哉をプレイヤーとしてタイプ別に区分けすれば、天才肌系?となるだろうか。こう書き出すとあからさまなヨイショ原稿のようだが、現実にそう思える場面に遭遇する。 原田は足作りよりレース技能重視の スタンスで、競技者としての感性はギフト(天賦の才)に近いモノを感じさせる。以下はやや原田には失礼な話だが、前操者・原田幸哉のモーターを引いた某選手が「これであの人はあれだけ稼ぐんだから…すごい」と、前操原田の活躍からは信じられないほどの凡脚に苦しみ、そんな言葉を口にしていた。 レースでこそ勝つ…そんな矜持をも感じさせる原田の今年の始動は、F休みのため2月17日の浜名湖一般戦から。この後唐津を走って浜名湖クラシックに参戦。 大舞台を前に1節浜名湖の感覚をつかむ好機を得られる愛のあるあっせん配分。それに応える男気も、技もある選手だ。

初心に帰って豪快なレースを約束!

1月14日、蒲郡のトークショーに訪れていた原田幸哉に2018年の意気込みを聞いてみた。 「今年は上半期が勝負だと思ってます。まずは3月の浜名湖(クラシック)、そして直後の蒲郡周年は目一杯の勝負を懸けます」と力強く言い放った。OFFモードから急にスイッチが入ったのにはワケがある。 「今年は初めて沖縄で正月を迎えました。考える時間がたくさんあって…。一番思ったのは、レースが小さくなっているなと。 まだまだ若手にもターンでは負けていないし、スタートを含めてもっと豪快なレースをしよう」と決意した。 ありがたいことに始動戦は2月17日からの浜名湖一般戦。1カ月後の大勝負へ向け、イメージを膨らませるには絶好の機会を 与えられた。8年4カ月ぶりのSG戴冠が現実味を帯びてくる。

当地で再びタイトル奪取。原田の底力に期待!

昨年、2年ぶり5回目のGP出場を果たした原田だが、結局は1勝もできぬまま終わった。 シード組上位6人に渡った高複勝率オレンジモーターと、原田が手にした53号機とでは明らかにパワー差があっただけに残念だ。 エンジン力の差が勝敗を左右する現代のボートレースの象徴かもしれなかった。いずれにしても屈辱の敗戦を味わって闘志に火がついたのは間違いない。 昨年1月の下関62周年では幸先よくV発進を飾ったのが記憶に新しいが、もちろん、今年も気持ちをリセットして序盤から勝負をかけてくることだろう。 2018年一発目のSGクラシックは浜名湖。当地はグラチャンを勝った思い出のボート場でもあるだけに注目度は高い。
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魚谷 智之

純度を増す『ひたむきさ』が魅力!

かつて『新艇王』という称号が確立しかけた時期がある。魚谷智之が2006年の福岡ダービーに続き、翌年のオーシャンカップ(桐生)とメモリアル(蒲郡)を取った2007年のことだ。 ダービーでSG初Vを飾ると、直後からとどまるところを知らない強さを発揮した魚谷…。2007年後期期間の1着率は48.9%に達している。ちなみに3連対率は82%に及んだ。 『新艇王』の呼び声はSG連覇を受け報道陣から発せられたが、魚谷は『その器にあらず』という趣旨の返答をしている。努力家らしいと思う。 それは、自らの弱さをも知り、乗り越えんと奮闘している人物だからだ。人間らしいから自然にたくさんの応援が集まるのだ。 人間魚谷のひたむきさは42歳となった今も変わっていない。むしろ、その精神はますます精錬され『純度』を増しているようだ。

一時の低迷期を乗り越え、完全復活は目前!

過去、2億円レーサーは延べ22人誕生しているが、魚谷もそのうちの一人。 オーシャンカップ、メモリアルとナイターSGを連覇した2007年。G1も3勝してグランプリ制覇の吉川元浩を抑えて獲得賞金1位にも輝き、MVP、記者大賞の3冠を獲得。頂点を極めた。 ところが2010年以降、SG、G1の優勝から遠ざかり、SG準優Fの試練などもあって低迷期を迎える。ようやく復調の兆しを見せたのが8年ぶりにグランプリに出場した2016年。そして昨年は10月の津周年で8年ぶりのG1制覇も果たした。 直後の平和島ダービーでも優勝戦1号艇を手にしながら優勝を逃したものの、完全復活は時間の問題。もう10年間も遠ざかっているSG制覇へ、今年は本人もその気になっているはずだ。

再び水得た…旬魚の走り!

昨年10月の津周年で優勝した魚谷智之。この報を伝える記事で『魚谷8年ぶりの記念V』という原稿見出しに「えっ?そんな久しぶり?」と驚いたファンの方はわりと多かったはず。 記念でも存在感は示しながら、確かに優勝となると09年11月の福岡周年6号艇でのV以来。 様々なペラ・モーターのレギュレーション変更。 ここへの対応でやや後れをとり、SGV3黄金期に見せたような機出しとレースができないもどかしさ、悔しさを味わったその月日は、他者が想像する以上に魚谷本人にとって長い年月だったはず。ただ昨年はこの雌伏の期間にもう一丁磨きをかけた旋回で、SG平和島ダービーでも1枠優出。無念の惜敗準Vではあったが、再度覚醒の今を感じさせる仕事ぶりを示した…。魚谷は今年で脂も乗った43歳となる。季節と旬は巡るもの。旨味凝縮の旬魚の走りで4度目の栄冠へトライだ。

完全復活へ必要なピースはSG優勝だ!

久しぶりのウイニングランだった。昨秋の津周年で復活Vを飾った魚谷智之。 G1以上では、2009年11月の福岡周年以来、7年11カ月ぶりだった。 表彰式を終えた後に、記者陣による囲み取材が行われたのだが、そこで「ここ何年かは本当に苦しかった。ひとつ勝つことの難しさを痛感しました」と吐露。 「一番成績のいい頃には、こんなにかかるとは思わなかった―」。実感が伝わって来た。 改めて振り返ると2006年7月の鳴門周年で2度目のG1を制してからは、3年ちょっとの間にSGを3優勝、G1を9優勝。 誰もが認めるボート界の中心人物だった。「ずっと一生懸命にやってきたし、苦しんだからこそ、津の優勝にたどり着けた」 長かったブランクは何かを意味する。その答えは今年のSG戦線で証明する。

復調著しい魚谷。今年はSGタイトル奪還だ!

2006年のダービーでSG初制覇を達成した魚谷は翌年、オーシャンカップとメモリアルの2つのビッグタイトルをゲットしてSGV3。 その後は〝らしさ〟が影を潜めていたが、ようやく明るい日が差してきた。昨年10月の津65周年では8年ぶり11回目のG1Vを飾って復活をアピール。 「勝つことの難しさを身に染みて感じてます」と、久々に味わうヒーローのお立ち台で気持ちを引き締めた。 平和島ダービーは惜しくも準優勝。前ヅケして2コースに入った深川に差し切られる苦杯をなめたが、SG優勝戦の1枠を取れたことで手応えをつかんだのは間違いない。 静から動へ-。さらなる飛躍を胸に2018年は一発目の浜名湖クラシックからバシッと存在感を見せつける。
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茅原 悠紀

重責を希望に変容させる天性の人!

『茅原悠紀は誰かに似ている…』ずっと思い続けてきたが、最近答えが出た。高中正義だ。 1971年、18歳ですい星のごとくアマチュア界からデビュー、一気にスーパースターとなった日本を代表するエレキ・ギタリストである。 高中の演奏を見れば誰もがギターが好きであると一目で分かるが、茅原悠紀も同様。 プロデビュー早々、名だたる一流を向こうに回し、臆することなくスポットライトの中心に立ったことも共通する。 高中は『フュージョン』という新分野を開拓したが、茅原は『ニュージェネレーション』の旗手となった。新しいボートレースの行方はその肩にかかっている。 スターの条件のひとつに、そうした重責を重荷とせず、『希望』に変容させる素養が含まれるが、茅原悠紀はそれを天然に持ちあわせている。 だからだろう。そのレースは『明るい未来』を感じさせる。

名門・岡山支部を一身で支える練習の鬼

「ホームの児島なら目をつむったままでも3周できます。それくらい練習してますから」 売り出す前の茅原は、自信満々にこう語っていた。ボート界屈指の名門・岡山支部を今や一身で支えている天才は、実は練習の鬼で努力家でもある。 2014年の平和島グランプリでは大外6コースから衝撃的な優勝を飾ったが、同年4月、同じ平和島の周年優勝戦でFを切っていた。 その後遺症さえみじんも感じさせなかったメンタルの強さも武器。 2016年の江戸川MB大賞以降、約2年間でG1戦2回、G2戦1回を含む9回の優勝は全て優勝戦1号艇からの王道V。 SG初優勝は誰もが驚く伏兵優勝だったが、さらに進化した茅原のSG2勝目は近年得意パターンの王道Vになるに違いない。

くるか怒涛のニュージェネウェーブ…茅原悠紀

14年の平和島GP戦は茅原悠紀の驚異の6コース優勝で幕を降ろした。 明けて正月…茅原の優勝を目の当たりにした同じニュージェネレーションの桐生順平が、戸田の地元戦で「凄く刺激になりました。今度は自分が取りますよ」と、少し悔しそうに自らを奮い立たせる言葉を口にしていたのを覚えている。 あれからわずか3年後の昨年末、桐生はその簡単ではない目標をあっさりとかなえて見せた。 それも節間、決して楽な流れではない戦いを経て、最後は王道のイン逃げV。 今度は茅原がそれを間近で見る番となった。 この時、茅原はエンジン面で恵まれぬ悪条件もあったが、やや道中でのミスが目についた。それだけに、胸中では負けていられない…、余計にその思いを強くしたはずだ。 今年は持ち味の超好角度ターンへさらに磨きをかけ、SGロード開幕戦から飛ばしてくることは間違いない。

超絶ターンを駆使してタイトル量産だ!

ボートレースは、モーターを仕上げることが勝利への近道。出ていれば、上手に見えるし結果も残る。 では、最高にマッチングした時に、一番スゴイレースを魅せるのは誰!? と尋ねられたら、茅原悠紀に一票を投じる。 ボートを奥で返し鋭角ターンを実演。回った直後にウィリーと完璧なミッションをこなす。これが1マークの決定力を生み、道中の猛追劇にも繋げている。 そのスケールと完成度たるやハンパではない。お寿司に例えて恐縮だが、桶の大きさはボート界で随一。今後、どれだけのネタを乗せられるかに焦点が集まる。 正月レースを優勝して通算34V、その内SGは1勝、G1は4勝。大トロが燦然(さんぜん)と輝くが、まだウニやイクラは乗せていない。 2018年は彩りを鮮やかにする一年だ。

昨年7月周年の借りは必ず返す!燃える茅原に注目

2012年の浜名湖オールスターでSG初出場を果たし、2年後の平和島GPでSG初優勝。 茅原はアッという間にボート界のトップレーサーへ駆け上がった。 昨年は徳山での地区選を制してG1V4。 3回目の出場となった年末の大一番、グランプリは〝引き〟とエンジン出しに苦労して優勝戦に勝ち進むことはできなかったが、それでもトライアル1stから見せ続けた強烈なコーナースピードが印象的だ。 年が明けた地元児島戦ではさっそくの新春V。強豪がそろっていた中で改めて実力を誇示する圧巻のレース運びで、2018年一発目を最高の形で滑り出した。 果たして、今年はどんなドラマを演出してくれるのか-。 インで2着に負けた昨年7月の64周年の借りを返すためにもクラシックは力ずくで獲りにいく。
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毒島 誠

勝負師と勇者の条件を兼ね備えた爽快な男

勝負師の条件のひとつに『記憶力』がある。 一流のキャッチャーはゲーム後、スコアブックなしに配球を完全に振り返ることができる。 将棋界における棋譜の記憶も同様だ。 ボートレース界では毒島誠選手がその体現者。 デビュー当時から、一戦毎に調整やレース内容をメモし続けた。 いちいちすべてを見直しているわけではないんです。書くことで頭に残るんで…」と謙遜するが、記録の中には『振り返りたくないこと』も含まれる。 失敗の記憶を含めた戦歴はこうして心に刻まれ、反骨精神や探求心が培われたのではないだろうか。妥協すれば成長はとまる。 スイスイ流れる者に努力とか根性は無縁。嫌なことに向き合い、苦しむことを受け入れるのが『勇者の条件』。 だからこそ、『爽快さ』を失わない毒島選手の存在は大きい。

2014年からSGフル参戦中のSGの顔役

キャリア14年で全国24場制覇へ残すは江戸川だけ。2016年の徳山周年では大外からの優勝もある。 いつでもどこでも強い。弱点のなさが毒島の強さの秘密。 今やSGでも顔役。SG初出場は2010年のオールスターだが、2012年までの3年間でSG出場は7回だけ。 2013年はグラチャン以外のSGに全て出場し、2014年以降は1回も休むことなく年間8回のSGにフル出場。 グランプリ出場を逃したのも2016年だけだ。 昨年は下関チャレンジカップで予選トップからの王道優勝を果たしSG2勝目。 グランプリも1stステージからの出場ながらファイナルまで進出した。 クラシックの舞台、浜名湖は2010年の新鋭王座でG1初優勝した思い出の水面。 今回も文句なしにV候補に名前が挙がる。

負けられぬ…関東新二枚看板・毒島誠

若手記念ランナーで最も復調して欲しい選手に力が戻ってきた…毒島誠。 一昨年の後半から一時期は記念域での機力出し負けが顕著で、自慢のスピードターンも旋回負荷に脚力が耐え切れず艇が暴れるシーンが多かった。 そんな状況で迎えた昨年9月多摩川周年ではモータースペック以上の脚力に仕上げて「今後につながるいい調整ができた」と笑顔も見せてのファイナル入り。 そして11月下関チャレンジカップではパワー機の力を確実に引き出して、うれしい自身2度目のSG優勝を飾った。 ただ新関東二枚看板のもう一方、桐生順平はひと足先に昨年、グランプリ覇者に輝いた。 生来の負けず嫌い、今年は目前のSG…その先も見据えて気合を再注入してくるはずだ。

旺盛なチャレンジ精神で多彩な芸を発揮!

アグレッシブさでは群を抜く毒島誠は、公私ともキラッキラに光っている。 約1600人のボートレーサーで“リア充選手権"を開催したのなら、間違いなくドリーム戦に選ばれるだろう。そして優勝も。 2017年を振り返ってみると“公”では4年3カ月ぶりにSGを優勝。2個目のビッグタイトルを手にした。 “私”では、念願のキハダマグロを釣り上げ、トライアスロンにも挑戦。好タイムで完走した。 まさに静と動、対極なことを笑顔で難なく成し遂げる。 多彩な一面は本業であるボートレースでも存分に発揮。代名詞の超速ターンに加えて、スーパーピット離れで揺さぶりをかける。 ありのままの姿が個性となって輝いている。

SGV3へ真っ向勝負 好相性の浜名湖で毒島が燃える

昨年の下関チャレンジカップを〝王道〟で優勝。 2013年のメモリアル以来、2つめのSGタイトルを手にした毒島はその勢いでグランプリも優勝戦(5着)まで駒を進めた。 シード組が操るオレンジモーターに対し、決して素性がいいとは言えない64号機。 トライアル1stからのファイナル進出は〝隠れエース〟39号機とコンビを組む菊地孝平(4着)と2人だけだったから評価に値する。 そんな経験を〝宝〟のひとつとして胸に刻み、新しい2018年はさらなる進化を遂げてもらいたい。 浜名湖は新鋭王座決定戦を制し、SG初出場(オールスター)も果たした思い出のいっぱい詰まったレース場だ。一発目から勝負をかけていく。
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羽野 直也

素直さが武器の爽快な若者!

誰に聞いても「応援したくなる」と言われる若者がいます。「素直で感じがいいし、それがレースに表れている」という統一見解の対象は羽野直也選手。 今年10月の大村65周年を制し、浜名湖クラシックの出場権を獲得しました。 初のG1本格参戦の舞台がその浜名湖。周年出場を祝いファンが新調してくれたピカピカの横断幕を1マーク先に発見し「うれしい!」とニコニコ顔だったのは7月のこと。 9月の蒲郡ヤングダービーでは準優で惜敗しましたが、直後の大村で開花。インの原田幸哉選手に対し先行してマクリかけたものの、抵抗されるとみるや差しに転換。 バックでつかまえ栄冠を手にしました。頑なにならず、素直に作戦を切り替えた結果でした。 先のグランプリシリーズ戦でもSG水神祭を飾りステージアップした若人が横断幕を力に浜名湖を闊歩(かっぽ)しそうです。

平成生まれ初のG1覇者は近年まれに見る逸材

2017年の最優秀新人のタイトル争いは久々に見応えがあった。まず115期の仲谷颯仁がブレイクし、それを1期先輩の羽野が追う展開は、26年前の1991年の服部幸男と松井繁の激闘を思い起こさせるレベル。 羽野の大村周年優勝で事実上ケリはついたが、「仲谷君がいたから、自分も頑張れた」と語っているように、強力なライバルの存在が羽野をさらに成長させた。 とはいえ羽野は突然ブレイクしたわけではない。 センス抜群のハンドルワークと、本人がもっとも意識しているスタートダッシュで九州では早くから将来を大いに期待されていた逸材。G1出場4節目にしての初優出、初優勝程度で驚いてはいけない。 なぜなら、SGという大舞台でも、あっという間に大仕事をやってのけるはずなので。

平成生まれの旗手へ…羽野直也

最近のボート界、選手間では「最近の若手はガッついた感じがなくて」…という若者達への物足りなさを感じるベテラン選手達の声を良く聞く。 そんな中で、今年は待望の若手スターの台頭がファンを喜ばせたのではないだろうか。 年末GPではニュージェネの代表格である桐生順平が優勝を果たし夢の賞金王に。 そして、この羽野直也もまた10月の大村周年で弱冠22歳、平成生まれ初の記念ウイナーに輝いた。またこれがフロックでないことを示すように12月頭の芦屋周年では実に惜しい内容での準優勝も果たしている。 今年夏場に少しだけ取材した時の印象では、優しげな風貌だが取材受け応えには聡明さや勝負へのストイックさを感じさせた。 優しさと芯の強さ、この二つを併せ持つ平成の変革期の旗手へとなっていけるのか。今後の走りに注目したい若者だ。

平成生まれのG1ウイナーは陸の上でも魅了!

2017年のボート界も熱く激しいバトルが繰り広げられたが、一番センセーションな話題と言えば、10月7日に羽野直也が大村周年を優勝したことだろう。 デビューからわずか3年5か月、平成生まれの22歳が2コース差しでG1初制覇を成し遂げた。 羽野を初めて目の当たりにしたのは直前のヤングダービー。 ライバルと目される仲谷颯仁と同じく蒲郡は初登場だったこともあり、どんなレースを見せてくれるのか!? ワクワクしながら取材したのをハッキリと覚えている。 そして、レースっぷりもさることながら、陸(おか)の上でも魅了する。 しっかりとした受け答えと考え方はとても22歳とは思えない。「師匠(別府正幸)からは『ただ強くなるだけでなく、人としても成長するように』と言われています」。 次なるターゲットはSG初タイトルだ。

平成生まれのG1ウイナー羽野が次代のエース!

2017年は羽野にとって〝激動〟の1年となった。最も印象的なのはやはり大村65周年だ。 エース機とコンビを組むアドバンテージがあったとはいえ、しっかりとパワーを引き出しての優勝。 〝平成生まれの初のG1タイトルホルダー誕生-〟と、スポーツ各紙をにぎわした。 それがフロックでないことを証明するかのように、のちの芦屋65周年でも優出(2着)。 SG初出場を果たしたグランプリシリーズ戦では4日目に早々と水神祭を飾るなど、とにかく近況の充実ぶりには目を見張るものがある。 住之江ピットでは取材する機会にも恵まれたが、「来年(2018年)はGP出場を目指します!」とも言ってくれた。 確定的となった2017年の最優秀新人賞。無限の可能性を秘めたスーパールーキーから目が離せない。
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小野 生奈

トップレーサーとして名を刻む!

今から7~8年前、JLC専属解説者の佐藤正子さんが『この子はうまくなる!』と唸った選手がいます。デビュー1年ほど経った小野生奈選手です。 ボートレース福岡での旋回練習をスタンドから見ていた時のことでした。『課題をもって取り組んでいますね…』と語っていましたが、その後の活躍は予感通り。男子の上位にも負けない存在にまで登りつめました。 女子として単身参戦した11月の下関チャレンジカップ初日6R、あの松井繁選手を相手に見せた激しい4着競りは圧巻でした。 『王者といえども、絶対に引かない構え』に、熱い闘志と強烈な意志を感じさせたものです。 小野生奈…。その名はボートレース界のトップレーサーとして永く刻まれる予感がします。

劣等生から努力一本で上り詰めたシンデレラ

「努力は必ず報われる」という言葉がある。それを地で行くのが小野生奈。訓練生時代は勝率ブービーの劣等生。水神祭にも1年半を費やした。 しかし、先日けがで引退を余儀なくされた吉田弘文さんに師事し、まず減量に取り組んで練習に明け暮れる日々。 さらにプロペラ調整だけでなく、本体整備にも積極的に取り組むようになった。 そんな努力が実って、今や文句なしの女子トップレーサーの一人に。すでにSG出場は8回を数えるが、今年は5月のオールスターで女子初の3連勝、7月のオーシャンカップでは準優で一時2着を走るなど、SG優出目前の活躍を見せた。 平山智加が不在の今、女子でもっとも「SG制覇の夢」に近い存在…と言っても過言ではないだろう。

全速に華あり…小野生奈

今年は原稿時点(12/14)で4千万オーバーの女子ナンバー1賞金も稼ぎあげ、大願のレディースチャンピオン優勝、女子から唯一人SGチャレンジカップ出場とまさにキャリアハイのスコアをたたき出している小野生奈。 そのチャレンジカップでは3日目に無念のFに散ったが、福岡オールスターは予選3勝で準優4着、丸亀オーシャンカップもまとめる走りで準優3着と、ファイナルへの扉はすでにノックしている状態だ。 とにかく男子一線級相手に、一つも握り負けない度胸とスピード感覚は現在の女子選手の中でも間違いなく屈指の存在だろう。 寺田千恵、横西奏恵に続くSGファイナリストに名を連ねる日もそう遠くはないはずだ。 来年クラッシックは浜名湖…、広々とした水面で大胆に舞う姿にまずは期待したい。

SG経験を積みファイナリストも夢ではない

やまと学校(現ボートレーサー養成所)卒業時に目標を「レディースチャンピン優勝」と掲げ、夢は「SG出場」と書いた。 どちらも叶えた小野だが、ここまでの道のりは険しかった。 やまと勝率は後ろから2番目、デビューしてからはもっと厳しく勝率は1.35、1.52と6着ばかりだった。 必死の練習を重ねるが、水神祭を挙げるまでには時間を要した。 デビュー4期目、179走目でのトップゴールだった。あれから7年―。2017年はSGに4度出場して2度の予選突破を果たした。 また、オーシャンカップでは“あわや"のシーンを演出。SGファイナリストに名を連ねる日も遠くないだろう。 今後も目標と夢をどんどん更新して行く。

地元で手にした大きな勲章。
それに恥じない活躍を期待したい

日々の努力を惜しまず、そして笑顔を絶やさない。誰からも愛される人柄…。 そんな小野だからこそ、応援するファンはたくさんいることだろう。 また、それに応えるように彼女は着実に成長し、結果を出してきた。 来年1月からの適用勝率は自身3回目の〝大台〟となる7.18。 この数字こそが現在の充実ぶりを如実に物語っている。 芦屋のレディースチャンピオンでは圧巻の走りで念願のG1タイトルもゲット。 慣れ親しんだ地元での優勝は喜びとともに今後へのさらなる〝起爆剤〟になったのは間違いない。 自分を信じ、冷静かつ強気な攻め。これから幾度となく訪れるだろうビッグ戦線でぜひ見せつけてほしい。 待ち遠しい来春の浜名湖クラシック。男子相手でも女王の地力が侮れない。
2018.11.16

2018.11.02

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2016.03.08
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